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双極性障害の薬と治療法|気分を安定させる薬の種類と副作用のすべて

2025.11.07 精神科訪問看護とは

双極性障害は、躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患であり、適切な薬物療法が症状の安定に欠かせません。リチウムをはじめとする気分安定薬や抗精神病薬は、気分の波を和らげ再発を防ぐ効果があります。

しかし、薬の選択や副作用には個人差があり、医師との連携が不可欠です。本記事では「双極性障害クスリ」という観点から、薬の種類・特徴・注意点をわかりやすく紹介します。

双極性障害における薬物療法の重要性

双極性障害の治療において、薬物療法は症状の安定と再発予防の要です。躁とうつの両方を抑えながら、気分のバランスを整えるために継続的な服薬が求められます。

薬物療法の目的と効果

薬物療法の最大の目的は、気分の波を小さくし、生活への支障を減らすことです。リチウムなどの気分安定薬は、躁状態を抑え、うつ状態を軽くする効果が期待できます。また、抗精神病薬は感情の高ぶりや衝動を和らげ、安定した思考を取り戻す助けになります。

治療を続けることで、再発率を半減できることが研究でも明らかになっています。症状が落ち着いた後も、再発を防ぐために一定期間の服薬を続けることが推奨されます。つまり、薬物療法は双極性障害における「再発防止の最前線」といえるのです。

薬物療法の進め方

治療の初期では、症状に合わせて少量から薬を開始します。体質や副作用の有無を確認しながら、最適な薬と用量を見つけていく段階です。症状の安定後も定期的な通院を続け、血中濃度や副作用のチェックを受けます。

特にリチウムは血中濃度の範囲が狭く、過剰摂取による副作用に注意が必要です。医師との信頼関係を築きながら、自分の症状や体調を共有することが治療を成功させる鍵です。自己判断での中断や変更は再発のリスクを高めるため、必ず医師の指示を守りましょう。

薬と心理社会的治療の併用

薬物療法は単独ではなく、心理療法や生活支援と組み合わせることでさらに効果を発揮します。認知行動療法などを併用することで、ストレスの捉え方を改善し、再発を防ぎやすくなります。

また、家族や職場の理解を得るための支援も重要です。薬が「身体への治療」であるのに対し、心理社会的治療は「心と生活の治療」と言えます。服薬を支えるサポート体制を整えることで、治療の継続率が向上します。

双極性障害の主な薬の種類

症状のタイプや重症度に応じて、複数の薬が組み合わせて処方されます。ここでは主に使われる3つの薬のカテゴリを解説します。

気分安定薬

リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン、ラモトリギンが代表的な気分安定薬です。リチウムは双極性障害治療の基本薬であり、躁状態の抑制と再発予防に優れています。

バルプロ酸やカルバマゼピンは、てんかん治療薬としても使われ、感情の波を滑らかに保つ働きをします。ラモトリギンはうつ症状の改善にも効果的で、比較的副作用が少ないとされています。これらの薬は、長期的に気分の安定を維持するための「土台」となる存在です。

抗精神病薬

非定型抗精神病薬と呼ばれる薬が主に使われます。代表的なものにオランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ルラシドンなどがあります。躁状態の沈静化に加え、うつ状態にも効果があるものが増えています。

非定型抗精神病薬は従来の薬に比べて副作用が軽く、長期間の使用に適しています。特にクエチアピンやルラシドンは、双極性うつにも効果が確認されており、近年よく使われるようになっています。

抗うつ薬

双極性障害のうつ状態には抗うつ薬が使われることもありますが、躁転(うつから躁への急変)を防ぐため、気分安定薬と併用するのが基本です。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などが代表で、気分の落ち込みや無気力を改善します。

ただし、単独使用は危険を伴うため、医師の管理のもと慎重に処方されます。特に双極II型では、うつ症状が主体のため、薬のバランス調整が重要です。

薬物療法で注意すべき副作用

薬の効果を最大限に生かすためには、副作用への理解と対策が欠かせません。副作用は個人差がありますが、早期に気づき、対処することが重要です。

体重増加

抗精神病薬やリチウムを服用している場合、体重が増加しやすくなります。代謝の変化によって脂肪がつきやすくなるため、定期的な体重測定と食事管理が必要です。糖質を控え、野菜やたんぱく質を中心とした食生活を心がけることで予防できます。医師の指導のもとで軽い運動を取り入れるのも効果的です。

眠気や集中力の低下

抗精神病薬の中には眠気を引き起こす成分があります。特に就寝前の服用に切り替えることで、日中の活動への影響を減らすことができます。眠気が強い場合は、薬の種類や用量を調整してもらうことが可能です。集中力の低下が気になるときは、生活リズムを整えることも有効です。副作用は調整可能であり、放置せず早めに相談することが大切です。

ふるえや口の渇き

リチウムでは手のふるえ、抗精神病薬では口の渇きが見られることがあります。これらは薬の作用によるものであり、多くの場合は軽度です。水分補給を心がけ、症状が強い場合は医師に相談して投薬量を調整します。副作用を放置せず、適切に対応することで治療の継続が容易になります。

薬だけに頼らない治療の考え方

双極性障害の治療では、薬物療法が中心ですが、薬だけに頼るのではなく、心理的・社会的な支援や生活習慣の改善を組み合わせることが非常に重要です。薬が感情の波を抑える「土台」となる一方で、心の安定と再発予防には日常の工夫が欠かせません。ここでは、薬と併用して効果を高める治療・支援の方法を紹介します。

心理療法の活用

心理療法は、双極性障害の治療において薬の効果を補完する大切な手段です。代表的なものに「認知行動療法(CBT)」があります。これは、自分の思考パターンや行動の癖に気づき、ストレスをうまく受け止める方法を学ぶものです。

気分が変化しやすい双極性障害の方にとって、考え方の整理や現実的な行動の選択を身につけることは、症状の安定につながります。また、「対人関係療法(IPT)」では、家族や職場など人間関係のストレスを軽減し、再発を防ぐ力を養います。

カウンセリングを通して自分の感情と向き合う時間を持つことで、気分の変化を自覚しやすくなります。心理療法は、「自分の内面を理解し、再発を防ぐ心のリハビリ」として、薬と同じくらい重要な役割を担います。

生活習慣の改善

双極性障害の症状を安定させるには、生活リズムを整えることが不可欠です。不規則な睡眠や過労は、躁状態やうつ状態を引き起こす引き金になりやすいため、毎日同じ時間に寝起きすることが基本です。食事もバランスの取れた内容を心がけ、特にビタミンB群やオメガ3脂肪酸など脳の働きをサポートする栄養素を摂取することが大切です。

また、適度な運動はストレス発散と睡眠の質の向上に役立ちます。ウォーキングやヨガなど、無理のない運動を続けましょう。さらに、アルコールやカフェインの過剰摂取を避け、スマートフォンの使用を控えて睡眠の妨げを防ぐこともポイントです。

「生活リズムの安定は、薬の効果を最大限に引き出す基礎」です。体と心を同時に整える意識を持つことが、再発防止への近道となります。

家族や支援機関との連携

双極性障害は長期的な治療を要するため、本人の努力だけでは限界があります。家族や医療・福祉の支援機関との連携が、安定した生活を送るうえで不可欠です。家族が病気を理解し、服薬や生活のサポートを行うことで、再発リスクを大きく減らすことができます。家族が過度に干渉せず、見守る姿勢を持つことも重要です。

また、訪問看護サービスや地域の相談支援機関を利用することで、日常生活の安定を支える専門的なサポートを受けられます。看護師が定期的に自宅を訪問し、服薬管理や症状の観察を行うことで、医師との連携もスムーズになります。

孤立を防ぎ、安心して治療を続けるためには、周囲とつながることが大切です。社会資源を上手に活用し、「一人で抱え込まない環境づくり」を整えることが、長期的な安定につながります。

関連記事:双極性障害の末期症状とは?進行の兆候と回避策

再発を防ぐための工夫

双極性障害は一度症状が落ち着いても再発の可能性がある病気です。そのため、日常的な自己管理と早期対応が何より大切です。薬を正しく服用し、気分の変化を自覚的に観察することが再発防止の第一歩です。

服薬の継続とモニタリング

症状が安定しても薬の服用をやめると、数週間から数ヶ月のうちに再発するリスクが急激に高まります。服薬を継続することは、再発を防ぐ最も確実な方法です。リチウムやバルプロ酸を服用している場合は、血中濃度の確認を定期的に行うことで副作用を防ぎ、効果を維持します。

また、診察時には気分の変化や体調の違和感を細かく報告することが重要です。副作用や生活上の不便を感じたら、そのままにせず医師に相談しましょう。薬の効果を最大限に生かすためには、「自分の体と向き合う姿勢」が欠かせません。服薬の継続は、自分を守る最も確実な予防策です。

ライフチャートの活用

ライフチャートとは、日々の気分や睡眠、体調、出来事を簡単に記録するツールです。これを続けることで、自分では気づきにくい気分の波や再発のサインを早期に発見できます。特に、気分が高ぶる日が続く、寝つきが悪くなる、衝動的な行動が増えるなどの変化は注意が必要です。

スマートフォンアプリや手書きノートを使って「自分の気分の見える化」を行いましょう。医師や看護師に共有することで、診察時により的確な判断が可能になります。

日常的な自己観察は、治療の質を高めるうえで非常に有効です。ライフチャートを活用することで、「自分のリズムを客観的に管理できる力」が身につき、再発のリスクを最小限に抑えることができます。

支援サービスの利用

再発防止には、医療以外の支援も大きな力になります。訪問看護や地域のメンタルヘルス支援は、双極性障害の患者さんが安心して生活を続けるための強力なサポートです。訪問看護では、看護師が自宅に訪問し、服薬管理や症状の観察、生活習慣のアドバイスを行います。これにより、通院の負担を軽減しながら、早期の異変発見が可能になります。

特に一人暮らしの方や家族の支援を受けにくい環境にある方にとっては、訪問看護の存在は非常に心強いものです。また、地域の福祉サービスや就労支援を組み合わせることで、社会復帰への道も開きます。支援を受けることは「依存」ではなく、「再発を防ぐための戦略」です。周囲の助けを借りながら、安定した生活を続ける力を育てていきましょう。

関連記事:双極性障害の末路とは?リスクと回避する具体策を詳しく解説

妊娠・授乳中の服薬について

妊娠や授乳を希望する場合、薬の選択には特別な配慮が必要です。リチウムや一部の抗てんかん薬は胎児に影響を及ぼす可能性があるため、妊娠前から主治医と相談し、必要に応じて安全性の高い薬に切り替えます。

妊娠中も症状を安定させることは重要であり、薬を完全にやめることが必ずしも安全とは限りません。授乳期も同様に、薬が母乳を通じて赤ちゃんに移行する可能性があるため、専門医と慎重に話し合いましょう。母体と胎児の健康を守るためには、医師との綿密な連携が何より大切です。

まとめ

双極性障害の治療では、薬物療法を中心にしながらも、心理療法や生活改善、家族・支援機関との連携を組み合わせることが、再発を防ぐカギとなります。気分安定薬や抗精神病薬は有効ですが、副作用を理解し、継続的にモニタリングを行うことが重要です。支援を受けながら、自分に合った治療を続けることで、安定した日常を取り戻せます。

双極性障害や服薬管理で不安を抱えている方は、一人で悩まず専門のサポートを受けましょう。大阪・寝屋川・守口・門真・枚方エリアで精神疾患のサポートを必要とする方は、「訪問看護ステーションくるみ」へご相談ください。医師・福祉機関と連携しながら、あなたとご家族の安定した生活を全力で支援します。

大阪市、寝屋川市、守口市、
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この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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