起立性調節障害に運動は必要?おすすめの運動と避けたい動作、続けるコツを解説
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「子どもが起立性調節障害(OD)と診断されたけれど、家で寝転んでゲームばかりしている」「少しは運動させたほうがいいのだろうか?」と悩む親御さんは少なくありません。
朝起きられず、めまいや立ちくらみに苦しんでいるお子様を見ると、無理に運動させてよいのか迷うことも多いでしょう。しかし、起立性調節障害の改善には、正しい知識に基づいた「適度な運動」が大切な要素の一つです。
本記事では、なぜ起立性調節障害に運動が必要なのか、その理由や根拠から、おすすめの運動メニュー、避けるべき運動、さらに学校の部活動とどう向き合ったらよいかまでを詳しく解説します。お子様の体調に合わせ、無理なく日常に運動を取り入れるポイントを確認していきましょう。
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なぜ起立性調節障害に運動が大切なのか
起立性調節障害の症状を和らげるためには、自律神経の働きや筋肉、特に「血流」のメカニズムを正しく理解することが重要です。
自律神経の働きと血流の関係
起立性調節障害(OD)は、身体の急激な成長に比べて自律神経の発達が追いつかず、血圧や血流のコントロールがうまくできなくなる病気です。通常は、立ち上がると重力の影響で血液が下半身に溜まりますが、健康な場合は自律神経(交感神経)が即座に反応し、下半身の血管を収縮させ、脳や心臓に血液を押し戻します。
しかし、起立性調節障害ではこの調整機能が低下し、脳への血流が不足してしまいます。これが、めまいや立ちくらみ、動悸や頭痛などのつらい症状の原因です。
運動不足による「デコンディショニング」の悪循環
症状がつらくてずっとベッドで横になる生活を続けていると、筋力は急速に落ちてしまいます。特にふくらはぎなど下半身の筋肉は、血液を心臓に押し戻す「ポンプ」の役割を担っています。
運動不足で筋肉量が減ってしまうと、このポンプ機能も弱まり血流が更に悪化。少しの立ち上がりでも脳に血液が届かなくなり、症状が悪化してさらに動けなくなる…という悪循環に陥ります。これを医学的には「デコンディショニング(運動不足による体力低下)」と呼びます。
ガイドラインでも非薬物療法として運動が推奨されている
こうした悪循環を断ち切るため、小児科などの治療ガイドラインでも、起立性調節障害の「非薬物療法(薬を使わない治療)」として、適度な運動療法が推奨されています。薬物治療と並行して身体のポンプ機能を鍛えていくことが、体質改善や回復にとってとても重要です。
関連記事:起立性調節障害とは?原因や症状、治療法・予防法を徹底解説
起立性調節障害におすすめの運動
起立性調節障害改善のための運動には、「激しくしない」「下半身の筋肉を使う」「無理のない範囲で行う」というポイントがあります。ここでは、日常生活に取り入れやすいおすすめの運動を3つご紹介します。
ウォーキング(体調の良い午後に、短時間から)
最も手軽で効果的な有酸素運動がウォーキングです。足の筋肉をリズミカルに動かすことで、下半身に溜まった血液を心臓に戻すポンプ機能が強化されます。
自律神経が不安定な午前中や起床直後は避け、体調が安定しやすい午後や夕方に行うのがおすすめです。最初は1日10〜15分程、近所をゆっくり散歩するだけでも十分な効果があります。
軽い水泳・水中ウォーキング(水圧が血流を助ける)
プールでの軽い水泳や水中ウォーキングもとてもおすすめです。水の「水圧」が天然の着圧ソックスの役割となり、下半身の血液を心臓に戻すサポートをしてくれます。
さらに、水の浮力で体への負担も減るため、筋力が落ちているお子様でも無理なく体を動かせます。(※めまいやふらつきが強い日は、転倒や事故のリスクがあるため控えましょう)
下半身のストレッチ・スクワット(ポンプ機能を強化)
天候が悪かったり外出が難しい日は、自宅でできる下半身のストレッチやスクワットを取り入れましょう。
スクワットは太ももやふくらはぎといった効率よく大きな筋肉を鍛えられ、血流の維持に役立ちます。壁に手をついて体を支えたり、椅子からゆっくりと立ち上がる動作を繰り返すなど、安全に配慮しながら取り組みましょう。
避けたほうがいい運動・注意が必要な場面
一方で、起立性調節障害の症状を悪化させかねない運動や環境もあります。下記の点には十分注意してください。
急に立ち上がる動作を伴う運動(バスケ、バレーなど)
バスケットボールやバレーボール、陸上のダッシュ等、急激な姿勢変化や激しい動きを伴うスポーツは注意が必要です。急な動きは血圧が急低下し、脳貧血や失神などのリスクがあります。
炎天下・高温環境での運動(脱水・血圧低下のリスク)
炎天下や蒸し暑い体育館など高温環境では、発汗による体内の水分・塩分不足で脱水を招く恐れがあります。水分量が減ると血液量も減少し、症状が悪化します。
運動の際は、必ず涼しい環境を選び、こまめに水分・塩分を補給しましょう。
関連記事:起立性調節障害のセルフチェック!病院は何科を受診すべき?
体調が悪い日に無理をすること
起立性調節障害は日によって体調が大きく変化します。「毎日運動しなければ」と無理をすることで身体的・精神的ストレスとなり、かえって症状の長期化につながります。体調が悪い日は「ゆっくり休むことも治療のひとつ」と割り切ることが大切です。
部活動との向き合い方
中高生にとって、部活動は学校生活の大きなウェイトを占めます。体調不良で休みがちになったり、顧問や先輩に申し訳なく感じて「辞めた方がいいのでは」と悩むこともあるでしょう。これが不登校のきっかけになるケースもあります。
「部活をやめるべきか」という悩みへの回答
結論から言えば、必ずしもすぐに辞める必要はありません。部活動は仲間との大切なコミュニケーションの場でもあり、完全に辞めることで孤独感や精神的ストレスが強まる場合もあるからです。まずは「今の体調でもできる参加の仕方」を考えてみましょう。
体調に合わせて参加のスタイルを変える
たとえば、朝練は無理せず休み、午後の練習だけ参加する。激しい運動が難しければ、タイム計測や道具を配る、後輩の指導など「マネージャー的な役割」として貢献する形に切り替えるなど、負担の少ない参加も選択肢です。
顧問の先生への伝え方
こうした調整には、学校や顧問の先生の「病気に対する正しい理解」が不可欠です。「怠け」「やる気が足りない」と誤解されないよう、親御さんから直接、または主治医の診断書(指導表)を添えて、病気のメカニズムや現在できること・できないことを具体的に伝えて相談しましょう。
関連記事:起立性調節障害と不登校の関係とは?親ができる対応と学校との連携法を解説
運動を続けるためのコツ
最後に、無理なく運動療法を日常に取り入れ、長く続けるための工夫を紹介します。
いきなり毎日やろうとしない
はじめから高い目標を立てると、続かなくなった時に自信を失いがちです。「週2〜3回、10分だけ歩く」「テレビCM中にスクワットを5回する」など、取りかかりやすい低いハードルから始めましょう。
体調の良い時間帯(午後〜夕方)を選ぶ
自律神経が乱れやすい朝や午前中は避け、お子様自身が「少し動けそう」と思う午後から夕方に運動するのが、無理なく続けるコツです。
家族と一緒に散歩など、ハードルを下げる工夫
お子様だけに任せず、「一緒に買い物に行こう」「夕涼みがてら歩こうか」など親御さんが声掛けし、一緒に体を動かしてみましょう。歩きながらの何気ない会話も、リフレッシュ効果を高めます。
関連記事:思春期の起立性調節障害(OD)に向き合う!親が知るべき原因と症状、学校との連携法
まとめ
起立性調節障害の改善には、適度な運動が低下した筋力を補い、血流を改善する重要なアプローチです。
ただし、運動選びやペースを間違うと逆効果になります。お子様のその日の体調を最優先に、ウォーキングやストレッチなど負担の少ない運動を少しずつ始めてみてください。学校や部活動に関する不安がある場合も、ご家族だけで抱え込まず、通院先の主治医や学校の先生と相談しながら、お子様にとって最も心地よい環境を整えていきましょう。
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