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BPSD(認知症の行動・心理症状)を徹底解説!原因、症状、対応方法まとめ

精神科訪問看護とは

「最近、おじいちゃんの様子がおかしいんです…」 認知症の症状が進むにつれて、ご家族や介護者の方が最も悩まれることの一つが、BPSD(行動・心理症状)です。徘徊、興奮、暴力、不安…どう対応すれば良いのか分からず、途方に暮れることもあるかもしれません。

この記事では、BPSDの症状、原因、具体的な対応方法を分かりやすく解説します。BPSDについて正しく理解し、適切なケアを行うことで、ご本人と介護者の双方が穏やかな日々を送れるように、お手伝いします。

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BPSD(行動・心理症状)とは?定義と概要

認知症の進行に伴い、ご本人だけでなく、ご家族や介護者の方々を最も悩ませる症状の一つがBPSD(行動・心理症状)です。しかし、「BPSD」という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような症状を指し、なぜ起こるのか、どう対応すれば良いのか、十分に理解されていないことも少なくありません。

はじめに、BPSDについて、その定義、特徴について詳しく解説していきます。

BPSDの定義

BPSDとは「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」の略で、日本語では「認知症の行動・心理症状」と呼ばれます。これは、記憶障害や見当識障害といった認知症の中核症状に付随して現れる、多様な行動面・心理面の変化を総称する言葉です。

具体的には、不安、抑うつ、妄想、幻覚、興奮、徘徊、攻撃性、異食、不潔行為などが含まれます。これらは単なる「問題行動」ではなく、ご本人の混乱、不安、身体的不調など、さまざまな要因が影響して生じる症状である点が特徴です。

BPSDの特徴

BPSDは脳の機能低下だけではなく、その方の性格、生活環境、身体状態、ストレスなどが複雑に絡み合って現れる点が特徴です。同じ認知症でも人によって症状が異なり、環境の変化や関わり方によって悪化・改善が見られることもあります。また、BPSDは「認知症だから仕方ない」ものではなく、背景にある原因を理解し、安心できる環境づくりや適切な対応を行うことで軽減できる可能性があります。多くの場合、これらの症状はご本人が感じている苦痛のサインであり、その気持ちに寄り添う姿勢が重要となります。

BPSDの主な症状

BPSD(認知症の行動・心理症状)は、認知症の方が感じる不安や混乱、環境要因などが複雑に影響して現れる多様な症状の総称です。ここでは、介護現場で特に頻繁に見られる代表的な症状をわかりやすく解説します。

徘徊(はいかい)

目的を持たず歩き回る、自宅から出て行こうとする、昔住んでいた家を探すなどが典型例です。「家に帰りたい」という発言は記憶の混乱や不安の表れであり、ただ止めるだけでは改善しません。安心できる環境づくりが鍵となります。

興奮・攻撃的行動

突然怒鳴る、暴言を吐く、叩く・蹴る・物を投げるといった行動が見られます。これは意思疎通が難しいことや、痛み・不安・幻覚などが原因となる場合が多く、本人の性格によるものではありません。刺激を減らし、安全を確保する対応が重要です。

幻覚・妄想

存在しない人や物が見える「幻視」、聞こえる「幻聴」、事実ではないことを強く信じ込む「妄想」があります。「泥棒が入った」「お金を盗まれた」などの訴えは、脳の認知機能低下による誤認が背景です。否定せず、安心を与える態度が最適です。

不安・焦燥感

ソワソワして落ち着かない、ずっと心配している、同じ言葉を何度も繰り返すといった行動に表れます。これは認知機能の低下によって状況を理解できず、不安が強まっているサインです。ゆっくりした声かけや環境調整が有効です。

抑うつ・意欲低下

気分が沈んで涙もろくなる、以前楽しんでいた活動に興味を示さない、引きこもりがちになるなどの症状が現れます。日中の活動量を増やしたり、刺激のある時間づくりで改善が見込めることがあります。

不眠・睡眠障害

夜眠れない、昼夜逆転、夜間徘徊が発生するなど睡眠の乱れもよく見られる症状です。生活リズムの乱れ、日中の活動量不足、不安などが背景にあります。

その他の症状

独り言(独語)、不潔行為(排泄物を触る、衣服を汚す)、拒食・過食、物盗られ妄想など多岐にわたります。複数の症状が組み合わさって現れたり、時間帯で変動したりと、その特徴は非常に個別性があるのがBPSDの特徴です。

関連記事:【精神科訪問看護師が解説!】精神疾患を抱える方への重要な看護師のコミュニケーション方法とは?

BPSDの原因

前のセクションではBPSDの定義と主な症状について解説しました。ここでは、BPSDがなぜ起こるのか、その原因を3つの側面から掘り下げていきます。原因を理解することは、適切な対応策を講じるための第一歩となります。

脳の変性による原因

BPSDの根本的な要因の一つは、認知症によって引き起こされる脳の変性です。認知症の種類により障害される脳部位や神経伝達物質が異なり、それに伴って症状も多様に現れます。

アルツハイマー病では海馬や前頭葉・側頭葉の萎縮により、混乱・興奮・抑うつ・意欲低下が生じやすくなります。レビー小体型認知症では幻視や妄想、徘徊が目立ち、血管性認知症では脳血管障害の場所により感情制御の困難さや意欲低下が生じます。このように脳機能の低下や神経伝達物質の乱れが、BPSDを引き起こす直接的な原因となります。

環境要因

BPSDは脳の変化だけでなく、周囲の環境にも大きく左右されます。住み慣れない場所への移動、部屋の模様替え、騒音や不快な温度・照明などは混乱や不安を引き起こし、症状を悪化させる要因になります。

また、家族や介護者とのコミュニケーション不足、新しい介護者への不信感も影響します。生活リズムの乱れ、急な予定変更、昼夜逆転もBPSDの誘因となることがあります。刺激が多すぎても少なすぎても症状につながるため、安心できる環境づくりが症状軽減に重要です。

心理的要因

認知症による脳の変化に加えて、心理的な負担もBPSD発症に大きく関わります。交流の減少による孤独感、日中の活動不足による退屈、不安や恐怖が徘徊・興奮・攻撃性などの行動として現れることがあります。

また、過去の記憶と現実が混同し混乱が生じると「家に帰りたい」などの言動につながります。さらに、もともとの性格や過去のトラウマが症状の現れ方に影響することもあります。こうした心理的ニーズに寄り添い安心感を与えることが、BPSD緩和に欠かせません。

BPSDの診断方法

前のセクションではBPSDの主な原因について解説しました。ここでは、BPSDと診断されるための具体的なプロセスについて説明します。ご家族や介護者の方が、ご本人の状態を正しく理解し、適切なサポートにつなげるために、診断方法を知ることは非常に重要です。

医師の診察と問診

BPSDの診断は、まず専門医(精神科医、神経内科医、老年科医など)による診察と詳細な問診から始まります。医師は、ご本人やご家族から、以下のような情報を丁寧に聞き取ります。

  • いつから、どのような症状が現れたか?
  • 症状はどのくらいの頻度で、どのくらいの時間続くか?
  • 症状が現れるきっかけや、その時の状況は?
  • ご本人の普段の様子や性格、生活歴は?
  • 現在服用している薬や、過去にかかった病気は?

これらの問診に加え、医師はご本人の認知機能や精神状態を評価するための簡単な検査(認知機能検査など)を行うこともあります。また、必要に応じて、CTやMRIなどの画像検査を行い、脳の器質的な変化(脳梗塞、脳腫瘍、脳萎縮など)がないかを確認します。これらの検査結果や問診内容を総合的に判断し、BPSDと診断されるか、あるいは他の疾患の可能性がないかを検討していきます。

専門医は、単に症状を抑えるだけでなく、その背景にある原因を多角的に探ることで、より適切な治療方針を立てます。もし、ご本人の言動に気になる点があれば、まずはかかりつけ医に相談するか、認知症疾患医療センターなどの専門機関を受診することをお勧めします。

BPSDの症状チェックリスト

ご家族や介護者の方が、ご本人の状態を客観的に把握し、医師とのコミュニケーションに役立てるための簡易的なチェックリストです。以下の項目に当てはまるものがあれば、チェックを入れてみてください。

【徘徊・放浪】

  • 目的もなく家の中や外を歩き回ることが増えた
  • 帰宅願望や外出願望が強く、制止しても聞かないことがある
  • 慣れない場所に行きたがる、または迷子になりやすい

【興奮・攻撃性】

  • 大きな声を出したり、怒鳴ったりすることがある
  • 物に当たったり、暴力を振るったりすることがある
  • 些細なことで激しく感情的になる

【不安・焦燥】

  • 常に落ち着きがなく、そわそわしている
  • 何度も同じ質問を繰り返したり、確認したりする
  • 理由なく不安や恐怖を感じている様子が見られる

【幻覚・妄想】

  • 実際にはないものが見えたり、聞こえたりすると訴える(例:「泥棒が入った」「誰かに悪口を言われている」)
  • 根拠のない疑いや確信を持つ(例:「財布を盗まれた」「家族が自分を騙そうとしている」)

【睡眠障害】

  • 夜中に何度も起きて徘徊する
  • 昼夜逆転の生活になっている
  • 眠りが浅く、落ち着かない様子がある

【その他の症状】

  • 意欲の低下、無気力
  • 抑うつ気分、悲観的な言動
  • 食行動の変化(過食、拒食、異食)

これらのチェック項目はあくまで目安です。もし、これらの症状が頻繁に見られたり、ご本人や周囲の方の生活に支障をきたしている場合は、専門家への相談を検討してください。このチェックリストは、医師に相談する際の参考情報としてご活用いただけます。

BPSDの治療法

前項ではBPSDの原因について解説しました。原因を踏まえた上で、ここではBPSDに対する具体的な治療法について、薬物療法と非薬物療法の両面から詳しく見ていきましょう。

薬物療法

薬物療法はBPSDの症状を緩和するためのもので、根本治療ではありません。興奮・攻撃性・幻覚・妄想には抗精神病薬、抑うつや不安には抗うつ薬が用いられます。これらは神経伝達物質のバランスを整え、症状の軽減を目指しますが、眠気・ふらつき・食欲不振など副作用のリスクもあります。

特に高齢者は副作用が出やすいため慎重な投与が必要です。医師は症状や体調を見ながら適切な薬剤と量を調整し、家族は用法・用量を守りながら異変があれば速やかに医師へ相談することが重要です。

非薬物療法

非薬物療法は薬に頼らずBPSDを軽減する方法で、環境・心理・生活要因に働きかけるアプローチです。環境調整では、安全な住環境づくりや刺激の調整、生活リズムの安定化が症状緩和に役立ちます。

コミュニケーションでは、傾聴・共感を重視し、穏やかな声かけや非言語的な関わりで安心感を与えます。回想法は写真や思い出話で自己肯定感を促し、音楽療法は好きな音楽でリラックスを導きます。これらは単独より複数組み合わせることで効果が高まり、ご本人の状態や好みに合わせて柔軟に取り入れることが重要です。

介護者が陥りやすい問題点と解決策

BPSDへの対応は、ご本人だけでなく、介護する方にとっても大きな負担となります。ここでは、介護者が陥りやすい問題点とその解決策について、具体的な状況を想定しながら解説していきます。

介護疲れと精神的負担への対処

BPSDへの対応は予測しにくく、介護者に大きな心身の負担を与えます。まず大切なのは、介護者自身の健康を守ることです。十分な休息・睡眠を確保し、ショートステイやデイサービスなど外部サービスを積極的に利用して負担を分散しましょう。

また、一人で抱え込まず、家族や友人、地域の相談窓口、医療・介護専門職に悩みを共有することが重要です。同じ立場の介護者同士が集まる交流会に参加すると、情報や気持ちを共有でき精神的な支えになります。自身のケアが、結果的により良い介護にもつながります。

コミュニケーションの難しさへの対応

BPSDのある方との会話は誤解やすれ違いが生じることが多いため、相手の言動の背景にある感情を理解する姿勢が重要です。怒って見える場合も不安や恐怖が隠れていることがあります。

ゆっくり穏やかに話し、否定的な言葉を避け、「〜してみませんか?」など肯定的な表現を心がけましょう。相槌や目線を合わせて聞くことで安心感が生まれます。事実と異なる話をされても頭ごなしに否定するのではなく、「そう思っておられるのですね」と一度受け止める姿勢が大切です。その上で話題を変えたり、優しく正しい方向に導く工夫が効果的です。

家族や周囲との連携

BPSDへの対応は家族・地域・専門家との連携が不可欠です。まず家族間で症状や状況を共有し、介護方針や役割分担を話し合い、誰か一人に負担が集中しない体制を整えましょう。定期的な家族会議は現状整理や問題解決に役立ちます。

また、地域包括支援センター、ケアマネージャー、かかりつけ医など専門家と密に連携し、助言や支援制度の活用方法を学ぶことも重要です。専門家の知識や地域の支えを得ることで、安心して介護が続けられます。孤立せず、支援ネットワークを活かすことが良いケアにつながります。

相談窓口と支援サービス

BPSDへの対応に悩んだり、介護に疲れを感じたりしたとき、一人で抱え込まずに専門家や支援機関に相談することが大切です。ここでは、BPSDや介護に関する相談ができる窓口や、利用できる支援サービスについてご紹介します。

利用できる相談窓口

BPSDや認知症に関する悩みがある場合は、まず身近な相談窓口を活用しましょう。地域包括支援センターでは、高齢者の生活を支える医療・福祉・介護の専門職が連携し、症状の相談から介護保険手続きまで幅広く支援します。

保健所や精神保健福祉センターも地域によって認知症相談を受け付けており、心理的・医療的なアドバイスが得られます。また、かかりつけ医や認知症専門医は診断・治療だけでなく、BPSDに関する相談にも応じ、必要に応じて専門医療機関への紹介も行います。困ったときにすぐ相談できる窓口を知っておくことが安心につながります。

利用できる支援サービス

BPSDを持つ方と家族が安心して生活できるよう、介護保険をはじめ多様な支援サービスが整備されています。ケアマネージャーによる居宅介護支援では、状況に応じたケアプラン作成と調整が受けられます。訪問介護は自宅での身体介護や生活援助を提供し、デイサービスでは入浴・食事・レクリエーションを通じて交流の機会が得られ、BPSD軽減にも効果的です。

ショートステイは家族の休息確保に役立ち、グループホームでは家庭的な環境で安心した生活が可能です。さらに、認知症専門医療機関での専門的ケアや、NPO団体による家族会・交流会も精神的支えになります。積極的に活用することで生活の質が大きく向上します。

まとめ:BPSDを理解し、より良い介護生活を

この記事では、認知症に伴うBPSDの定義、症状、原因、治療法、そして症状別の対応方法までを解説しました。BPSDはご本人にとっても介護者にとっても負担となりますが、原因を理解し適切に対処することで軽減が可能です。

徘徊・興奮・不安などの症状は、満たされていないニーズや不安の表れであり、環境調整や丁寧なコミュニケーション、回想法・音楽療法などの非薬物療法が有効です。必要に応じて薬物療法を併用し、多角的にケアを行うことが重要です。

また介護者が一人で抱え込まず、支援サービスを活用することも大切です。BPSDを正しく理解し適切なケアを実践することで、ご本人も介護者もより穏やかで質の高い生活を送れるようになります。

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この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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