こんにちは。株式会社Make Careの代表取締役CEOであり、訪問看護ステーションくるみでマーケティングを担当している石森寛隆です。XではHEROと名乗っていますので、もしよろしければフォローください。
2025年9月、厚生労働省が一つの大部な資料を発表しました。
タイトルは「精神疾患に係る医療提供体制について」。全294ページに及ぶこの文書は、一見すると制度や統計の整理に見えるかもしれません。
けれど僕は、それを“未来への挑戦状”として受け取りました。
精神疾患に係る医療提供体制について
精神疾患に係る医療提供体制について(その2)
誠子さんも資料を読んでコラムを書いたようなので、是非、読んでみてください。
【社長エッセイ】Vol.62 障害を抱える家族を家でみる中で訪問看護として何ができるのか ~厚生労働省「精神保健福祉の今後の施策推進に関する検討会資料」を読んで~
資料の中心にあるのは、「入院医療中心から地域生活中心へ」という、平成以降ずっと掲げられてきた理想です。
そして今回は、それを「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」として明文化し、疾病横断型の医療提供体制として組み込もうとしている。
つまり、言葉だけの理想から、構造としての実装へと、政策が一歩踏み出した瞬間なのです。
しかし、その理想と、現場で当たり前になってしまっている“常識”のあいだには、まだ深いギャップがあります。
精神科初診の待機問題、身体合併症への対応の地域差、多職種連携における役割分担の不明確さ…。
それらは単なる課題ではなく、制度上の“穴”であり、構造的な“欠損”です。
僕は「普通って何?」という問いを常に持ち続けてきました。
そして、僕たちくるみは、この国の変革の波に受け身で巻き込まれるのではなく、業界構造そのものを揺さぶる“創造的破壊者”として、この波を乗りこなす覚悟があります。
以下に、厚労省資料が描く未来に対し、くるみがどのように具体的な戦略で応えていくのか、その全体像を3つの柱でお伝えしたいと思います。
大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象
“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」
平日・土曜・祝日 9:00〜18:00
【日曜・お盆・年末年始休み】
※訪問は20時まで
対応させていただいております。
【戦略①】“待つ医療”から“創る医療”へ──攻めの顧客創造と予防ケア
精神科医療における最大の課題の一つは、初診の待機期間が極端に長いことです。
2ヶ月〜3ヶ月待ちが常態化している地域も多く、タイミングを逃した支援は、患者本人の回復だけでなく、社会全体のコスト増加にも直結します。
オンライン診療で「扉」を開ける
資料では、オンライン精神療法の初診活用について、国が初めて前向きな姿勢を示しました。
従来は原則禁止とされていたオンライン初診ですが、規制改革実施計画を踏まえた新たな指針の策定が進められています。
対面と遜色のない効果があるケースも認められつつあり、条件付きでの活用が現実味を帯びています。
これは、ただの制度変更ではありません。
「精神科にかかるのが怖い」「病院に行くことが抵抗」という人たちにとって、オンラインは扉をノックできる新しい入り口なのです。
くるみでは、すでにオンラインでの集患や、オンラインでの初回相談・モニタリングなど、オンラインでの看護の経験はありませんが、
国の体制さえ制度として整えば、オンラインでの対応が出来る準備は整っています。
通院困難なひきこもり層、育児・介護と両立している家族、あるいは地方在住の若者たち。
その“最初の一歩”を設計しなおすことで、支援の輪は格段に広がるのです。
アウトリーチと多機関連携で“顧客”を掘り起こす
精神科の世界では、「支援が必要だが制度に繋がっていない人」が膨大に存在します。
こうした人々へのアウトリーチ支援は、今回の資料でも明確に重要視されています。
くるみでは「依頼は断らない」「スピード勝負」が組織文化として定着しており、
たとえば問い合わせから1週間以内に契約、2週間以内に訪問開始という体制を当たり前にしています。
それは、単に“対応が早い”という話ではなく、信頼と連携の起点を自分たちでつくりに行く姿勢なのです。
行政、相談支援、医療機関との連携を通じて、「医療につながれない人」へ手を伸ばす。
そのとき、我々が地域の「ハブ」になることを、僕たちは強く意識しています。
【戦略②】専門性×連携=“質”を担保する構造改革
構造改革という言葉は大げさに聞こえるかもしれません。
けれど、精神科訪問看護において「質を担保する仕組み」は、未だに個人の努力に委ねられすぎています。
それでは拡張性がない。仕組みとしての“強さ”が必要です。
身体合併症に対応できるチームをつくる
精神疾患を持つ利用者が、糖尿病、心不全、がんなどの身体疾患を併発することは決して珍しくありません。
資料でも、精神・身体両面への対応力を持つ訪問看護の重要性が明記され、輸液管理、看護診断、他科連携ができる看護師の育成が求められています。
くるみでも、スタッフ一人ひとりが「この仕事は自分自身が成長するためのもの」と捉えられるよう、OJTと振り返りを重視し、症例検討の時間も今後は日常的に確保していきたいと考えています。
“良い人”で終わらず、“良い看護師”として多職種連携に貢献できる力を育てていきたいのです。
「くるみ=連携の主語」になる
地域包括ケアにおいて、精神医療は医療・福祉・就労・住まいなどあらゆる領域と繋がっています。
ここで重要なのは、訪問看護が「声なき声を集約する存在」になること。
我々は病院ではない。けれど、日常の中に深く入り、心理・福祉・生活支援の隙間を埋める存在です。
その役割を明確にし、外来や行政と連携する際に“主語として語れる組織”であることが、価値を最大化する鍵になります。
【戦略③】「大規模化」は社会への提案である
最後に、もっとも誤解されがちな「規模の話」をしたいと思います。
私は、くるみの大規模化を、ただの事業拡大とは考えていません。
それは、社会に対する“構造提案”なのです。
■ 社会保障費削減という「数値で証明できる価値」
精神科入院には、1ヶ月100万円近い医療費がかかるケースもあります。
もし訪問看護によって早期介入ができ、入院や休職を回避できれば、
その人は「納税者」として社会に残るという意味でも、国家にとっては極めて大きな利益となります。
くるみは、こうした価値を「費用対効果」で示せる組織でありたいと思っています。
訪問看護1回あたりの単価は、おおよそ11,000円。
1時間4,000円のマッサージと比べて高いと言われることもある。
でも、それが医療費1,000,000円/月の回避に繋がるなら、果たして無駄と言えるでしょうか?
1事業所1,000人モデルと、5人800万モデル
私たちは現在、大阪市全域をカバーする1事業所完結型モデル(利用者1,000人規模)を構築中です。
それと並行して、少人数(7-8人)で月商800万円程度を実現する小型モデルも模索しています。
この両方を、「拡大可能なモデル」として全国に展開していく。
それが私たちの社会戦略であり、未来への布石です。
最後に・・・この変革は、人生を懸ける価値がある
僕は、この事業に人生を懸けています。
制度を批判して終わるのではなく、制度を活かして変える側に立つことを、強く意識しています。
厚労省の掲げた「地域生活中心」への移行。
その理念は、間違っていない。
でも、それを現場が信じられないまま放置すれば、制度だけが空回りしてしまう。
だから僕は、言葉ではなく、「結果」で示したい。
くるみが変革の先頭に立ち、利用者も、スタッフも、社会も救うモデルをつくる。
それが、僕の“人生を懸けるに値する仕事”なのです。
