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双極性障害の原因を徹底解説|遺伝・環境・脳科学から読み解くメカニズム

2025.11.07 精神科訪問看護とは

双極性障害は、躁状態と抑うつ状態を周期的に繰り返す精神疾患です。その原因は一つではなく、遺伝、脳の働き、心理的要因、環境的ストレスなど複数の要因が絡み合っています。本記事では、科学的根拠に基づいて双極性障害の原因を多角的に分析し、治療と再発防止に役立つ理解を深めます。

双極性障害とは何か

双極性障害は、感情の振れ幅が極端になり、生活機能に影響を与える病気です。単なる気分の変化とは異なり、医学的に治療が必要な状態です。ここでは基本的な特徴と診断の難しさを解説します。

躁状態と抑うつ状態の特徴

躁状態では気分が異常に高揚し、活動的になり、判断力が低下して衝動的な行動を取ることがあります。反対に抑うつ状態では、気分の落ち込みや無気力、集中力の低下などが見られます。この気分の振れ幅が極端で、社会生活に支障をきたす場合に双極性障害と診断されます。

また、これらの状態は周期的に入れ替わるため、周囲から理解されにくいことが多く、本人も戸惑いや自己否定に苦しむ傾向があります。医療的な支援が不可欠です。

双極性障害の主な分類(Ⅰ型とⅡ型)

双極性障害は主にⅠ型とⅡ型に分類されます。Ⅰ型は明確な躁状態と重度のうつ状態があり、入院が必要になるケースもあります。Ⅱ型は軽躁状態と抑うつ状態を繰り返すタイプで、うつ症状が中心です。

Ⅱ型は気づかれにくく、うつ病と誤診されることもあります。この違いを理解することで、治療方針や生活支援の方向性をより適切に設定できます。どちらの型も早期発見と継続的な治療が重要です。

診断基準と判断の難しさ

診断にはDSM-5やICD-10といった国際基準が用いられますが、症状の現れ方には個人差があります。初期段階では抑うつ期だけが表れ、躁状態が確認されにくいため、うつ病と診断されてしまうことが多いです。正確な診断には、医師による継続的な観察と本人・家族の情報共有が欠かせません。早期に適切な治療を始めることで、再発を防ぎやすくなります。

双極性障害の原因を理解する重要性

原因を理解することは、再発予防や治療の方向性を明確にするうえで不可欠です。ここではその意義を詳しく説明します。

原因を知ることが治療に繋がる理由

双極性障害は慢性的に経過する疾患であり、治療には長期的な視点が必要です。原因を理解することで、適切な治療方針やセルフケアの方法を選択できるようになります。例えば、ストレスが引き金であれば環境調整、睡眠リズムの乱れが要因なら生活指導が有効です。自分の発症要因を知ることが、再発防止の第一歩です。

誤解されやすい「性格が原因」という偏見

双極性障害は「気分の波が激しい」「わがまま」と誤解されがちですが、性格が原因ではありません。脳の神経伝達のバランスが崩れることによる医学的な疾患です。この誤解を解くことが、本人や家族の負担を軽減する第一歩です。偏見をなくす社会的な理解が、治療の継続を支える大切な基盤となります。

科学的根拠に基づくアプローチの必要性

感情の問題として片づけるのではなく、科学的な視点から治療を行うことが重要です。心理療法や薬物療法、社会的支援を組み合わせた総合的アプローチが再発を防ぎます。根拠に基づいた治療が、回復への最短ルートです。

関連記事:双極性障害の末期症状とは?進行の兆候と回避策

遺伝的要因による影響

遺伝は双極性障害の重要なリスク因子の一つです。家族に発症者がいるとリスクが高まりますが、それが全てではありません。

家族に双極性障害がいる場合の発症リスク

研究によると、親や兄弟が双極性障害である場合、発症リスクは上るといわれています。しかし、遺伝子の影響は「発症のしやすさ」であり、「必ず発症する」わけではありません。環境要因やストレスの影響が重なって初めて発症するケースが多いのです。

遺伝子レベルで見た脳の神経伝達の異常

最近の研究では、脳内のセロトニンやドーパミンの伝達に関わる遺伝子に変異があることが報告されています。これにより感情のコントロール機能が乱れやすくなります。つまり、遺伝的要素は気分の安定を保ちにくい体質を形成する背景として働いているのです。

遺伝だけでは発症しない理由

遺伝的な要因を持っていても、必ずしも発症するわけではありません。環境や生活習慣、ストレスへの対処力などが関与します。遺伝は「下地」であり、そこに外的刺激が加わることで症状が顕在化します。このため、遺伝的素因がある人こそ、予防的なケアが重要です。

脳科学的な原因とメカニズム

脳の働きに着目すると、双極性障害は神経伝達物質の異常や脳構造の変化が関与しています。

神経伝達物質の乱れ(セロトニン・ドーパミン)

セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が感情のバランスを保っています。これらのバランスが崩れると、躁状態や抑うつ状態が現れるのです。
特にドーパミン過剰は躁状態、セロトニン低下はうつ状態と関連が深いとされています。

脳内ネットワークの機能不均衡

脳の前頭前野、扁桃体、海馬などの領域が感情調節を担っています。双極性障害ではこれらの領域の連携が弱まり、感情を安定的に制御できなくなることがわかっています。このネットワーク異常が、気分の波を生み出す要因の一つです。

ストレス反応系と脳の構造変化

慢性的なストレスが続くと、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰分泌されます。これが脳内の神経細胞にダメージを与え、感情の安定機能を低下させます。脳の構造変化が再発の引き金になることもあるため、ストレス管理が非常に重要です。

心理的・社会的要因の関与

双極性障害の発症や再発には、心理的ストレスや社会的プレッシャーが深く関係しています。遺伝や脳の働きだけでなく、日々の人間関係や生活環境の変化が脳や心に大きな負担を与え、症状を悪化させることがあります。ここでは心理的・社会的な観点からその要因を探ります。

ストレスやトラウマの影響

慢性的なストレスや過去のトラウマは、双極性障害のリスクを高めると考えられています。特に幼少期に受けた虐待、いじめ、親との不安定な関係などの心理的負荷は、成長後の情緒調整能力に影響を与えます。

脳のストレス応答系であるHPA軸が過剰に働くことで、ホルモンのバランスが崩れ、感情の振れ幅が大きくなるのです。心に深い傷がある場合、それが発症や再発のきっかけになることもあります。

こうした過去の出来事を乗り越えるためには、心理療法やカウンセリングを通じて感情を整理し、自己理解を深めることが大切です。自分の過去を否定せず、受け入れる力を育むことが、安定した生活への第一歩となります。

家庭環境・人間関係のプレッシャー

家庭内での不和、職場での人間関係の摩擦、社会的孤立は、双極性障害の発症リスクを高める代表的な要因です。家庭環境の中で過度な期待や批判を受け続けると、自己肯定感が低下し、ストレスが慢性化します。

特に「常に頑張らなければならない」「失敗してはいけない」といったプレッシャーは、心に強い緊張を生み出します。このような状態が続くと、脳が過剰に興奮し、感情のコントロールが難しくなります。

家族や周囲の人が理解を深め、相手を批判せずに支える姿勢を持つことで、再発リスクは大きく減少します。良好な人間関係は、治療の継続にも良い影響を与えます。

ライフイベントと再発リスクの関係

結婚、出産、転職、引っ越しなど、人生の転機となる出来事は喜ばしいことも多いですが、同時にストレスを伴います。急激な環境変化は生活リズムを崩し、気分の波を強める要因となります。双極性障害の人は、ポジティブな出来事であっても心身に負担がかかる点に注意が必要です。

ライフイベントの前後には休息を取り、無理をしない計画を立てることが重要です。また、変化に対応するために支援者や医師と連携し、予防的な調整を行うことも効果的です。

生活習慣と身体的要因

生活習慣の乱れや身体的変化も、双極性障害の原因や悪化要因として無視できません。特に睡眠、食事、運動のバランスは、感情の安定に直結します。

睡眠リズムの乱れがもたらす影響

睡眠は脳の回復と感情の整理に欠かせません。不眠や昼夜逆転が続くと、脳のホルモン分泌や神経伝達が乱れ、躁状態や抑うつ状態を引き起こすリスクが高まります。特に躁状態の前兆として「眠らなくても元気」という兆候が見られる場合は要注意です。

治療の現場では、規則正しい睡眠スケジュールを保つことが最も基本的で効果的な対策の一つとされています。就寝・起床時間を一定にし、睡眠環境を整えることで再発を防ぎやすくなります。

アルコール・薬物依存との関係

アルコールや薬物は、気分を一時的に高揚させたり、不安を和らげたりする作用があります。しかし、これらは脳の神経伝達を強制的に変化させ、結果的に症状を悪化させる危険があります。特にアルコール依存や向精神薬の誤用は、躁状態を誘発するリスクが非常に高いです。

自分でコントロールできない飲酒や服薬がある場合、早めに医療機関へ相談することが重要です。依存治療と双極性障害治療を並行して行うことで、安定した回復が望めます。

ホルモンバランスと自律神経の変化

ホルモンの変化も、気分の不安定さに関係します。特に女性では月経周期、妊娠、更年期などでホルモン量が変動し、感情の揺れが強くなることがあります。自律神経もまた、ストレスや不眠で乱れると感情の波に影響します。

身体の状態を整えるためには、バランスの取れた食事や適度な運動が有効です。体調と気分を記録することで、自身のパターンを把握しやすくなります。

環境的・社会的ストレスとの関連

現代社会は情報量が多く、人間関係も複雑です。社会的ストレスが長く続くと、心のバランスが崩れ、双極性障害の発症・悪化を招くことがあります。

職場・学校など社会環境のストレス

職場や学校での過重労働、対人トラブル、評価への不安などは、心身に強い負担を与えます。特に真面目で責任感の強い人ほど無理をしてしまい、ストレスを自覚しにくい傾向にあります。「頑張りすぎる人ほど危険」といわれるのはそのためです。

ストレスの兆候を早期に察知し、休息を取る勇気を持つことが予防につながります。組織や学校側も、メンタルヘルスに配慮した環境を整えることが重要です。

孤立や支援不足が症状を悪化させる仕組み

人とのつながりが希薄になると、感情の整理が難しくなり、孤立感や無力感が増大します。孤独は脳の報酬系を刺激し、ストレスホルモンを上昇させることが研究でわかっています。支援のない孤立は、うつ状態を深刻化させる最も危険な要因の一つです。

孤独を防ぐためには、地域活動やグループワークなどで人との交流を維持することが効果的です。サポートを受け入れる姿勢も回復に大きく寄与します。

支援ネットワークの重要性

医療機関、家族、地域支援者などが連携して支える体制は、回復を長期的に安定させます。誰かが見守ってくれているという安心感は、薬よりも強力な支えになることがあります。

双極性障害は一人で向き合うものではなく、支援ネットワークを活用して社会とのつながりを保つことが重要です。訪問看護や地域連携サービスを利用することで、安心した生活を続けられます。

原因に基づく治療とサポートの方向性

双極性障害は原因を理解してこそ、適切な治療が可能になります。薬物療法・心理療法・社会的支援を組み合わせ、個々の状況に合ったアプローチを取ることが理想です。

薬物療法で神経伝達を安定させる

主に気分安定薬(リチウム、バルプロ酸など)が使用されます。これらは神経伝達のバランスを整え、躁状態・抑うつ状態の波を小さくします。リチウムは再発予防効果が高く、長期治療の中心的薬剤です。医師の指導のもと、定期的な血中濃度チェックを行うことが安全な治療の鍵です。

心理療法によるストレスマネジメント

認知行動療法(CBT)や対人関係療法(IPT)は、感情のパターンを理解し、ストレス対処力を高めます。心理療法によって「再発の予兆」に気づく力を育てることができます。思考を整理し、現実的な問題解決を行うことで、生活の質も向上します。

社会的支援と訪問看護の役割

訪問看護は、治療を継続するための重要なサポートです。自宅での服薬管理や生活支援、医療機関との連携を通じて、再発を未然に防ぐ役割を果たします。医療・福祉・家族をつなぐ架け橋として機能するのが訪問看護です。社会的支援と医療的支援を併用することで、より安定した生活を送ることが可能になります。

関連記事:双極性障害の末路とは?リスクと回避する具体策を詳しく解説

再発を防ぐためのセルフケアと支援

双極性障害は再発率が高い疾患ですが、正しいセルフケアと支援を受けることで長期的な安定が期待できます。

生活リズムの維持とストレス対策

規則正しい生活を心がけることで、気分の波を抑えられます。「寝る時間」「食べる時間」「休む時間」を一定に保つことが脳の安定に直結します。リズムの乱れを感じた時点で早めに対処し、過労や睡眠不足を避けましょう。

家族や職場とのコミュニケーション

周囲との信頼関係は、回復に欠かせません。症状の特徴を共有し、サポートを得ることで安心感が高まります。理解し合う環境が、治療継続を支える力になります。家族会や相談支援を活用し、孤立しない環境をつくることが重要です。

医療機関や訪問看護を活用する方法

治療を継続する上で、訪問看護は非常に効果的な支援です。自宅で専門スタッフが体調を確認し、服薬・生活面をサポートします。「一人で抱え込まない」ことが、再発を防ぐ最良の方法です。

まとめ

双極性障害は、遺伝・脳・心理・環境など多面的な要因が絡み合って発症します。原因を理解し、自分に合った支援を受けることで、安定した生活を取り戻すことができます。再発を防ぐには、規則正しい生活リズムと社会的支援の両立が欠かせません。

アルコール依存症や双極性障害など、心の病で悩んでいる方は、訪問看護を利用するのも一つの手です。相談することが大切ですので、ぜひ「訪問看護ステーションくるみ」へご相談ください。地域に密着した精神科訪問看護として、あなたとご家族の安心を全力で支えます。

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この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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