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【CEOコラム】Vol.054 訪問看護のM&A・資本戦略・イグジットを本音で語る

HEROさんシリーズくるみの社長エッセイ

100億円企業を見据えた再編とエクイティの話

こんにちは。株式会社Make Careの代表取締役CEOであり、訪問看護ステーションくるみでマーケティングを担当している石森寛隆です。XではHEROと名乗っていますので、もしよろしければフォローください。

最近、訪問看護業界の中で「再編」や「M&A」という言葉が、にわかに現実味を帯びて語られるようになってきました。

少し前までは、どこか別世界の話のように受け取られていた言葉が、今は“自分ごと”として語られ始めている。これは業界の構造そのものが、静かに、しかし確実に変わり始めているサインだと感じています。

Xでも同様のポストをしたところ、それなりの反響がありました。

そこで今回は、
「訪問看護のM&A」「訪問看護の資本戦略」「訪問看護のイグジット」「訪問看護とエクイティ」
こうしたテーマについて、僕自身の立場と思想を、包み隠さず書いてみようと思います。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

訪問看護は、いまだ「個人商店型」の産業である

訪問看護という事業は、医療・介護という制度ビジネスのど真ん中にありながら、経営の実態としては、今なお**“個人商店の延長”のような小規模事業所が圧倒的に多い産業**です。

実際、全国に18,000を超える訪問看護ステーションの多くが、
・看護師数 3〜10名程度
・管理者=創業者=経営者
・実質ワンオペ経営に近い体制

という構造で運営されています。

これは決して悪いことではありません。
地域医療は、本来“小さな覚悟”の積み重ねで支えられてきた歴史があります。

ただ一方で、この構造が長らく続いてきた結果、ある歪みも生まれてしまいました。

訪問看護において「畳み方」は、長らく“廃業一択”だった

言葉は選びますが、経営的な視点や知識を体系的に持たないまま、現場の使命感だけで走り続けている訪問看護事業所は、個人経営の領域では決して少なくありません。

その結果、どういうことが起きてきたか。
・「売却」という選択肢が、そもそも頭にない
・「事業としての価値」を定量的に測る文化がない
・経営者が心身ともに限界を迎えた瞬間に、廃業そのものが現実的な唯一の選択肢になる

利用者さんは、近隣の事業所に“割り振られ”、スタッフは、個人的なつながりで“引き取ってもらう”。

これが、長い間この業界の“暗黙の慣習”として続いてきた構図でした。

しかし僕は、ここに明確な限界を感じています。

訪問看護は、
「廃業してゼロにして良い事業」ではありません。
利用者さん・家族・連携先・スタッフの人生が、そこにあるからです。

訪問看護M&Aの本質は「買収」ではなく「機能統合」である

M&Aという言葉は響きとしては華やかですが、
その本質は Mergers(合併)and Acquisitions(買収) です。

そして訪問看護におけるM&Aの現実は、次のような構図になっていくと僕は見ています。
・大は大と合併して、さらに巨大化する
・中規模は小規模を取り込みながら、“中〜大”に成長していく

ただし、ここで言うM&Aの本質は、単なる規模拡大ではありません。

精神科、小児、重心、ターミナル。
訪問看護には、もともと極めて強い“専門領域の分断”が存在しています。
・精神科に強い事業所
・小児・重心に特化した事業所
・ターミナルを中心に受ける事業所
・地域連携に圧倒的なネットワークを持つ事業所

こうした「専門性の断片」を、一つのステーション、あるいは一つの経営体の中に統合していく。

そしてそれを、機能強化型1を算定できるレベルの“大規模総合ステーション”へ引き上げていく。

これこそが、僕が考えている訪問看護再編の本質です。

「小規模乱立の時代」から「多機能・大規模の再編時代」へ

僕が見ている都市型訪問看護の未来は、はっきりしています。
・10人規模の事業所が
・20〜30人へ
・30人規模の事業所が
・50〜70人規模へ

精神・小児・重心・ターミナルといった専門領域を束ねながら、“一つの地域に、核となる総合訪問看護ステーションが出来上がっていく”

そんな流れは、もう止められないと思っています。

これは未来予測というより、僕自身がそういう再編を“自分の手でやりたい”という意思表明でもあります。

M&Aだけが選択肢ではない。「資本を入れる」という戦略

ここからが、少し踏み込んだ話です。

僕自身、これまでの経営は、ほぼ完全にデッド(借入)一本で走ってきました。
しかも、いわゆる“事業性の高金利ローン”も含めてです。

正直に言えば、かなり無理もしてきました。

しかし、
・大都市での拠点展開
・本部機能の構築
・教育体制・採用の強化
・専門領域の統合

このレベルの話になってくると、デッドだけではどうしてもスピードが足りない局面が出てきます。

そのときに、現実的な選択肢として浮上してくるのが、エクイティ(株式)という資本の入れ方です。

これはM&Aとは別の、“もう一つの再編の手段”でもあります。

なぜ「VCよりCVCの方が向いている」と感じているのか

ここでよく聞かれるのが、この質問です。

「VCじゃダメなんですか?」

結論から言えば、VCの可能性も、僕は最初から排除していません。

フェーズ次第では、VCという選択肢が極めて合理的になる場面も必ずあります。
あらゆる資本政策の可能性は、あえて「狭めない」。これはCEOとしての基本姿勢です。

そのうえで、現時点で“最も思想的にフィットしている”と感じているのがCVC(事業会社系)だ、という話です。

なぜか。

それは、僕が資本をこう捉えているからです。

資本とは、“お金”ではなく、“理念や、その理念に基づく中長期の意思決定まで含めて、同じ方向を向けるかどうか

訪問看護は、医療・福祉・在宅という、極めて公共性の高い社会インフラです。
短期のリターンだけで語れるビジネスではありません。

だからこそ、
・業界構造を理解し
・地域医療の現実を知り
・中長期で事業に“伴走”できる

そうした事業会社系のCVCや戦略的パートナーとの資本提携の方が、現段階では相性が良いと感じている、というのが正直なところです。

それでも「IPO一点張り」には、僕はならない

ここも、はっきり書いておきます。

うちのイグジットは、
「IPO一点張り」のモデルではありません。

正直に言って、
業種業態的にも、訪問看護は少なくとも「短期IPOを前提とした成長モデル」とは少し異なる位置づけだと考えています。

もちろん、
・時価総額が上がる
・含み益が生まれる
・上場できたら嬉しい

そういう気持ちがゼロではありません。
ただ、それはあくまで“結果としてそうなれば嬉しい”という位置づけです。

本質は、資本提携そのものが「長期の事業パートナーシップ」になること。

ここを最優先で設計したいと考えています。

くるみのビジョンマップと「100億円企業」という目標

僕たちは、単なる売上目標として100億円を掲げているわけではありません。
・精神
・小児
・重心
・ターミナル

この4領域を軸に、地域医療の“ハブ”となる総合訪問看護ステーション網を、全国に20拠点つくる。
・大都市圏で5拠点・50億
・中規模都市で15拠点・50億

この構想は、すべて「地域医療インフラの再設計」という文脈の中にあります。

資本政策は、そのための手段でしかありません。

ビジョンマップ(表)

第4期キックオフ資料_20251004(外部公開用)

訪問看護の資本戦略は、「拡大」ではなく「責任の引き受け」である

最後に、僕の結論を書きます。
・廃業 ≠ 消滅
・承継 = 進化
・M&A ≠ 金儲け
・M&A = 機能統合
・資本 ≠ 金
・資本 = 理念と責任

訪問看護の再編も、資本戦略も、
本質はすべてここに集約されると思っています。

僕は、「拡大のために資本を入れたい」のではなく、「引き受けられる責任を増やすために資本が必要だ」
そう考えています。

今はまだ、すべてが“壁打ち段階”です。
ただ、業界再編が本格化するこのタイミングで、資本政策から逃げ続けるわけにもいかない。

だから今、真剣に、あらゆる選択肢を模索しています。

最後に僕の妄想をChat GPTと壁打ちして、Gensparkに流し込み、Geminiで精査して修正を重ねた資本戦略資料を貼り付けておきます。
MC資本戦略概要

この記事を書いた人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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