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パニック障害になりやすい人の特徴とは?性格傾向や原因を解説

2025.10.03 精神科訪問看護とは

パニック障害 なりやすい人の特徴

近年、ストレス社会の影響もあり「パニック障害かもしれない」と不安を抱く方が増えています。どのような人がなりやすいのかを知ることは、予防や早期対応に役立ちます。本記事では、性格傾向や生活環境、年代・性別といった観点からパニック障害になりやすい人の特徴を整理し、相談や受診を検討する際の参考になる情報を解説します。

パニック障害とは?

パニック障害の特徴や診断基準を理解しておくことで、なりやすい人の特徴を考える前提が得られます。ここでは定義と代表的な症状を解説します。

パニック障害の定義と診断基準

パニック障害は突発的な強い不安発作が繰り返され、その後に再発への強い恐怖(予期不安)が続く病気です。診断には国際基準が用いられ、短時間で動悸や呼吸困難などの症状が頻発し、生活に支障が出ることが条件とされています。

身体的な検査で異常が見つからなくても、精神科的に診断されることが特徴です。早期の受診によって適切な治療を受けられ、回復を目指すことができます。

主な症状

代表的な症状は「パニック発作」と「予期不安」です。発作では突然の動悸や息苦しさ、めまいなどが強く出て「死んでしまうのでは」と感じることがあります。

数分から30分ほどで治まりますが、その経験から「また起きるかもしれない」という不安が続き、外出や乗り物利用を避けるようになることもあります。こうした予期不安が日常生活に大きな影響を及ぼし、行動範囲を狭めることがパニック障害の大きな特徴です。

関連記事:パニック障害の初期症状とは?自宅でできる4つの対処法と精神科での治療のポイント

発症のメカニズム

パニック障害の背景には脳内の神経伝達物質の乱れや自律神経の過敏な反応があります。セロトニンやノルアドレナリンの働きが不安定になると、通常なら強く反応しない刺激にも過剰な恐怖を感じやすくなります。

さらにストレスや睡眠不足などの生活習慣が引き金となることもあります。一度発作を経験すると予期不安が増し、その不安が再び発作を誘発する悪循環に陥ります。生物学的要因と心理社会的要因が複雑に関わるため、多角的な理解が必要です。

パニック障害になりやすい人の特徴

パニック障害になりやすい人の特徴

多くの人に共通する性格傾向があります。心理的特徴を理解することは、予防や相談の一歩です。

真面目で完璧主義な性格

几帳面で責任感が強い人は、小さな失敗も見逃さず自分を追い詰めがちです。このような傾向は社会的に評価される一方で、精神的な負担を蓄積させやすくなります。常に「完璧にやらなければならない」と考えるため、過度な緊張状態が続きます。

緊張が慢性化すると自律神経のバランスが崩れやすくなり、不安が強くなります。結果として発作の引き金になることもあります。責任感が強い方は、意識的に「適度でよい」と思う習慣を取り入れることが、リスク低減につながります。

感受性が強く環境に敏感

音や光、人の感情に敏感な人はストレスを受けやすく、緊張が高まりやすい傾向にあります。環境の変化に対して強い不安を覚えることもあり、心身に大きな負荷をかける要因になります。

例えば、職場の人間関係や家庭内の小さな変化でも強い反応を示し、ストレスが蓄積していきます。感受性が高い人は芸術や共感の力に優れる反面、ストレス処理の難しさを抱えやすいのが特徴です。気分転換やリラックス方法を積極的に取り入れることが予防のポイントになります。

不安や緊張を感じやすい

もともと不安傾向の強い人は、他者から見れば些細な状況でも「危険かもしれない」と考えて緊張してしまいます。この緊張は心拍数の上昇や呼吸の乱れを引き起こし、身体症状として表れます。

こうした身体反応は「また起きるかもしれない」という予期不安に繋がり、発作を誘発しやすくします。不安や緊張の敏感さは遺伝的要因もあるとされますが、ストレス管理や心理的サポートによって軽減できます。不安を感じやすい人は「安心できる場所」を確保することが大切です。

人間関係で気を使いやすい

周囲の評価を気にして過度に配慮する人は、人間関係で疲弊しやすくなります。「嫌われたくない」「迷惑をかけてはいけない」と考えすぎると、自分の感情を抑え込む場面が増えます。

その結果、慢性的なストレスを抱えることになり、パニック障害のリスクが高まります。他者への思いやりは長所ですが、度を超すと自己犠牲に繋がります。適度な距離感を保つことや、信頼できる人に自分の気持ちを共有することが、予防に役立ちます。

強いこだわりを持っている

物事に対するこだわりが強い人は、思い通りにいかない状況に強いストレスを感じます。自分のルールや習慣を崩されると不安が増し、緊張状態が続きます。この傾向は職場や家庭で摩擦を生むこともあり、孤立感や精神的疲労を悪化させます。

こだわりは集中力や専門性の高さに結びつく長所でもありますが、柔軟さを欠くとリスクとなります。こだわりを持ちながらも「多少の違いは受け入れる」姿勢を意識することが大切です。

性格以外の要因と生活環境

性格に加えて、生活習慣や環境的要因が発症に影響します。複数要素が重なるとリスクはさらに高まります。

睡眠不足や過労の影響

睡眠不足や長時間労働などの過労状態は、自律神経の乱れを招き不安を高めます。十分な休養が取れないと、脳や身体が常に緊張状態になり、些細な刺激でも強い不安が引き起こされやすくなります。

特に夜間の睡眠が短い人は、心身の回復が追いつかずストレス耐性が低下します。過労や睡眠不足は現代社会で避けがたい問題ですが、これらはパニック障害の発症リスクを増加させる要因の一つです。適切な休養を意識し、仕事と生活のバランスを取ることが重要です。

精神的に追い詰められる状況

強いプレッシャーや孤立感を伴う環境は、心の余裕を奪い発症リスクを高めます。例えば、仕事や学業で常に成果を求められる状況や、家庭内でのトラブル、人間関係の摩擦などが積み重なると、精神的な負荷が限界に達しやすくなります。

こうした状況が続くと、自律神経が過敏に反応し、発作を引き起こすきっかけになります。精神的に追い詰められていると感じるときは、信頼できる人や専門機関に相談することで、心の負担を軽減することが可能です。

既往歴(うつ病や不安障害)

過去にうつ病や不安障害を経験した人は、再発や他の精神疾患を併発しやすい傾向があります。脳内の神経伝達物質のバランスが不安定な状態や、ストレスに対する耐性の低下が背景にあると考えられます。

また、一度精神疾患を経験すると「また同じような症状が出るのではないか」という不安が強まり、予期不安に繋がることもあります。既往歴がある人は、無理をせず早めに体調変化に気づき、医師や支援機関と連携することが予防に役立ちます。

過去のトラウマや家庭環境

過去に事故や災害、いじめ、虐待などを経験した人は、強い恐怖体験が心に刻まれ、後にパニック障害のきっかけとなることがあります。また、家庭内の不安定な環境や過度な干渉、親の精神疾患などもリスク要因として指摘されています。

トラウマ体験は無意識の中で記憶され、特定の状況や感覚が発作を誘発することがあります。過去の経験が影響していると感じた場合は、専門的な心理支援を受けることが症状改善の糸口になります。

カフェイン・ニコチンなどの刺激物

コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェイン、タバコのニコチンは自律神経を刺激し、動悸や不安感を引き起こすことがあります。特に日常的に大量摂取する人は、身体が過敏になり発作のきっかけになる可能性が高まります。

刺激物の摂取は一時的に気分を高揚させますが、その後に急激な不安や倦怠感を招くことがあります。完全に避けるのが難しい場合でも、摂取量を控えたり時間を調整したりすることでリスクを減らせます。

年代・性別と発症リスク

年代・性別と発症リスク

年齢や性別、遺伝的要因もパニック障害の発症に影響します。自分の立場を知ることで予防に役立ちます。

20〜30代に多い傾向

統計的にパニック障害は20〜30代の若い世代に多く見られます。社会に出て責任を担う時期であり、生活の変化やストレスが重なることが背景にあります。就職、結婚、出産など大きなライフイベントが集中する時期で、不安や緊張が高まりやすいのも特徴です。

この年代で症状が出た場合、キャリアや生活への影響を強く意識してしまうため、放置すると悪化しやすいといわれます。若い世代は「早期に対応することが将来を守る」という意識を持つことが大切です。

女性に多く見られる理由

パニック障害は女性に多い傾向が報告されています。その背景にはホルモンの変動や社会的役割の違いが影響していると考えられます。特に月経周期や更年期などでホルモンバランスが乱れると、自律神経の安定が難しくなり、不安や緊張が強まりやすくなります。

また、家庭や職場での役割の重複により精神的負担が増えることも一因です。女性に多く見られる傾向を知ることで、体調変化に敏感になり早めの対策をとることが可能です。

遺伝的要素や家族歴の影響

家族にパニック障害や不安障害の既往がある場合、発症リスクが高まることが知られています。遺伝的要因が関与する可能性がある一方、家庭内での不安に対する反応の仕方やストレス処理の方法を学ぶ環境的影響も無視できません。

同じような症状を家族が持っていると、自分も発症するのではという不安が強まり、それ自体が症状を助長することもあります。遺伝的リスクを持つ人は、生活習慣の改善やストレスケアを心がけることで発症予防に繋がります。

発作が起きたときのセルフ対処法

発作時は不安に支配されやすいですが、冷静に対応する工夫で落ち着けます。

ゆっくり深呼吸して落ち着く

パニック発作時は呼吸が浅く早くなり、動悸や息苦しさを悪化させます。そのため意識的にゆっくりと深呼吸を行うことが大切です。鼻から息を吸い、口から長く吐き出すことで自律神経が整い、不安が和らぎます。呼吸法を習慣にすることで、発作が起きても冷静さを取り戻しやすくなります。

注意を別の対象に向ける

発作中に「また倒れるのでは」と考えると不安が強まります。意識を別のことに向けることで不安を軽減できます。例えば、指先の感覚に集中したり、目の前の物をじっくり観察したりする方法があります。こうした注意の切り替えは、発作のピークをやり過ごす助けになります。

安心できる環境に身を置く

発作が起きたときは、信頼できる人のそばや静かな場所に移動することで落ち着きやすくなります。安心できる環境は不安を和らげる効果があり、繰り返し発作が出る人にとっては日常の安心材料にもなります。事前に「落ち着ける場所」を用意しておくことが大切です。

日常生活で気をつけたいこと

生活習慣の整え方や周囲との関わり方を工夫することが、パニック障害の安定や予防に大きく役立ちます。

規則正しい生活と睡眠の確保

パニック障害の予防や症状の安定には、規則正しい生活リズムが欠かせません。特に睡眠不足は自律神経を乱し、不安や発作を招きやすくします。毎日同じ時間に就寝・起床することを心がけ、食事もバランス良く摂取することが重要です。

適度な運動を取り入れると睡眠の質も改善しやすく、心身の回復につながります。生活のリズムを安定させることで、不安に対処しやすい基盤を整えられます。

ストレス発散やリラックス習慣

強いストレスは発作を誘発する要因の一つであるため、日常的にリフレッシュできる時間を持つことが大切です。軽い運動や趣味に取り組むことで気分転換ができ、自律神経の安定にも効果があります。

さらに、呼吸法や瞑想、アロマなどのリラックス習慣を取り入れると心の緊張を和らげやすくなります。ストレスを溜め込まない工夫を続けることで、パニック障害の不安を軽減しやすくなります。

周囲への相談や支援を活用する

症状を一人で抱え込むと、不安や孤独感が強まり発作を悪化させることがあります。信頼できる家族や友人に気持ちを共有するだけでも安心感が得られ、精神的な負担が軽減されます。

また、医師や看護師、相談窓口などの専門的な支援を受けることも重要です。周囲の理解や支援を活用することで、日常生活における不安を減らし、症状に対処しやすい環境を整えることができます。

受診・相談を検討すべきサイン

受診・相談を検討すべきサイン

セルフケアで対応できない場合は、早めに専門機関に相談することが安心につながります。

発作が繰り返し起こる場合

発作が何度も起きる場合、生活の質が下がり続ける恐れがあります。発作は時間が経つと自然に治まることもありますが、繰り返すと予期不安が強まり外出や行動が制限されやすくなります。こうした悪循環を避けるためには、医療機関で適切な診断と治療を受けることが大切です。発作が重なっていると感じたら、早めに受診を検討しましょう。

生活や仕事に支障が出ている場合

日常生活や仕事に支障が生じている場合は、セルフケアだけでの対応が難しいサインといえます。通勤が困難になったり、人前での活動が制限されたりすると、社会生活への影響が大きくなります。

この段階で放置すると症状が慢性化する恐れがあるため、早めに医師へ相談することが重要です。生活や仕事への影響を軽減するためには、専門家の助言を受けることが不可欠です。

不安や恐怖で外出を控えるようになった場合

「また発作が起きるのでは」という不安から外出を避けるようになると、生活の幅が狭まり孤立感が強まります。行動制限が続くとさらに不安が強まり、症状の悪化に繋がる悪循環に陥ります。

このような状態になったときは、自分一人で解決しようとせず、精神科や心療内科への相談を検討することが望ましいです。早期の受診によって生活の質を守ることができます。

関連記事:パニック障害の支援方法を徹底解説:症状別アプローチと回復に向けた支援の重要性

まとめ

パニック障害になりやすい人には、完璧主義や感受性の高さ、不安傾向などの特徴があり、生活習慣や環境要因、年代や性別も関与します。セルフケアや生活の工夫で軽減できることもありますが、繰り返す症状や日常に支障が出る場合は早期に受診することが重要です。

訪問看護の利用も選択肢の一つです。ぜひ「訪問看護ステーションくるみ」へご相談ください。

この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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