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b型作業所とは?仕事内容や工賃を徹底解説

2025.08.17 精神科訪問看護とは

b型作業所とは

b型作業所とは、障害のある方や体調面に不安を抱える方が、自分のペースで作業を続けながら収入を得たり社会参加を目指したりする場です。体力や就業経験が十分でなくても利用しやすいのが特徴です。本記事ではb型作業所の仕事内容や工賃、利用条件などを詳しく解説し、理解を深めるお手伝いをします。

b型作業所とは何か

b型作業所とは何か

b型作業所とは、一般就労が難しい方に対して作業や支援を提供し、少額ながら工賃を得ながら働く機会を提供する事業所です。雇用契約を結ぶA型とは異なり、利用者と事業所は雇用関係にならず、ゆとりを持って通える仕組みが特徴といえます。ここではb型作業所の概念をもう少し深掘りし、その背景やサービス内容を探ります。

就労継続支援の一種として位置付けられる

b型作業所は、就労継続支援の中でも「A型」と「B型」に分かれる制度のうちの一つです。就労継続支援そのものは、障害者総合支援法に基づく福祉サービスであり、障害や難病などを持つ方が企業等での雇用契約が難しい場合でも、働く経験を継続できるよう支援を行う仕組みになっています。

A型は雇用契約を結ぶため、一定の勤務時間や給与が保障されやすい反面、出勤や職務の安定度を求められることが多いです。一方、B型は雇用契約を結ばないため、体調に波がある方でも柔軟に通えるのが利点となります。利用者は自分の障害特性や体力に合わせて作業時間を調整し、少しずつ社会参加のステップを踏みやすくなります。

関連記事:「障害福祉サービス」とは?対象者や利用の流れをわかりやすく解説

小規模作業所などから発展してきた背景

かつては「小規模作業所」や「共同作業所」と呼ばれる施設が、地域で自主的に運営されていました。そこでは障害のある方が集まって軽作業を行うなど、地域社会に溶け込みながら日中活動を続けるという形態が一般的でした。

法律の整備や福祉サービスの拡充に伴い、現在では「就労継続支援B型」という形で制度化され、工賃を得られる仕組みが整いつつあります。こうした経緯から、地域に根ざした温かな雰囲気の事業所が多いと言われています。

b型作業所の雇用契約がないメリット

b型作業所は、利用者と事業所の間に雇用契約が発生しないため、通所する日の頻度や時間帯の自由度が比較的高いです。体調が安定しない時期が続く方や、焦らずにリハビリを進めたい方でも、利用回数を調整しながら少しずつ社会復帰を目指せます。

雇用契約がないことに不安を感じる声もありますが、その分のびのびと作業に取り組めると感じる方も少なくありません。将来的にA型や一般就労へ移行したい場合でも、b型作業所で少しずつスキルを身につけることで、自分の体力や能力の状況を把握しやすくなります。

b型作業所の仕事内容

b型作業所では、身体や精神の状態に配慮しながら取り組める作業が用意されています。単調な内職や手先を使う製造系の業務、または事業所によっては接客や農作業など多岐にわたります。ここからは、b型作業所における代表的な作業内容や特徴的な取り組みについて掘り下げます。

軽作業や内職が中心

b型作業所の多くは、チラシの封入やシール貼りなどの比較的シンプルな作業を中心に行います。これらは特別な資格や高度な技術が不要で、誰でも一から取り組めるのがメリットです。

同じ動作の繰り返しが苦手な方もいますが、事業所側が作業量を調整してくれたり、作業工程をこまめに区切ったりと配慮しているケースが多いです。スタッフが作業の合間に声をかけたりすることで、気分的にも安心して作業を続けやすくなります。

多様化する製造やサービス分野

最近は、b型作業所も新しい作業分野にチャレンジする事例が増えています。たとえば、自主製品の菓子やパンを製造・販売するカフェ型の作業所も存在します。

製造の工程から販売、接客まで携われるため、実践的なコミュニケーションスキルや接客マナーなどを学べると注目されるケースが増えています。農作業に取り組む事業所では、野菜の栽培や収穫、出荷など一連の流れを経験でき、自然の中でリフレッシュしながら作業できる利点があります。

パソコン業務や事務作業も

近年はIT技術の普及に伴い、パソコンを使った事務作業やデータ入力を行うb型作業所が目立つようになりました。パソコン作業は、身体的な負担が少ない反面、集中力が必要なことが多いため、利用者の希望や特性に合わせて取り組みを選べるのがポイントです。

タイピングの練習を兼ねながら少しずつ作業内容を広げ、将来的な一般就労を目指す足がかりにする方も少なくありません。事業所によっては簡単なデザインや名刺作成に関わらせてくれるところもあり、自分の得意分野を発見するチャンスになっています。

b型作業所の工賃(報酬)

b型作業所の工賃(報酬)

b型作業所を利用すると、雇用契約ではないながらも「工賃」という形で報酬を受け取れます。ただし、一般的な給与と比べると金額は低めで、作業所や作業内容によって変わるのが実情です。ここでは、工賃の仕組みや全国平均、工賃向上の取り組みについて確認します。

工賃の計算方法

b型作業所の工賃は、事業所が受注した仕事の収益を基に算出されます。利益を生み出す製品やサービスの売り上げが多い事業所ほど、利用者に還元できる工賃も高くなりやすいです。多くの場合、月ごとまたは作業量や時間数に応じて配分される仕組みとなっています。

連続して来所しにくい方は、どうしても作業時間が短くなるため、工賃額も低めになりがちです。自分のペースに合わせて働きたい人にとっては負担が少ないものの、生活費をカバーするには不十分な額となる場合が多いです。

全国平均とバラツキ

b型作業所の工賃は地域や事業所によって大きく差があります。全国平均は月額数千円から1万円台程度とされ、事業所によっては2万円以上を目指しているところもあります。

自主製品のヒットや事業所の販路拡大次第で工賃が上昇する可能性もあり、行政や自治体が工賃向上を図る取り組みを進めている場合もあります。工賃の実績を公開している事業所もあるため、事前に確認しておくと、自分に合った通所先を探しやすくなるでしょう。

工賃を活用した自立への一歩

b型作業所で得られる工賃は、生活費全般を支えるほどの金額ではない場合が多いですが、自分で得た報酬を使えることは自立への大切なステップになります。少額でも「自分が働いて得た」という達成感や自己肯定感が生まれやすいです。

将来的にA型事業所や一般就労へ移行する際、b型作業所での実績が自己PRにつながるケースも見られます。生活費の大半を障害年金や家族からのサポートに頼っている方も、工賃があることで買い物や趣味の範囲が広がり、生活の質を高められるでしょう。

b型作業所の利用対象者とメリット

b型作業所は、体力や精神面で働くことに不安がある方も利用できるのが特徴です。どんな障害種別の方が対象となるのか、そして具体的にどのようなメリットがあるのかを押さえることで、自分に合った就労支援サービスを選びやすくなります。

利用対象者の概要

b型作業所は「一般企業での就労が困難、あるいは継続が難しい」と判断された方が利用できます。障害者手帳を持っている方や、精神面の不調があって働きづらい人、難病を抱えて体調が一定でない場合も対象となることがあります。

就労移行支援やA型事業所では体力やスキル面でハードルが高い方でも、無理のない作業から始められる環境が整っているのがb型の特徴です。日々の状態に合わせて作業時間を短縮してもよい事業所もあり、長期的な療養やリハビリを意識しながら通所できます。

負担を調整しやすい

雇用契約がないb型作業所は、勤務時間やノルマが厳しく設定されているわけではありません。したがって、体調に合わせて通う日数を変えたり、短時間のみ参加したりすることが可能です。

朝の調子によっては急な休みや遅刻を許容してもらえるケースも多く、焦らずに体調を整えられるのが安心材料になります。通所することで生活リズムを整えるきっかけにもなり、外出が減っていた方が社会活動へ少しずつ戻る第一歩にもなるでしょう。

社会参加とスキルアップ

b型作業所では、作業を通じて自分の得意分野を見つけたり、仲間とのコミュニケーションを経験したりする場としての役割も大きいです。軽作業に取り組むだけでなく、施設内でのレクリエーションやイベントに参加する機会がある場合、外とのつながりを感じやすくなります。

また、作業内容によっては簡単なパソコン操作や接客スキルを身につけることが可能です。最終的にA型事業所や一般就労を目指したい人にとっては、社会復帰への練習の場となるケースもあります。

b型作業所とA型・就労移行支援との違い

b型作業所とA型・就労移行支援との違い

就労継続支援には「A型」と「B型」のほか、一般就労へ向けてサポートする「就労移行支援」が存在します。それぞれに特有の支援内容や対象者があるため、違いをきちんと把握し、自分に合ったサービスを選ぶことが肝心です。

A型事業所との大きな違い

A型事業所は雇用契約を結ぶため、最低賃金が保証される点がb型作業所との最大の違いといえます。フルタイムでしっかり働きたい、またはある程度安定した収入を得たい方に向いていますが、出勤義務や勤務時間が定められるため、体調や障害特性によっては厳しく感じる場合もあります。

一方、b型作業所は工賃制のため収入は低くなりがちですが、体調に合わせた通所がしやすいというメリットがあります。

就労移行支援との違い

就労移行支援は、一般企業への就職をゴールに設定した訓練やサポートを提供するサービスです。職業訓練やビジネスマナーの研修などが充実しており、実習先の紹介や就活支援に力を入れている事業所もあります。

身体や精神面で企業就労に向けた準備が可能な方に向いていますが、一定の体力やスキルが必要となる場合が少なくありません。b型作業所は、一般就労を急がず作業をしながら体調やスキルを整えたい方に適している点で、就労移行支援とは目指すゴールの違いがあります。

関連記事:就労移行支援事業所とは?サービス概要や訪問看護との連携をわかりやすく解説

選択のコツ

自分に合ったサービスを選ぶためには、まず現在の健康状態や、将来的にどのような働き方をしたいかを明確にすることが大切です。

急いで収入を得たいのか、じっくりペースを整えたいのか、あるいは将来的に一般就労へ移行するのが目標なのかによって、A型・B型・就労移行支援のいずれかが向いてくるでしょう。見学や体験利用を実施している事業所が多いため、実際の雰囲気や作業内容を体感するのもおすすめです。

b型作業所の利用手順と注意点

b型作業所を利用するには、自治体の窓口や事業所との事前相談が必要になります。手続き自体は複雑ではありませんが、受給者証の取得や費用の有無など、事前に把握しておきたいポイントがあります。利用後も自身の体調や作業量を上手に調整していくことが大切です。

利用開始までの流れ

b型作業所を利用するためには、まず市区町村の障害福祉課などで相談し、「障害福祉サービス受給者証」を取得する手続きを進めます。医師の診断書や障害者手帳を確認してもらい、支給決定が行われると受給者証が発行され、特定の事業所を利用できるようになります。

多くの事業所では見学や体験利用を受け付けているため、複数の候補を回ってみると安心です。雰囲気や作業内容に違いがあるため、自身が続けやすい環境を見極めましょう。

利用料と自己負担額

b型作業所のサービス利用料は、原則として利用者負担が1割となるケースが多いですが、所得によっては自己負担が軽減される仕組みがあります。生活保護受給者や低所得者世帯の場合、自己負担がゼロになることも珍しくありません。

利用料については自治体の担当窓口で詳細を確認し、金銭面の見通しを立てておくと安心です。仮に利用料が発生しても、障害者手帳や各種医療費助成制度を活用することで負担を抑えられる場合があります。

通い続けるための注意点

b型作業所では無理のない範囲で通える一方、あまりに不規則に休むと作業の流れについていきにくくなることがあります。少しずつでも規則正しいリズムを維持するように意識し、困ったことがあればスタッフに相談する姿勢が大切です。

体調の波に合わせたスケジュール調整をしやすいのがメリットですが、できるだけ決まった時間や曜日に通所することで、社会参加の実感が高まりやすいでしょう。また、プライベートでの生活リズムや薬の服用管理にも気を配り、安定した体調を確保しながら作業を続けることが望まれます。

まとめ

b型作業所とは、雇用契約を結ばずに作業を続けられる就労継続支援サービスです。軽作業から接客まで多様な内容があり、工賃を得ながら無理なく社会参加を図れます。生活リズムを整えたい方や、体調に合わせて働きたい方に適した選択肢といえます。

b型作業所の利用を通じて少しずつ自立を目指す方も多いです。悩みがある場合、訪問看護を利用する方法も効果的です。遠慮なく「訪問看護ステーションくるみ」へご相談ください。一緒に悩みを共有し、考え、解決へ向かう道をサポートします。

この記事を監修した人

石飛美春

株式会社Make Care Webクリエイター

石飛 美春

看護師 / Webクリエイター

看護師として臨床を経験後、一度Web業界に転身。ものづくりの楽しさを知る一方で、やはり人と関わる現場に戻りたいという想いから、訪問看護ステーションくるみに入職。現在は訪問業務とあわせて、Web制作の経験を活かし、HPやSNSの更新を担当している。

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