大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第66弾!
少し遅めのインフルエンザ予防接種を受けに、クリニックに行ってきました。
診察室に入ると看護師さんが「今年はベッドに横になってしますか? 去年大変でしたもんね」と声をかけてくださいました。
去年とは違う看護師さんなのに、私が予防接種後に強い緊張から迷走神経反射を起こし、気を失ったことを把握されている……!
ちゃんと申し送りをしてくださっているんだな、と感動しました。
今年も先生は「痛くしないからねー」と声をかけてくださいながら注射を打ってくれました。
私が「痛っ」て言うと「ごめんね」と、まるで子どもに接するかのように優しく声をかけてくれましたが、案の定私は今年も気を失いました(笑)。
来年も同様の対応が必要なことが申し送られるんだろうなと思い、クスッと笑いながらクリニックを後にしました。
大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象
“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」
平日・土曜・祝日 9:00〜18:00
【日曜・お盆・年末年始休み】
※訪問は20時まで
対応させていただいております。
さて、ここ数年、私の中でひとつ大きく変わったことがあります。
それは、「完璧主義を少し手放せるようになった」ということです。
以前の私は、手放せているような気になっていただけで、実際は全然手放せていなくて、
できていない自分を責めては、自分にプレッシャーを与えていました。
そんな私が、“完璧主義な自分”を少し手放せたな、と思えるようになったきっかけ、そしてそこからどんな世界が見えるようになったかをお伝えしていこうと思います。
それは、ある利用者さんとの出会いでした。
◆利用者さんが見せてくれた“鏡”のような時間
その方を、ここではAさんと呼びます。
Aさんはご自身で「支援が欲しい」と、ネットでくるみを見つけてご連絡をくださった方でした。
お若いのにとてもしっかりされていて、頭も良く、「すごいなぁ」とお話をしながらいつも感じていました。
ある日、Aさんは「完璧主義な自分をどうにかしたい」とおっしゃいました。
私自身も「完璧主義」な部分があると思ってきたのですが、Aさんのエピソードを聞いているうちに「もしかして私は完璧主義じゃないのかも……」と思ってしまうほど、Aさんの完璧さは徹底されていました。
訪問の帰り道、Aさんに伝えた言葉を今度は自分に語りかけ、対話しながら内省する日々が続きました。
そんなある日、Aさんかにこう言われました。
「中野さん、最近変わりましたね。何かされていますか?」
実は私もAさんに対して同じことを感じていたのです。
お話を聞くと、お互いに内省を重ねていたことがわかり、まるで鏡のように作用し合っていたんだと気づきました。
◆“完璧にやらないといけない”という呪縛を外す
「完璧に仕事をしないといけない」と自分にかけたプレッシャーが、大きなダメージを与えていることに気づき始めました。
その頃から少しずつ、自分へのプレッシャーのかけ方を見直しました。
「これでいけるかな?」と声に出し、ひと呼吸おく。
すぐ怒ってしまうし、すぐイライラしてしまう性格で、勢いだけで突っ走るような猪突猛進タイプな私には、この“立ち止まって考える”ということの重要性が体感できるようになってきました。
続けていくうちに自分の限界を感じ取れるようにもなりました。
それは、年齢を重ねたことで、以前のように無理が利かなくなったことも影響しているのかもしれません。
でもその「限界」を悪いものとせず受け入れたとき、本当の意味で“今の自分”を受け入れられるようになった気がします。
◆“こうあるべき”ではなく、“自分を受け入れる”看護
私は看護の現場で、利用者さんにいつもこう伝えています。
「ご自身を大切にして、声を聞いて、少し優しくしてあげてくださいね」
でも、ふと思ったのです。
「私、できてなかったやん」と。
自分を見られるようになって初めて、他者も見えるようになる。
他人の感情に振り回されなくなり、自然と心が軽くなりました。
もともと冷たいタイプだと思っていましたが、このままいくと“雪女”に近づくかもしれません(笑)。
でも、それもまた私らしさ。
そんな自分をやっと好きになれたのかもしれません。
自分を客観視し、受け止め、対話してみる。
そうすると、見える世界が本当に変わります。
さあ、次はどんなお話を書こうかな。