強迫性障害とは、特定の物事に対して強い不安を抱き、その不安を取り除こうとする行動を指します。自分の意思と反して起こり、何度も同じ行動を繰り返すのをやめられない点が特徴的です。
強迫性障害は正しい治療法によって、症状の緩和や対処法の習得が期待できます。治療は長期に渡るケースもあるため、訪問看護サービスを利用することで、自宅でも効果的な介入が可能となるでしょう。
本記事では、強迫性障害の治し方を中心に、特徴や治療のポイントをご紹介します。
出典:厚生労働省e-ヘルスネット「強迫症 / 強迫性障害」
強迫性障害の治し方は主に2つ
強迫性障害の治療は主に、「精神療法(心理療法)」と「薬物療法」の2つが選択されます。
それぞれの治療法について、詳しく説明します。
精神療法(心理療法)
精神療法(心理療法)では、医師や専門のカウンセラーがカウンセリングを行い、患者さまに合った治療法を検討します。強迫性障害の治療で代表的なのは「認知行動療法」です。認知行動療法を実施することで、患者さまが抱えている思いに対しての認知や、行動を変える目的があります。認知行動療法のなかでも特に効果的とされるのが、「曝露反応妨害法」です。
曝露反応妨害法とは、患者さまが今まで経験して感じた不安や、避けてきた状況にあえて触れ、繰り返してしまう行動(強迫行動)を我慢する治療法です。強迫行動を意図的に制御することから、最初は強い不安や不快感を抱きます。しかし、何度も繰り返すうちに不安が和らぎ、強迫行動をしなくても問題ないと認識できるようになるのです。
このように強迫行動に対してあえて向き合うことで、患者さまの考え方や症状の感じ方を変え、自ら対処できる力を習得できる効果が期待できます。
出典:国立精神・神経医療研究センター「強迫性障害」
薬物療法
強迫性障害には、薬物療法も有効であり、精神療法と併用されることも多いです。
使用される代表的な薬剤は、抗うつ薬の1つである「選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)」です。うつ病の治療にも使われ、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」の分泌量を調節する働きがあります。
SSRIは効果が出るまでに時間がかかるため、長期的に服用するケースも少なくありません。効果がないと感じ、薬を勝手に増やしたり中断したりしないよう、医師の指示通り服用することが大切です。
ほかにも患者さまの症状に合わせて、抗不安薬や抗精神病薬などが選択される場合もあります。
精神科で主に使用される薬に関しては、「よく使われる精神薬の種類と作用を解説|服薬する際の注意点とは?」の記事もあわせてお読みください。
強迫性障害の治療で用いられる薬に関しては「強迫性障害に効果的な薬や漢方薬とは?症状や薬物療法の注意点も解説」の記事も合わせてお読みください。
※上記の記事で記載されている薬の情報は一例です。症状によって処方薬は異なるため、主治医の指示に従って内服して下さい。
出典:一般社団法人日本うつ病センター「強迫性障害のくすり」
強迫性障害を治すには早期発見が大切
強迫性障害の症状が続くことで、日常生活や社会活動に支障を生じ、結果的にうつ病などほかの精神疾患も発症する恐れがあります。症状の悪化や、ほかの精神疾患への移行を予防するには、早期発見と早期治療が大切です。
「自分は人よりも神経質なのか?」「こだわり過ぎてしまうことが辛い」などと悩んでいる場合には、一度精神科や心療内科などの医療機関を受診しましょう。なかには自分ではなかなか気づきにくかったり、周りに相談できず一人で悩んでしまったりするケースもあります。
強迫性障害なのか否かをはっきりさせ、状況に応じて必要な治療や対処法を選択することが重要です。
強迫性障害の治療は焦らずに進めることがポイント
強迫性障害の治療は、長期的な経過を辿るケースもあります。症状の悪化や再発を防ぐには、自分のペースで治療を進めることがポイントです。認知行動療法などの精神療法は、なかなかうまくいかないこともあるでしょう。その際に、焦ったり自分を責めたりすると、ストレスを感じ症状の悪化につながるため注意が必要です。
また、疲れていると感じたときには休息を取るなどして、病気とうまく向き合うことが大切です。自分なりのストレス発散法を見つけることで、症状が表れたときやストレスを感じたときに、落ち着いて対応できるでしょう。
治療中の不安や疑問点はそのままにせず、その都度医師や担当カウンセラーへ相談しましょう。日常生活を送るうえで不安が大きい方は、訪問看護の利用もおすすめです。気軽に看護師に相談できるため、効率よく治療を進められるでしょう。
強迫性障害の治し方を理解して早めに対処しよう
強迫性障害の治療は、「精神療法(心理療法)」と「薬物療法」が代表的です。状況によっては治療が長期化するケースもあるため、うまく病気と向き合うことが大切です。
気になる症状がある方や、周囲の方に心配された経験がある方は、一度医療機関を受診してみましょう。強迫性障害を治すには、早期発見・早期治療がポイントです。
治療を進めるなかで、不安や葛藤が生まれる場合もあるでしょう。その場合には、訪問看護を利用することで、サポートを受けながら治療に専念できます。
『訪問看護ステーションくるみ』では、利用者さま一人ひとりに合った介入を提案し、地域の機関やほかの職種と連携しながらサポートいたします。不明点がある方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。