起立性調節障害とは?原因や症状、治療法・予防法を徹底解説
精神科訪問看護とは起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)とは、主に学童期から中学生などの思春期の子どもに多く発症する自律神経の疾患です。身体の急激な成長に対して、自律神経の働きが追いつかないことなどが引き金となり、循環器系の機能が低下する状態を指します。
「最近、娘が朝どうしても起きられない」「息子がめまいや立ちくらみを頻繁に訴える」と悩まれるご家族は少なくありません。人間が立ち上がると、重力によって血液が下半身に集まりやすくなりますが、健康な人であれば交感神経がすぐに働いて下半身の血管を収縮させ、脳への血流を一定に保ちます。
しかし、本疾患の患者さんは、この循環の調整機能がうまく働かず、血圧が低下し、脳や上半身への血流が不足してしまいます。その結果、立ちくらみやめまいといった様々な不調が現れるのです。決して本人の「怠け」や「やる気の問題」ではなく、れっきとした身体的な病気であることを、まずは周囲が深く理解することが大切です。
参照:一般社団法人日本小児心身医学会
関連記事:大人の起立性調節障害とは?症状や原因、仕事との両立と何科を受診すべきか解説
ご不安な気持ちが強い時や、文章を読むのがお辛い時は、無理をせず私たちにお声がけください。
精神科の専門スタッフが、あなたの状況に合わせてお話をお伺いします。まずはお気軽にご相談ください。
大阪市、寝屋川市、守口市、 平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 ※訪問は20時まで
門真市、大東市、枚方市全域対象“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」
【日曜・お盆・年末年始休み】
対応させていただいております。
起立性調節障害の主な症状とセルフチェック
起立性調節障害の症状は、午前中に強く現れ、午後から夕方にかけて回復していくという特徴があります。睡眠のリズムが乱れやすく、起床が困難になるケースも多いです。以下のような症状が複数当てはまる場合は、起立性調節障害の疑いがあります。ご家庭でのお子さんの様子と照らし合わせてみてください。
起立性調節障害のセルフチェックリスト
-
朝起きられない・午前中の不調: 朝どうしても起き上がれず、午前中は倦怠感が強く活動が難しい。気分が悪くなる。
-
立ちくらみ・めまい: 立ち上がった時や長く立っている時に、目の前が暗くなったりフラフラしたりする。
-
頭痛・腹痛: 頭痛や、原因不明の腹痛が頻繁に起こる。
-
動悸・息切れ: 少し動いただけで心臓がドキドキして心拍数や脈拍が上がり、息苦しさを感じる。
-
乗り物酔いしやすい: 以前より乗り物に酔いやすくなった、顔色が青白いといった体調の変化が見られる。
一般社団法人日本小児心身医学会などの分類によると、起立性調節障害には、主に以下の4つのサブタイプがあります。
-
起立直後性低血圧(立ち上がった直後に血圧が著しく低下する)
-
体位性頻脈症候群(立ち上がると著しく脈拍が増加する)
-
神経調節性失神(起立中に急激な血圧低下を起こし、失神に至る)
-
遷延性起立性低血圧(起立を続けることで徐々に血圧が低下する)
これらの症状は、午後から夜にかけては元気になることも多いため、周囲からは「怠けているだけ」と誤解されやすい傾向があります。
重症度の分類について(軽症・中等症・重症)
起立性調節障害は、日常生活への支障度合いによって「軽症」「中等症」「重症」の3段階に分類されます。
-
軽症: 症状はあるものの、日常生活や学校生活への影響は少なく、工夫次第で登校や行動が可能な状況。
-
中等症: 午前中の調子が悪く、遅刻や欠席が週に数回見られるなど、学校生活に明確な支障が出始めている状態。
-
重症: 症状が重く、起床が困難で、長期的な不登校状態や、日常生活の大半を横になって過ごさざるを得ない不良な状態。
重症度によって、家庭での対応や医療機関での治療方針(日常生活の改善のみか、薬物療法を併用するか)が大きく変わってきます。
起立性調節障害の原因とは?
起立性調節障害の根本的な原因は、自律神経(交感神経と副交感神経である迷走神経など)の働きの乱れです。思春期は身体が大人へと急激に成長する時期であり、ホルモンバランスの変動などにより自律神経の働きが不安定になりやすい時期です。
これに加えて、以下のような要因が発症や症状の悪化に影響を与えるとされています。
-
心理的・環境的ストレス: 学校生活での人間関係、勉強や受験へのプレッシャー、家庭環境などの心理的な不安。天気や気圧の変化も影響します。
-
水分・塩分摂取不足: 血液の基礎的な量を保つために必要な水分や塩分が不足している状態。
-
運動不足と筋力低下: 特に足など下半身の筋力が低下すると、血液を心臓へ押し戻すポンプ機能が弱まります。
診断と病院での検査方法
起立性調節障害が疑われる場合は、早めにお近くの小児科や内科、小児心身医学科など、専門の診療科を受診し、医師による適切な診断・判定を受けることが重要です。症状が重い場合や専門的な検査が必要な場合は、地域のこども医療センターなどを紹介されることもあります。
病院などの医療機関では、まず他の病気(貧血や心臓疾患、アレルギー疾患、腎臓の病気、内分泌の異常など)が隠れていないかを調べるための血液検査や心電図検査などが行われます。
その後、関連する学会のガイドラインに基づき、起立性調節障害の確定診断のために「新起立試験」などの検査が実施されます。これは、ベッドに横たわった状態から立ち上がった際(起立直後から数分間)の血圧や心拍数の変動を約10分間にわたって測定・記録し、身体の反応を客観的なデータとして確認する検査です。
起立性調節障害の治療法(非薬物療法と薬物療法)
起立性調節障害の治療は、まず日常生活の改善を適切に行い、必要に応じて薬物療法によるサポートを並行して実施することが一般的です。
1. 非薬物療法(日常生活でのセルフケアと対策)
治療の基本となるのは、規則正しい生活リズムを整えることです。
-
水分と塩分の積極的な摂取: 血液の量を増やすため、1日に1.5〜2リットルの水分と、少し多めの塩分(1日10〜12g程度)を毎日摂取することが推奨されます。
-
食事と栄養の管理: 食欲不振や消化不良に陥りやすいため、消化が良く栄養価の高い食事を心がけます。
-
睡眠環境の調整: 夜更かしを防ぐなど、十分な睡眠時間を確保し、生活リズムの乱れを改善します。
-
下半身の筋力強化: 無理のない範囲で運動やウォーキングを取り入れ、足の筋力を鍛えることで血液の循環を促します。
-
立ち上がり方の工夫: 急に起き上がらず、頭を下げて少しずつ時間をかけて立ち上がる(起立時は約30秒かける)よう習慣づけます。
2. 薬物療法
中等症から重症のケースや、非薬物療法だけで改善が見られない場合には、担当医の判断で薬物療法が検討されます。主に、血圧を上げるためのお薬(昇圧剤)や、交感神経の働きを整えるお薬などが処方され、症状の軽減を図ります。お薬はあくまでサポートであり、生活習慣の改善とセットで行うことが前提となります。
学業や日常生活への影響と周囲のサポートの重要性
起立性調節障害は、子どもの学校生活や日常生活に大きな影響を及ぼします。朝起きられないために遅刻や欠席が増え、それが原因で「不登校」という問題に発展してしまうケースも少なくありません。
この病気の治療や早期回復において最も重要なのは、家族や学校など、周囲の理解と連携です。「気合いで起きなさい」といった声かけは、本人にさらなるプレッシャーを与え、心理的な不安を増長させて症状を悪化させる原因となります。本人は「学校に行きたいのに、体が動かない」と最も辛い気持ちを抱えています。
まずは病気に対する正しい知識を得て、本人の状態を受容し、焦らずに見守る姿勢が必要です。学校側とも情報共有を行い、午後からの登校を認める、保健室登校を取り入れるなど、柔軟な対応環境を整えることが大切です。
関連記事:思春期の起立性調節障害(OD)に向き合う!親が知るべき原因と症状、学校との連携法
まとめ
起立性調節障害の予後は、適切な対策と治療を行えば、多くの場合において良好です。身体の成長が落ち着き、自律神経のバランスが整ってくるにつれて、症状は徐々に和らいで治る傾向にあります。焦らず、本人のペースに合わせた長期的な視点でのサポートが求められます。
朝起きられない、立ちくらみがするといった症状が見られたら、まずは怠けと決めつけず、早期に医療機関へ相談してください。適切な治療と、家族や学校の温かい理解・サポートがあれば、子どもは確実に回復のステップを歩むことができます。保護者の方も一人で抱え込まず、必要に応じて医療機関や専門の相談窓口を頼りながら、一緒に無理のないペースで治療を進めていきましょう。
ひとりで抱え込まないでください。私たちがそっと寄り添います。
ご家族やご本人だけで抱え続けることの苦しさを、私たちは知っています。
「少し話を聞いてほしい」だけでも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。
大阪市、寝屋川市、守口市、 平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 ※訪問は20時まで
門真市、大東市、枚方市全域対象“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」
【日曜・お盆・年末年始休み】
対応させていただいております。
