クルミのアトリエ クルミのアトリエ TOPへもどる
  1. トップページ
  2. コラム
  3. うつ病に運動 ...

うつ病に運動が効果的な理由と続けるコツを解説

2025.11.07 精神科訪問看護とは

うつ病は現代社会で多くの人が経験する心の病です。治療には薬物療法やカウンセリングが一般的ですが、近年では「運動」が症状改善に役立つことが注目されています。運動は気分を安定させ、ストレスを軽減し、睡眠の質を高める効果があるといわれています。本記事では、うつ病と運動の関係、効果的な運動の方法、続けるためのコツを詳しく解説します。

うつ病と運動の関係

うつ病の発症や回復には、脳内の化学物質や心理的要因が複雑に関係しています。運動はその両面に作用し、うつ症状を緩和させる役割を果たします。

運動がうつ病に与える心理的効果

運動は、うつ病による無気力感や自責感を和らげ、気分を前向きにする心理的効果があります。体を動かすことで、達成感や爽快感を得られるため、自己効力感が回復します。特にウォーキングなど軽度の運動は、自然光を浴びることによってセロトニン分泌を促し、幸福感を高めます。

また、運動中のリズミカルな動きは、脳内で「安定感」を生み、焦燥や不安を鎮める効果があります。継続することで、「できる自分」を再確認し、自己否定の感情を少しずつ和らげることができます。

運動が脳に及ぼす科学的な作用

脳科学の研究では、運動がうつ病の改善に寄与するメカニズムが明らかになっています。運動を行うと、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が活性化し、気分を安定させます。

また、脳の海馬では新しい神経細胞の再生が促進され、ストレスによって萎縮した神経ネットワークを回復させる効果が期待できます。さらに、運動により脳内の炎症反応が抑制され、ホルモンバランスが整うことも報告されています。こうした生理学的変化が、うつ病の改善に繋がるのです。

運動と薬物療法・心理療法の違い

薬物療法は即効性があり、心理療法は再発予防に効果がありますが、運動療法は「副作用が少ない」「自己管理できる」という点で大きな特徴があります。薬に頼らず自分の力で改善を目指せることは、患者にとって大きな希望となります。

また、心理療法と併用することで、より高い相乗効果が得られます。運動によって気分が安定すると、カウンセリングの内容も吸収しやすくなり、自己理解が深まります。医師の指導を受けながら運動を取り入れることが、最も安全で効果的です。

運動がうつ病に効果的な理由

運動がうつ症状を和らげるのは、単なる「気分転換」ではなく、脳と体の機能を活性化させる科学的根拠があります。

セロトニンと運動の関係

セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、気分の安定や睡眠の質に深く関わっています。運動をするとセロトニンの分泌が促され、気持ちが落ち着きやすくなります。特に有酸素運動はこの分泌を活発にする効果が高いとされ、ウォーキングやジョギングが推奨されています。朝日を浴びながらの運動は体内時計も整い、睡眠リズムの改善にも繋がります。

ストレスホルモンの低減効果

ストレスを感じると分泌される「コルチゾール」は、長期間高い状態が続くと心身に悪影響を及ぼします。運動にはこのホルモンを低下させる作用があります。軽い運動を続けることでストレス反応が緩和され、心拍数や血圧も安定します。また、運動後の爽快感や疲労感が、心地よい「リセット効果」を生み出し、日常のストレスをリフレッシュさせます。

運動による自己効力感の向上

うつ病の方は「自分にはできない」という無力感を抱きがちです。しかし、運動を通じて「今日は10分歩けた」「昨日より軽く動けた」といった小さな成功体験を積み重ねることで、自信が回復します。

この「できた」という感覚が脳の報酬系を刺激し、さらなる行動意欲を生み出します。運動はうつ病治療における「第3の選択肢」として、自己回復力を育てる鍵となります。

うつ病の人におすすめの運動

うつ病の改善には、激しい運動よりも継続できる軽い運動が効果的です。体調や気分に合わせた動きを選びましょう。

ウォーキング

最も始めやすい運動がウォーキングです。特別な道具も不要で、外に出るだけで気分転換になります。歩行のリズムは脳に安定感をもたらし、ストレスを和らげます。

朝や夕方など自分のリズムに合わせて歩く習慣をつけることで、睡眠リズムの改善や体力の回復も期待できます。疲れやすい場合は5分からでも構いません。少しずつ距離を伸ばすことがポイントです。

ストレッチ・ヨガ

ストレッチやヨガは、身体の緊張を和らげ、深い呼吸を取り戻す効果があります。うつ状態のときは筋肉が硬直しやすく、呼吸も浅くなりがちですが、ストレッチを行うことで副交感神経が優位になり、心身がリラックスします。ヨガでは「今この瞬間」に意識を向けるマインドフルネスの効果も得られ、不安や焦りが軽減します。

軽い筋トレ

自宅でできるスクワットや腕立て伏せなどの軽い筋トレも、うつ症状の改善に役立ちます。筋肉を動かすことで成長ホルモンが分泌され、脳の修復や代謝が促進されます。また、筋トレの習慣化は「続けられている自分」を実感しやすく、自己肯定感を取り戻す効果が期待できます。過度な負荷ではなく、自分のペースで継続することが大切です。

運動を続けるためのコツ

うつ病の改善において、運動を「継続すること」が最も重要です。最初は意欲が湧かなくても、続ける工夫次第で習慣化できます。

完璧を求めない

運動を続ける上で「完璧主義」は大きな障壁になります。「毎日やらなければ」「続けられなかったら意味がない」と思う必要はありません。気分が落ち込む日や体調がすぐれない日があるのは当然のことです。

そんな日は、無理に体を動かすのではなく「今日は休む日」と割り切ることも大切です。重要なのは“できなかった日”を責めず、“できた日”を認める意識です。たとえ1日5分でも動けたなら、それは前進です。完璧を求めず、「できる範囲でやる」ことが、継続の秘訣です。継続は努力よりも、柔軟さと自己受容によって生まれます。

小さな目標設定

運動を継続するためには、最初から大きな目標を掲げるよりも「小さな達成」を積み重ねることが重要です。例えば、「今日は家の前まで出る」「5分歩く」「一駅分だけ歩いてみる」など、すぐにできるレベルから始めましょう。

達成感が得られると脳の報酬系が活性化し、モチベーションが自然と高まります。無理のない目標は、成功体験を積み上げることで自己効力感を高め、うつ病特有の「自分にはできない」という思考を緩和します。また、週ごとに少しずつ目標を上げると、達成感と充実感が得られやすくなります。続ける自分を褒めることが、心を整える第一歩です。

習慣化のコツ

運動を“習慣”として定着させるためには、生活の一部に自然に組み込むことが効果的です。たとえば、「朝起きたら5分ストレッチ」「帰宅後に一駅分歩く」など、日常の流れの中に動作をセット化します。こうすることで「運動をしよう」と意識しなくても、体が自然に動くようになります。

また、スマートフォンのアプリを使って記録を取るのもおすすめです。グラフで成果が見えると継続意欲が高まります。モチベーションが下がる時期もありますが、そこで無理をせず“動けない自分”を受け入れることが継続の鍵です。運動は努力ではなく「習慣化」で続きます。

仲間やサポートの活用

運動を一人で続けるのは容易ではありません。家族や友人と一緒に取り組むことで、楽しさや安心感が生まれます。また、医療機関や訪問看護サービスに相談し、サポートを受けるのも効果的です。誰かと共有することで「やらなきゃ」ではなく「やりたい」に変わり、ポジティブな循環が生まれます。

特にうつ病の方は孤独を感じやすいため、他者との関わりが大きな支えになります。オンラインのコミュニティや運動グループを活用しても良いでしょう。一人で頑張らず、支え合う環境を作ることが、運動を続ける最大のコツです。

うつ病のときに運動がつらいと感じる場合

体や心が重く、どうしても動けない日があるのは自然なことです。そんなときは焦らず、自分を労わることが最優先です。

休息を優先する

うつ病の回復期には、無理な行動が逆効果になることがあります。疲労感や睡眠不足がある場合、まずは体を休めることを優先してください。休息は怠けではなく、心のエネルギーを回復させるための“治療”です。

睡眠を十分に取り、食事を整えるだけでも体のリズムは改善します。体力や気持ちが少し戻ったときに、軽い運動を再開すれば良いのです。何もしない日が続いても、自分を責めずに受け入れることが大切です。自分を責めることはストレスを増やし、回復を遅らせてしまいます。休むことは、前に進むための準備期間です。

散歩など軽い動きから始める

長時間の運動が難しい場合は、短時間の散歩から始めましょう。家の周囲を数分歩くだけでも血流が良くなり、気分転換になります。できれば朝や昼間の時間帯に外に出て、太陽の光を浴びることを意識しましょう。

光を浴びることでセロトニン分泌が促され、気持ちの安定につながります。動くこと自体が難しい日は、深呼吸や軽いストレッチでも構いません。身体を動かす小さな刺激が、徐々に心のエネルギーを回復させます。焦らず、自分のペースで少しずつ動くことが大切です。

医師・看護師に相談する

うつ病の状態によっては、運動の仕方や頻度に医療的な配慮が必要な場合もあります。自己判断で無理をすると体調を崩すことがあるため、主治医や訪問看護師に相談することが重要です。医療従事者は、心身の状態に合わせて無理のない運動計画を提案してくれます。

専門家と連携することで、安心して体を動かすことができ、症状の悪化を防ぐことにもつながります。看護師によるサポートは、孤立感を和らげる心の支えにもなります。自分ひとりで抱え込まず、信頼できる専門家の力を借りることが、継続と回復の鍵です。

関連記事:うつ病は完治する?回復の現実と治すための正しい道筋

運動療法を取り入れる際の注意点

運動は効果的な治療法の一つですが、方法を誤ると逆効果になることもあります。正しい知識と環境づくりが大切です。

体調・持病に応じた運動強度

体調や持病に合わせて、無理のない範囲で運動を行うことが重要です。たとえば、心臓や関節に不安がある場合は、負担の少ないストレッチや水中ウォーキングなどが適しています。うつ病では体調の波が大きいため、日によって運動量を調整しましょう。

疲労感が強い日は「休む勇気」も必要です。運動を続ける中で、身体の変化や痛みを感じたときは、すぐに専門家に相談することが大切です。体調に寄り添った運動が、長期的な回復を支えます。

天候や環境への配慮

外出が難しい天候のときは、室内でも行える運動を取り入れましょう。ヨガや軽いストレッチ、オンライン動画を活用した運動などが効果的です。天候や季節による気分の変動は、うつ病の方にとって大きな影響を与えるため、無理せず環境を選ぶことがポイントです。

特に冬は日照時間が短く、気分の落ち込みが強まる傾向があります。照明を明るくしたり、部屋の換気を意識したりするだけでも気分が変わります。自分にとって心地よい環境を整えることが、運動継続の秘訣です。

過度な運動による逆効果

運動は「やりすぎ」ても良くありません。過度な運動はストレスホルモンを増加させ、疲労や気分の落ち込みを引き起こすことがあります。目的を「成果」ではなく「リラックス」に置くことで、無理のない運動が可能になります。

目標を高くしすぎず、体調の変化に敏感になることが大切です。特に、睡眠不足や食欲不振がある時期は、身体が回復を求めているサインです。そのような時は、休むことも「治療の一部」と考えましょう。継続のためには「頑張らない勇気」も必要です。

医療機関・訪問看護との連携の重要性

運動療法を安全に取り入れるためには、医療機関や訪問看護師との連携が欠かせません。医師は症状の変化を診断し、適切な運動量を判断してくれます。また、訪問看護師は日常生活の中での支援を行い、心身の状態を観察しながらサポートします。

特に、再発予防の段階では、運動習慣の維持が重要となるため、専門家の伴走は大きな支えになります。看護師と一緒に運動を行うことで、孤独感を減らし、安心感を得ることもできます。医療と連携することで、心の回復がより確実になります。

関連記事:うつ病の支援方法を徹底解説:症状別アプローチと回復に向けた支援の重要性

まとめ

うつ病に対する運動療法は、心と体の両面から回復を促す効果があります。継続は簡単ではありませんが、小さな一歩が大きな変化を生みます。焦らず、自分のペースで無理のない範囲から始めることが大切です。運動が難しいときや不安がある場合は、専門家のサポートを受けることで安心して継続できます。

うつ症状や不安でお悩みの方は、訪問看護を利用するのも一つの方法です。精神科に特化したサポートを提供する「訪問看護ステーションくるみ」では、医師や地域と連携し、利用者さまとそのご家族を全力で支えています。どうか一人で抱え込まず、まずは『訪問看護ステーションくるみ』へご相談ください。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

訪問看護師募集中