大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第13弾!
みなさんこんばんは。
11月も明日で最終日。はやいですね🥺
街の雰囲気も一気にクリスマスムードになりましたよね!
このクリスマスの雰囲気が、1年の中で一番好きだったりします♡
今日の社長エッセイは
『重症心身障害児者とその家族について』というタイトルで
誠子さんが書いてくださいました👏
少しお先にこのエッセイを読ませていただいたのですが、
誠子さんもエッセイの中でおっしゃっている
「知ることが大切」
が、本当にそのとおりだな、と。
すごくわかりやすくて、愛のある温かい言葉で書いてくださっています。
多くの方に読んでいただきたいエッセイになっています。
ぜひ最後まで楽しんで読んでみてください♡
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こんにちは。中野です。
訪問看護ステーションくるみが1周年を迎えたことを機に、
この社長エッセイも5つの章立てから各々構成を考えていくことになりました。
今週の章タイトルは
『訪問看護ステーションくるみ一周年を迎えて』だったのですが、
今回は少し番外編。
私が重症心身障害児者認定看護師を取ろうと思ったきっかけを踏まえて
お話ししていきたいと思います。
まずは「重症心身障害児者とその家族について」。
みなさん重症心身障害児者という方たちのことを知っていますか?
聞いたことない方もいるかもしれません。
まずそこからお話ししていこうと思っています。
まず知ることが大事だと思います。
重症心身障害とは、重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態のことを言います。
その状態にある子どもを重症心身障害児、
さらに成人した重症心身障害児を含めて、重症心身障害児者と呼びます。
これは医学的な診断名ではなく、児童福祉上の定義です。
重症心身障害児者の数は日本ではおよそ4万3000人いると推測されています。
(日本重症児福祉協会より)
私が彼ら、彼女らに会ったきっかけからまずお話をしていきたいと思います。
私が中学生のときの保健委員の活動で一日看護体験があり、養護施設に行きました。
そこで重い障がいがあり、自分で体を動かせなかったり、話もできない方たちが
車椅子に乗って迎えてくださいました。
緊張した私でしたが、一日体験させてもらいました。
そのときの施設の雰囲気がよく、
職員さんも利用者さんもみんな笑顔で楽しそうだったのを覚えています。
こんなに人を笑顔にできる人ってすごいなって思っていました。
時間が経ち、精神科の病院を辞めたあと、
次の職場を探しているときにあの笑顔を思い出しました。
私もあんなふうに人を笑顔にできたらいいな
そんな思いで、重症心身障害児者施設に就職しました。
就職して私が配属されたのは超重症児といわれる方たちが多くいる病棟でした。
超重症児とは常に医学管理下にあり、
呼吸管理や栄養管理をしながら日常生活全般に常に支援がいる方のことを言います。
そこで私がつまずいたのは「コミュニケーション」です。
精神科でコミュニケーションは得意になったと思っていました。
しかし知的障害が重く、呼吸器管理をされている方など
障がいが重い方へどのようにコミュニケーションをとったらいいかわかりませんでした。
戸惑っていたのを今でも覚えています。
「何ができるんだろう、自分には……」
何にもできないんじゃないかって思いながら毎日を過ごしていました。
そんな中でも私を助けてくださったのがご家族の皆さんです。
毎日面会に来られてお子さんのことを医療者以上に把握されていました。
スペシャリストだなと思いました。
そのご家族の皆さんは私の困っている姿を見て、
お子さんのことについて詳しく話をしてくださいました。
嬉しかったら右の小指が少し動くこと、嫌だったら足の指に力が入ること、
声や足音で職員が誰が来たかわかっていること、
スヌーズレン※の活動が好きなことなど、さまざまな話をしてくださいました。
※スヌーズレンは、心地よい光や音感触などの感覚刺激を用いて楽しみながらリラックスしてもらう活動のことをいいます。
例えば、暗くした部屋にクラシック音楽を流しながらウォーターベッドの上で
星座のライトを天井に当てたりしてリラックスをしてもらいます。
重症心身障害児者は全身に力が入っていることが多いので、こういったリラックスできる活動をよく行います。
あるお母さんがこんな言葉をかけてくれたこともありました。
「この子たち見てびっくりしたでしょ?
でもこの子たちもわかってるからちゃんとみてあげてほしいの。
話もできるし成長もしてるからね」
この言葉を聞いたとき、ハッとしました。
私は障がいのできないところしか見ていない。
できないから自分が何かをしないといけないと思っていました。
今まで一生懸命関わっているのに
意思疎通がはかれていないような気がしていた毎日でしたが、
このときやっとその意味がわかりました。
自分が悪いんだ。
わかりたいと思うのでなく、
症状を見て何かしていたいという自分主体の看護になっていた
と気づきました。
ショックでした。
それがわかって、そのお母さんとまた話をしたとき
「それでいいじゃない。わかってくれてありがとう」と言ってもらえました。
このお母さんとの関わりがなかったら、この子たちとの関わりがなかったら、
私は自分勝手な看護師だったと思います。
障がいが重くて自分で歩けなくても、車椅子に乗ったら外に行けて風を感じることができる。
車椅子では自分で食べれなくても、補助具を使って立つと自分でたべられる、
呼吸器があったら遊園地にも行ける・・・こう考えられるようになりました。
障がいの部分を機器や装置、装具などで補い、
見るものを増やすことで楽しい生活を送ることができる。
そのお手伝いをするために、自分は何ができるんだろう
そう考えるようになりました。
この話は次回に…。
重症心身障害児者は施設に入所されているだけではなく、
在宅で生活されている方も多くいます。
その方たちと関わりながら
「看護師ってなんだろう、看護ってなんだろう」
を考えれば考えることができるほど、
「その人を見ること」
「支える人を支援することの大変さと難しさ」
を知ることができました。
今の自分があるのはここでの皆さんとの出会いがあるからです。
これを読んで重症心身障害児者ってどんな方たちのことを言うんだろう
と思って興味を持ってくれれば嬉しいです。
障がいがあるからできないのではありません。
障がいを抱えていても、支えがあったらできることが増えて、
体験できることが増えて成長していけると思っています。
そのために私たちは、その人を知り、近いし支援を考えていく必要があると考えています。
まずは知ることから。
そこからしか見えないことがたくさんです。
最近、合理的配慮について解釈を間違っていないかなと思うことがたくさんあります。
障害を抱える方への配慮は自分ができるかできないかではありません。
その方を知り、ニーズを知り、したいことができるために
支援者に何ができるか考え、支援を行うことと思っています。
今の自分ができることって案外たくさんあります。
周りを見渡してみてください。
見えていても見ようとしてないことありませんか?
今の自分にできることをみんなが一つずつ始めたら大きな力になります。
私はそう思います。
次は私が重症心身障害児者認定看護師を取ろうと思ったのかについて
話をしていきたいと思います。
いつもまとまりのない文章でごめんなさい。思いだけで書いているので(笑)。
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