適応障害とは、ストレスによって心身の健康のバランスが崩れ、社会生活に支障が出てしまう精神疾患です。原因がはっきりとしており、その状況やストレスにうまく対処できず、負担が大きくなると発症するといわれています。
今回は、適応障害の人にかけるとよい言葉をご紹介します。「適応障害の人との接し方がわからない」とお悩みの人は、ぜひ参考にしてください。
適応障害の人にかける言葉としてよいもの
適応障害の人は、自分で症状に気づいていないケースもあり、周囲の人の言葉かけやサポートによって本人の気持ちが大きく左右されてしまうこともあります。
適応障害の症状は、感情の変化や普段と異なる行動が見られるのが特徴です。強い不安や焦り、抑うつ気分があらわれ、人によっては高圧的な言動や無断欠勤など、いつもは見られない行動が出現する可能性もあります。なかには、意欲が減退して引きこもりになってしまうケースも少なくありません。
日常生活のみならず、社会活動や人間関係に影響を与える恐れもあるため、周囲が異変に気づき、適切にサポートすることが大切です。この章では、適応障害の人にかけるとよいとされている言葉をご紹介します。
参照:厚生労働省e-ヘルスネット/適応障害
参照:厚生労働省こころの耳「ご家族にできること」
「無理をせずにゆっくり休んでいいよ」
適応障害の人は自分で不調に気づかず、無理をしてしまう可能性があります。周囲の人が本人の不調に気づき、休んだほうがよいと判断した場合は休養を進めましょう。
適応障害では、ストレスの原因をなくすことが効果的とされています。たとえば仕事が原因なのであれば、仕事量や環境を調整して仕事をセーブしたり、休養が必要であればしばらく仕事を休めるようサポートしたりが必要です。「休んでも大丈夫」と伝えて、休むこと自体に不安を抱かないような声かけが大切です。
適応障害が原因で精神的・身体的不調が出ている場合、休みたくても本人が「これは甘えなのでは?」「怠けていると思われてしまうかも」と考え、無理をしてしまうケースも珍しくありません。その結果自分自身を追い込み、症状の悪化や慢性化を引き起こすおそれもあるのです。本人が「休んでも大丈夫なんだ」と思えるような声がけがポイントです。
「悩みがあればいつでも聞くよ」
適応障害の人は、誰にも相談できず一人で悩んでいるケースも多いとされています。さらに自分でも、何が不調の原因になっているのかに気づいていない人もいます。
話を聞いてあげることで本人の頭のなかが整理され、ストレスとなる原因を明確にできるでしょう。しかし無理に話を聞きだしたり、干渉し過ぎたりすると、逆効果となるおそれがあるため注意が必要です。本人から話をしてくるまでは、「いつでも話を聞くよ」と伝えて、過度に深入りし過ぎないことがポイントです。
「何かあればサポートするよ」
本人がストレスから離れられるように、周囲がサポートして環境を整えることも大切です。仕事がストレスの原因となっていれば、部署移動を提案したり、休養を勧めたりするのがよいでしょう。
しかし、この場合も周囲が勝手にあれこれ手を出すと、本人の負担となってしまうかもしれません。本人から「〇〇したい」と話をされてから、支援してあげるくらいのスタンスがよいでしょう。「何かあればサポートするのでいつでも教えてね」などと、いつでも支援できることを伝えるのが大切です。また、適度な距離感で温かく見守ってあげるだけでも、本人に安心感を与えられるでしょう。
適応障害かもと感じたら受診を促そう
適応障害は、家族や周囲の人々が本人よりも先に、普段と異なる様子に気づくことも少なくありません。明らかに日常生活や社会活動に支障をきたしている場合には、精神科や心療内科などの医療機関を受診するよう勧めてみましょう。
適応障害では、早期発見と早期治療が回復への近道です。不調を我慢して無理を続けると、症状の悪化や慢性化につながる恐れがあります。悪化すると、うつ病などのほかの精神疾患に移行してしまうケースもありますので、受診へのきっかけを作ってあげることが大切です。
適応障害の人にかける言葉には注意しよう|生活上での支援が必要なら「精神科訪問看護」へ
適応障害の人にかける言葉には良し悪しがあり、周囲の人々の配慮が必要です。「頑張れ」などの励ましの言葉は、プレッシャーを与えかねないため避けましょう。あくまで本人のペースで物事を進めることが大切です。
しかし症状が見られている場合には、医療機関の受診を促しましょう。受診したのち、日常生活を送るうえで支援が必要な場合には、精神科訪問看護の利用も選択肢のひとつです。
『訪問看護ステーションくるみ』は、精神科に特化した訪問看護ステーションです。地域の福祉施設や行政と連携を図り、利用者さまとその家族に寄り添ったサポートを提供いたします。サービスの利用に関しての不明点や疑問があれば、こちらからお気軽にお問い合わせください。