職場でうまくコミュニケーションが取れず、悩んでいる方がいるかもしれません。
子どもの頃は問題なかった行動が、大人になってからあらゆる場面に影響し、生きづらさを感じてしまうケースも。
その原因の1つに「自閉症」があります。
この記事では、大人の自閉症における特性や、その対処法について説明します。
「大人の自閉症」3つの特性
自閉症は発達障害の1つで、正式名称は「自閉症スペクトラム症(ASD)」といいます。
自閉症は、大人になってから急に発症するわけではなく、生まれつき脳の働きに違いがあることで起こります。
子どもの頃は、自閉症の特性が個性の1つと考えられるケースも少なくありません。
一方で大人になってから、自閉症の特性が仕事や社会生活に影響をきたし、問題やトラブルを引き起こすケースもあるでしょう。
自閉症の特性は、主に以下の3つがあります。
・社会性やコミュニケーションの特性
・興味や関心への特性
・感覚に対する特性
それぞれの特性を見てみましょう。
社会性やコミュニケーションの特性
1つ目の特性は、他人との距離感がつかめず、コミュニケーションがうまく取れない状態です。
具体的には以下の言動などが見られます。
・言葉通りに受けとめ冗談がわからない
・思ったことをそのまま口にして相手を怒らせてしまう
・自分の気持ちをうまく伝えられない
・曖昧な質問が苦手である
社会生活を送るうえで「仕事がうまくこなせない」「対人関係で悩んでしまう」などの問題を抱えるケースもあるでしょう。
興味や関心への特性
2つ目の特性は、特定のものへのこだわりが強く、自分の関心ごとを常に優先させる状態です。
主な例は以下となります。
・興味のある分野の知識は豊富である
・好きなものに集中するあまり、ほかの業務が疎かになる
・自分が決めたルールにこだわり、状況に適した対応ができない
興味がある分野へのこだわりは、知識を豊富にさせプラスになると考えられます。
その反面、こだわりが過剰に強いと融通がきかず、ほかの業務に支障をきたすケースも。
さらに、物事がルール通りに進まない場合には、いらだちやトラブルの原因になりかねません。
感覚に対する特性
3つ目の特性は、聴覚や視覚などの五感のいずれかが敏感であったり、鈍感であったりする状態です。
具体的には以下のような場合です。
・まぶしい場所が苦手で薄暗い部屋を好む
・大きな音は不得意である
・衣類の触りごこちが気になる
感覚への敏感さが強いストレスとなり、不安を強く感じるおそれがあります。
大人の自閉症に対する治療や対処法
大人の自閉症の特性がわかったところで、ここでは治療や対処法について解説します。
カウンセリングなどの心理療法
特性の1つである社会的コミュニケーションへの対処法として、カウンセリングが行われます。
まずは「ソーシャルスキルトレーニング」です。
これは、日常生活での困りごとに対応する方法を身につけるトレーニングです。
トラブルの原因に対して、どのような方法なら対処できるのかをロールプレイで学びます。
個別に専門家のカウンセリングを受け、自分の特性を理解しながら対処法を考える場合もあります。
薬物療法による対症療法
自閉症にともない出現している不安や抑うつ気分、不眠などの症状に対しては、薬物療法が有効です。
なかには、かんしゃくや多動、強いこだわりなどの特性に対して、薬物療法が選択されるケースもあります。
ただし、自閉症そのものを改善することは、難しいといわれています。
参照:厚生労働省 e-ヘルスネット/ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について
大人になって「自閉症かも?」と感じた際の相談先
自閉症の特性に当てはまり、悩みや問題を抱えている方は、専門家に相談するのがおすすめです。
そのまま生きづらさを感じながら生活することで、大きな精神的ストレスにつながるかもしれません。
ストレスを感じている状態が続くと、うつ病や不安障害などの精神疾患を発症するおそれもあります。
「仕事がうまくいかない」「楽しい日常が送れない」などの悩みがある方は、精神科などの医療機関を受診しましょう。
心理検査やスクリーニングテストなどで、適切な診断が受けられます。
また、「通院するのが難しい」「自宅で自分に合ったケアを受けたい」と考えている方は、訪問看護の利用も選択肢の1つです。
個別性の高い看護ケアやサポートが受けられます。
大人の自閉症は特性の強みと弱みを見極めることが大切
大人の自閉症は、個別の特性が問題やトラブルを引き起こす原因になるケースも少なくありません。
一方で、特性を自分の強みに変えることも可能です。
そのためには、自閉症や自分の特性を理解し、適切な対処法を見つけることが大切です。
自閉症の方の中には、特性にうまく対応できず、不安や悩みを抱えている方もいるかもしれません。
その場合には、訪問看護の利用を検討してみましょう。
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