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境界性パーソナリティ障害で「突き放す」のはなぜ?原因と接し方を解説

精神科訪問看護とは

大切な人が境界性パーソナリティ障害と診断された、またはその可能性がある場合、相手の行動に戸惑い、深く傷ついてしまうこともあるでしょう。なぜ、相手はあなたを「突き放す」ような行動をしてしまうのか?

この記事では、境界性パーソナリティ障害の人が「突き放す」行動をしてしまう原因を解説し、具体的な接し方や関係を改善するためのヒントをご紹介します。

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境界性パーソナリティ障害とは?

境界性パーソナリティ障害(BPD)は、感情、対人関係、自己像の不安定さが特徴的な精神疾患です。その影響は多岐にわたり、本人だけでなく、周囲の人々をも深く悩ませることがあります。ここでは、BPDの基本的な定義と特徴、そして診断基準について解説し、BPDへの理解を深めるための第一歩としましょう。

境界性パーソナリティ障害の定義と特徴

境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder: BPD)は、感情の激しい変動、対人関係における不安定さ、衝動的な行動、そして不安定な自己像を特徴とするパーソナリティ障害の一つです。

BPDを持つ人々は、見捨てられることへの強い不安を感じ、それを避けるために必死になる一方で、相手を理想化したり、逆に激しく非難したりと、対人関係においても極端な揺れ動きを見せることがあります。

また、感情のコントロールが難しく、怒りや悲しみといった感情が爆発したり、虚無感に襲われたりすることもあります。これらの症状は、日常生活や社会生活に大きな困難をもたらすことがあります。

診断基準

境界性パーソナリティ障害の診断は、精神科医や臨床心理士などの専門家によって、アメリカ精神医学会が発行する『精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)』などの診断基準に基づいて行われます。DSM-5では、以下の9つの診断基準のうち5つ以上を満たす場合にBPDと診断されます。

  1. 1.見捨てられることへの強い不安と、それを避けるための努力(現実的または想像上の):一人になることや、大切な人に去られることへの極度の恐怖を感じ、それを回避しようと必死になります。
  2. 2.不安定で激しい対人関係のパターン:相手を理想化したり、逆にこき下ろしたりと、対人関係が極端に揺れ動きます。親密な関係を築くことが難しい場合があります。
  3. 3.自己像または自己感覚の不安定さ:自分自身のイメージや価値観が安定せず、頻繁に変化します。自分が何者であるか、何をしたいのかが分からなくなることがあります。
  4. 4.自己を傷つける可能性のある衝動性:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、過食など、自分にとって不利益になる可能性のある衝動的な行動を繰り返すことがあります。
  5. 5.自殺の行動、そぶり、または脅し、あるいは自傷行為の繰り返し:死にたいという気持ちを抱いたり、自殺をほのめかしたり、あるいは自傷行為(リストカットなど)を繰り返したりすることがあります。
  6. 6.感情の不安定さ(通常は数時間から数日続く、エピソード的な気分の変動):気分が激しく変動し、強い喜びや興奮が、突然の怒り、悲しみ、不安に変わることがあります。この気分の変動は比較的短期間で起こります。
  7. 7.慢性的な空虚感:常に心にぽっかりと穴が開いたような、満たされない感覚を抱えています。
  8. 8.不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難:些細なことで激しく怒ったり、怒りを抑えることが難しかったりします。
  9. 9.一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離性症状:強いストレスを感じた際に、一時的に現実感がなくなったり(解離)、誰かを疑ったりするような考え(妄想様観念)が生じることがあります。

これらの基準はあくまで診断の目安であり、専門家が総合的に判断します。もし、ご自身や身近な人にBPDの可能性を感じる場合は、一人で抱え込まず、専門機関に相談することが大切です。

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なぜ「突き放す」行動をしてしまうのか?

ここでは、なぜ境界性パーソナリティ障害の方が、親しい関係にある人に対して「突き放す」ような行動をとってしまうのか、その心理的なメカニズムに焦点を当てて深掘りしていきます。この行動は、相手を傷つける意図からではなく、本人自身の苦しみや不安から生じていることが多いのです。

見捨てられ不安と、その裏返し

境界性パーソナリティ障害(BPD)の根底には、しばしば「見捨てられ不安」があります。これは、たとえ現実には見捨てられる可能性が低くても、常に「見捨てられるのではないか」という強い恐怖を感じる状態です。

この極端な不安から、相手に「見捨てられる前に、自分から関係を終わらせてしまおう」「相手が自分から離れていくのを防ぐために、先に相手を突き放そう」といった、無意識の防衛機制が働いてしまうことがあります。相手が少しでも離れていく兆候を感じ取ると、過剰に反応してしまい、結果として相手を遠ざけるような言動につながってしまうのです。

感情のコントロールの難しさ

BPDを持つ方は、感情の起伏が激しく、その感情をうまくコントロールすることが難しい場合があります。喜び、怒り、悲しみといった感情が、短時間で急激に変化することがあります。このような激しい感情の波に襲われたとき、それを適切に処理したり、言葉で表現したりすることができず、衝動的な行動として「突き放す」という形で表れてしまうことがあります。例えば、些細なことで激しい怒りを感じ、相手を激しく非難して関係を断とうとしたり、深い悲しみから一時的に相手との接触を拒絶したりすることがあります。

自己肯定感の低さ

自己肯定感が低いことも、「突き放す」行動の背景にある重要な要因です。自分自身に価値がないと感じているため、他者からの愛情や肯定的な評価を素直に受け入れることができません。「どうせ自分は愛される価値がない」「相手は本当は自分を好きではないはずだ」といった考えにとらわれ、相手の愛情を疑ってしまいます。

そのため、相手が自分を本当に大切に思っているのかを確かめるかのように、あえて相手を傷つけるような言葉を投げかけたり、突き放すような態度をとったりすることがあります。これは、相手の反応を見て、自分の価値を確認しようとする、苦しみの表れなのです。

境界性パーソナリティ障害の人への接し方

前のセクションでは、境界性パーソナリティ障害の人がなぜ「突き放す」ような行動をとってしまうのか、その背景にある心理について解説しました。このセクションでは、それらの理解を踏まえ、実際にどのように接すれば関係を悪化させずに、より良い関係を築けるのか、具体的な方法を解説していきます。

境界性パーソナリティ障害の人に対してしてはいけないこと

境界性パーソナリティ障害(BPD)の方との関わりにおいて、関係を悪化させてしまう可能性のある行動はいくつか存在します。これらの行動は、相手の「見捨てられ不安」を刺激したり、感情の不安定さを増幅させたりすることがあります。

感情的な非難や攻撃

相手の言動に対して、感情的に怒鳴ったり、人格を否定するような言葉を投げかけたりすることは絶対に避けましょう。これは相手をさらに追い詰め、防御的な態度や攻撃的な言動を引き起こす可能性があります。

無視や拒絶

相手が助けを求めているサインや、感情を伝えようとしている時に、意図的に無視したり、冷たく突き放したりすることは、相手の「見捨てられ不安」を強め、関係の断絶につながりかねません。

過干渉や支配

相手の行動を細かく管理しようとしたり、常に自分の思い通りにコントロールしようとしたりする態度は、相手の自律性を侵害し、息苦しさを感じさせてしまいます。これは、相手があなたから離れたいと感じさせる原因になることがあります。

約束を破る、一貫性のない態度

信頼関係の基本は、約束を守り、一貫した態度で接することです。BPDの方は特に、他者の言動に敏感であるため、約束を破ったり、気分によって態度をコロコロ変えたりすると、強い不信感や不安を抱きやすくなります。

過度な期待や理想化

最初は相手を理想化し、過度な期待を寄せるものの、それが叶わなかった時に一転して失望し、相手を責めるような態度をとることも、関係を不安定にする要因となります。完璧を求めすぎず、現実的な視点を持つことが大切です。

境界性パーソナリティ障害の人に対してするべきこと

一方、関係を良好に保ち、相手の安心感を育むためには、以下のような行動が推奨されます。

一貫性のある態度と明確な境界線

感情の波に左右されず、一貫した態度で接することは、相手に安心感を与えます。また、「自分はこうしたい」「これ以上は受け入れられない」といった、健全な境界線を明確に伝えることも重要です。これにより、相手はあなたとの関係における「安全な範囲」を理解することができます。

受容的な姿勢と傾聴

相手の感情や考えを、たとえ理解しがたいものであっても、まずは否定せずに受け止めようとする姿勢が大切です。相手の話を注意深く聞き、感情に寄り添うことで、相手は「自分は理解されている」と感じ、安心感を得やすくなります。

肯定的なフィードバック

相手の良い点や、努力している点に気づき、具体的に褒めることを意識しましょう。自己肯定感の低さに悩むBPDの方にとって、他者からの肯定的な評価は、自己価値を高める大きな助けとなります。

冷静な対応

相手が感情的になっている時こそ、自分自身は冷静さを保つように努めましょう。冷静な対応は、相手を落ち着かせるきっかけとなり、建設的な対話への道を開きます。

相手の「行動」と「人」を分ける

 相手の「突き放す」といった行動そのものは問題であっても、その人自身を否定するわけではありません。行動に対しては伝えつつも、相手の人格そのものを尊重する姿勢を忘れないことが大切です。

境界性パーソナリティ障害の人とのコミュニケーションのコツ

BPDの方と円滑なコミュニケーションを図るためには、いくつかの具体的なテクニックが有効です。これらを意識することで、誤解を減らし、より建設的な関係を築くことができます。

傾聴(アクティブリスニング)

相手の話をただ聞くだけでなく、相槌を打ったり、時折要約したりしながら、「あなたの話をしっかりと聞いていますよ」という姿勢を示すことが重要です。相手が話し終えるまで遮らず、最後まで聞くことを心がけましょう。例えば、相手が「どうせ私なんて誰も理解してくれない!」と訴えてきたら、「誰も理解してくれないと感じているんだね」と、相手の感情を受け止める言葉を返します。

共感

相手の感情や状況を、自分のことのように理解しようと努めることです。たとえ相手の言動に同意できなくても、「そういう風に感じるのは辛いだろうね」「大変だったね」といった言葉で、相手の感情に寄り添う姿勢を示しましょう。これは、相手の「見捨てられ不安」を和らげる効果があります。

アサーション(自己主張)

自分の気持ちや考えを、相手を攻撃したり、逆に自分を犠牲にしたりすることなく、正直に、かつ相手を尊重しながら伝えることです。「私は~と感じています」「~してくれると嬉しいです」といった「I(アイ)メッセージ」を使うのが効果的です。例えば、相手が一方的に予定を変更してきた場合、「急な変更は私も困るから、できるだけ事前に相談してくれると助かるな」と、自分の都合と要望を伝えます。これにより、相手はあなたの気持ちを理解し、今後の行動を改めるきっかけになることがあります。

関係を改善するためのヒント

BPDの人との関係をより良くしていくためには、相手の心理を理解するだけでなく、専門家の力を借りたり、ご自身の心の健康を守ったりと、複数の視点からの工夫が必要です。ここでは、関係改善に役立つ具体的なポイントをまとめます。

専門家のサポートを受けることの重要性

境界性パーソナリティ障害の治療には、DBT(弁証法的行動療法)などの精神療法が有効とされています。専門家に相談することで、本人は自分の状態を客観的に理解でき、感情調整や対人関係の改善に役立つスキルを学べます。

家族やパートナーも、心理教育プログラムやカップルカウンセリングを通して、正しい知識を得たり、関係の悩みを共有したりすることができます。専門家の関わりは、双方にとって大きな助けとなるでしょう。

家族やパートナーができること

家族ができる最も大切なことは、「理解を示す」ことです。BPDの症状は本人の意思だけでは制御できず、その背景には深い苦しみがあります。病気について学び、感情に巻き込まれすぎず、ほどよい距離を保ちながら関わる姿勢が重要です。良い行動をしたときは具体的に褒め、一貫性のある対応を心がけることで、相手に安心感を与えることができます。

自分自身の心の健康を保つために

BPDの人と関わることは、時に大きな精神的負担となるため、あなた自身の心身を守ることが欠かせません。休息をしっかり取り、感情を整理する時間を持ちましょう。無理な要求には「ノー」と言うことも必要で、明確な境界線を持つことで関係が安定しやすくなります。

また、自助グループや家族会に参加することで、同じ経験を持つ人から共感やアドバイスを得られることがあります。限界を感じるときは、あなた自身も専門家に相談し、支えを得ましょう。

まとめ

境界性パーソナリティ障害(BPD)の人が「突き放す」行動をとる背景には、強い見捨てられ不安や感情調整の難しさ、自己肯定感の低さがあります。これらを理解し、傾聴・共感・アサーティブな伝え方を意識することは、信頼関係を築く重要な一歩です。また、専門家のサポートを受けることや、ご自身の心を守るセルフケアも関係改善には欠かせません。BPDとの関わりは簡単ではありませんが、理解と工夫を積み重ねることで、より健全で支え合える関係へと前進できます。

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この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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