こんにちは。株式会社Make Careの代表取締役CEOであり、訪問看護ステーションくるみでマーケティングを担当している石森寛隆です。XではHEROと名乗っていますので、もしよろしければフォローください。
さて、令和8年度診療報酬改定の短冊が1月23日に公開されました。
令和8年度診療報酬改定短冊
特に訪問看護や、精神科訪問看護の分野に絞って週末に読み込んでみたので、その感想と言うか、くるみ流の読み解きをコラムにしてみようと思います。
令和8年度診療報酬改定を、どう読むか
結論から言います。
令和8年度診療報酬改定(いわゆる短冊・案)を読んだとき、
僕たち訪問看護ステーションくるみの感想は、とてもシンプルでした。
「ああ、やっぱりね。特にやることは変わらないな」
この感想は、決して強がりでも、達観でもなく。
むしろ逆で、
「これまで積み上げてきた方向性が、制度側から追認された」という手応えに近いものです。
本コラムでは、
・なぜ「変わらない」と感じたのか
・なぜ世間では「大改定」「大変だ」と騒がれているのか
・その上で、くるみはどこを見ているのか
この3点を軸に、「くるみ的な短冊の読み取り方」を整理してみたいと思います。
大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象
“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」
平日・土曜・祝日 9:00〜18:00
【日曜・お盆・年末年始休み】
※訪問は20時まで
対応させていただいております。
1. 短冊は「未来を当てに行く資料」ではない
まず大前提として。
短冊(改定案)というのは、
・新しいビジネスチャンスを探す資料でも
・加算を拾いにいくための宝探しでも
・一喜一憂するための占いでもありません
僕たちにとって短冊とは、
「国が、これまでの医療・看護の現場をどう評価し、どこを是正し、どこを伸ばしたいのか」
を読み解くための思想資料です。
その意味で今回の短冊は、とても一貫したメッセージを持っていました。
2. 今回の改定で、国が一貫して言っていること
細かい点数や加算については要件も点数も出ていないので一度すべて横に置いて、
短冊全体を俯瞰すると、国の言いたいことは驚くほどシンプルです。
。連携していない医療は、もう評価しない
・説明できない医療は、続けさせない
・管理していない体制は、管理料を取るな
・人を大切にできない事業者は、人材競争から脱落する
これらは新しい価値観ではありません。
むしろ「医療として当たり前のこと」です。
だから僕たちは、「変わらない」と感じました。
3. 機能強化型4という“バグ”をどう読むか
※ここで一つ、誤解のないように補足しておきたい点があります。
今回の短冊(改定案)そのものには、機能強化型訪問看護管理療養費4の具体的な算定要件は、明確には書かれていません。
書かれているのは、あくまで
・精神障害を有する者への重点的な支援
・地域連携
・研修・相談対応
・高機能な訪問看護ステーションの評価
といった、方向性・思想レベルのメッセージです。
一方で、算定の前提条件や実績要件、どの既存の管理料・加算と接続されるのかといった詳細は、今後示される点数表本文や施設基準、疑義解釈に委ねられています。
ただし、これまでの診療報酬改定の流れや、精神科領域における既存の加算設計を踏まえると、病院側の算定状況(精神科在宅患者支援管理料等)に左右される設計になる可能性は、十分に想定しておくべきだと僕たちは考えています。
これは断定ではなく、あくまで経営上のリスク仮説です。
その前提を踏まえたうえで、以下の議論を続けます。
精神科訪問看護に一定の評価軸(機能強化型訪問看護管理療養費4)が設けられたこと自体は、
歓迎すべき変化です。
しかし、算定要件を冷静に見ると、
現場感覚と乖離している点も見えてきます。
特に問題なのが、
・精神科在宅患者支援管理料を算定している病院・クリニックの患者であることが、実質的な前提になり得る点
です。
大阪市内を見渡しても、
この管理料を積極的に算定している精神科医療機関は多くありません。
つまりこれは、
訪問看護ステーション側の努力だけでは、どうにもならない要件
を含んだ制度設計だと言えます。
僕たちはこれを、
「構造的なバグ」であり、同時に「踏み絵」だと捉えています。
4. だから、くるみは機能強化型4を“取りに行かない”
誤解を恐れずに言えば、
僕たちは、機能強化型4を本気で取りに行くつもりはありません。
理由はシンプルです。
・病院側の算定方針という「他律的な変数」に経営を委ねたくない
・地域差によって再現性が左右されるモデルを主軸にしない
経営において、
自分たちでコントロールできない要素が、生命線になるモデル
ほど、脆いものはありません。
これは逃げでも、否定でもなく、
あくまで冷静な選択です。
5. それでも、上を目指すなら「機能強化型1」
では、くるみはどこを目指すのか。
答えは一貫しています。
これまで通り、機能強化型1を取りに行く
です。
一見すると、
・要件が最も厳しく
・ハードルが高く
・遠回りに見える
かもしれません。
しかし実際には、
・要件のすべてを自分たちで設計・コントロールできる
・国策(小児・重心、医療的ケア児)と完全に一致している
・精神科×小児という独自性を築ける
という意味で、
最も再現性が高く、ブレないルートです。
6. 小児・重心と精神科は、思想的にも相性がいい
小児重心や医療的ケア児の支援において、
欠かせないのは「家族支援」です。
・親御さんの不安
・きょうだい児への配慮
・在宅生活を続けるための心理的支え
これらはすべて、
精神科訪問看護がこれまで培ってきた領域でもあります。
無理に広げているのではなく、
自然に重なっているのです。
7. 相談支援事業所Anyと「構造で勝つ」発想
もう一つ、くるみの特徴は、
相談支援事業所との関係性です。
・相談支援事業所Anyとの連携
・物理的距離の近さ
・情報共有のスピード
これらは、
単なる紹介ルート確保ではありません。
「構造として、ちゃんと連携できる状態を作る」
という発想です。
短冊が評価しようとしているのは、
まさにこうした実体のある連携です。
8. 包括評価と「施設訪看の穴」をどう読むか
加えて、今回の短冊を読んでいて、もう一つはっきりしていることがあります。
それは、「訪問回数で稼ぐモデル」からの明確な決別です。
訪問回数を増やせば増やすほど儲かる。
利用者一人あたりの平均訪問回数を引き上げることで売上を作る。
複数人訪問を積極的に組み、単価を積み上げる。
こうした発想は、制度設計の歴史を見れば分かる通り、
繰り返し是正されてきました。
過去には同一箇所減算によって、
「回数を積むこと自体が目的化したビジネス訪看」の穴が塞がれました。
そして今回、包括型訪問看護療養費の新設によって、
施設併設・短時間・高頻度訪問というモデルにも、
明確にブレーキがかけられています。
これは偶然ではありません。
国は一貫して、
『訪問回数そのもの』ではなく、『支援の中身と体制』を評価する
という方向に舵を切っています。
9. 「行けば行くほど儲かる」は、もう成り立たない
現場感覚としても、これは当たり前の話です。
訪問回数を増やせば増やすほど、
一人あたりの平均単価は下がっていく。
複数人訪問も同様で、
本当に必要なケースを除けば、
2人で1件に行くより、
それぞれが別の利用者宅に訪問した方が、
事業としての利益は確実に高くなります。
にもかかわらず、
・訪問回数を増やさないと売上が作れない
・複数人訪問を組まないと数字が合わない
という状態に陥っているとしたら、
それはケアの問題ではなく、経営設計の問題です。
10. 訪問回数は「過不足なく」が唯一の正解
くるみが大切にしているのは、
・過剰な訪問をしないこと
・かといって、必要な訪問を削らないこと
このバランスです。
訪問回数は、
多ければ良いわけでも、少なければ良いわけでもない。
利用者にとって必要な回数を、
必要なタイミングで、
適切に提供する。
その結果として、
・平均訪問回数が安定し
・複数人訪問に依存せず
・利用者一人ひとりに向き合える
体制が生まれます。
11. 本当に重要なのは「利用者数×体制設計」
では、どうやって収益を安定させるのか。
答えはシンプルです。
利用者一人あたりの訪問回数をいじるのではなく、
雇用している看護師数に見合った利用者数を、
きちんと確保し続けること。
これこそが、
・無理な訪問を生まない
・複数人訪問に頼らない
・ケアの質を落とさない
ための、唯一の方法です。
くるみにとって、
・利用者を増やすこと
・そのための地域連携を張り続けること
・人を増やすなら、同時に利用者も増やすこと
これらはすべて、
短冊の改定以前から、一貫してやってきたことです。
制度がどう変わろうと、
この考え方が揺らぐことはありません。
今回の短冊でもう一つ、触れずにはいられないのが、包括型訪問看護療養費の新設です。
これは、単なる点数体系の変更ではありません。
過去を振り返ると、
・同一箇所減算の導入によって、「訪問回数を積むだけのビジネス訪看」の穴が塞がれた
という歴史がありました。
今回の包括評価は、その延長線上にあります。
施設に併設し、短時間・高頻度で訪問を繰り返すことで収益を最大化する
いわゆる「施設訪看」「ビジネスモデル先行型訪看」に対する、
国からの明確な是正シグナルだと、僕は受け取っています。
制度の穴を突くことで成立していたモデルは、
遅かれ早かれ修正される。
これは精神科に限った話ではなく、
訪問看護全体に対するメッセージです。
僕たちくるみは、
地域の在宅で、
一人ひとりの生活と向き合う訪問看護を主軸にしています。
だからこそ、この包括評価の流れは、
脅威ではなく、むしろ健全化だと捉えています。
12. まとめ:短冊は「答え」ではなく「答え合わせ」
今回の改定短冊を、
くるみはこう読みました。
・目新しいことを始める必要はない
・雑にやってきたところが、苦しくなる
・ちゃんとやってきたところが、静かに評価される
だから、この短冊に関して言えば、慌てるような要素は何一つありませんでした。
「ルールが変わるのを待つのではなく、
本質をやり続けた結果、ルールの方が追いついてきた」
それが、
訪問看護ステーションくるみ的・短冊の読み取り方です。
僕たちは、要件が確定してから慌てて動くのではなく、
どんな要件が来ても揺らがない設計を、先に選ぶ。
それが、くるみの診療報酬改定の読み取り方です。
そしてこれからも、
僕たちは
・利用者にとって意味のある看護を
・地域にとって必要な役割を
・組織として再現性のある形で
淡々と積み上げていくだけです。
【今回の改定に関しては】制度は変わっても、やることは、変わりません。
👉 「今後、点数表や疑義解釈で要件が確定したら、改めて読み解きを更新します」
