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【第5回社長エッセイ】初めて利用者さんのお家へ伺った日

2023.07.19 くるみの社長エッセイ精神科訪問看護とは誠子さんシリーズ

大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第5弾!

 

先週に引き続き、『初めて利用者さんのお家に伺った日』をテーマに

今回は誠子さんに語っていただきます♡

 

最近、猛暑が続いていますがみなさまいかがお過ごしでしょうか?

うだるような暑さが体力的にも、精神的にもかなりつらいですね。

 

この暑さのなか、夏かぜも流行っているそうで……

2歳と0歳の子どもがいるウチにもついにやってきました。

 

『ヒトメタニューモウイルス』

 

ヒトメタニューモウイルス、みなさんご存じでしょうか?

私は去年はじめて聞いたのですが、このウイルス……名前ほど、ほんとかわいくない。

ウチの娘は38.5~40.0℃の熱が丸6日間。

一度も38.5℃以下に下がることなく高熱が続き、本当に怖かったです。

 

ちょうど昨日解熱し、今はご機嫌に過ごしてくれています。

幼い子どもたちの間では、手足口病やRSウイルス、ヘルパンギーナにヒトメタニューモウイルスと

かなりの夏かぜが流行っているみたいです。

 

一度罹るとなかなかにしつこい夏かぜ。

どうか、罹らずに夏を越したいですね!

 

そういえばこの前、ハムさんと誠子さんから、

「10分置きにお水を一口飲めば風邪引きにくくなるよ!」

と教えてもらいました。

 

この方法で誠子さんは5年間風邪をひいていないそうです……!

 

ぜひぜひみなさんもこの方法、試してみてください♡

 

前置きが長くなってしまいましたが、

今週も誠子さんのエッセイ、楽しんでくださいね~!

 

 

*:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

 

『初めて利用者さんのお家に伺った日』というお題をいただきました。

んー……そうですね、終始緊張して口から心臓が出そうだったということしか覚えていません。

その日が私にとって少し苦い思い出になってしまったことは覚えているのですが……

利用者さんとどんなお話をして、どんなことをしたのか

一生懸命思い出そうとしましたが緊張しすぎていて記憶が消えてしまっています(笑)。

 

そこに今回のお題。

とはいえ書かないわけにはいきませんので、頑張って当時の記憶を引っ張りだして、思い出せる範囲で書いていきたいと思います。

 

訪問看護では訪問看護ステーションから私たちスタッフがお家にお伺いして話をし、

よければ契約をして訪問開始という流れになります。

 

私はその日、所長から「契約から入ってもらう」と言われ、たくさん学ぼうと思いながらも緊張の面持ちでその方のお家へ訪問しました。

これが私の初めての訪問になります。

 

対象は独居の女性の方、訪問看護を受けたいとのことでお話を伺いました。

その方はすごく気さくな方で、自分から所長にお気持ちや要望などをすごく笑顔で話されていました。

私は隣でうなずいていることしかできませんでしたが、

お話好きな方なんだなー、次から何を話そうかな? などを考えながら話を聞いていました。

無事に契約が終わり、最後に所長が「次回からこの中野が訪問させてもらいます」と言った瞬間、

利用者さんの表情が変わった気がしたのですが、そのときはそんなに重くは受け止めていませんでした。

 

そして、私が一人で訪問に行った初日、すぐに違和感を抱きました。

その利用者さんは契約の日に見たあの笑顔ではなく、やや引きつった顔をされていたのです。

その日は私から少しお話をし、薬をセットして終了しました。

 

あれ? 話をしてくれないな。

薬セットに時間がかかってしまった。

それでお話ししにくい雰囲気を出してしまったかな?

そのときはこのくらいにしか思っていませんでした。

 

その後2回目の訪問の際に利用者さんから突然「訪問を終わりたい」と言われました。

どうしてか聞くと、あなたの声が無理、存在が無理と言われました。

 

それを聞いた私は、

「そうなんですね。しんどい思いをさせてしまってすみません」

と言い、深くは聞かず帰って所長に報告しました。

その後は所長が対応されていました。

 

「あなたの声が無理、存在が無理」

 

なかなかインパクトのある言葉ですよね。

でも聞いたときは「利用者さんにしんどい思いをさせてしまったなぁ」と、不思議と傷つくこともなく、冷静に受け入れている自分がいました。

 

今書きながら考えると、

「自分もそう思うことがあるから」

なのかもしれません。

 

看護師としては看護技術としてコミュニケーション力を必要としますが、

私、中野誠子という人間としてはあまりコミュニケーション力があるとは言えません。

人見知りです。

私は人を苦手と思うことも多かったのです。

なのであの利用者さんが言った「あなたの声が無理、存在が無理」と思うことはよくあるよな、と納得できたのです。

 

人としては「そう思う人もいるよなぁ」で終わりですが、

看護師としてはそうはいきません。

そう思わせてしまった利用者さんに対して、

どう接したら良かったのか、他にもっと違う関わり方があったのではないか

と、今でも考えます。

 

利用者さんのお宅にお伺いするということは、『生活に踏み込む』ということになります。

主体は利用者さんです。

私たち支援者は環境の一部でもあると思っています。

だからこそ、どう行動しないといけないのかを常に考えて動かないといけません。

 

また、人には合う・合わないがあります。

相性が合わない人が家に来続けるのも違う気がします。

だからこそ、利用者さんが感じた初めての印象やそのときに抱いた思いは重要です。

安心できる生活の場に入っていく。

訪問看護師も人間です。

合う・合わないがあることを理解しようとしなければならないと思っています。

 

お宅へお伺いするってどういうことなのか。

支援を一緒に考える相手ってどんな人がいいのか。

相手の意思決定ってなんなのか?

 

考えることはたくさんあります。

答えはないと思っています。

 

私が利用者さんのお宅へお伺いすることはもう「初めて」のことではありませんが、

利用者さんにとってその日は看護師が家にやってくる「初めて」の日かもしれません。

 

だから私自身もこの初めて訪問した日のこと、

初めて担当させていただいた利用者さんとの出来事を忘れずに、

これからも利用者さんたちの小さな変化や「sign」を見逃さず、日々振り返りながら、

常に相手がどう感じているのか

そこを忘れずに関わりを持っていきたいと、訪問を続けています。

 

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