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【専門医監修】過眠症とは?原因・症状・治療・対策を徹底解説

精神科訪問看護とは

日中に強い眠気が続く場合、原因は単なる寝不足とは限りません。実は「過眠症」という睡眠障害が背景にあるケースもあります。過眠症とは、十分な睡眠をとっているにもかかわらず、活動している時間帯でも眠気が押し寄せてしまう睡眠障害です。

この記事では、過眠症の原因、症状、診断、治療法について、専門医監修のもとで詳しく解説します。

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過眠症の原因とは?

過眠症の症状は多岐にわたりますが、その背景にはさまざまな原因が潜んでいます。ここでは、脳の機能異常、生活習慣、そして他の病気という3つの主要な原因について詳しく見ていきましょう。

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脳の機能異常

過眠症の中でも、脳の機能異常が原因となるタイプの代表例が「ナルコレプシー」です。ナルコレプシーでは、覚醒を維持する役割を持つ神経伝達物質「オレキシン(ヒポクレチン)」を産生する神経細胞が減少したり、十分に機能しなくなったりすることが明らかになっています。

一方、特発性過眠症では、脳内の抑制性神経伝達物質である「GABA(ギャバ)」の働きが過剰になることが大きな原因です。GABAの作用が強まると、睡眠を促す方向に傾き、日中の過度な眠気を引き起こすと考えられています。

これらの脳機能の異常には、特定の遺伝的要因や自己免疫反応が関与している可能性も指摘されており、現在も研究が進められている分野です。

生活習慣

日中の眠気は、日々の生活習慣によって大きく左右されます。例えば、就寝時間や起床時間が日によってばらつくと体内時計が乱れ、睡眠の質が低下しやすくなります。慢性的に睡眠時間が不足していると睡眠負債が蓄積し、強い眠気として日中に現れる可能性が高いでしょう。

さらに、夜間のカフェインやアルコールの摂取は、眠気を感じにくくなる一方で睡眠の質を低下させ、翌日の眠気を悪化させる原因の一つです。加えて、運動不足も良質な睡眠を妨げる要因となり、結果として日中の眠気につながることがあります。

他の病気

過眠症の特徴である強い眠気は、ほかの疾患が原因となって現れている場合も少なくありません。例えば、睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に何度も呼吸が止まることで脳が頻繁に覚醒し、深い睡眠が十分に取れなくなります。

また、うつ病の症状の一つも過眠です。精神的なストレスや気分の落ち込みが睡眠パターンに影響を与えます。さらに、甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの不足によって全身の代謝が落ち、倦怠感や眠気が強まることがあります。加えて、一部の抗ヒスタミン薬や抗不安薬、抗うつ薬などは副作用として眠気を引き起こすケースがあり、服用中の薬の影響を確認することも大切です。

過眠症の種類とは?

過眠症と一口に言っても、その原因や症状によっていくつかの種類に分類されます。ここでは、代表的な過眠症である「ナルコレプシー」と「特発性過眠症」について詳しく見ていきましょう。これらの違いを理解することで、ご自身の症状がどのタイプに当てはまるのか、より深く理解する手助けになるはずです。

ナルコレプシー

ナルコレプシーは、日中の強い眠気を主症状とする慢性的な神経疾患です。その特徴は、単なる眠気にとどまらず、情動脱力発作(カタプレキシー)と呼ばれる特有の症状を伴うことが多い点にあります。

情動脱力発作とは、笑ったり怒ったりといった強い感情の動きがきっかけで、突然体の力が抜けてしまう現象です。意識は保たれていることがほとんどですが、膝がガクッと崩れたり、ろれつが回らなくなったりします。

この他にも、寝入りばなに鮮明な夢を見る入眠時幻覚や、金縛りとも呼ばれる睡眠麻痺、夜間の不眠といった症状も特徴の一つです。ナルコレプシーの主な原因は、脳内で覚醒を維持する神経伝達物質である「オレキシン」の欠乏と考えられています。

特発性過眠症

特発性過眠症は、日中に強い眠気が続く点ではナルコレプシーと共通しますが、情動脱力発作が見られないことが大きな違いです。夜間に十分な睡眠を取っていても耐え難い眠気が生じ、生活に大きな支障をきたします。

特徴的な症状として、目覚めに時間がかかり頭がぼんやりする「睡眠酩酊」が挙げられます。また、長時間眠っても眠気が解消されにくいことも多く、休息をとれば改善するとは限りません。
さらに、特発性過眠症は明確な原因が特定されないケースが多い点も特徴で、診断や治療には慎重な評価が必要とされています。

過眠症の診断方法とは?

過眠症の診断は、日中の強い眠気が他の病気や生活習慣によるものではないことを確認し、その上で症状や検査結果を総合的に評価して行われます。正確な診断には、専門医による詳細な問診と客観的な検査が不可欠です。

問診

問診では、医師が患者さんの睡眠に関する具体的な状況や生活習慣について詳しく尋ねます。これは、過眠症のタイプを特定し、他の睡眠障害や身体疾患の可能性を除外するため欠かせません。

主に以下のような内容が質問されます。

  • 症状の頻度と期間: いつから、どのくらいの頻度で日中の眠気を感じるか。
  • 眠気の具体的な状況: どのような時に眠気が強く出るか、居眠りの有無やその状況。
  • 睡眠習慣: 普段の就寝・起床時間、睡眠時間、寝つきや目覚めの状態。
  • 生活習慣: 飲酒、喫煙、カフェイン摂取量、仕事や学業の状況。
  • 既往歴と服用中の薬: 他の病気の有無や、現在服用している薬。
  • 精神状態: 気分の落ち込みやストレスの有無。

受診の際は、これらの情報を事前に整理しておくと、スムーズな問診につながります。

検査

過眠症の診断では、問診だけでは判断が難しいケースも多く、より客観的な情報を得るために専門的な検査が行われます。

代表的な検査のひとつが「睡眠ポリグラフ検査(PSG)」です。この検査では、一晩入院して、脳波や眼球運動、筋電図、心電図、呼吸、血中酸素飽和度などを同時に記録し、睡眠の深さや覚醒回数、無呼吸の有無、周期性四肢運動などを詳しく評価します。

睡眠時無呼吸症候群をはじめとした他の睡眠障害を見つけたり、除外診断を行う際にも非常に重要な検査です。

さらに、PSGの翌日に実施されることが多い「複数睡眠潜時検査(MSLT)」では、日中の眠気の程度を客観的に測定します。2時間ごとに4〜5回、横になって眠る機会を設け、それぞれ眠りに落ちるまでの時間を調べる点が特徴です。

また、入眠直後にレム睡眠が出現するかどうかも診断の決め手となります。MSLTの結果は問診やPSGのデータと総合的に評価され、ナルコレプシーや特発性過眠症などの確定診断に用いられます。

過眠症の治療法とは?

過眠症と診断された場合、日中の過度な眠気を軽減し、日常生活の質を向上させるための治療が検討されます。治療法は、過眠症の種類や症状の重さによって異なりますが、主に薬物療法と生活習慣の改善が柱となります。

薬物療法

過眠症の薬物療法は、日中の覚醒度を高め、眠気をコントロールすることを目的としています。主な薬の種類とその作用、注意点について解説します。

  • 覚醒維持薬:
    • モダフィニル(商品名:モディオダール): 脳内のヒスタミン神経系を活性化させることで覚醒作用を発揮します。依存性が低く、比較的副作用が少ないとされています。
    • ピトザント(商品名:ワケシン): 脳内のヒスタミンH3受容体に作用し、ヒスタミン神経系の活動を高めることで覚醒を促します。
    • メチルフェニデート(商品名:リタリン、コンサータ): 中枢神経刺激薬で、脳内のドーパミンやノルアドレナリンの働きを強め、覚醒状態を維持します。依存性や心血管系への影響があるため、慎重な管理が必要です。
  • 抗うつ薬:
    • ナルコレプシーに伴う情動脱力発作(カタプレキシー)や、夜間の睡眠の質の改善のために、三環系抗うつ薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などが用いられることがあります。これらは覚醒作用とは異なるメカニズムで症状を緩和します。
  • ナトリウム・オキシベート(商品名:ザイロム):
    • 夜間睡眠の質の改善と日中の眠気の軽減に効果があり、特にナルコレプシーの治療で使われます。

これらの薬は、医師の診断と処方に基づいて使用されるべきであり、自己判断での服用は危険です。副作用や他の薬との相互作用についても、必ず専門医の指導に従ってください。

生活習慣の改善

生活習慣の見直しは、過眠症の症状を和らげるために不可欠です。まずは毎日同じ時間に寝起きし、体内時計を整えましょう。昼寝をする場合は、ナルコレプシーでは15〜20分ほどの短時間にとどめ、長く眠りすぎないよう注意が必要です。

また、夕方以降のカフェインは入眠を妨げ、アルコールは睡眠の質を低下させるため控えたほうがよいでしょう。日中の適度な運動は夜間の睡眠を深め、日中の眠気改善にもつながりますが、就寝前の激しい運動は避けてください。

さらに、暗く静かで快適な寝室づくりも質の良い睡眠には欠かせません。これらの生活習慣の改善は薬物療法の効果を高める助けにもなるため、自分の生活に合わせて無理なく続けることが大切です。

日常生活でできる過眠症の対策とは?

過眠症の治療は専門医の指導のもとで行われますが、日々の生活習慣を見直すことでも、症状の改善に繋がる場合があります。ここでは、日常生活で実践できる具体的な対策についてご紹介します。

睡眠時間の確保

まず、自分にとって適切な睡眠時間を確保しましょう。一般的に7〜8時間の睡眠が推奨されますが、個人差があるため、日中の眠気が最も少ないと感じる睡眠時間を見つけることが大切です。また、質の高い睡眠を得るためには、寝室の環境も重要です。室温は快適な20〜22度を目安にし、遮光カーテンなどで光を遮断し、静かで暗い空間を作りましょう。

規則正しい生活

毎日同じ時間に就寝し、同じ時間に起床するという規則正しい生活リズムは、体内時計を整え、睡眠の質を高めるうえで大切です。休日も可能な限り平日と同じ時間に起きるよう心がけましょう。また、食事や運動のタイミングも睡眠に影響を与えます。就寝直前の食事や激しい運動は避け、夕食は就寝の2〜3時間前までに済ませるのが理想的です。

カフェイン摂取

カフェインは一時的に眠気を覚ます効果がありますが、摂取量や時間帯を誤ると、かえって夜間の睡眠を妨げる原因となります。日中の眠気が強い時に一時的に利用するのは有効ですが、就寝前のカフェイン摂取は避けましょう。午後の遅い時間以降は、カフェインを含む飲料の摂取を控えることをお勧めします。

日中の活動

日中の眠気を軽減し、集中力を保つためには、活動の仕方にも工夫が必要です。適度な運動は夜間の睡眠の質を高める効果があり、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を夕方までに取り入れるとよいでしょう。ただし、就寝直前の激しい運動は避ける必要があります。

どうしても眠気が強いときには、15〜20分程度の短い仮眠が効果的です。長く眠りすぎると夜間の睡眠に影響が出るため注意しましょう。また、長時間同じ作業を続けると集中力が低下し、眠気が増してしまいます。1時間に1回程度は体を動かすなど、こまめに休憩をはさむことが大切です。

まとめ

本記事では、日中の強い眠気に悩む方に向けて、過眠症の特徴や原因、対処法について総合的に解説しました。

過眠症とは、十分に睡眠をとっていても強い眠気が続く状態です。その背景には脳の機能異常や生活習慣の乱れだけでなく、ほかの病気が関係しているケースもあります。

代表的な疾患としてナルコレプシーや特発性過眠症があり、診断には問診に加えて専門的な検査が必要です。治療は薬物療法と生活習慣の改善が中心となり、規則正しい睡眠リズムの維持やカフェインの摂取管理、日中の適度な活動などが症状の軽減に役立ちます。

過眠症を正しく理解し、適切な対策を続けて、快適な睡眠を得ましょう。

この記事を監修した人

石飛美春

株式会社Make Care Webクリエイター

石飛 美春

看護師 / Webクリエイター

看護師として臨床を経験後、一度Web業界に転身。ものづくりの楽しさを知る一方で、やはり人と関わる現場に戻りたいという想いから、訪問看護ステーションくるみに入職。現在は訪問業務とあわせて、Web制作の経験を活かし、HPやSNSの更新を担当している。

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