ギャンブル依存症で苦しんでいる人へのかける言葉は?避けるべき言葉やポイントを解説
精神科訪問看護とは
ギャンブル依存症は、意志の弱さではなく、誰にでも起こりうる病気です。それでも、繰り返してしまう行動に悩み、自分を責め続けている方は少なくありません。身近な人が悩んでいるとき、どのような言葉をかければよいのか迷うこともあるでしょう。
本記事では、ギャンブル依存症に悩む方やそのご家族に向けて、心の負担を和らげるためにかける言葉の考え方や、回復につながる具体的な対処法をわかりやすく解説します。適切な言葉選びを通じて、回復への一歩を支えるヒントをお伝えします。
ギャンブル依存症の当事者にかける言葉

ギャンブル依存症の当事者にとって、周囲からの言葉は回復への大きな影響を与えます。しかし、良かれと思ってかけた言葉が、かえって当事者を追い詰めてしまうことも少なくありません。
ここでは、当事者との健全なコミュニケーションのために、避けるべき言葉とかけるべき言葉、そして具体的な声かけの例文をご紹介します。
関連記事:ギャンブル依存症になりやすい人の3つの特徴と対策を解説!予防・治療・回復をサポート
避けるべき言葉
ギャンブル依存症の当事者に対して、以下の言葉や態度は避けるべきです。これらは当事者をさらに孤立させ、回復への意欲を失わせる可能性があります。
- 非難や感情的な問い詰め: 「なぜやめられないの?」「あなたのせいで家族が不幸だ」といった言葉は、当事者を責め、自己嫌悪を深めさせます。依存症は病気であり、本人の意思だけでコントロールできるものではないことを理解しましょう。
- 過去の失敗を責める言葉: 「前にも同じことを言ったじゃないか」「また嘘をついたね」など、過去のギャンブル行為や約束を破ったことを持ち出すのは避けましょう。当事者はすでに罪悪感を抱えていることが多く、さらなる批判は心を閉ざす原因となります。
- 安易な約束を求める言葉: 「もう二度とギャンブルしないと約束して」と迫るのは逆効果です。当事者は約束を守れない自分に絶望し、さらに隠れてギャンブルをするようになる可能性があります。
- 感情的な脅しや見放す発言: 「もう知らない」「家から出て行ってほしい」といった言葉は、当事者を絶望させ、回復への最後の希望を打ち砕いてしまう恐れがあります。
かけるべき言葉
当事者に寄り添い、回復への道を歩み始めるきっかけとなるような、前向きで建設的な言葉を選びましょう。
- 共感と理解を示す言葉: 当事者が抱える苦しみや葛藤に耳を傾け、「つらかったね」「苦しい気持ち、少しはわかるよ」といった共感の言葉を伝えましょう。
- 無条件のサポートの姿勢: 「一人じゃないよ」「私たちはあなたの味方だよ」と伝え、孤立感を和らげることが重要です。ギャンブル行為そのものではなく、当事者自身の人格を肯定する姿勢を見せましょう。
- 一緒に解決策を探す提案: 「一緒に解決策を探そう」「どうしたら良くなるか、一緒に考えよう」といった前向きな言葉は、当事者が問題に向き合う勇気を持つ手助けになります。
- 回復への希望を示す言葉: 依存症は適切な支援があれば回復できる病気です。「きっと良くなる」「回復への道は必ずある」と伝え、希望を持たせることが大切です。
具体的な声かけの例文
具体的なシチュエーションに応じた声かけの例文を参考に、当事者とのコミュニケーションを円滑にしましょう。
- 当事者がギャンブルについて話したがっている時: 「話してくれてありがとう。どんな気持ちだったか、もう少し聞かせてもらえるかな。」 「話してくれて嬉しいよ。無理に話さなくてもいいけど、もし話したくなったら聞く準備はできているからね。」
- 専門機関への相談を促したい時: 「一人で抱え込まずに、専門家と一緒に考えてみない? 私たちも一緒に探すよ。」 「話を聞いてくれる場所があるみたいだよ。もしよかったら、どんなところか一緒に調べてみない?」
- 当事者が感情的になっている時: 「今、とても苦しいんだね。まずは落ち着いて、ゆっくり話そう。」 「感情的になるのは無理もないよ。でも、私たちはあなたを支えたいと思っているから、少しだけ冷静になって考えてみない?」
- 回復への努力を認める時: 「少しずつでも、変わろうとしているのがわかるよ。その努力を尊敬する。」 「今日はギャンブルに行かずに頑張ったね。その選択が素晴らしいと思うよ。」
これらの言葉は、当事者が孤立感を乗り越え、回復への一歩を踏み出すための大きな力となります。焦らず、根気強く、愛情を持って接することが大切です。
ギャンブル依存症の家族が言葉をかける以外でできること
ギャンブル依存症は、当事者だけでなく、その家族にも大きな影響を及ぼします。家族は、自身の心を守りながら、どのように依存症者と向き合えば良いのでしょうか。
ここでは、家族が抱える精神的な負担を軽減し、建設的な支援を行うための具体的な方法と心構えをお伝えします。
ギャンブル依存症への理解
家族がギャンブル依存症を「悪い癖」や「意志の弱さ」と捉えてしまうと、怒りや失望が募り、結果として家族自身も疲れ切ってしまいます。
しかし、ギャンブル依存症は脳の働きに影響が生じる病気であり、専門的な支援や治療が必要な状態です。病気として理解することで、感情的に責めるのではなく、落ち着いて向き合いやすくなります。
適切な対応
家族が支えようとする中で、当事者の問題行動に巻き込まれ、共依存の関係に陥ってしまうことがあります。共依存とは、依存症の影響によって家族自身の生活や心の安定が損なわれてしまう状態です。これを防ぐためには、当事者との間に健全な距離を保ち、自分の生活と心を守る意識が欠かせません。
特に、ギャンブルに関わる金銭的な援助や借金の肩代わりは、依存状態を長引かせる要因になります。辛くても線引きを行い、問題は本人が向き合う必要があることを冷静に伝える姿勢が大切です。
また、嘘が生じた場合も感情的に責めず、事実に基づいて対応しましょう。家族自身の心身の健康を優先し、休息や相談の時間を確保することが、回復を支える土台となります。
専門機関への相談
ギャンブル依存症の問題は、家族だけで抱え込まず、専門機関の力を借りることが非常に重要です。専門家は、依存症に関する正しい知識と経験を持っており、家族の状況に応じた具体的なアドバイスやサポートを提供してくれます。
相談できる主な専門機関には、以下のような場所があります。
- 精神保健福祉センター: 各都道府県・指定都市に設置されており、精神的な健康に関する様々な相談に応じてくれます。
- 依存症専門病院: ギャンブル依存症の診断や治療を行う医療機関です。
- 家族会: ギャンブル依存症の家族が集まり、経験を共有し支え合うグループです。共感や理解を得られる場として、精神的な支えとなります。
これらの機関では、家族向けのカウンセリングやサポートグループも提供されており、家族自身が抱えるストレスや悩みを軽減し、適切な対応方法を学べます。一人で悩まず、ぜひ専門家の助けを求めてみてください。
ギャンブル依存症から回復への道筋
ギャンブル依存症からの回復は、一人で抱え込む必要はありません。適切な治療やサポートを受けることで、必ず回復への道が開けます。ここでは、具体的な治療方法や、心強い仲間と出会える自助グループ、そして気軽に相談できる窓口についてご紹介します。
治療方法
ギャンブル依存症は、精神論ではなく医学的な治療が効果を発揮しやすい病気です。専門の医療機関では、心理面と身体面の両方から回復を支える治療が行われています。
代表的な手法として、認知行動療法が挙げられます。これは、ギャンブルへの衝動を生み出す考え方や感情の癖に気づき、より健全な行動へと修正していく方法です。専門家との対話を重ねることで、衝動への対処力を身につけていきます。
また、不安や抑うつ、強い衝動性がある場合には、医師の判断で薬物療法が併用されるケースも多いでしょう。さらに、症状が重く日常生活での回復が難しい場合には、入院による集中的な治療が選択される場合もあります。専門家によるサポートは、回復への確かなステップです。
自助グループ
自助グループは、ギャンブル依存症に悩む人同士が集まり、体験や思いを共有しながら支え合う場です。代表的なものに、当事者向けの自助グループであるGAがあります。匿名性が守られた環境のもと、決められた回復プログラムに沿って語り合うことで、安心して自分の状況と向き合える点が特徴です。
また、薬物依存症を対象としたNAに参加する方もおり、依存症という共通の課題を通じて支えを得られる場合があります。
自助グループでは、自分の体験を話し、他者の話に耳を傾けることで、孤立感が和らぎ、回復への意欲が高まります。回復を続けている人の言葉は、大きな励みとなるでしょう。参加方法は、インターネット検索や地域の精神保健福祉センターで確認できます。
相談窓口
ギャンブル依存症に悩んでいるけれど、相談先がわからず困っている方も多いでしょう。相談可能な主な機関は以下のとおりです。
- 精神保健福祉センター: 各都道府県・指定都市に設置されており、精神的な健康問題全般の相談に応じてくれます。依存症に関する専門相談も可能です。
- 保健所: 地域住民の健康に関する相談を受け付けています。依存症に関する情報提供や、適切な医療機関の紹介なども行っています。
- 消費生活センター: ギャンブルによる借金問題など、金銭的なトラブルについて相談できます。
- 依存症専門医療機関・クリニック: 精神科や心療内科の中には、依存症治療に特化した医療機関があります。
- オンライン相談サービス: 対面での相談が難しい場合でも、インターネットを通じて専門家やカウンセラーに相談できるサービスも増えています。
問題を解決する第一歩は、一人で抱え込まず、まずは話を聞いてもらうことです。これらの相談窓口は匿名で利用できる場合も多く、安心して気持ちや悩みを打ち明けられる環境が整っています。
ギャンブル依存症克服のためのヒント

ギャンブル依存症からの回復は、一朝一夕にはいきません。しかし、小さな一歩を積み重ねることで、確実に未来は変わっていきます。ここでは、依存症を克服し、健康的な生活を取り戻すための具体的な行動と、前向きな考え方についてご紹介します。
ギャンブル依存症克服に向けた具体的な行動
ギャンブルから距離を置くためには、物理的・心理的な環境を整えることが大切です。
まず、使えるお金を制限するために金銭管理を見直し、信頼できる家族に管理を任せるなどの対策を検討しましょう。あわせて、現金を持たない生活を心がけたり、口座残高以上の利用ができない支払い方法を選んだりすることで、衝動的な支出を防ぎやすくなります。
さらに、ギャンブルができる場所に近づかない、立ち入りを制限するなど、行動のきっかけを減らす工夫も回復を支えるポイントです。趣味や新しい活動に取り組み、ギャンブル以外に気持ちを向けられる時間を増やす取り組みも役立つでしょう。
そのほか、家族や専門家、自助グループなどとつながりを持ち、孤立を防ぎながら回復を目指す姿勢も不可欠です。
ギャンブル依存症克服に向けた考え方
依存症と向き合ううえでは、心の持ち方も大切なポイントです。回復の道のりは決して平坦ではなく、途中でスリップ(再発)してしまうこともあります。しかし、スリップは回復過程の一部であり、決して諦める理由にはなりません。
重要なのは、つまずいたあとにどう向き合うかです。すぐに立て直し、そこから学びを得て次につなげる姿勢が回復を支えます。完璧を目指す必要はなく、「今日はギャンブルをしなかった」といった小さな成功を積み重ねる経験が、自信と継続につながります。
ギャンブル依存症は病気であり、意志の弱さだけが原因ではありません。自分を責めすぎず、前向きな気持ちで回復に取り組むことが、長期的な回復への道を切り開きます。
まとめ:希望を胸に、一歩ずつ進もう
ギャンブル依存症は、一人で抱え込むにはあまりにも重い問題です。しかし、回復への道は確かに存在し、あなたは決して一人ではありません。
「またやってしまった」と自分を責める必要はなく、大切なのは今この瞬間に変わりたいと感じ、その一歩を踏み出すことです。当事者の方も支えるご家族も、どうか希望を手放さないでください。
専門家の支援や自助グループの仲間、そして変わりたいという気持ちは、前へ進む力になります。相談する、調べる、気持ちを伝えるなど、小さな行動からで構いません。あなたの人生には、これから築いていける可能性があります。一歩ずつ、自分らしい回復への道を歩んでいきましょう。