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愛着障害とは?診断基準や4分類の愛着スタイルを解説!

2025.07.28 精神科訪問看護とは

「愛着障害」になると、人間関係や他者とのコミュニケーションなど、社会性に問題が生じる可能性があります。

愛着障害を克服したい場合、子どもの頃に形成される「愛着スタイル」の種類や原因、愛着障害の特徴などを理解し、他者との適切な関わり方を身に付けるのがポイントです。

この記事では、愛着障害について総合的に触れつつ、4つの愛着スタイルや診断基準を解説します。

愛着障害とは?

愛着障害とは、子どものころに何らかの原因によって特定の人物との絆を形成できず、社会性に問題を抱えている状態です。

愛着障害には「反応性愛着障害」と「脱抑制型愛着障害」の2タイプがあり、それぞれ社会性や人間関係における問題点に違いがあります。

愛着障害のタイプと問題点

愛着障害の型 問題点
反応性愛着障害 ・他人を過剰に警戒する

・他人をうまく頼れない

・他人を信用できない

・警戒心や恐怖心が強い

・人の言葉に傷つきやすい

・自傷行為が見られる

・嘘をつきやすい

・体調不良を起こしやすい

・自己肯定感が低い

・感情の起伏が少ない

・素直に謝れない

脱抑制型愛着障害 ・他人に過度になれなれしくする

・無差別に人に甘える

・誰にでも抱き着く

・周りの注意をひくために大声を出す

・落ち着きがない

・乱暴な言葉を使う

・わがままな言動が見られる

・強情で意地悪さがある

・嘘をつきやすい

 

愛着障害では、人との接し方や会話に上記の特徴が出現するため、社会生活の場で苦労する場合があります。
子どもの場合、学校やクラブ活動などの場において、人間関係の構築に支障が出る場合もあるでしょう。

また、愛着障害を抱えたまま大人になると、情緒不安定になりやすいとも言われています。
職場での人間関係構築にも苦労する場合があるため、大人になってから問題を感じる方も珍しくありません。

引用:日本総研/愛着(厚生労働省の内示を受けて作成された資料です)

愛着障害における4種類の「愛着スタイル」

愛着障害には4種類の「愛着スタイル」があります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。

安定型

安定型は、愛着スタイルの中でも問題点のない型を指します。
安定型の特徴は以下です。

・不安なときに養育者を頼れる
・養育者を安全基地として認識している

安全基地とは、子どもが恐怖や不安を感じた際に「守ってもらえる場所」となる特定の人物です。

安定型の子どもは、自分が「つらい」「苦しい」と感じたとき、安全基地である養育者を頼って不安を和らげます。

回避型

回避型の子どもは、ある程度までの不安を感じるまでは養育者を頼らない特徴があります。

養育者を安全基地として利用せず、できる限り自分で問題や不安を解決しようとするため、親や教師に対する関わりが希薄になるのが特徴です。

この型は、養育者から行動を制限されたり、身体的接触を拒まれたりした過去がある場合になるケースがあります。

アンビヴァレント型

アンビヴァレント型は、安全基地である養育者から離れて行動できない型を指します。

常に親や保護者のもとにいないと安心できず、自分だけで興味のある場所や物事に向かうことがうまくできません。

アンビヴァレント型は、自分の要求や声がけに対する声がけに対し、養育者からの反応が得られにくく「自分への興味が薄い」と感じて育つと生じる場合があります。

無秩序・無方向型

無秩序・無方向型では、養育者に対する怯えを見せる一方、初対面の人には心を開くような様子が見られるなど、人との関わり方における矛盾が見られる場合があります。

無秩序・無方向型になる子どもは、親や保護者からの虐待を受けて育ったり、親の行動が自分の理解できないものであったりなど、不安やストレスを抱えながら育ったケースが多いです。

愛着障害の診断基準

愛着障害の診断基準は、DSM-5にて示されています。
ここでは、DSM-5の中に診断基準を簡潔にわかりやすくしたものを紹介します。

【反応性愛着障害の場合】
・つらい時でも最低限の安らぎしか求めない
・性格的な明るさを控えようとする
・他人との関りを最小限にしようとする
・養育者との間にわだかまりを感じている
・養育者から虐待やネグレクトを受けている
・養育者が頻繁に変わる
・養育者との関りが薄い環境にある
・自閉スペクトラム症ではない
・5歳以前から愛着障害の症状が見られる
・発達年齢は少なくとも9か月以上である

【脱抑制型愛着障害の場合】
・見慣れない大人にも平気で近づく様子がある
・過度になれなれしい言動がある
・慣れない場所でも養育者を頼ろうとしない
・養育者との深い関りを得られていない
・症状が12か月以上続いている
・発達年齢は少なくとも9か月以上である

これらの情報を総合的に判断し、愛着障害の診断が下されます。
家庭環境や性格など、さまざまな情報から愛着障害の種類を判別する必要があるため、精神疾患の専門家に相談するのが大切です。

参照:DSM‒5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)

愛着障害に悩んだ場合の相談先

愛着障害に悩んだ場合、まずは精神科や心療内科の受診をおすすめします。

精神科では、上記の診断基準を用いてくわしく問診を行い、子どもの愛着障害の有無と愛着スタイルの種類、その原因となっている出来事を把握し、適切な関わり方のアドバイスを受けることが可能です。

また、地域の精神保健福祉センターや保健所でも相談できるため、医療機関へ行くのに抵抗がある場合は利用してみるとよいでしょう。

さらに、愛着障害の子どもとの関わり方や、自身の問題で社会生活に支障が出ている場合、訪問看護を利用して個別のアドバイスを受けるのも手段の1つです。

1対1でじっくりとケアを受けられるため、人との関わり方に自信のない方でも安心してケアを受けられます。

訪問看護を利用するには医師から診断を受ける必要があるため、希望する方は先に精神科や心療内科を受診してください。

参照:厚生労働省/こころの相談窓口

愛着障害の型に当てはまるなら診断を受けてみよう

愛着障害の子どもとの関わり方に悩んでいる方や、自身に愛着障害の疑いがあり人間関係に悩んでいる方は、精神科で診断を受けてみましょう。

愛着スタイルや、人間関係に支障が出ている問題を理解できれば、愛着障害を克服できる可能性もあります。
自身の愛着障害や、愛着障害の家族との関わり方に悩む場合は、医療機関や専門機関に相談してみましょう。

『訪問看護ステーションくるみ』では、愛着障害の方のサポートを提供しています。
興味のある方は『こちら』から、気軽にご相談ください。