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ADHDの相談は何科?【大人/子供別】病院探しから診断、費用まで解説

2025.10.22 精神科訪問看護とは

「もしかしてADHDかも…」そう感じた時、まず悩むのが『何科に行けばいいの?』ということではないでしょうか。

この記事では、大人と子供別に最適な診療科を解説。

さらに、失敗しない病院選びから初診の流れ、費用、診断後のサポートまで、受診にまつわるあなたの不安を解消するための情報を網羅しました。

「ADHDかも?」その悩み、何科に相談すればいい?

「仕事でケアレスミスが異常に多い」

「部屋がどうしても片付けられない」

「会話中に集中力が途切れてしまう」――。

このような悩みを抱え、「もしかしたら自分はADHD(注意欠如・多動症)かもしれない」と感じている方は少なくないでしょう。

しかし、その次に「じゃあ、一体どこに、何科の病院に相談すればいいんだろう?」という大きな壁にぶつかります。

精神科と聞くと少し怖いイメージがあるかもしれませんし、子供と大人で違うのか、費用はどれくらいかかるのか、そもそも病院で何をされるのか、不安は尽きないはずです。

この記事は、そんなあなたのための「受診ガイド」です。

ADHDの相談先となる診療科の選び方から、失敗しない病院探しの具体的なポイント、初診当日の流れ、検査内容、診断にかかる費用、そして診断後のサポート体制まで、あなたが抱えるであろうあらゆる疑問と不安に、順を追って徹底的に答えていきます。

この記事を読み終える頃には、専門家への相談という次の一歩を踏み出すための知識と勇気が得られているはずです。

その悩みは、あなたのせいではありません。まずは自分を理解するための第一歩を、ここから始めましょう。

【結論】ADHDの相談・診断は何科に行くべき?

「ADHDかもしれない」と思ったとき、どの診療科のドアを叩けばいいのか。これは最も重要な疑問です。

結論から言うと、相談する人の年齢によって適切な診療科は異なります。

ここでは、大人の場合と子供の場合、そしてよく混同されがちな「精神科」と「心療内科」の違いについて、明確に解説します。

大人の場合:精神科・心療内科が基本の選択肢

18歳以上の大人がADHDの診断や相談を考えた場合、基本的な受診先は「精神科」または「心療内科」になります。

これらの診療科は、うつ病や不安障害といった心の不調全般を扱っており、発達障害もその専門領域に含まれます。

特に近年、「大人の発達障害」への認知が広まったことで、ADHDの診断や治療に力を入れているクリニックが増えてきました。

どちらの科を選ぶべきか迷うかもしれませんが、重要なのは「精神科か、心療内科か」という名称そのものよりも、その医療機関が「大人の発達障害の診療経験が豊富かどうか」です。

ウェブサイトに「大人の発達障害外来」といった記載があるか、あるいは電話で問い合わせた際に、ADHDの検査や診断に対応しているかを事前に確認することが、適切な医療に繋がるための最も確実な方法です。

子供(18歳未満)の場合:小児科・児童精神科・発達外来

お子さんにADHDの傾向が見られる場合、相談先の選択肢は大人よりも多岐にわたります。

まずは、かかりつけの「小児科」に相談してみるのが第一歩として良いでしょう。

そこで専門的な診断が必要と判断されれば、より専門性の高い医療機関を紹介してもらえます。

その専門機関の代表格が「児童精神科」です。

ここは、子供の心の発達や行動の問題を専門に扱う診療科で、ADHDの診断・治療における中心的な役割を担います。

ただし、児童精神科は数が少なく、予約が数ヶ月先になることも珍しくありません。

また、大学病院や総合病院の中には「発達外来」「小児神経科」といった名称で、発達障害を専門に診る外来を設けている場合もあります

どの科が適切か判断に迷う場合は、お住まいの地域の保健センターや子育て支援センター、あるいは後述する発達障害者支援センターに相談し、地域の医療機関情報を提供してもらうのがスムーズです。

精神科と心療内科、どちらを選ぶべき?決定的な違いを解説

「精神科」と「心療内科」は、どちらも心の不調を扱う点で共通していますが、その専門領域には明確な違いがあります。

「精神科」が主に扱うのは、うつ病、統合失調症、不安障害、そしてADHDなどの発達障害といった、気分の落ち込みや幻覚、意欲の低下など「精神症状(心の症状)」そのものです。

一方、「心療内科」は、ストレスや心理的な要因が原因で体に症状が現れる「心身症」を主な対象とします。

例えば、ストレスで胃が痛くなる(過敏性腸症候群)、頭痛が続く(緊張型頭痛)、動悸がするといった「身体症状」が前面に出ている場合に適しています。

ただし、現実の医療現場では両者の境界は曖昧になってきており、心療内科で精神疾患を扱ったり、その逆も多くあります。

大人のADHDの相談に関しては、どちらの科でも対応可能な場合が多いですが、繰り返しになりますが最も重要なのは「その医師やクリニックが、大人の発達障害の診断・治療に精通しているか」という点です。

診療科の名前にこだわりすぎず、診療内容をしっかりと確認しましょう

失敗しない病院選びの極意:受診前に確認すべき4つのポイント

適切な診療科がわかっても、「どの病院に行けばいいのか」という問題が残ります。

特に大人のADHDは診断が難しく、医師の専門性によって診断結果やその後の治療方針が大きく変わることもあります。

ここでは、後悔しない病院選びのために、受診前に必ず確認しておきたい4つの極意を紹介します。

ポイント①:「大人の発達障害」の診療実績があるか

これが最も重要なポイントです。

ADHDの特性は子供の頃から持続しているものですが、大人の場合、社会経験を積む中で特性をカバーするスキルを身につけていたり、うつ病や不安障害といった二次障害を併発していたりすることで、診断が非常に複雑になります。

そのため、子供のADHDしか診たことがない医師では、見逃されたり誤診されたりするリスクがあります。

病院のウェブサイトを隅々まで確認し、「大人の発達障害」「発達障害専門外来」といったキーワードがあるかをチェックしましょう。

診療内容の欄にADHDの検査(例:WAIS-IV、CAARS)や治療について具体的な記載があれば、専門性が高い可能性が高いです。

もしウェブサイトで情報が得られなければ、電話で直接「大人のADHDの診断や治療は行っていますか?」と問い合わせることが確実です。

ポイント②:初診の予約方法と待ち時間

大人の発達障害を診られる医療機関は、まだ数が限られているのが現状です。

そのため、人気のクリニックでは初診の予約が数ヶ月先まで埋まっていることも決して珍しくありません。

いざ受診を決意しても、すぐに診てもらえない可能性があることを念頭に置き、早めに行動を開始しましょう。

予約方法は電話のみか、ウェブ予約が可能かを確認します。電話で問い合わせる際には、初診の予約が現在どれくらいの待ち期間になっているかを聞いておくと、今後の見通しを立てやすくなります。

また、初診の所要時間(60分程度かかることも多い)や、当日の持ち物(保険証、お薬手帳、あれば子供の頃の通知表など)についても併せて確認しておくと、当日慌てずに済みます

ポイント③:治療方針と選択肢(薬物療法・カウンセリング等)

ADHDの治療は、薬を飲むだけで終わり、という単純なものではありません。

特性による困難を軽減するための「薬物療法」と並行して、自分の特性を理解し、具体的な対処法を身につけるための「心理社会的治療」が車の両輪のように重要となります。

心理社会的治療には、物事の捉え方や行動パターンを修正する「認知行動療法(CBT)」、苦手な作業を管理しやすくする「環境調整」、ソーシャルスキルを学ぶ「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」など、様々なアプローチがあります。

受診を検討している病院が、薬物療法だけでなく、こうしたカウンセリングや心理療法にも対応しているか、あるいは必要に応じて提携するカウンセリング機関を紹介してくれる体制があるかを確認しましょう。

あなたのニーズに合った、多角的な治療の選択肢を提示してくれる病院が、長期的に付き合っていく上で望ましいパートナーとなります

ポイント④:口コミや評判だけに頼らない

病院を探す際、インターネットの口コミサイトやSNSでの評判を参考にする方も多いでしょう。

他の患者さんのポジティブな体験談は心強いですし、ネガティブな意見は避けたいと思うのは自然なことです。

しかし、口コミはあくまで個人の主観的な感想であり、あなたに当てはまるとは限りません。

特に精神科医療においては、医師と患者の「相性」が治療効果に大きく影響します。

Aさんにとっては素晴らしい医師でも、Bさんにとっては威圧的に感じられる、ということも十分にあり得ます。

口コミは参考情報の一つとしつつも、最終的にはウェブサイトの雰囲気や医師の経歴、治療方針などを総合的に見て、「この先生なら自分の悩みを話せそうか」というあなた自身の直感を大切にしてください

いくつかの候補をリストアップし、比較検討することをお勧めします。

【完全ガイド】初診から診断までの流れと準備

受診する病院が決まったら、次はいよいよ初診です。

しかし、「何を話せばいいんだろう」「どんな検査をされるんだろう」と不安は大きいでしょう。

ここでは、初診当日に向けての準備から、実際の問診、検査、診断に至るまでの流れを詳しく解説します。

事前に流れを知っておくことで、心に余裕を持って臨むことができます。

受診前に準備すべきこと:自分の「困りごと」を言語化する

初診の限られた時間の中で、医師に自分の状況を的確に伝えるためには、事前の準備が極めて重要です。

ADHDの特性として、頭の中で思考がまとまりにくかったり、話があちこちに飛んでしまったりすることがあります。

そのため、伝えたいことを事前にメモにまとめておくことを強くお勧めします。

以下の点を参考に、具体的なエピソードを書き出してみましょう。

現在の困りごと:仕事(ミス、遅刻、人間関係)、日常生活(片付け、金銭管理、約束を忘れる)、学業などで、具体的にどんな場面で、どれくらいの頻度で困っているか。

子供の頃の様子:これが診断において非常に重要です。小学校や中学校の通知表の所見欄(「落ち着きがない」「忘れ物が多い」などの記載)があれば持参しましょう。なければ、親や兄弟に「子供の頃、どんな子だった?」と聞いてみるのも有効です。忘れっぽかった、じっとしていられなかった、友達の輪に入れなかったなどのエピソードを思い出せる範囲でまとめます。

これまでの経緯:いつから困りごとを自覚し始めたか。これまで他に精神科や心療内科を受診した経験があるか。家族歴や血縁関係のある親族に、発達障害や精神疾患の診断を受けた人がいるか。

このように自分の歴史を棚卸し、客観的な事実として書き出す作業は、自分自身を理解する助けにもなります

初診・問診で聞かれることリスト

初診では、あなたが準備したメモをもとに、医師が様々な質問をしながら状況を深く理解しようとします。

一般的に、以下のような内容について詳しく聞かれます。心の準備をしておきましょう。

  • 主訴:「今日はどのようなことでお困りですか?」
  • 困りごとの具体的内容:仕事や生活での具体的な失敗談、困難を感じる場面など。
  • 生育歴:生まれた時の状況、幼少期の様子、学生時代の成績や友人関係、部活動など。
  • 職歴:これまでの職務経歴、転職回数、仕事での評価、人間関係など。
  • 既往歴・現病歴:これまでにかかった大きな病気や怪我。現在治療中の病気。
  • 家族構成・家族歴:家族との関係や、家族の病歴。
  • 嗜好品:飲酒や喫煙の習慣。

正直に話すことが、正確な診断への近道です。

うまく話せなくても、医師はプロとして話を引き出してくれますので、安心して臨んでください。

ADHDの検査内容とは?(心理検査・発達検査)

問診だけでは診断が難しい場合や、知的な能力や発達の特性を客観的に評価するために、心理検査が行われることがあります。

これらの検査は、あなたの優れている点と苦手な点を数値で可視化するためのもので、決して「試験」ではありません。

代表的な検査には以下のようなものがあります。

ウェクスラー成人知能検査(WAIS-IV):最も代表的な知能検査です。言語理解、知覚推理、ワーキングメモリ、処理速度という4つの指標から、あなたの認知能力の凸凹(得意・不得意)を詳細に分析します。ADHDの人は、ワーキングメモリや処理速度が相対的に低い傾向が見られることがあります。

ADHD評価スケール(CAARSなど):ADHDの症状がどれくらい当てはまるかを評価するための質問紙です。自己記入式のものや、子供の頃のあなたをよく知る人(親など)に記入してもらうものがあります。

これらの検査は、公認心理師や臨床心理士といった専門家が、通常1時間~2時間程度かけて行います。

リラックスして、ありのままの自分で受けることが大切です。

診断基準(DSM-5)と診断プロセス

医師は、ここまでの問診、生育歴の聴取、心理検査の結果などをすべて統合し、アメリカ精神医学会が作成した国際的な診断基準である「DSM-5」に照らし合わせて、最終的な診断を下します。

DSM-5におけるADHDの診断基準は、大きく分けて「不注意(9項目)」と「多動性・衝動性(9項目)」の症状リストがあり、子供の場合は各6項目以上、17歳以上の場合は各5項目以上が、6ヶ月以上にわたって持続している必要があります。

さらに、それらの症状が12歳になる前から存在しており、家庭や学校、職場といった2つ以上の状況で困難を引き起こしていることが診断の要件となります。

つまり、血液検査や画像検査のように一つの検査結果で「確定」するのではなく、様々な情報から総合的に判断されるのです。

そのため、初診で即日診断がつくこともあれば、数回の通院と検査を経て、慎重に診断が下される場合もあります。

ADHDの検査・診断にかかる費用は?保険適用の範囲

専門的な医療を受けるにあたり、経済的な負担は誰もが気になるところです。

ADHDの検査や診断、治療にかかる費用は、基本的に健康保険が適用されるため、自己負担は3割(年齢や所得による)となります。

ここでは、具体的な費用の目安と、負担を軽減するための制度について解説します。

初診・検査・診断の費用目安

医療機関によって多少の差はありますが、一般的な費用の目安は以下の通りです。

  • 初診料:保険適用(3割負担)で、約2,500円~4,000円程度です。紹介状がある場合や、夜間・休日に受診する場合は加算されることがあります。
  • 心理検査料:WAIS-IVなどの詳細な心理検査を受ける場合、保険適用(3割負担)で約10,000円~15,000円程度かかることが一般的です。検査の種類や組み合わせによって費用は変動します。
  • 再診料:2回目以降の診察は、保険適用(3割負担)で約1,500円前後です。

つまり、初診から検査を経て診断が確定するまでには、合計で15,000円~20,000円程度の費用がかかることを見込んでおくと良いでしょう。

薬物療法やカウンセリングの継続的な費用

ADHDと診断され、治療を開始した場合、継続的に費用が発生します。

薬物療法:処方される薬の種類や量によって大きく異なりますが、再診料と薬代を合わせて、保険適用(3割負担)で1ヶ月あたり約5,000円~15,000円程度が目安となります。

カウンセリング:医療機関内で行われるカウンセリングで保険適用となる場合もありますが、多くの場合は保険適用外の自由診療となります。その場合、1回(50分程度)あたり5,000円~15,000円程度が相場です。費用は高額になりますが、専門家との対話を通じて得られる効果は大きいものがあります。

費用負担を軽減する「自立支援医療制度」とは

ADHDを含む精神疾患の治療を継続的に受ける場合、医療費の自己負担を軽減できる「自立支援医療(精神通院医療)」という公的な制度があります。

この制度を利用すると、通常3割である医療費の自己負担が原則1割に軽減されます。さらに、所得に応じて1ヶ月あたりの自己負担額に上限が設けられるため、経済的な不安を大きく和らげることができます。

対象となるのは、精神科・心療内科への通院にかかる診察代と薬代です(カウンセリングは対象外の場合が多い)。

申請には医師の診断書が必要で、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で行います。ADHDと診断され、継続的な通院が必要となった場合は、主治医や医療機関のソーシャルワーカーに相談し、この制度の利用を積極的に検討しましょう。

診断後の世界:ADHDと診断されたら利用できるサポート

ADHDの診断は、決して人生の終わりを告げるものではありません。

むしろ、長年の生きづらさの正体がわかり、自分を理解し、適切なサポートに繋がるための新たな「スタートライン」です。

診断後には、治療の選択肢や、あなたの生活や仕事を支えるための様々な公的・民間のサポートが存在します。

治療の選択肢:薬物療法と心理社会的治療

診断後、医師と相談しながら治療方針を決めていきます。主な治療の柱は「薬物療法」と「心理社会的治療」です。

薬物療法

ADHDの不注意や多動性・衝動性は、脳内の神経伝達物質(ドパミンやノルアドレナリン)の不足が原因の一つと考えられています。薬物療法は、これらの物質の働きを調整することで、症状の中核部分を改善する効果が期待できます。代表的な治療薬には、コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセなどがあります。

これらの薬によって、集中力が高まったり、衝動的な行動が抑えられたりといった効果が見られますが、副作用(食欲不振、不眠、頭痛など)が出る可能性もあります。医師と密に連携を取りながら、自分に合った薬と量を見つけていくことが重要です。

心理社会的治療

薬が症状を和らげる「土台」を作るものだとすれば、心理社会的治療は、その土台の上でより良く生きていくための「技術」を学ぶものです。代表的なものに認知行動療法(CBT)があります。

これは、ADHDの特性から生じやすい物事の捉え方の癖(例:「少しのミスで全てがダメだと思ってしまう」)に気づき、より現実的で柔軟な考え方ができるようにトレーニングする手法です。また、時間管理術や整理整頓術を具体的に学ぶ、自分の特性を周囲にどう伝えるか練習するなど、生活上の困難を軽減するためのスキルを身につけていきます。

公的な支援と制度:障害者手帳・障害年金など

ADHDの診断を受け、日常生活や社会生活に著しい制限があると判断された場合、様々な福祉サービスを受けるための「精神障害者保健福祉手帳」を取得できる可能性があります。

手帳を取得すると、所得税・住民税の障害者控除、公共交通機関や公共施設の料金割引、NHK受信料の減免など、様々な経済的メリットがあります。

また、障害の程度によっては、生活を支えるための「障害年金」を受給できる場合もあります。

これらの制度を利用するかどうかは個人の選択ですが、利用できる権利があることを知っておくことは重要です。申請を検討する場合は、主治医や病院のソーシャルワーカー、市区町村の障害福祉担当窓口に相談してみましょう。

仕事の悩み:就労移行支援やハローワーク専門援助部門

「仕事が長続きしない」「今の職場では特性が活かせない」といった仕事に関する悩みは、大人のADHD当事者にとって最も深刻な問題の一つです。

このような悩みを抱える方のために、専門的なサポートを提供する機関があります。

「就労移行支援事業所」は、障害のある方が一般企業へ就職するためのトレーニングを行う場所です。

ビジネスマナーやPCスキル、自己分析、企業研究、面接練習といった就職活動のサポートに加え、就職後も職場に定着できるよう支援してくれます。

また、ハローワークの「専門援助部門」では、障害の特性に配慮した求人を紹介してもらえたり、専門の相談員からアドバイスを受けたりすることができます

一人で悩まず、こうした専門機関の力を借りて、自分の特性が強みとして活かせる仕事や職場環境を見つけることが、キャリアを築く上で非常に有効な戦略となります。

病院だけじゃない!今すぐ相談できる身近な窓口

「病院に行くのはまだハードルが高い」

「予約が数ヶ月待ちで、それまでどうすればいいかわからない」という方もいるでしょう。

医療機関への受診と並行して、あるいはその前段階として、気軽に相談できる窓口も存在します。

一人で悩みを抱え込まず、まずは話を聞いてもらうことから始めてみませんか。

公的な相談窓口:発達障害者支援センター・保健所

全国の各都道府県・指定都市には「発達障害者支援センター」が設置されています。

ここは、発達障害のあるご本人やそのご家族からのあらゆる相談に応じ、必要な情報提供や助言、関係機関への紹介などを行ってくれる、まさに支援の「司令塔」です。

医療、福祉、教育、労働など、様々な分野の専門家と連携しており、「どこに相談したらいいかわからない」という場合の最初の相談窓口として最も適しています。

相談は無料で、電話や面談で対応してくれます。

また、お住まいの地域の「保健所」や「精神保健福祉センター」でも、精神保健福祉士などの専門職が心の健康に関する相談に応じてくれます

これらの公的な窓口は、安心して利用できるセーフティーネットです。

民間のカウンセリングルームや当事者会

医療機関とは別に、民間のカウンセリングルームで臨床心理士や公認心理師によるカウンセリングを受けるという選択肢もあります。

診断や治療を目的とするのではなく、まずは自分の悩みや感情を整理したい、専門家とじっくり話したいという場合に有効です。発達障害に詳しいカウンセラーを探すことがポイントです。

また、「当事者会」に参加してみるのも良いでしょう。

当事者会は、同じADHDという特性を持つ人々が集まり、互いの経験や悩みを共有し、支え合う場です

他の人がどんな工夫をして困難を乗り越えているかという具体的な情報を得られるだけでなく、「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」という安心感や連帯感を得られることは、何物にも代えがたい心の支えとなります。

もしADHDと診断されなかったら?

勇気を出して受診した結果、「ADHDの診断基準は満たさない」と判断されることもあります。

その時、「じゃあ、この生きづらさは一体何なんだ」と途方に暮れてしまうかもしれません。

しかし、診断名がつかなかったからといって、あなたの困りごとがなくなるわけではありません。

そのような状態は「グレーゾーン」と呼ばれることもあります。

大切なのは、診断名にこだわるのではなく、「現に自分が何に困っているのか」という事実に焦点を当てることです。

医師によっては、診断はつかなくとも、困りごとを軽減するための薬を処方してくれたり、カウンセリングを勧めてくれたりします。

また、就労移行支援などの福祉サービスの中には、医師の意見書があれば診断名がなくても利用できるものもあります。

診断結果に一喜一憂せず、自分の特性を理解し、生活を楽にするための工夫やサポートを探し続けるという姿勢が重要です。

まとめ:勇気を出して、専門家への相談という第一歩を

この記事では、「ADHDかもしれない」と感じた時に、まず「何科」を受診すればよいのか、という疑問を入り口に、病院の選び方から診断プロセス、費用、そして診断後のサポートに至るまで、あなたが踏み出すべきステップを具体的に解説してきました。

大人は「精神科」や「心療内科」、子供は「小児科」や「児童精神科」が主な相談先となりますが、最も重要なのは診療科の名前ではなく、「発達障害の診療に精通した専門家」に繋がることです。

受診には勇気がいるかもしれません。

しかし、専門家に相談することは、長年一人で抱えてきた生きづらさの正体を突き止め、自分を責めるのをやめ、具体的な対策を講じるための最も確実で、最も賢明な第一歩です。

 

診断はゴールではなく、自分自身を深く理解し、自分に合った生き方を見つけていくための新しいスタートラインに他なりません。

 

この記事で得た知識を道しるべに、ぜひ、あなたにとっての次の一歩を踏み出してみてください。

その小さな勇気が、あなたの未来をより明るく、より生きやすいものに変えるきっかけとなるはずです。

この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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