知的障害者と関わるには、コミュニケーション方法に工夫が必要なケースもあります。どのように意思疎通を図るかによって、関係性の構築に影響してくるでしょう。看護師の中には知的障害を持つ方との関わりに悩んだ経験のある方もいるのではないでしょうか。
今回は、知的障害者とのコミュニケーション方法について解説します。「精神科領域で働きたい」「知的障害者を支援したい」という方は、精神科訪問看護で臨床経験を積むのも選択肢のひとつです。
知的障害者におけるコミュニケーション方法の特徴
知的障害者のコミュニケーション方法には特徴があり、人によっては意思疎通を図るために工夫が必要なケースもあります。
知的障害とは、発達期(およそ18歳まで)に知的機能の障害が見られ、日常生活や社会生活に支障をきたす精神疾患です。学習やコミュニケーションに問題を生じ、生活上なんらかの支援を必要としている状態を指します。
一般的に知的障害と診断されるのは、以下の条件を満たす場合です。
・知的能力が低い
・社会生活に対しての適応能力が低い
・発達期(18歳未満)での発症
さらに、その人の知的能力や適応機能に応じて、軽度・中等度・重度・最重度に分類され、状況に応じて治療や教育などが開始されます。
日々の生活や治療などでは、家族や周囲の人の協力が必要不可欠です。そのため、知的障害者への看護では、本人のみならず、家族への支援も意識することが大切といえるでしょう。
そして知的障害者には、以下の特徴が見られます。
・相手に何かを伝えることが難しい
・相手の言葉や気持ちを理解するのが難しい
・状況に応じた行動を取るのが難しい
・気持ちを切り替えるのが難しい
上記の特徴から、人間関係や社会活動でトラブルが起きやすくなる場合があります。人によって苦手なことや程度は異なります。まずは得意不得意を把握して、個別性を考慮したコミュニケーション方法を選択することが大切です。
知的障害者とうまくコミュニケーションを取る5つの方法
この章では、知的障害者とうまくコミュニケーションを取る方法をご紹介します。5つのポイントを押さえて、その人に合った関わり方を見つけましょう。
1.「ゆっくり」と話す
知的障害者は、言葉を理解するのが苦手な方もいるので、「ゆっくり」「ていねい」を意識して話しましょう。
また、急にうしろから話しかけたり、肩をたたいたりすると驚いてしまうかもしれません。話すときには、正面から本人の目を見るようにしましょう。本人が、こちらの話を理解できていない場合には、焦らず繰り返し伝えることが大切です。
2.内容をわかりやすく話す
複雑な内容や多くの情報を、一度に伝えてしまうと混乱してしまいます。ひとつずつ、順番に話しましょう。さらに、「あれ」「これ」などの指示語は伝わりにくいため、具体的かつわかりやすさを意識して話すことがポイントです。難しい言葉や理解できない言葉は、本人がわかる言葉に置き換えて伝えるとよいでしょう。
3.本人に話しかける
本人に伝えたい話がある場合は、家族に話しかけるのではなく、本人に向かって話をしましょう。知的障害者は、家族などの支援者と一緒にいるケースが多くなります。つい家族に話しかけてしまいますが、直接本人に向けて話すことが大切です。
また、本人が話しやすいと感じる雰囲気作りも大切です。たとえ言葉が発されなくても、本人の表情や様子から、意思や思いを理解できることもあります。
4.複数の方法で伝える
言葉を理解するのが苦手な方には、メモを渡したり、絵を描いたりして伝えるのも方法のひとつです。ジェスチャーなどを使うのもよいでしょう。
まずは本人が、何なら理解できるのかを把握することが重要です。わかりやすく要件を伝えるには、本人に合わせたコミュニケーション方法を見つける必要があります。
逆に本人からの意思を確認する際も、言葉がうまく話せない方には、絵や写真を使うのが効果的です。
5.年齢に応じた対応を取る
知的障害の発症は発達期(およそ18歳未満)なので、大人になってからも、家族から小さい頃と同じ扱い(接し方)を受けている方もいます。
自分たちが関わるときには、年齢に応じた対応で接しましょう。
知的障害者とのコミュニケーション方法を実践するなら精神科訪問看護へ
知的障害者は、言葉を理解したり、自分の意思を伝えたりすることが苦手なケースが多いとされています。そのような方とうまく意思疎通を図るには、個別性を考慮して、コミュニケーション方法を工夫することが大切です。
知的障害者のなかには、日常生活や社会活動に支障をきたし、精神科訪問看護を利用している方もいます。「精神科領域の患者さんと関わりたい」とお考えの方は、『訪問看護ステーションくるみ』で一緒に働きませんか?
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