多動症とは?子供と大人の症状の違い、診断と治療のポイント
精神科訪問看護とは「落ち着きがない」「集中力がない」…もしかしたら、それは多動症(ADHD)かもしれません。このページでは、多動症の基本的な情報から、症状、原因、診断方法、治療法までを分かりやすく解説します。多動症について正しく理解し、ご自身や身近な人の抱える悩みを解決するための第一歩を踏み出しましょう。
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多動症(ADHD)とは?

「なんだか落ち着きがない」「すぐに気が散ってしまう」…もし、ご自身や周りの人にこのような特徴が見られる場合、それは多動症(ADHD)かもしれません。
ADHDは、発達障害の一種であり、その特性が日常生活や社会生活に影響を与えることがあります。この記事では、ADHDについて正しく理解を深めるための第一歩として、その定義、特徴、そして歴史的背景を分かりやすく解説していきます。
多動症の定義と特徴
多動症(ADHD)は、「注意欠如・多動症」を意味する「Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder」の略称です。これは、脳の機能的な特性によって引き起こされる発達障害の一つとされています。
ADHDの主な特徴は、以下の3つに集約されます。
不注意(Inattention)
集中力が続かない、忘れ物が多い、指示を最後まで聞けない、物事を順序立てて行うのが苦手、といった特徴が見られます。例えば、授業中にぼーっとしてしまったり、宿題を始めるのに時間がかかったり、部屋が散らかってしまいがちです。
多動性(Hyperactivity)
じっとしているのが苦手で、そわそわしたり、席を立って歩き回ったり、過剰に喋ったりすることがあります。子供の場合は、手足をそわそわさせたり、座っているべき場面でも動き回ったりすることが目立ちやすいです。大人でも、落ち着きのなさや、じっとしていることへの苦痛を感じることがあります。
衝動性(Impulsivity)
順番を待てない、他人の会話や活動に割り込む、思いついたことをすぐに行動に移してしまう、といった特徴があります。例えば、質問が終わる前に答えてしまったり、危険を顧みずに行動してしまったりすることがあります。
多動症の歴史
多動症(ADHD)の概念は20世紀初頭から研究が進み、時代とともに大きく変化してきました。1902年、スティル医師が落ち着きのなさや衝動的な行動を示す子どもを「道徳的制御障害」として報告したのが始まりです。
その後、戦後には脳損傷との関連が考えられましたが、多くの事例に当てはまらなかったため、脳の機能的な特性として理解されるようになりました。1960〜70年代には「多動性障害」という診断名が登場し、薬物療法の有効性が示されました。
1980年代に「ADD」、続いて「ADHD」という現在の診断名が確立。不注意、多動性、衝動性を含む発達障害として体系化されました。この歴史を通して、ADHDは単なる行動の問題ではなく、脳機能に基づく多様な特性をもつ状態として理解が深まっています。
関連記事:ADHDの対処法|日常生活と仕事で実践できる具体的な対策
多動症の症状
ここでは、多動症(ADHD)の中核となる3つの症状、「不注意」「多動性」「衝動性」について、それぞれ詳しく解説していきます。これらの症状は、一人ひとりの特性や年齢によって現れ方が異なることがあります。
不注意
ADHDの「不注意」とは、集中力を長く保つことが難しく、注意が散漫になりやすい状態を指します。話を聞いていても内容が頭に入らない、本を最後まで読めないなど、集中の持続が困難です。
また、周囲の音や動きに気を取られやすく、やるべきことに集中できない特徴があります。鍵や財布などの忘れ物・紛失が多いほか、複数の指示をまとめて理解することが苦手で、途中で別の行動を始めてしまうこともあります。細部への注意が向きにくいため、課題や提出物のミスが増えやすく、学業・仕事・日常生活のあらゆる場面で困難に繋がりやすい傾向があります。
多動性
多動性とは、過剰な動きや落ち着きのなさが続く状態を指し、年齢によって表れ方が変化します。子どもでは席に座っていられない、走り回る、過度なおしゃべりといった行動として目立ちます。
一方、大人になると、外見には出にくくても「じっとしていられない感覚」や、貧乏ゆすり・手遊びなどの形で表れることがあります。常にそわそわし、活動中も動き続けてしまうため、「静かに過ごす」ことが非常に難しく、学業や仕事、生活の場面で困難につながりやすい特徴です。
衝動性
衝動性とは、思いついた行動を抑えられず、後先を考えずに行動してしまう特性です。順番を待つことが苦手で、会話に割り込む、相手の話を遮るといった行動が見られます。また、欲しい物をすぐ買ってしまうなど impulsive な行動や、突然危険な行動に出る場合もあります。
感情のコントロールが難しく、怒りや苛立ちが爆発しやすい点も特徴です。これらは人間関係のトラブルや金銭問題につながることがあり、脳の行動抑制機能の特性が背景にあると考えられています。
関連記事:ADHDは治る?改善の可能性と効果的な治療法を徹底解説
多動症の原因
前のセクションでは多動症(ADHD)の定義と歴史について解説しました。ここでは、多動症がなぜ起こるのか、その原因について掘り下げていきます。多動症の原因は一つではなく、遺伝的要因、環境的要因、そして脳の機能など、複数の要素が複雑に絡み合っていると考えられています。特定の原因を断定することは難しいですが、最新の科学的知見に基づいて、それぞれの要因がどのように影響しているのかを分かりやすく解説します。
遺伝的要因
多動症の発症には、遺伝が大きく関わっていると考えられています。多くの研究で、ADHDは遺伝しやすい傾向があることが示されています。例えば、ADHDを持つ人の第一度近親者(親、兄弟姉妹、子供)にもADHDの特性が見られる確率が高いことが報告されています。
これは、ADHDに関連すると考えられる複数の遺伝子が、親から子へと受け継がれることで、発症のリスクを高めるためです。ただし、特定の「ADHD遺伝子」が一つだけ存在するわけではなく、多くの遺伝子が少しずつ影響し合っていると考えられています。これらの遺伝子は、脳内の神経伝達物質の働きや、神経回路の形成に関わっている可能性があります。
環境的要因
遺伝的要因だけでなく、環境要因も多動症の発症に関与する可能性があります。妊娠中の母体の健康状態や、喫煙・飲酒、早産、出生時の低体重などは、子供の脳の発達に影響を与え、ADHDのリスクを高める可能性が指摘されています。
また、幼少期に鉛などの有害物質にさらされたり、頭部外傷を負ったりすることも、ADHDの発症や症状の悪化に関連する可能性が研究されています。しかし、これらの環境要因があったとしても、必ずしもADHDになるわけではありません。あくまで、遺伝的要因と組み合わさることで、発症のリスクを高める要因の一つと考えられています。
脳の機能
多動症を持つ人の脳では、いくつかの機能的な違いが見られることが研究で明らかになっています。特に、思考、計画、行動のコントロールなどを司る前頭葉(ぜんとうよう)と呼ばれる領域の働きや、神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの機能に違いがあることが指摘されています。
これらの神経伝達物質は、注意を維持したり、衝動を抑えたりするために重要な役割を果たしています。ADHDの人では、これらの神経伝達物質の働きがうまくいっていないために、不注意、多動性、衝動性といった特性が現れると考えられています。脳の構造自体に大きな違いがあるわけではなく、脳のネットワークや情報伝達の仕方に特徴があると考えられています。
多動症の診断

多動症(ADHD)の診断は、専門家による慎重な評価に基づいて行われます。ご自身や身近な人がADHDかもしれないと感じた場合、まずは専門の医療機関を受診することが大切です。ここでは、ADHDの診断基準、診断に至るまでの一般的な流れ、そしてどのような検査が行われるのかを詳しく解説します。
診断基準
ADHDはDSM-5の診断基準に基づき、不注意・多動性・衝動性の3側面から評価されます。不注意では忘れ物や集中困難、多動性では落ち着きのなさや多弁、衝動性では順番を待てない・割り込みなどが6ヶ月以上続いているかを確認します。症状が年齢に比べて著しく、日常生活に支障をきたしている場合にADHDが疑われます。また、症状が12歳以前から見られることも診断の重要な条件です。
診断の流れ
診断は初診での問診から始まり、幼少期からの行動、生活状況、家族歴などを丁寧に確認します。必要に応じて質問票や心理検査を実施し、子どもの場合は学校での様子を、成人では職場の情報を参考にすることもあります。
医師は問診・検査・周囲の情報を総合的に判断し、診断基準に照らしてADHDかどうかを決定します。診断後は、症状に合った治療や支援方針が提示されます。
検査方法
ADHDの診断は一つの検査で決まるものではなく、複数の検査と情報を組み合わせて行われます。チェックリストで症状の有無を確認し、医師による行動観察で多動性・衝動性の傾向を見極めます。
心理検査では注意機能や知能、他の発達障害の併存を評価します。また、必要に応じて脳波・MRIなどの検査が行われることもありますが、ADHDを直接示す所見はありません。最終的な診断は医師が総合的に判断します。
多動症の治療法
多動症(ADHD)の治療は、単に症状を抑えるだけでなく、その方の生活の質を向上させ、社会の中でより良く適応していくことを目指す、多角的なアプローチが重要です。ここでは、ADHDの特性とうまく付き合っていくための主要な治療法について、それぞれの特徴と具体的な内容を解説していきます。
薬物療法
ADHDの薬物療法は、脳内の神経伝達物質の働きを整え、集中力や衝動性を改善することを目的としています。主に中枢神経刺激薬が使われ、効果が早く日常生活の困難を軽減しますが、食欲不振や睡眠障害などの副作用が出ることもあります。
近年は非刺激薬も選択肢が広がり、副作用が気になる場合に有効です。薬は必ず医師の指示のもと正しく服用し、自己判断での中止や調整は避けることが重要です。
行動療法
行動療法は、生活の中で起きやすい困りごとを改善するための具体的な行動スキルを習得する方法です。時間管理ではタスクを分けて計画する練習、整理整頓では物の定位置を決める習慣づけを行います。
また、衝動性を抑えるための一呼吸置く練習や感情コントロールも含まれます。子どもには遊びを取り入れ、大人には実践的な課題を設定するなど、年齢に応じたプログラムが特徴。継続することで自己管理力が向上し、自立した生活に役立ちます。
カウンセリング
ADHDでは、特性による失敗体験から自信低下や不安、抑うつが生じやすく、カウンセリングはその心理面を整える重要な支援です。特に認知行動療法(CBT)は否定的思考に気づき、より良い考え方や対処法を身につけるのに有効です。また、特性を理解し受容するプロセスを助け、家族カウンセリングでは家庭内のコミュニケーション改善にも役立ちます。
環境調整
環境調整は、ADHDの特性による困難を減らし能力を発揮しやすくするための効果的な方法です。家庭では物の定位置を決めて整理しやすくする、短く具体的な指示を出す、静かな作業スペースを作るなどが有効です。
学校や職場でも、席の配置や視覚的なタスク管理、適度な休憩などの配慮がパフォーマンス向上につながります。周囲の理解と協力が、安心して過ごせる環境づくりの鍵となります。
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多動症の人との接し方

ここでは、具体的なコミュニケーションのコツと、困った時の対処法を解説し、あなたが自信を持って建設的な関係を築けるようサポートします。
コミュニケーションのコツ
ADHDの特性を持つ方とのコミュニケーションでは、明確で簡潔な伝え方が重要です。抽象的な表現よりも、具体的な内容・期限・場所を示すことで理解しやすくなります。また、口頭だけでなく、メモやToDoリストなど視覚的なサポートを併用すると効果的です。
相手の話を最後まで聞き、肯定的なフィードバックを伝えることで安心感や自信につながります。長時間のやり取りが負担になる場合は、適宜休憩を挟む配慮も大切です。自分の感情がある場合は、責めずに「私はこう感じる」と伝えることで、より建設的な関係づくりができます。
困った時の対処法
ADHDによる困りごとには、責めるのではなく一緒に解決する姿勢が重要です。約束を忘れやすい場合は、リマインダーやメモの活用、事前確認などを組み合わせると効果的です。衝動的な言動があるときは、すぐに反応せずクールダウンの時間を設け、背景の感情を理解しながら落ち着いて話すことが大切です。
代替行動(深呼吸・一時離脱など)を提案するのも有効です。片付けが苦手な場合は、手順を具体化し、収納場所を明確にし、一緒に取り組むことで習慣化をサポートできます。協力的な姿勢を続けることで信頼関係が深まります。
多動症に関する誤解と真実
多動症(ADHD)は、その特性から誤解されやすい側面があります。社会に広く流布している誤解や偏見を正し、科学的根拠に基づいた真実を解説することで、ADHDへの理解を深め、より良いサポートに繋がることを目指します。
よくある誤解
多動症(ADHD)に関して、しばしば耳にする誤解は少なくありません。例えば、「親の育て方が原因だ」「本人の甘えや怠惰である」「子供の時に比べて、大人になると自然に治る」といった考え方です。
これらの誤解は、当事者やその家族が社会的な偏見やスティグマに苦しむ原因となり、適切な支援を受けることを妨げてしまうことがあります。ADHDの特性は、本人の意志や努力だけではコントロールが難しく、成長しても特性が続く場合も多いため、これらの誤解は当事者を深く傷つける可能性があります。
真実
これらの誤解に対し、科学的知見や専門家の意見に基づいた真実を解説します。まず、ADHDは「育て方のせい」でも「甘え」でもなく、脳機能の特性に起因する発達障害の一つです。遺伝的要因や脳の神経伝達物質の働きの違いなどが関与していると考えられています。
また、「大人になったら治る」というのも一概には言えません。不注意や多動性、衝動性といった特性は、年齢とともに変化することはあっても、多くの場合は成人期以降も継続し、日常生活や社会生活に影響を与えることがあります。
重要なのは、これらの特性を理解し、個々の状況に合わせた適切なサポートや環境調整を行うことで、本人が困難を乗り越え、その能力を活かして社会生活を送れるようにすることです。薬物療法や行動療法、カウンセリング、そして周囲の理解と協力が、その助けとなります。
多動症に関する相談窓口とサポート
多動症(ADHD)は、一人で抱え込む必要はありません。専門家や支援機関、そして同じ悩みを持つ人々との繋がりは、問題解決への大きな助けとなります。ここでは、あなたが安心して相談できる場所や、利用できる様々なサポート体制について詳しく解説していきます。
相談できる場所
多動症(ADHD)に関する相談は、複数の専門窓口で受けることができます。まずは精神科や心療内科で専門医による診断や治療提案を受けるのが一般的です。より専門的な評価を希望する場合は、発達障害専門外来が適しています。地域の保健センターや保健所では、相談員が症状の聞き取りを行い、医療機関や福祉サービスへの橋渡しも担当します。
お子さんの場合、子育て支援センターや児童相談所で発達の相談が可能で、学校生活に関わる悩みは教育センターやスクールカウンセラーが対応します。状況に応じて、最適な窓口を選ぶことが大切です。
サポート体制
多動症の当事者や家族には、さまざまな支援体制があります。ペアレントトレーニングでは、子どもの特性理解や効果的な関わり方を学び、親子関係の改善につながります。大人の場合、就労支援機関や障害者就業・生活支援センターが職場定着や合理的配慮のサポートを行います。
発達障害者支援センターは生活全般に関する相談窓口として、医療・福祉・教育との連携を図ってくれます。また、患者会や当事者団体では、経験を共有し合い、精神的な支えを得ることができます。障害者手帳などの公的制度も活用することで、生活の質を大きく向上させることが可能です。
まとめ
ここまで、多動症(ADHD)の定義、症状、原因、診断、治療法、そして周囲との接し方まで、多岐にわたって解説してきました。ADHDは決して「治すべき病気」ではなく、その人固有の「特性」として捉えることが重要です。
重要なのは、ADHDの特性を理解し、それに合った環境調整やサポートを行うことです。適切な理解と支援があれば、ADHDを持つ人々は、そのユニークな視点やエネルギーを活かし、社会で活躍し、充実した人生を送ることができます。
もし、この記事を読んでご自身や身近な人のADHDについて理解を深められたのであれば、それは大きな一歩です。一人で抱え込まず、専門機関やサポートグループに相談することも考えてみてください。正しい情報と適切なサポートは、きっとあなたの、あるいは大切な人の可能性を広げる手助けとなるはずです。
ADHDと共に生きることは、決して特別なことではありません。特性を活かし、自分らしく輝ける未来を、共に築いていきましょう。
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