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【CEOコラム】Vol.071 【令和8年度診療報酬改定・決定版】-「答え合わせ」は終わった。精神科訪問看護が“楽をする道”を完全に塞がれた日-

HEROさんシリーズくるみの社長エッセイ

こんにちは。株式会社Make Careの代表取締役CEOであり、訪問看護ステーションくるみでマーケティングを担当している石森寛隆です。XではHEROと名乗っていますので、もしよろしければフォローください。

ついに、令和8年度診療報酬改定の決定版が公表されました。
業界全体がざわついているのを横目に、僕たち訪問看護ステーションくるみの感想は、短冊(案)が出た時点から変わっていません。

短冊の読み取りはこちら💁
【CEOコラム】Vol.067 訪問看護ステーションくるみ的・令和8年度診療報酬改定短冊の読み取り方

「ああ、やっぱり、そうなったか」

今回の決定版資料を通読して、改めて確信したことがあります。
これは“サプライズ”でも“方向転換”でもありません。
国からの最終通告であり、同時に、これまで何をしてきたかの答え合わせです。

まっとうに地域医療と向き合ってきた事業者にとっては追い風であり、
小手先の効率や抜け道に依存してきた事業者にとっては、静かな終焉を意味します。

今回は、決定版資料から読み取れる国のアジェンダと、
精神科訪問看護がこれから取るべき「王道」について整理します。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

1. 「施設囲い込みモデル」は、制度として終わった

今回の改定で、最も明確なメッセージが込められたのが
包括型訪問看護療養費の新設です。

これまで、有料老人ホームやサ高住に併設・隣接する訪問看護ステーションが、
同一建物内の利用者に対し、短時間の訪問を頻回に行うことで
「行けば行くほど儲かる」構造を成立させてきました。

しかし、決定版ではこのモデルに完全な終止符が打たれています。

例えば、
単一建物居住者が50人以上の場合、訪問時間30〜60分で
5,960円/日という包括評価が明記されました。
訪問回数を重ねても、収益は増えません。
これは単なる減算ではなく、決定版として示された設計思想そのものの転換です。

この流れは、令和2年・4年・6年と続いてきた
「同一建物減算」の歴史的延長線上にあります。
そして今回が、その最終形です。

国ははっきりと示しました。
効率を名目に、回数だけを積み上げる訪問看護には、もう1円も出さないと。

これから生き残るのは、
「必要な人に、必要なケアを、必要な分だけ提供する」
その当たり前を実装できるステーションだけです。

2. 機能強化型4の新設と、くるみが登る山

精神科訪問看護の領域では、
機能強化型訪問看護管理療養費4が新設されました。

GAF尺度40以下をはじめとする
「重点的な支援を要する者」への実績、
地域連携や相談支援との協働が要件として求められています。

これは、精神科訪問看護をちゃんとやっている事業者を可視化する
という点で、評価すべき改定です。

ただし、ここで重要なのは、
それをゴールに設定するかどうかは、経営の哲学の問題だということです。

くるみは、この機能強化型4を最優先のターゲットにはしません。
僕たちが目指しているのは、
精神科という枠を超えた「地域まるごとを支えるインフラ」だからです。

小児、重症心身障害、身体合併症、精神疾患。
すべてを断らずに受け止められる体制を持つこと。
その結果として、最も要件が厳しい
機能強化型1を取得し、維持し続ける。

経営的にも、地域的にも、
これが最も足腰の強いポジションだと僕たちは判断しています。

3. 物価高と賃上げに「言い訳は通用しない」

今回の改定は、攻めだけではありません。
同時に、守りの強化もはっきりと打ち出されています。

訪問看護物価対応料として、
月初60円、2日目以降20円が新設され、
令和9年6月以降は倍額となる設計です。

さらに、ベースアップ評価料の拡充により、
賃上げを診療報酬で後押しする構造が、より明確になりました。

これは国からのメッセージです。

「公定価格だから賃上げできない、という言い訳はもう通用しない」

制度を理解し、使いこなし、
スタッフに還元できる経営者だけが、人材確保競争に残る。
それができない事業者は、静かに市場から退出していく。

非常にシンプルな世界になりました。

4. 精神科訪問看護の“質”を測る共通言語

今後、精神科訪問看護でさらに重要になるのが
GAF尺度です。

重症度を客観的に示し、
「どれだけ困難なケースを引き受けているか」を
制度上も評価する流れが、はっきりしました。

「精神科特化」を名乗りながら、
状態が安定した軽度ケースだけを回す。
そのやり方は、これから評価されません。

GAF40以下の人たちの地域生活を、どう支えるのか。
ここに向き合えるかどうかが、
精神科訪問看護ステーションの“質”そのものになります。

おそらく、この「GAF尺度」に関しても算定方法が今後、厳格化されていくことと予想しています。

最後に:制度は、正しい実践の後ろを歩く

今回の決定版を読んで、僕が改めて思ったことは一つです。

小手先で生き残れる時代は、完全に終わった。

・囲い込み
・選別
・人件費の先送り

こうした経営判断は、
令和8年6月1日以降、すべて致命傷になります。

くるみがやることは、これまでと変わりません。

地域の「困った」に正面から向き合う。
重症度や年齢で断らない。
スタッフを大切にし、正当に報いる。
顔の見える連携を積み重ねる。

制度に振り回される経営ではなく、
制度が追いついてくる経営を、僕たちは選び続けます。

王道は、いつも地味で、遠回りに見える。
でも最後に残るのは、いつだって王道です。

この記事を書いた人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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