【専門医監修】妄想性障害とは?原因・症状・治療・周囲の対応を解説
精神科訪問看護とは「もしかしたら、自分は…」「大切な人が、何かおかしい…」原因不明の強い思い込みや、現実とはかけ離れた考えにとらわれてしまう「妄想性障害」。
本記事では、専門医の監修のもと、妄想性障害とは何か?その症状、原因、治療法、そして、周囲の人がどのように対応すれば良いのかを、分かりやすく解説します。正しい知識を身につけ、ご自身や大切な人を支えるために、ぜひお役立てください。
大阪市、寝屋川市、守口市、
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妄想性障害とは?

「もしかしたら、自分は…」「大切な人が、何かおかしい…」
このような、根拠のない強い思い込みや、現実とはかけ離れた考えに、ご自身や身近な人がとらわれてしまい、日常生活に影響が出ていると感じることはありませんか?
妄想性障害は、そのような「妄想」を主な症状とする精神疾患の一つです。しかし、その症状は多岐にわたり、統合失調症などの他の精神疾患との区別が難しい場合もあります。この記事では、専門医の監修のもと、妄想性障害とはどのような病気なのか、その特徴や概要を、できる限り分かりやすく解説していきます。
関連記事:妄想の種類を徹底解説|代表例と出現する病気・治療法
妄想性障害の定義と特徴
妄想性障害は、はっきりとした根拠がないにもかかわらず、ある考えを固く信じ込んでしまい、それがなかなか訂正できない状態が続く精神疾患です。この「妄想」は、その人の置かれている状況や文化的な背景から見て、明らかにありえない、または著しく不合理な内容であることが特徴です。
例えば、「誰かに監視されている」「誰かが自分を陥れようとしている」「自分は特別な才能を持っている」「パートナーが浮気をしている」といった、様々な内容の妄想が現れることがあります。
重要なのは、これらの妄想が、その人の生活や人間関係に深刻な影響を与え、苦痛を感じているという点です。
しかし、妄想の内容自体は、統合失調症のように、幻覚(実際にはないものが見えたり聞こえたりする)や、思考のまとまりのなさ(支離滅裂な話し方など)、感情の平板化(感情の起伏が乏しくなる)といった、他の精神症状を伴わないことが、妄想性障害の大きな特徴と言えます。ただし、妄想がエスカレートするにつれて、他の症状が現れることもあります。
関連記事:妄想がある場合どのような病気が考えられる?病気の症状を解説
妄想性障害の症状
ここでは、妄想性障害の具体的な症状を、その種類別に詳しく解説していきます。妄想性障害は、その名の通り「妄想」が中心的な症状ですが、その内容は多岐にわたります。それぞれの妄想には特徴があり、それによって日常生活や人間関係に様々な影響が現れます。ご自身や身近な人の状況を理解する一助として、以下の解説をご参照ください。
被害妄想
被害妄想は、自分自身が誰かや何らかの組織から、危害を加えられたり、監視されたり、陰謀を企てられているといった強い確信を持つ症状です。例えば、「隣人が常に自分の悪口を言っている」「会社の上司が、自分を陥れようと企んでいる」「見知らぬ誰かが、自分の家に盗聴器を仕掛けている」といった考えにとらわれます。
これらの考えには客観的な証拠がないことがほとんどですが、本人にとっては非常に現実的で、強い恐怖や不安を感じます。そのため、周囲の人を疑ったり、警察や弁護士に相談を繰り返したり、あるいは自衛のために攻撃的になったりすることもあります。
関連記事:被害妄想の人への対応|統合失調症のほかに考えられる疾患とは?
恋愛妄想
恋愛妄想とは、実際にはそのような事実がないにも関わらず、特定の人物(しばしば有名人や社会的地位の高い人物、あるいは身近な知人など)が自分に特別な愛情を持っていると強く信じ込む症状です。
例えば、「あの有名歌手は、実は私のことを愛していて、私にだけメッセージを送っている」「職場の同僚が、遠くから私を見つめて、愛情を伝えようとしている」といった考えを持つことがあります。
本人は、相手からの些細な言動や、偶然の一致などを、愛情の証拠だと解釈します。この妄想にとらわれると、相手に一方的にアプローチを繰り返したり、ストーカー行為につながったりする可能性もあります。
誇大妄想
誇大妄想は、自分自身の能力、才能、富、権力、あるいは宗教的な特別な使命などについて、現実離れした過大な評価を持つ症状です。「自分は天才的な発明家で、世界を変える発明をした」「私は神に選ばれた特別な存在で、人類を救う使命がある」「私は莫大な資産を持っており、いつでも世界中を旅できる」といった考えを持つことがあります。
これらの考えは、本人の実際の能力や置かれている状況とは大きくかけ離れていますが、本人はそれを疑うことなく、強い自信や全能感を感じることがあります。この妄想は、しばしば自己中心的で、他者との協調を困難にする原因ともなります。
嫉妬妄想
嫉妬妄想は、配偶者や恋人などのパートナーが、不貞行為をしている、あるいは浮気をしているといった根拠のない確信を持つ症状です。本人は、パートナーの些細な言動(例えば、帰宅が遅い、電話に出ない、疲れている様子など)を、浮気の証拠だと決めつけます。
そして、パートナーを問い詰めたり、尾行したり、外部の人にパートナーの行動を監視させたりするなど、過度な行動をとることがあります。この妄想は、パートナーだけでなく、その疑いの対象となる第三者(同僚や友人など)にまで及ぶこともあります。嫉妬妄想は、関係性の破綻や、暴力行為につながる危険性もはらんでいます。
妄想性障害の原因
妄想性障害の原因は、まだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が複雑に絡み合っていると考えられています。単一の原因で発症するというよりは、遺伝的要因、環境要因、心理的要因、そして脳機能の偏りなどが複合的に影響し合っている可能性が指摘されています。
遺伝的要因
家族に精神疾患の経験者がいる場合、妄想性障害の発症リスクがわずかに高まるという報告があります。これは、特定の遺伝子が発症しやすさに関与している可能性を示唆していますが、遺伝だけで発症が決まるわけではありません。あくまで、発症しやすさの一因と考えられています。
環境要因
幼少期の逆境体験、例えば虐待やネグレクト、あるいは親しい人との死別や離別といったストレスフルな出来事が、発症の引き金となることがあります。また、社会的な孤立や、人間関係における慢性的なストレスも、発症リスクを高める要因となり得ます。
心理的要因
特定の性格傾向を持つ人が、妄想性障害を発症しやすいという見方もあります。例えば、過度に敏感で傷つきやすい性格、自己評価が低い、あるいは他者からの評価を過度に気にする傾向などが、妄想を生み出す土壌となる可能性があります。
脳機能の偏り
近年の研究では、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れや、特定の脳領域の機能的な偏りが、妄想性障害の発症に関与している可能性が示唆されています。特に、ドーパミンなどの神経伝達物質の異常が、現実と妄想を区別する能力に影響を与えていると考えられています。
これらの要因が単独で作用するのではなく、互いに影響し合いながら、個人の中で妄想性障害が形成されていくと考えられています。そのため、一概に「これが原因だ」と断定することは難しく、個々のケースにおいて、どのような要因が強く影響しているのかを慎重に見極める必要があります。
妄想性障害の診断

妄想性障害の診断は、専門知識を持つ医師が慎重に行います。自己判断は難しく、他の精神疾患との鑑別も重要なため、専門家への相談が欠かせません。診断ではまず詳細な問診が行われ、妄想の内容・期間・頻度、生活への影響、病歴や家族歴などを確認します。必要に応じて家族からの情報も参考にされます。
さらに、心理検査や脳の画像検査(MRIなど)が行われることもあります。これらは妄想性障害を直接確定するものではありませんが、脳腫瘍や認知症、統合失調症など他の疾患を除外するために重要です。特に統合失調症とは、陰性症状(思考のまとまりの低下、感情の平板化、意欲低下など)の有無が大きな違いです。
ただし、この鑑別は専門医でも慎重に判断する必要があり、正確な診断には診察が不可欠です。診断まで時間がかかる場合もありますが、焦らず専門家と協力しながら進めることが大切です。
妄想性障害の治療法
妄想性障害の治療は、症状の特性から統合失調症などと異なる対応が必要な場合がありますが、基本は薬物療法と精神療法を組み合わせて行います。妄想による苦痛を軽減し、生活への適応を支えることが目的です。
薬物療法
薬物療法では主に抗精神病薬が用いられ、妄想の強さや不安・興奮・抑うつの軽減に役立ちます。場合に応じて気分安定薬や抗うつ薬が併用されることもあります。効果は徐々に現れることが多く、眠気や体重増加などの副作用が出る場合もあるため、医師の指示に従い、異変があれば相談が必要です。
薬物療法は妄想を完全に消すものではなく、精神療法を受けやすくするための土台作りとされます。薬の種類や治療期間は個々の症状によって決まります。
精神療法
精神療法では、妄想や非合理的な思考に気づき対処する力を養います。特に認知行動療法(CBT)がよく用いられ、妄想の根拠や別の解釈を一緒に検討し、現実検討能力を高めていく方法です。
治療は信頼関係を築きながら、患者さんのペースで無理なく進めることが重要です。期間は症状によって異なりますが、数ヶ月〜1年以上続くこともあります。
大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象
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平日・土曜・祝日 9:00〜18:00
【日曜・お盆・年末年始休み】
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家族や周囲の人ができること
妄想性障害は、その人の現実認識が大きく歪められているため、本人に病識を持たせ、治療へつなげることが非常に難しい場合があります。しかし、ご家族や周囲の人が適切な対応をすることで、本人の苦痛を和らげ、孤立を防ぎ、回復への道をサポートすることが可能です。ここでは、具体的な接し方やサポートの方法について解説します。
否定せず、冷静に耳を傾ける
本人が語る妄想は、本人にとっては紛れもない現実です。「そんなことはない」「馬鹿げている」と頭ごなしに否定したり、感情的に反論したりすると、相手は「自分を理解してくれない」「敵だ」と感じ、心を閉ざしてしまう可能性があります。
まずは、相手の言葉を否定せず、冷静に耳を傾ける姿勢を示すことが大切です。ただし、妄想の内容に同調したり、肯定したりする必要はありません。あくまで「あなたの話を聞いていますよ」という姿勢を示すことが重要です。
妄想に直接触れず、本人の感情に寄り添う
妄想の内容そのものに深く踏み込んだり、真偽を確かめようとしたりすることは避けましょう。代わりに、「それは、あなたにとってとても辛いことなのですね」「不安なのですね」というように、妄想によって引き起こされている本人の感情に焦点を当てて共感を示すことが効果的です。
感情に寄り添うことで、本人は「理解してもらえている」と感じ、安心感を得やすくなります。
安全な環境を整え、安心感を与える
妄想の内容によっては、本人が常に恐怖や不安を感じている場合があります。そのような場合、まずは本人が安全だと感じられる環境を整えることが大切です。
例えば、不審者が侵入してくるという妄想がある場合、鍵をしっかりかけたり、窓の施錠を確認したりするなど、物理的な安心感を与える工夫が考えられます。また、穏やかで落ち着いた雰囲気を作ることも、本人の精神的な安定につながります。
専門家への相談を促す
ご家族だけで抱え込まず、専門家のサポートを求めることが非常に重要です。本人が受診を拒否する場合でも、まずはご家族が精神保健福祉センターや、精神科・心療内科のクリニックに相談してみましょう。
専門家は、状況に応じた具体的なアドバイスや、受診につなげるための方法などを教えてくれます。一人で悩まず、専門機関を頼ることが、早期解決への糸口となります。
家族自身の心のケアも忘れずに
妄想性障害の本人だけでなく、支えるご家族も大きな精神的負担を抱えることがあります。本人の言動に振り回されたり、将来への不安を感じたりすることもあるでしょう。
ご家族だけで抱え込まず、信頼できる友人や他の家族に話を聞いてもらったり、自助グループに参加したりするなど、ご自身の心のケアも大切にしてください。ご家族が心身ともに健康でいることが、本人を支える上での基盤となります。
相談窓口と専門家の紹介

妄想性障害かもしれないと感じたとき、あるいは身近な人がそのような状態にあるとき、一人で抱え込まずに専門家のサポートを求めることが非常に重要です。ここでは、公的な相談窓口、医療機関、そして頼れる専門家についてご紹介します。
精神科・心療内科の医療機関
妄想性障害の診断と治療は、精神科医や心療内科医が行います。まずは、お住まいの地域の精神科や心療内科のある医療機関に相談してみましょう。
初診時には、いつからどのような症状があるのか、具体的なエピソードなどをメモしておくと、医師に伝えやすくなります。また、セカンドオピニオンを希望する場合は、他の医療機関の受診も検討しましょう。
公的な相談窓口
自治体などが設置している精神保健福祉センターや保健所でも、専門家(精神保健福祉士、保健師など)による相談に応じています。匿名での相談や、医療機関の情報提供なども行っています。
- 精神保健福祉センター
- 保健所
心理カウンセラー・臨床心理士
精神科医の診断・治療と並行して、心理療法(カウンセリング)を受けることも有効です。臨床心理士や公認心理師などの専門家は、患者さんの気持ちに寄り添い、症状の理解や対処法、日常生活での困りごとについて一緒に考えてくれます。
相談する際の注意点
- 早期の相談
- 信頼できる専門家を選ぶ
- 家族や周囲の人のサポート
これらの窓口や専門家は、あなたの抱える悩みに寄り添い、具体的な解決策を見つけるための力強い味方となります。一人で悩まず、勇気を出して一歩踏み出してください。
まとめ
ここまで、妄想性障害の定義や症状、原因、診断、治療法、さらに周囲の対応や相談窓口について解説してきました。妄想性障害は「妄想」を主症状とする精神疾患ですが、正しい理解と適切な支援があれば、症状の緩和や改善は十分に可能です。
この記事が、ご自身や大切な人の不安に向き合う一歩につながれば幸いです。大切なのは一人で抱え込まず、専門家のサポートを求めることです。本文中で紹介した相談窓口や専門家を参考にしてください。
また、より深く知りたい方のために、関連情報や参考資料も紹介しています。状況に合わせて積極的に情報を集めることで、不安を軽減し前向きな行動につながります。
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