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不安障害とパニック障害の違いを徹底解説|原因・症状・治療法まで詳しく紹介

2025.11.07 精神科訪問看護とは

「不安障害」と「パニック障害」は似たように思われがちですが、実際には発症のきっかけや症状の現れ方、治療法に違いがあります。どちらも適切な理解とサポートが必要な精神疾患であり、早期の対応が回復への近道です。この記事では、それぞれの特徴や違い、効果的な治療法について詳しく解説します。自分の症状を正しく理解し、心の健康を取り戻すための参考にしてください。

不安障害とは

不安障害とは、過剰な不安や心配が長期間続き、日常生活に支障をきたす状態を指します。誰でも不安を感じることはありますが、不安障害の場合、その不安が現実以上に強く、コントロールできないのが特徴です。精神的な症状だけでなく、身体的な不調も伴うため、本人にとって深刻な苦痛となります。

不安障害の主な原因

不安障害は、心理的要因・生物学的要因・環境的要因が複雑に絡み合って発症します。特に注目されるのは、脳内のセロトニンやGABAなどの神経伝達物質の働きの乱れです。これにより「安心を感じる仕組み」がうまく機能せず、常に緊張状態が続きます。
また、完璧主義や責任感が強い性格傾向の人は、ストレスを抱えやすく発症リスクが高いといわれています。家庭環境や職場の人間関係、過去のトラウマなどの外的要因も大きく影響します。

不安障害の症状

不安障害の症状は、精神的な不安だけでなく、身体にも現れます。動悸、息苦しさ、胃の不快感、頭痛、めまいなどが代表的です。また、集中力の低下や倦怠感、食欲の減退なども見られます。

心理的には「常に何か悪いことが起こるのでは」と感じ、安心できない状態が続きます。これが長期化すると、うつ状態に進行することもあります。不安障害は「心」と「体」の両方に影響を与える病気であることを理解することが重要です。

不安障害の種類と特徴

不安障害にはいくつかのタイプがあります。代表的なものは次の3つです。

  • 全般性不安障害:明確な理由がなく、常に不安が続く状態。日常の出来事すべてに過剰な心配を感じる。

  • 社会不安障害(社交不安症):人前で話す、食事をするなど「他人の目を意識する場面」で強い不安を感じる。

  • 強迫性障害(OCD):不合理だと分かっていても、確認や手洗いを繰り返さずにはいられない。
    これらはどれも本人に強いストレスを与え、社会生活に支障をきたすため、早期の受診と治療が大切です。

関連記事:不安障害の治し方や種類について解説|訪問看護を利用するのも選択肢の1つ

パニック障害とは

パニック障害は、不安障害の一種で、突然の強烈な恐怖と身体的反応が起こる病気です。この発作を「パニック発作」と呼び、発作が繰り返されることで「また起こるのでは」という予期不安が強まります。

やがて外出や電車、エレベーターなどの状況を避けるようになり、生活の範囲が狭くなるケースもあります。

パニック障害の主な原因

パニック障害の発症には、自律神経の乱れや脳内の神経伝達の不調が関係しています。特に、脳の「扁桃体」と呼ばれる恐怖を感じる中枢が過敏に反応することが分かっています。
また、ストレスが続く生活、睡眠不足、過労、アルコールやカフェインの摂取過多なども発症を助長します。体の反応を「危険」と誤解することで、恐怖が増幅されるのです。

関連記事:パニック障害の初期症状とは?自宅でできる4つの対処法と精神科での治療のポイント

パニック発作の特徴

パニック発作は、突然起こる強い身体的反応が特徴です。心臓が激しく鼓動し、呼吸が乱れ、「このまま死んでしまうのでは」と感じるほどの恐怖に襲われます。発作は数分〜30分ほどでおさまりますが、その体験が脳に刻まれ、次の発作への恐怖が生まれます。この「発作の恐怖」が日常生活を制限する最大の原因になります。

予期不安と広場恐怖

パニック障害の進行段階で現れるのが「予期不安」と「広場恐怖」です。予期不安とは「また発作が起きたらどうしよう」という先回りの不安であり、発作がなくても強い緊張状態が続きます。広場恐怖は、「発作が起きても逃げられない」と感じる場所を避ける行動です。電車、エレベーター、映画館など、人が多い閉鎖的な場所を怖がる傾向があります。

不安障害とパニック障害の違い

不安障害とパニック障害は、どちらも「不安」という共通の感情を基盤としています。しかし、発症の仕組みや症状の現れ方、治療アプローチには明確な違いがあります。混同されやすい疾患ですが、その違いを理解することで、より適切な対応と治療を選択することができます。

不安障害は「不安が持続する病気」であり、パニック障害は「突然の強い恐怖に襲われる病気」です。両者の違いを以下で詳しく見ていきましょう。

不安の性質と発生のタイミング

不安障害における不安は、比較的ゆるやかに始まり、長期間持続する傾向があります。常に「何か悪いことが起こるのでは」と感じ、現実以上に心配する状態が続きます。このため、仕事や家庭など、日常生活のあらゆる場面で不安が支配的になります。

一方、パニック障害の不安は突発的です。特定の状況とは無関係に、突然心拍数が上がり、息ができないほどの恐怖に襲われます。そのため、本人は「原因の分からない恐怖」に強い混乱を覚えます。つまり、不安障害は『続く不安』、パニック障害は『爆発する恐怖』という違いがあります。

身体的症状の違い

不安障害では、全身の筋肉の緊張や頭痛、胃の不快感など、比較的慢性的な身体症状が現れます。これは、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が長期間続くことで、自律神経が疲弊してしまうためです。

一方で、パニック障害の身体症状は急性かつ劇的です。動悸、息苦しさ、めまい、震え、発汗、喉の詰まり感などが一気に現れます。中には救急車を呼ぶほどの恐怖を感じる人もおり、心臓発作と誤解されることもあります。発作が起きるたびに「死ぬかもしれない」という感覚に襲われるのが特徴です。

心理的な特徴の違い

不安障害は、「将来への過剰な心配」が中心にあります。仕事の失敗、家族の健康、人間関係など、日常の出来事を必要以上に悲観的に捉えてしまう傾向があります。頭の中で何度も同じことを考え、抜け出せない「思考のループ」に陥ることも少なくありません。

パニック障害では、「自分の体の反応への恐怖」が中心です。心臓がドキドキする、息が苦しいといった身体感覚を「異常」と捉え、「このまま倒れてしまうのでは」という恐怖を感じます。この恐怖が強化されると、再び発作が起きることへの予期不安に苦しむようになります。

行動パターンの違い

不安障害の人は、不安を避けるために「確認行動」や「準備行動」を繰り返す傾向があります。たとえば、「何度も戸締りを確認する」「予定を過剰に立てる」といった行動です。これにより、一時的に安心を得ますが、長期的には不安を強化してしまう悪循環に陥ります。

一方、パニック障害では、「発作が起きそうな場所」を避ける回避行動が強まります。電車やエレベーター、映画館、人混みなど、逃げられない場所を避けるようになり、外出自体が困難になるケースもあります。結果として、社会的な孤立やうつ病の併発につながることもあります。

脳内メカニズムの違い

不安障害とパニック障害では、脳内で働く神経伝達物質や神経回路にも違いがあります。
不安障害では、セロトニンやGABA(抑制性神経伝達物質)の働きが低下し、脳が「安心信号」を出せなくなります。長期的なストレスがこの働きをさらに悪化させ、不安の悪循環を生み出します。

パニック障害では、「扁桃体」と呼ばれる恐怖反応を司る脳の部分が過敏に反応します。脳幹部の呼吸・心拍制御システムとも連動しており、身体反応と心理反応が一体化して過剰に働くことが特徴です。このように、両者は「脳が感じる不安の種類」からして異なっているのです。

診断基準と治療の方向性

診断の際には、DSM-5(米国精神医学会の診断基準)を用います。不安障害は6か月以上持続する不安や緊張がある場合に診断され、パニック障害は「繰り返す予期しないパニック発作」と「発作への持続的な恐怖」が条件となります。

治療方針も異なり、不安障害では「生活習慣・ストレスマネジメント・心理療法」を中心に進めるのに対し、パニック障害では「発作への対処スキル」や「暴露療法」を重視します。どちらも薬物療法と心理療法を併用することで高い改善率が得られると報告されています。

不安障害・パニック障害の治療法

不安障害やパニック障害の治療は、薬物療法と心理療法を組み合わせることが基本です。症状の強さや生活環境によって治療方針が異なりますが、「焦らず、少しずつ慣らしていく」ことが共通のポイントです。

認知行動療法(CBT)の効果

認知行動療法は、不安や恐怖を引き起こす「思考のクセ」を修正する治療法です。たとえば、「動悸がする=危険」という思考を「一時的な体の反応であり、命に関わるものではない」と再解釈します。これにより、恐怖が現実的なレベルに戻り、発作の頻度が減少します。

また、思考の記録や行動の振り返りを通して、「不安を感じても回復できる」という成功体験を積み重ねることが重要です。

薬物療法の種類と特徴

薬物療法では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRIが第一選択薬として用いられます。これらは脳内のセロトニン濃度を安定させ、不安の緊張を和らげる効果があります。
発作時の一時的な対応としては、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬が処方されることもあります。ただし、長期使用は依存のリスクがあるため、医師の指導のもとで慎重に使うことが大切です。薬だけに頼らず、心理的サポートと併用することでより高い改善効果が得られます。

暴露療法(エクスポージャー療法)

パニック障害や社会不安障害に対して効果的な心理療法の一つが暴露療法です。これは、避けていた状況や場所に少しずつ身を置き、恐怖を感じても安全であることを体験的に学ぶ方法です。

たとえば、電車に乗ることが怖い人が、まずは「駅まで行く」→「1駅だけ乗る」→「数駅先まで行く」と段階的に挑戦していきます。この繰り返しによって、脳が「危険ではない」と学習し、恐怖反応が弱まります。

心理教育と家族支援

患者本人だけでなく、家族が病気を理解することも重要です。不安障害やパニック障害は、外から見ると「気の持ちよう」と誤解されやすい疾患ですが、脳の働きの異常が関係しています。家族が病気を正しく理解することで、過度な励ましや否定的な言葉を避け、安心できる環境を整えることができます。

また、患者が再発を防ぐためには、周囲が「症状が出ても大丈夫」と受け止めてくれることが大切です。

生活習慣の整え方

精神的な安定には、規則正しい生活が欠かせません。睡眠不足やカフェインの摂取過多は不安を強めるため、避けるようにしましょう。軽い運動や散歩は、セロトニン分泌を促し、ストレスの軽減に役立ちます。バランスの取れた食事、十分な休息、趣味や社会活動への参加など、日常の中に「心のリズム」を取り戻す工夫が求められます。

日常生活でのセルフケアと再発予防

不安障害やパニック障害は、治療によって改善しても再発することがあります。日常生活の中で自分をケアし、再発を防ぐことが重要です。

ストレス管理の実践法

ストレスをため込まないためには、自分の感情に気づくことが第一歩です。「疲れた」「不安だ」と感じたときに、無理をせず休むことが重要です。呼吸法やマインドフルネス瞑想は、心拍を落ち着け、自律神経のバランスを整えます。

また、「できたこと」を意識的に記録するポジティブ・ジャーナリングも有効です。自分を責める思考から、「少しずつ進めている」という実感に切り替えられます。

社会的サポートを活用する

心療内科やカウンセリングの他にも、地域の支援サービスや訪問看護などがあります。定期的なフォローを受けることで、孤独感が軽減され、症状の悪化を防ぐことができます。
特に、在宅で療養を続けたい方や外出が不安な方にとって、精神科特化の訪問看護は大きな支えになります。

周囲との関わり方

家族や職場に自分の状態を正直に伝えることも大切です。理解を得ることで、プレッシャーが軽減され、安心して治療に専念できます。「話すこと」は決して弱さではなく、回復への勇気ある一歩です。

まとめ

不安障害とパニック障害はどちらも「不安」を中心とした疾患ですが、その不安の形や強さ、現れ方には明確な違いがあります。不安障害は長期的で慢性的、パニック障害は突発的で強烈な恐怖反応を伴うのが特徴です。

治療では、薬物療法と心理療法の併用、そして生活習慣の改善が不可欠です。焦らず、少しずつ「安心できる自分」を取り戻していきましょう。

アルコール依存症や不安障害、パニック障害などで悩んでいる方は、訪問看護を利用するのも一つの手です。相談をすることが大切なので、ぜひ「訪問看護ステーションくるみ」へご相談ください。

大阪市、寝屋川市、守口市、
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※訪問は20時まで
対応させていただいております。

この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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