
物音や声など、聞こえるはずのない音が聞こえて困っていませんか。幻聴は、まわりの人に理解してもらえず、日常生活に支障が出ることもあります。
この記事では、幻聴が聞こえる原因や考えられる病気、対処方法や治療についてご紹介します。
大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象
“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」
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※訪問は20時まで
対応させていただいております。
幻聴とは?
幻聴とは、実在しない音や声が聞こえることを言います。
幻聴は幻覚の一種で、人により聞こえ方はさまざまです。
幻聴はどのような症状があるのか、幻聴が聞こえると日常生活にどのような影響があるのか、解説します。
参照:国立精神・神経医療研究センターこころの情報サイト「統合失調症」
幻聴の症状
幻聴に関する訴えには下記のようなものがみられます。
・悪口を言われた、いじめを受けたと訴えるが実際には何も言われていない
・死ねという声が聞こえる
・命令する声が聞こえる
このように、実在しない声や音が聞こえますが、複数の声が聞こえたり、1人の声が聞こえたりと症状はさまざまです。
参照:国立精神・神経医療研究センターこころの情報サイト「統合失調症」
参照:厚生労働省「こころの病気について知る|統合失調症」
幻聴の種類
幻聴には、3つの種類があります。
| 幻聴の種類 | 症状 |
| 言語性幻聴 | 対話性、非対話性に分類され、自分の噂話をする声や自分に話しかける声が聞こえる |
| 複雑性幻聴 | 物音などではなく、メロディなど音楽のように複雑な音が聞こえる |
| 要素性幻聴 | ノックするような音や虫の音などの物音が聞こえる |
幻聴の原因

幻聴が生じる背景には複数の要因があります。強いストレスや過去のトラウマ、薬物やアルコールの影響などが大きく関係します。さらに脳の神経伝達物質の乱れも関与しているとされ、精神疾患の一部として出現することも少なくありません。原因を理解することは、幻聴を適切に治療・対処する第一歩です。
ストレス
強いストレスは幻聴を引き起こす代表的な要因です。職場や家庭での過剰なプレッシャー、孤独感、睡眠不足が積み重なることで、脳の働きに負担がかかります。その結果、現実には存在しない音や声を知覚するようになります。ストレス由来の幻聴は一時的なこともありますが、放置すると慢性化するため注意が必要です。
トラウマ
過去の心的外傷体験、いわゆるトラウマが幻聴の原因になることもあります。特に虐待や事故、災害の経験が強烈に残っている場合、当時の声や音が再現されるように聞こえるケースがあります。PTSDの症状として現れることも多く、記憶の再体験と結びついて強い苦痛を伴います。
薬物・アルコール
薬物乱用やアルコール依存も幻聴の原因となります。特定の薬物は脳内の神経伝達を過剰に刺激し、現実とは異なる音を感じさせることがあります。アルコール依存では離脱症状として幻聴が出る場合もあり、命に関わる危険を伴うことがあります。物質による幻聴は専門的な治療が不可欠です。
関連記事:統合失調症の幻聴とは?症状・原因・対処法を詳しく解説
幻聴が聞こえる主な3つの原因は?何かの病気?
幻聴が聞こえる場合、どのような病気が原因と考えられるのでしょうか。
考えられる3つの原因や病気について解説します。
原因1:統合失調症
1つ目は統合失調症です。統合失調症は心や考えがまとまりづらくなってしまう病気で、日本での患者数は約80万人(2017年)と、100人に1人がかかると言われています。
幻覚や妄想が特徴的な症状ですが、その他にも考えがまとまらず、支離滅裂に話をしたり、悲しい場面で笑ってしまったりと、頭で考えていることと行動がちぐはぐになるなどのさまざまな症状や行動が、人間関係などに影響を及ぼします。
統合失調症による幻聴は、自分の悪口や噂、命令などが聞こえる幻聴が多いようです。
参照:厚生労働省「eヘルスネット|統合失調症」
参照:厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」
原因2:PTSD(心的外傷後ストレス)
PTSDは心的外傷後ストレス障害と言い、生死に関わるような体験をし、強い衝撃を受けたあとで、トラウマになる圧倒的な出来事を経験した後に始まる、日常生活に支障をきたす強く不快な反応です。
PTSDの特徴的な症状が、過去のできごとがよみがえる「フラッシュバック」です。
フラッシュバックが起こる時に、当時の音や声が幻聴として聞こえることがあります。
参照:厚生労働省「eヘルスネット|PTSD」
参照:国立精神・神経医療研究センターこころの情報サイト「PTSD|PTSDとは」
参照:MSDマニュアル家庭版「心的外傷後ストレス障害 (PTSD)」
原因3:双極性障害
双極性障害では躁状態やうつ状態の変動に伴い幻聴が現れることがあります。特に気分の変動が激しい時期に症状が出やすく、妄想と結びつく場合もあります。症状を安定させるためには、薬物療法と生活リズムの管理が不可欠です。
原因4:薬物
覚醒剤や大麻などの薬物は、依存や中毒を引き起こします。依存するようになると、自分の意志により薬物使用がコントロールできなくなってしまいます。
薬物に依存し乱用を続けると、使用している最中や、使用後に中毒症状として、妄想や幻聴が聞こえることがあるのです。
幻聴による影響
幻聴が聞こえることにより、どのような影響が現れるのでしょうか。主な影響は2つあります。
・症状が悪化し、妄想につながる
・幻聴により、社会生活への影響が出る
それぞれ解説していきます。
症状が悪化し、妄想につながる
幻聴が起こると、「自分の考えがまわりの人に伝わっている」と思い込みをしてしまう方もいます。また、現実と幻聴の区別がつきにくくなってしまうこともあるでしょう。
思い込みが続くと、「悪口を言われている」「嫌がらせを受けている」などの妄想につながるケースもあります。幻聴から妄想が起こると、さらに症状が悪化するという悪循環を生む原因になるのです。
参照:厚生労働省「ヘルプノート|統合失調症」
参照:厚生労働省「セルフメンタルヘルス」
幻聴により、社会生活への影響が出る
幻聴が頻繁に起こると、勉強や仕事に集中できなくなります。「常に誰かに話しかけられている」「物音がずっと聞こえる」という状態であれば、集中できなくなるのも無理はないでしょう。
勉強や仕事に集中できないことから、さらにストレスを感じることもあります。
幻聴が聞こえるときの対処法、治療法
では、幻聴が聞こえるときは、どうすればいいのでしょうか。ここからは幻聴が聞こえる時の対処法を紹介します。
休息を取りとリフレッシュをする
まず大切なのは、休息をとることです。幻聴は心身ともに疲労がたまって、不安感が強い時に症状が現れやすいため、休息をとり、リフレッシュする時間を作りましょう。
幻聴が聞こえるときは、散歩をしたり、音楽を聞いたり、外出したりとなるべく気分転換して過ごしましょう。
人により、自分に合っている方法が異なるため、自分に合ったリフレッシュ方法や効果的な方法を見つけてくださいね。
なるべく早く精神科を受診し治療する
そしてもう一つ大切なのは、なるべく早く精神科を受診することです。
統合失調症やPTSDなど、疲れやストレス以外に病気が原因で幻聴が聞こえる場合、病気の治療により、症状の改善につながります。
受診をためらううちに症状がどんどん悪化してしまうこともあり、症状が悪化してから受診すると、症状の改善までに時間がかかってしまうケースが多いです。
早期発見、早期治療が症状の改善に重要なので、なるべく早く精神科を受診しましょう。また、精神科においては代表的なものとして、統合失調症、双極性障害(躁うつ病)、うつ病、強迫性障害(OCD)、パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、全般性不安障害(GAD)、社交不安障害、適応障害なども診療することができます。
幻聴を確認する方法
幻聴かどうかを自分で判断するのは難しいですが、周囲の協力や客観的な方法を取り入れることで確かめやすくなります。幻聴は本人には現実の音として感じられるため、他人や機器を介して確認することが重要です。正確に把握することは早期の受診や治療につながり、安心感を得る手助けにもなります。
周りに聞いてみる
幻聴を感じたときには、まず身近な人に「今の音や声が聞こえたかどうか」を確認してみる方法があります。他の人に聞こえていない場合は、幻聴の可能性が高まります。このやり取りは自分の状態を客観的に認識するための大切な手がかりになります。ただし、何度も周囲に確認すると人間関係に影響を与えることもあるため、繰り返し続く場合は医師に相談することが望ましいです。
録音する
幻聴を確認するもう一つの方法は録音機器を利用することです。声や音が実際に発生していれば録音に残りますが、何も記録されていなければ幻聴の可能性が高いと判断できます。自分で確かめられるため安心材料になりますが、録音に残らないからといって軽視するのは危険です。幻聴は精神疾患の症状として現れる場合もあるため、確認できた段階で早めに医療機関へ相談することが大切です。
幻聴に関するよくある質問
幻聴に悩む方は「どんな声が聞こえるのか」「自分で治せるのか」といった疑問を抱きがちです。実際に多く寄せられる質問を整理し、症状の特徴や対応の考え方をわかりやすく解説します。理解を深めることで安心につながり、受診や相談のきっかけになります。
幻聴はどんな声で聞こえますか?
幻聴として聞こえる声は人によって大きく異なります。知らない人物の声に感じる場合もあれば、家族や知人の声が聞こえることもあります。内容は「命令」「批判」「会話の断片」など多様で、本人にとって強い不安を引き起こすケースが少なくありません。声の調子や口調もリアルに感じられることが多く、現実との区別が難しくなるのが特徴です。気になる場合は早めの受診を検討してください。
幻聴は自分で治すことはできますか?
幻聴はストレスや疲労によって一時的に軽減することもありますが、完全に自力で治すのは難しい症状です。特に統合失調症やPTSDなどの病気が背景にある場合、医師の診断と治療が不可欠です。自己判断で放置すると悪化や再発のリスクが高まるため、まずは精神科や心療内科で相談することが大切です。生活習慣の改善やリラクゼーションを併用することは補助的に役立ちます。
幻聴はどんな感じの音ですか?
幻聴は声だけでなく、雑音や環境音のように感じられる場合もあります。例えば、ドアの開閉音や足音のような日常的な音が繰り返し聞こえるケースもあります。意味を持たない音であっても、本人にとっては強い現実感があり不安を高める要因となります。症状が続く場合や生活に支障を及ぼす場合には、精神科での診察を受けることが推奨されます。
関連記事:【精神科訪問看護師が解説!】精神疾患を抱える方への重要な看護師のコミュニケーション方法とは?
サポートが必要な場合は精神科訪問看護の利用を検討してみて
「幻聴が聞こえて日常生活がつらい」「家族としてサポートしたいけれど、どのようにサポートすればいいのかわからない」このように悩むこともあるでしょう。
精神科を受診し、精神科医が訪問看護が必要と判断すれば、精神科訪問看護を利用できます。精神科訪問看護では、服薬管理や日常生活のサポート、家族のサポートなどが受けられます。
自宅での服薬管理や支援が難しい場合、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
「訪問看護ステーションくるみ」は、精神科に特化した訪問看護ステーションです。地域の福祉施設や行政と連携を図り、利用者さまとその家族に寄り添ったサポートを提供いたします。
「自宅での生活が不安」「気軽に相談できる人が欲しい」などとお考えの方は、精神科訪問看護利用を検討してみましょう。
サービスの利用にあたり、聞きたいことや確認したいことがある方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。
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