カスタマーハラスメント
「訪問看護ステーションくるみ」のカスタマーハラスメントに対する考え⽅
はじめに
訪問看護ステーションくるみでは、「利用者さまファースト」をミッション・ビジョン・バリューの中核に掲げ、地域で暮らす方々の生活を支える精神科特化型の訪問看護を提供しています。 私たちは、利用者さまの「こころのかたち」に気づけるケア、そしてその回復が未来の活躍につながるような看護を目指しております。 その実現には、訪問看護師一人ひとりが安心して、いきいきと業務に取り組める職場環境が欠かせません。 より良い支援関係を築くことはもちろん、スタッフがカスハラやセクハラに該当するような不当な言動・行動から守られることも、質の高い訪問看護のために重要だと考えています。 そのために、私たちは「訪問看護ステーションくるみのカスタマーハラスメントに対する考え方」をまとめ、公表することといたしました。1. 対象となる行為
厚⽣労働省による 「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」の記載を参考に、当ステーションではカスタマーハラスメントを「利⽤者さま等による妥当性を⽋いた要求や、社会通念上不相当な⾔動(暴⾔、暴⾏、脅迫等)により、役員・社員の就業環境を害されること」と定義いたします。 厚⽣労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」 利⽤者さま等による⾔動が、カスタマーハラスメントに該当するかどうかは、主に次の2点から判断いたします。-
- 要求内容に妥当性があるか
- 要求を実現するための⼿段・態様が社会通念に照らして相当な範囲か
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- 「要求の内容が妥当性を⽋く場合」の例 ・弊所の提供する訪問看護サービスに瑕疵や過失が認められない場合 ・要求の内容が訪問看護サービスの内容とは関係がない場合
- 「要求を実現するための⼿段・態様が社会通念上、不相当な⾔動」の例 ・⾝体的な攻撃(暴⾏、傷害) ・精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴⾔) ・⼟下座の要求 ・拘束的な⾏動(監禁・軟禁など) ・継続的な(繰り返される)、執拗な(しつこい)⾔動 ・威圧的な⾔動 ・差別的な⾔動 ・性的な⾔動 ・社員個⼈への攻撃、要求 ・合理的な理由のない⾦銭補償の要求や謝罪の要求
- 利⽤者さまによるその他の迷惑⾏為・ハラスメント⾏為の例 ・許可のない社員や施設の撮影 ・SNSやインターネット上での誹謗中傷
2. カスタマーハラスメントへの対応
対象となる⾏為があったと当ステーションが判断した場合、対応をお断りさせていただいた上で、契約を解除する場合もあります。 また、悪質と判断した場合には、警察・弁護⼠等に相談のうえ、適切に対処いたします。
よくあるご質問
カスハラとクレームの違いは何ですか?
カスタマーハラスメントとクレーム(ご要望・ご意見)は、似ているようで本質的に異なるものです。
正当なご要望・ご意見は、サービスの内容や対応について改善を求めるもので、私たちにとってサービスの質を高めるための大切な手がかりです。たとえば「訪問時間の調整をお願いしたい」「説明をもっと丁寧にしてほしい」「対応に疑問がある」といったお声は、すべて正当なご意見として真摯に受け止め、対応の改善に活かします。
一方、カスタマーハラスメントは、要求の内容や手段が社会通念上の妥当な範囲を超え、看護師の尊厳や安全を脅かす行為を指します。厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」に基づき、くるみでは「ご利用者さま等による妥当性を欠いた要求や、社会通念上不相当な言動により、職員の就業環境が害される行為」と定義しています。
判断の軸は、主に次の2点です。
- 要求の内容に妥当性があるか
- 要求を実現するための手段や態様が、社会通念に照らして相当な範囲か
ご利用者さまの正当なご意見をくるみが「カスハラ」と扱うことはありません。安心して、率直にお声をお聞かせください。
訪問看護で具体的にどんな行為がカスハラに該当しますか?
くるみでは、厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を参考に、次のような言動・行為をカスタマーハラスメントに該当するものとして扱います(これらに限られるものではありません)。
身体・精神への攻撃:
暴行、傷害、脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言
不当な要求:
訪問看護サービスの内容と関係のない要求、合理的な理由のない金銭補償や謝罪の要求、土下座の要求
威圧的・継続的な言動:
威圧的な態度、繰り返される執拗な言動、拘束的な行動(監禁・軟禁など)
差別的・性的な言動:
差別的な発言、性的な言動、看護師個人への性的な接近
看護師個人への攻撃:
看護師個人を狙った攻撃や要求
プライバシー侵害:
許可のない撮影、SNSやインターネット上での誹謗中傷
これらは一例であり、状況によっては他の言動もカスハラに該当する場合があります。判断にあたっては、ひとつの言動を切り取って機械的に決めるのではなく、訪問看護の現場の文脈、ご利用者さまの状況、言動の継続性・反復性などを総合的に踏まえて、社内カンファレンスで慎重に判断します。
精神症状によるご本人の言動と、カスハラの区別はどうしているのですか?
精神科訪問看護では、ご利用者さまの言動が症状の表れである場合があり、私たちはこれを慎重に判断する必要があると考えています。
訪問中にご利用者さまの言動について気がかりな点があった場合、まず訪問担当の看護師がステーションに報告します。報告された内容について、くるみの社内カンファレンスで多角的に検討し、必要に応じてご利用者さまの主治医、相談支援専門員、その他の支援機関と連携しながら、症状によるものなのか、症状とは独立した行為なのかを判断します。
この判断は、一人の看護師の主観や感情に委ねるのではなく、組織として責任を持って行うことを大切にしています。精神科訪問看護では、症状の発露としての言動を機械的にハラスメントとして扱ってしまうと、本来必要なケアが届かなくなる恐れがあります。一方で、すべてを「症状だから」として看護師の安全を後回しにしてしまうと、安心して働ける環境が損なわれ、結果的に質の高いケアの提供が難しくなります。
くるみはご利用者さまへのケアと、看護師の安全の両立を、組織としての判断プロセスを通じて実現していきます。
ご本人ではなく、ご家族の言動もカスハラの対象になりますか?
はい、訪問看護ステーションくるみでは、ご家族の言動もカスタマーハラスメントの対象として扱います。訪問看護では、ご利用者さまご本人だけでなく、ご家族と接する機会も多くあります。看護師に対するご家族からの暴言、過剰な要求、看護師個人への攻撃的な言動などについては、ご本人の言動と同じように、社内カンファレンスを通じて慎重に判断します。
ただし、ご家族の言動がカスハラに該当した場合に、ご本人との契約をどう扱うかについては、ご本人の状況を最大限考慮して判断します。
ご利用者さまの中には、ご家族との関係性や同居の状況などから、ご家族の言動をご自身で止めることが難しい方もいらっしゃいます。私たちは、ご家族からのカスハラがあったからといって、機械的にご本人との契約を解除するのではなく、ご本人を孤立させないことを判断の軸に置きます。
具体的には、ご家族との関わり方を調整しながら(訪問時にご家族のご同席を控えていただく、ご家族との直接的なやり取りを最小限にするなど)、ご本人との契約は継続させていただくこともあります。一方で、看護師の安全が脅かされる状況や、ご本人へのケアの提供そのものが困難になった場合には、関係機関と連携しながら、契約のあり方を改めて検討します。
私たちはこうした繊細な状況に直面したとき、ご本人が「家族のせいで申し訳ない」と感じられないようにすることも大切にしています。ご家族の言動を抱えこまず、安心してくるみにご相談いただけたらと思います。
カスハラとパワハラの違いは何ですか?
カスタマーハラスメント(カスハラ)とパワーハラスメント(パワハラ)は、いずれもハラスメント(嫌がらせ)の一種ですが、誰から誰に対しての行為かが異なります。
カスタマーハラスメント(カスハラ)は、ご利用者さま等(訪問看護で言えば、ご利用者さまやそのご家族)から、看護師など事業者側の職員に対する不当な言動や要求を指します。「お客様」と「働く人」という関係性の中で発生するものです。
パワーハラスメント(パワハラ)は、同じ職場内で、上司から部下、または優越的な立場にある人から弱い立場の人に対して行われる嫌がらせを指します。「組織内の上下関係」の中で発生するものです。
このページでは、ご利用者さまやそのご家族から看護師に対する「カスタマーハラスメント」についての考え方をお伝えしています。組織内のパワーハラスメントについては、くるみは別途、ハラスメント防止の方針を社内で定めており、看護師同士が互いに敬意を持って働ける環境づくりに取り組んでいます。
カスハラがあった場合、契約解除に至るまでにどのようなプロセスがありますか?
くるみが開所してから5年目になりますが、実際にカスタマーハラスメントとして対応に至ったケースはごく稀で、これまでに数件程度です。ご利用者さまの大多数の方々とは、温かい信頼関係を築かせていただいています。
それでも、こうした状況が起こり得ることに備えて、くるみは次のような対応の流れを基本としています。
まず、訪問の中で気がかりな言動があった場合、訪問担当の看護師がステーションに報告し、社内カンファレンスで状況を慎重に判断します。必要に応じて、ご利用者さまの主治医や相談支援専門員などの関係機関と連携しながら、対応の方針を決めます。
対応が必要と判断した場合、まずは訪問体制の調整を行います。具体的には、看護師2名での訪問体制への変更、訪問担当者の変更、男性看護師への切り替え、訪問時間の調整など、状況に応じて柔軟に対応します。これは契約解除を前提とした対応ではなく、ご利用者さまへのケアを継続するための工夫です。
それでも状況が続く場合は、まず口頭で、現在の状況についてご利用者さま(またはご家族)にお伝えし、改善のお願いをします。それでも改善が見られない場合は、書面で改めてくるみの考えをお伝えします。それでもなお状況の改善が難しい場合に、最終的に契約解除を検討します。契約解除を決定する場合は、地域の関係機関と連携しながら、ご利用者さまの今後のケアが途切れないよう、できる限りの調整をいたします。
なお、看護師への身体的暴力や性的な行為など、看護師の身体や精神に重大な危険が及ぶ事態が発生した場合は、上記の段階を経ずに、ただちに警察への相談や契約解除を含めた対応を行います。
カスハラ被害を受けた看護師さんへの、組織としてのサポート体制は?
くるみは「利用者さまファースト」と「働きやすい職場環境」の両立を経営理念に掲げており、看護師が安心して働ける環境づくりを大切にしています。カスタマーハラスメントを含む難しい状況に直面したとき、看護師個人に対応を委ねるのではなく、組織として支える仕組みを整えています。
訪問担当の変更:看護師から「この方の訪問を担当することに不安がある」という申し出があった場合、原則として、チーム内で担当の調整を行います。くるみは看護師30名以上が在籍する大規模ステーションであり、担当変更を柔軟に行いやすい体制があります。
チームによる支え合い:精神科訪問看護では、看護師一人ひとりが抱えるものを、チーム全体で共有し、支え合うチームケアを基本としています。困難な状況を一人で抱え込まず、ステーション内で率直に話し合える文化を大切にしています。
外部の相談窓口の活用:くるみでは、社員が匿名で相談できる外部メンタルヘルス相談窓口(スマート相談室)を導入しています。社内では話しにくい悩みでも、外部の専門家に直接相談できる環境があります。
組織としての責任:カスタマーハラスメントが発生した場合の対応の責任は、現場の看護師個人にではなく、組織にあります。私たちは、看護師が「自分の対応が悪かったのではないか」と一人で抱え込むことのないよう、組織として判断と責任を引き受けます。
ご利用者・ご家族として、カスハラと言われないために気をつけることはありますか?
訪問看護ステーションくるみでは、ご利用者さまの正当なご意見・ご要望をカスハラと扱うことはありません。ご意見やご要望を遠慮なくお伝えいただける関係性こそが、より良いケアの土台だと考えています。
その上で、お互いに気持ちよく関わり合うために、いくつかご協力いただけたらと思うことをお伝えします。
看護師に対して、敬意を持ってお話しいただけたら嬉しいです:看護師もひとりの人間であり、ご利用者さまと同じく、敬意をもって関わり合うことで、より良いケアが生まれます。要望や疑問を伝えていただくときも、落ち着いてお話しいただけると、私たちもしっかりとお話を聞かせていただけます。
看護師個人への要求・連絡は、ステーションを通してください:看護師個人のSNSアカウントや個人連絡先への接触、訪問外の時間帯の連絡、個人的な関係性の要求などは、看護師の生活と仕事の境界を守るためにご遠慮ください。ご相談やご要望は、ステーション(電話・LINE・お問い合わせフォーム)へお寄せください。
撮影や録音は、事前にご相談ください:訪問の様子や看護師の許可のない撮影・録音は、プライバシーの観点からご遠慮ください。記録としてどうしても必要な場合は、事前にご相談いただければ、可能な範囲で対応を検討させていただきます。
ご利用者さまやご家族に「カスハラと言われないように」過剰に気を遣っていただきたいわけではありません。ただ、お互いを尊重する関係性の中でこそ、安心して訪問看護をお届けできます。気になることがあれば、いつでも遠慮なくくるみまでご相談ください。