物音や声など、聞こえるはずのない音が聞こえて困っていませんか。幻聴は、まわりの人に理解してもらえず、日常生活に支障が出ることもあります。
この記事では、幻聴が聞こえる原因や考えられる病気、対処方法や治療についてご紹介します。
幻聴とは?
幻聴とは、実在しない音や声が聞こえることを言います。
幻聴は幻覚の一種で、人により聞こえ方はさまざまです。
幻聴はどのような症状があるのか、幻聴が聞こえると日常生活にどのような影響があるのか、解説します。
参照:国立精神・神経医療研究センターこころの情報サイト「統合失調症」
幻聴の症状
幻聴に関する訴えには下記のようなものがみられます。
・悪口を言われた、いじめを受けたと訴えるが実際には何も言われていない
・死ねという声が聞こえる
・命令する声が聞こえる
このように、実在しない声や音が聞こえますが、複数の声が聞こえたり、1人の声が聞こえたりと症状はさまざまです。
参照:国立精神・神経医療研究センターこころの情報サイト「統合失調症」
参照:厚生労働省「こころの病気について知る|統合失調症」
幻聴の種類
幻聴には、3つの種類があります。
幻聴の種類 | 症状 |
言語性幻聴 | 対話性、非対話性に分類され、自分の噂話をする声や自分に話しかける声が聞こえる |
複雑性幻聴 | 物音などではなく、メロディなど音楽のように複雑な音が聞こえる |
要素性幻聴 | ノックするような音や虫の音などの物音が聞こえる |
幻聴が聞こえる主な3つの原因は?何かの病気?
幻聴が聞こえる場合、どのような病気が原因と考えられるのでしょうか。
考えられる3つの原因や病気について解説します。
原因1:統合失調症
1つ目は統合失調症です。統合失調症は心や考えがまとまりづらくなってしまう病気で、日本での患者数は約80万人(2017年)と、100人に1人がかかると言われています。
幻覚や妄想が特徴的な症状ですが、その他にも考えがまとまらず、支離滅裂に話をしたり、悲しい場面で笑ってしまったりと、頭で考えていることと行動がちぐはぐになるなどのさまざまな症状や行動が、人間関係などに影響を及ぼします。
統合失調症による幻聴は、自分の悪口や噂、命令などが聞こえる幻聴が多いようです。
参照:厚生労働省「eヘルスネット|統合失調症」
参照:厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」
原因2:PTSD(心的外傷後ストレス)
PTSDは心的外傷後ストレス障害と言い、生死に関わるような体験をし、強い衝撃を受けたあとで、トラウマになる圧倒的な出来事を経験した後に始まる、日常生活に支障をきたす強く不快な反応です。
PTSDの特徴的な症状が、過去のできごとがよみがえる「フラッシュバック」です。
フラッシュバックが起こる時に、当時の音や声が幻聴として聞こえることがあります。
参照:厚生労働省「eヘルスネット|PTSD」
参照:国立精神・神経医療研究センターこころの情報サイト「PTSD|PTSDとは」
参照:MSDマニュアル家庭版「心的外傷後ストレス障害 (PTSD)」
原因3:薬物
覚醒剤や大麻などの薬物は、依存や中毒を引き起こします。依存するようになると、自分の意志により薬物使用がコントロールできなくなってしまいます。
薬物に依存し乱用を続けると、使用している最中や、使用後に中毒症状として、妄想や幻聴が聞こえることがあるのです。
幻聴による影響
幻聴が聞こえることにより、どのような影響が現れるのでしょうか。主な影響は2つあります。
・症状が悪化し、妄想につながる
・幻聴により、社会生活への影響が出る
それぞれ解説していきます。
症状が悪化し、妄想につながる
幻聴が起こると、「自分の考えがまわりの人に伝わっている」と思い込みをしてしまう方もいます。また、現実と幻聴の区別がつきにくくなってしまうこともあるでしょう。
思い込みが続くと、「悪口を言われている」「嫌がらせを受けている」などの妄想につながるケースもあります。幻聴から妄想が起こると、さらに症状が悪化するという悪循環を生む原因になるのです。
参照:厚生労働省「ヘルプノート|統合失調症」
参照:厚生労働省「セルフメンタルヘルス」
幻聴により、社会生活への影響が出る
幻聴が頻繁に起こると、勉強や仕事に集中できなくなります。「常に誰かに話しかけられている」「物音がずっと聞こえる」という状態であれば、集中できなくなるのも無理はないでしょう。
勉強や仕事に集中できないことから、さらにストレスを感じることもあります。
幻聴が聞こえるときの対処法、治療法
では、幻聴が聞こえるときは、どうすればいいのでしょうか。ここからは幻聴が聞こえる時の対処法を紹介します。
休息を取りとリフレッシュをする
まず大切なのは、休息をとることです。幻聴は心身ともに疲労がたまって、不安感が強い時に症状が現れやすいため、休息をとり、リフレッシュする時間を作りましょう。
幻聴が聞こえるときは、散歩をしたり、音楽を聞いたり、外出したりとなるべく気分転換して過ごしましょう。
人により、自分に合っている方法が異なるため、自分に合ったリフレッシュ方法や効果的な方法を見つけてくださいね。
なるべく早く精神科を受診し治療する
そしてもう一つ大切なのは、なるべく早く精神科を受診することです。
統合失調症やPTSDなど、疲れやストレス以外に病気が原因で幻聴が聞こえる場合、病気の治療により、症状の改善につながります。
受診をためらううちに症状がどんどん悪化してしまうこともあり、症状が悪化してから受診すると、症状の改善までに時間がかかってしまうケースが多いです。
早期発見、早期治療が症状の改善に重要なので、なるべく早く精神科を受診しましょう。また、精神科においては代表的なものとして、統合失調症、双極性障害(躁うつ病)、うつ病、強迫性障害(OCD)、パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、全般性不安障害(GAD)、社交不安障害、適応障害なども診療することができます。
サポートが必要な場合は精神科訪問看護の利用を検討してみて
「幻聴が聞こえて日常生活がつらい」「家族としてサポートしたいけれど、どのようにサポートすればいいのかわからない」このように悩むこともあるでしょう。
精神科を受診し、精神科医が訪問看護が必要と判断すれば、精神科訪問看護を利用できます。精神科訪問看護では、服薬管理や日常生活のサポート、家族のサポートなどが受けられます。
自宅での服薬管理や支援が難しい場合、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
「訪問看護ステーションくるみ」は、精神科に特化した訪問看護ステーションです。地域の福祉施設や行政と連携を図り、利用者さまとその家族に寄り添ったサポートを提供いたします。
「自宅での生活が不安」「気軽に相談できる人が欲しい」などとお考えの方は、精神科訪問看護利用を検討してみましょう。
サービスの利用にあたり、聞きたいことや確認したいことがある方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。