クルミのアトリエ クルミのアトリエ TOPへもどる
  1. トップページ
  2. コラム
  3. 双極性障害と ...

双極性障害と突然死の関係とは?原因と防ぐための対策を徹底解説

2025.11.07 精神科訪問看護とは

双極性障害は、気分の浮き沈みが激しくなる精神疾患ですが、実は「突然死のリスクがある」と言われることがあります。なぜ精神的な病が命に関わる結果を招くのでしょうか。その背景には、自殺リスクだけでなく、心疾患や生活習慣病などの身体的な要因も関係しています。

本記事では、双極性障害と突然死の関連性を医学的に解説し、予防と日常での対策をわかりやすく紹介します。

双極性障害と突然死の関係を理解する

双極性障害は「気分の波」が極端に上下する精神疾患で、躁状態とうつ状態を繰り返す特徴があります。この疾患は単なる心の不調にとどまらず、身体的な健康にも影響を及ぼすことが明らかになっています。特に問題視されているのが「突然死」のリスクです。なぜ精神の病が身体的な死とつながるのか、まずは基本的な仕組みを整理して理解していきましょう。

双極性障害とは?基本的な病態と特徴

双極性障害は、かつて「躁うつ病」と呼ばれていた精神疾患です。感情のコントロールが難しくなり、異常なほど気分が高揚する「躁状態」と、極端に落ち込む「うつ状態」が周期的に現れます。

これらの状態は脳内の神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンのバランスの乱れが関係しているとされ、発症には遺伝的要因やストレス、生活リズムの乱れなどが複合的に関与します。適切な治療と生活管理を行えば安定した状態を維持できますが、放置すると深刻な身体的リスクを伴うことも少なくありません。

関連記事:双極性障害の末路とは?リスクと回避する具体策を詳しく解説

なぜ双極性障害で突然死が起こるのか

突然死が起こる背景には、精神的ストレスの蓄積と生理機能の乱れが大きく関わっています。うつ状態では自殺念慮が高まり、衝動的な行動に走るケースもあります。

また、躁状態では睡眠不足や過活動により心臓に負担がかかり、心筋梗塞や不整脈などのリスクが高まります。さらに、服薬を自己判断で中断したり、過剰摂取することで心血管系の急変を招く可能性も指摘されています。

突然死の発生頻度とリスクデータ

双極性障害の方は一般人口に比べ、突然死を含む死亡率が2〜3倍高いと報告されています。特に心血管疾患や代謝異常が合併している場合、そのリスクはさらに上昇します。海外の研究では、双極性障害患者の平均寿命が一般より約10〜15年短いというデータもあります。

この背景には、治療中断、自殺、薬の副作用、生活習慣の乱れなど、複数の要因が重なっていることが挙げられます。

双極性障害で突然死リスクが高まる原因

双極性障害における突然死のリスクは、単一の要因ではなく、精神面・身体面の両方が関与します。ここでは具体的なリスク要因を掘り下げて説明します。

自殺リスクの高さと衝動性の関係

双極性障害では、うつ期の絶望感や躁期の衝動性から自殺に至るリスクが極めて高くなります。特に躁うつの切り替わり期は判断力が不安定で、突然の行動に出やすい傾向があります。自殺企図が成功してしまうケースも多く、これが「突然死」として統計上に反映される要因の一つです。

心血管疾患・代謝異常との合併

研究によると、双極性障害の患者は高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病を併発する率が高いとされています。これはストレスホルモンの過剰分泌や、薬の副作用による体重増加が関係しています。こうした代謝異常は心臓病や脳卒中を引き起こし、最悪の場合は突然死を招く原因となります。

薬物療法の副作用や服薬不遵守の影響

気分安定薬や抗精神病薬には、心拍リズムに影響を与える副作用を持つものがあります。また、症状が安定したと感じて服薬を中断するケースも少なくありません。これにより、再発や急性症状が誘発されることがあり、身体的リスクが急上昇します。

睡眠障害と自律神経の乱れによる影響

躁状態では極端な睡眠不足が続き、うつ状態では過眠になるなど、双極性障害は睡眠リズムの乱れが特徴です。この状態が長く続くと、自律神経のバランスが崩れ、心臓発作や不整脈を起こすリスクが高まります。

ストレス・社会的孤立が身体に与える影響

社会的孤立や職場・家庭でのストレスが長期化すると、免疫力の低下やホルモン異常が生じやすくなります。精神的負担が直接的に身体疾患を誘発し、結果的に突然死へとつながるケースもあります。

関連記事:双極性障害の末期症状とは?進行の兆候と回避策

双極性障害と身体疾患の関係

双極性障害は中枢神経の疾患ですが、影響は全身に及びます。気分エピソードの波と生活リズムの崩れ、薬の副作用、慢性ストレスや炎症反応の持続が重なり、心血管や代謝系の疾患リスクを押し上げます。

突然死の背景に身体疾患が潜むことも多く、精神科のみならず内科的視点が必須です。以下では関連の強い領域を整理し、早期発見と予防のために押さえるべきポイントを具体化します。

心疾患や脳卒中との関連性

双極性障害では睡眠不足や過活動が続くと交感神経が優位になり、血圧や心拍の変動幅が大きくなります。これに慢性炎症や喫煙、体重増加が重なると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中の土壌が形成されます。

加えて一部の抗精神病薬はQT延長などの不整脈リスクに関与することが報告され、基礎に心疾患がある場合はモニタリングが重要です。息切れや胸部圧迫感、動悸といったサインを見逃さず、心電図や心エコーを定期的に確認し、必要に応じ循環器と連携する体制を整える視点が有効です。

生活習慣病(糖尿病・高血圧・脂質異常症)との関係

うつ期の活動量低下や過食、躁期の不眠や飲酒増加は代謝を乱しやすく、さらに一部の気分安定薬や抗精神病薬は食欲亢進や体重増加、インスリン抵抗性に影響することがあります。結果として空腹時血糖やHbA1c、LDLコレステロール、血圧が徐々に上昇し、血管内皮障害を通じて突然死リスクを底上げします。

食事は主食・主菜・副菜のバランスを意識し、加工食品と糖質飲料を控えること、週合計150分程度の有酸素運動の継続が基本です。内科受診で定期採血と血圧測定を行い、早期に生活指導や薬物治療に繋げる導線をつくることが重要です。

ホルモンバランス・炎症反応との関与

双極性障害では慢性的な心理社会的ストレスによりHPA軸が過活動となり、コルチゾールの分泌変動が拡大しやすいとされます。長期化すると脂質代謝や糖代謝に悪影響が出て内臓脂肪が蓄積し、CRPの軽度上昇など炎症マーカーの変動がみられることがあります。

こうした炎症やホルモンの不均衡は血管平滑筋や内皮機能にも影響し、動脈硬化の進展速度を速める可能性があります。十分な睡眠と規則的な食事、軽運動、減量、アルコールの節制、喫煙対策はホルモンと炎症の両面を整える基盤です。医師と相談のうえ、必要に応じ内分泌や栄養指導も併用すると良いでしょう。

突然死を防ぐための具体的な予防策

突然死予防は「生活習慣」「医療の継続」「支援体制」の三層で考えると整理しやすくなります。どれか一つでは穴が生まれますが、三層が重なると急変の芽を早い段階で摘み取れます。以下に日常で実行しやすい要点をまとめます。

規則正しい睡眠とストレス管理

睡眠は感情制御と自律神経の要です。起床就寝時刻を一定にし、寝床ではスマホを使わない、入眠2時間前のカフェインやニコチンを避ける、日中に自然光を浴びて体内時計を整えると睡眠の質が上がります。

入浴は就寝90分前に済ませ、深部体温を下げて入眠しやすくします。ストレス対策としては、呼吸法や短時間の瞑想、軽い散歩、思考の書き出しなどを日課に組み込みます。睡眠が乱れた兆候は躁転や抑うつ悪化の警報です。2〜3日連続の短時間睡眠や早朝覚醒が続く場合は受診の目安と考えましょう。

バランスの取れた食事と適度な運動

食事は1日3回の時間を固定し、たんぱく質と食物繊維を十分に取り、糖質は精製度の低い主食を中心にします。惣菜を選ぶ際は揚げ物より蒸し・焼き・煮物を優先し、塩分は成人で1日6g未満を目標に減塩調味料を活用しましょう。

運動は会話できる強度の有酸素運動を週150分、下肢中心の筋トレを週2回取り入れるとインスリン感受性と血圧が改善し、睡眠の質も上がります。体重・腹囲・血圧を家庭で定点測定し、グラフ化すると効果が見えやすく継続の動機になります。無理をせず続けやすい方法を選ぶことがコツです。

服薬管理と副作用のモニタリング

薬は効果と安全性のバランスで最適化されます。飲み忘れは再発の主要因となるため、ピルケースやリマインダーアプリ、家族の声かけなど複数の工夫を組み合わせましょう。体重増加、眠気、口渇、便秘、動悸、ふらつき、むくみなどの変化は記録して診察時に共有します。

特に動悸や失神前兆は不整脈のサインになり得るため軽視しない姿勢が重要です。自己判断の増減や中止は避け、予定外の飲み忘れが続いた場合や副作用が気になるときは必ず主治医に連絡し、処方調整や検査で安全域を保ちます。

定期的な健康診断と血液検査

突然死の芽を摘むには見える化が不可欠です。年1〜2回の健診で身長体重、腹囲、血圧、脂質、血糖、肝腎機能、尿検査をします。薬剤によっては定期の血中濃度測定や甲状腺機能、プロラクチン値のチェックが推奨されることもあり、指示に従うことが大切です。

心電図は基礎疾患や薬の組み合わせによって定期化を検討し、QT間隔や不整脈の有無を評価します。検査結果は数値の推移で判断するため手元に保管し、次回受診時に提示しましょう。変化の早期発見が重篤化を防ぎます。

家族・支援者との連携体制を整える

症状の初期変化は本人より周囲が先に気づくことが多く、家族や支援者との共有は強力な保険になります。早寝遅起きの変化、会話量の増加や減少、出費の増大、食欲や体重の揺れ、服薬状況など具体的な観察項目を決め、週1回の短い振り返り時間を持つと有効です。

緊急連絡先と対応手順を紙にして冷蔵庫などに貼り、受診や服薬調整が必要なサインを明文化しておきます。孤立の軽減は自殺予防にも直結します。支援は「呼吸のように自然に」を合言葉に、無理のない仕組みで継続しましょう。

治療を継続することの重要性

安定期ほど治療の意味は見えにくくなりますが、継続が長期予後を決めます。中断は気分エピソードの再燃だけでなく、事故や自傷の増加、身体合併症の悪化を招き得ます。治療継続の障壁を前もって言語化し、医療者と一緒に乗り越える設計が肝心です。

自己判断で治療を中止する危険性

症状が落ち着くと「もう大丈夫」と感じやすく、服薬を間引いたり突然中断したりする誘惑が高まります。しかし投薬中止は反跳的な不眠や焦燥、易刺激性を引き起こし、短期間で躁転や重いうつ再燃に繋がることがあります。

再発を繰り返すほど次のエピソードは重く長引く傾向があり、就労や対人関係の破綻、生活習慣の崩壊を通じて心血管リスクが増します。中止の判断は必ず主治医と相談し、段階的に減量して安全に検討する姿勢が不可欠です。

主治医と副作用や体調変化を共有する

副作用は治療継続の最大のハードルです。眠気や体重増加、便秘、手の震え、月経不順、性機能の変化、動悸など、困りごとは遠慮せず具体的に伝えましょう。記録を持参すると調整が進みます。

用量の微調整、薬剤の切り替え、内科薬の併用、服薬時間の工夫で多くは軽減可能です。検査値の変化を含め、主治医と双方向に情報を共有することで、安全域を広げながら再発予防効果を保てます。納得感の高い治療は遵守率を押し上げ、突然死のリスクも間接的に下がります。

再発防止と安定維持のための通院の意義

診察は単なる薬の受け渡しではなく、再発サインの早期発見と生活習慣の微調整の場です。睡眠、活動、食事、ストレスの四領域を簡単に点検し、必要に応じて支援制度や訪問看護に橋渡しします。

数分の面談で気分の揺れを軌道修正できれば入院や長期休職を防げ、経済的・社会的損失も小さくできます。安定が維持できている時こそ通院間隔と検査計画を話し合い、合併症の芽を摘む戦略を更新しましょう。

双極性障害と社会的支援の活用

医療の外側にある社会資源は、症状安定と生活再建の両輪です。支援の導入は弱さではなくリスク管理の選択であり、結果として突然死の背景要因を減らします。地域の窓口や専門職との接点を早めにつくることが回復の近道です。

精神科訪問看護や地域支援サービスの利用

訪問看護は自宅で症状の観察、服薬確認、生活リズムの整え、再発サインの共有を行い、通院困難時の橋渡し役にもなります。客観的視点で睡眠や食事、活動記録を支援し、内科受診や検査の段取りも伴走します。

行政の相談支援専門員や就労支援、家族会とつながることで孤立を緩和し、危機の早期発見が可能になります。緊急時の連絡網を平時から整備し、スムーズに医療へアクセスできる環境を用意しておくことが安全の土台です。

就労支援・生活支援制度の活用方法

障害者雇用やリワーク、ハローワークの専門窓口、就労移行支援は段階的な復職と安定就労を支えます。自立支援医療制度は医療費の自己負担を軽減し、継続受診と検査のハードルを下げます。

傷病手当金や障害年金は治療に専念する時間を確保し、生活基盤の不安定さによるストレスや無理な労働を回避できます。制度は複雑ですが、医療ソーシャルワーカーや相談支援専門員に早めに相談し、申請から更新まで伴走してもらうと活用が進みます。

家族ができるサポートと理解の深め方

家族は身近な観察者であり安全装置です。病気の特徴や再発サイン、薬の目的を一緒に学び、非難より共感を優先するコミュニケーションを心がけます。

金銭や睡眠のルール、受診の判断基準、緊急連絡の手順を紙にまとめ、家族会議で定期的に見直します。負担が偏らないよう役割分担を細かく設定し、介護者の休息時間も確保します。家族自身が相談できる窓口を持つことは、長期的な支援を続ける上で不可欠です。

長く健康に生きるために意識すべき生活習慣

長期予後は日常の小さな選択の積み重ねで形作られます。完璧を求めず七割主義で続ける姿勢が、再発予防と合併症対策の両方を前に進めます。以下の実践を自分に合う形に調整して取り入れてください。

再発サインを記録するセルフモニタリング

気分、睡眠時間、入眠・中途覚醒、食欲、体重、活動量、出費、人間関係のトラブル、服薬状況を1日数行で記録します。グラフ化できるアプリを使えば変化が可視化され、診察での共有が容易になります。

早起き傾向や多弁、買い物増加は躁の前触れ、倦怠や作業速度の低下はうつの前触れになり得ます。サインが2〜3項目同時に動いたら受診や訪問看護の追加支援を検討します。記録は自己観察力を高め、無理の早期是正に直結します。

ストレス回避とリラックス法の取り入れ方

避けられないストレスは小分けに処理すると負担が減ります。タスクを細分化し「今できる最小単位」に落とし込む、休憩を先に予定に入れておく、考え込みを止めるためのタイムリミットを設定する、といった工夫が役立ちます。

リラックス法は腹式呼吸、5分瞑想、ストレッチ、ぬるめの入浴、自然音を聞くなど複数を用意し、その日の体調で選べるようにします。SNSやニュースの閲覧時間を制限し、刺激をコントロールすることも感情の波を和らげる助けになります。

規則正しい社会参加と日中活動の維持

昼夜逆転の是正は最重要課題です。午前中に外出予定を1つ入れ、太陽光を浴びて体内時計を前進させます。週の活動計画は「必須」「できれば」「おまけ」に分け、達成度より継続性を重視します。

ボランティアや軽作業、趣味の集まりなど社会参加の機会を持つと孤立が減り、気分の安定に寄与します。就労中は上司や産業保健と相談して配慮事項を明確化し、無理のない業務量で再発を防ぎます。休養期は罪悪感を手放し、回復に集中することが結果的に近道となります。

まとめ

双極性障害と突然死は心身の要因が絡み合って生じますが、治療の継続、生活習慣の整備、支援の活用で十分に予防可能です。睡眠と服薬を軸に定期検査を組み合わせ、早期発見と早期対応を徹底しましょう。

大阪市・寝屋川市・守口市・門真市・大東市・枚方市で精神科に特化した訪問看護を探す方は、ぜひ「訪問看護ステーションくるみ」へご相談ください。医師や地域機関と連携し、ご自宅での症状管理と生活再建を全力で支援します。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

訪問看護師募集中