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発達障害グレーゾーンの適職は?特徴と向いてる仕事の探し方

2025.08.27 精神科訪問看護とは

発達障害 グレーゾーン 適職

発達障害の診断基準を満たしていない「グレーゾーン」の方は、日常生活や仕事で生きづらさを感じることがあります。しかし適職を選び、自分の特性に合った働き方を見つけることで強みを活かすことが可能です。本記事では、発達障害グレーゾーンの特徴や職場での困りごと、特性ごとの向いている仕事、そして適職を探すための工夫や支援先について詳しく解説します。

発達障害グレーゾーンとは

発達障害のグレーゾーンとは、診断基準を満たさないものの特性が日常や仕事に影響している状態を指します。適職を見つけるためには、まずこの状態を理解することが欠かせません。

発達障害と診断されないが傾向がある状態

発達障害グレーゾーンとは、発達障害と診断されるほどではないが、注意力やコミュニケーションなどの面で特性があり生活に影響する状態を指します。診断名がつかないことで、支援制度を利用しにくく、周囲から理解されにくいのが特徴です。

しかし一方で、自分の特性を把握して適職を選ぶことで働きやすさが大きく変わります。まずは「グレーゾーン」と呼ばれる立ち位置を理解することが、仕事探しの出発点となります。

グレーゾーンの人が抱える課題

発達障害グレーゾーンの方は、周囲から「普通にできる」と思われやすく、困難があっても理解を得にくい課題があります。その結果、できないことを努力不足と誤解され、自信を失いがちです。また、適職が分からず仕事を転々としてしまうこともあります。

こうした課題を解消するには、自己理解を深め、自分の得意不得意を整理することが重要です。特性を知ることで、働きやすい環境や仕事を選びやすくなります。

診断を受けていないことによる難しさ

診断を受けていないと、障害者雇用枠や福祉サービスなどの支援が利用しにくく、自分一人で問題に向き合う状況になりやすいです。そのため、孤立感が強まり、職場での生きづらさを抱えやすい傾向にあります。

また、職場で合理的配慮を求めにくい点も課題です。しかし、適職を見極め、働きやすさを高める工夫を取り入れれば、支援がなくても力を発揮できます。そのため、早期に特性を整理し行動することが大切です。

発達障害グレーゾーンの特徴

発達障害グレーゾーンの方は、人によって異なる特性を持ちますが、大きく分けてASD、ADHD、LDに関連する傾向が見られます。それぞれの特徴を理解することは、適職を見つけるうえで重要なヒントになります。

ASD(自閉スペクトラム症)の傾向

ASD傾向がある方は、特定の分野に強い集中力を発揮できる一方で、柔軟な対応や曖昧な状況への適応が難しい場合があります。仕事では、ルールや手順が明確な環境で力を発揮しやすく、細部にこだわる作業や研究職などで強みを持ちます。

ただし、臨機応変さを求められる場面では負担を感じやすいため、職場選びの際には仕事内容の明確さがポイントになります。このようにASD傾向は適職次第で大きな強みに変わります。

ADHD(注意欠如・多動症)の傾向

ADHD傾向を持つ方は、不注意や衝動性によって失敗しやすいものの、好奇心旺盛で新しいアイデアを生み出す力に優れています。単調な作業では集中力を維持しにくいですが、刺激や変化のある仕事には適性があります。

例えば営業職や企画職のように、行動力や発想力が求められる職種は適職となる可能性があります。発達障害グレーゾーンの中でも、ADHD傾向の方は環境次第で成果を発揮しやすい点が特徴です。

LD(学習障害)の傾向

LDの傾向を持つ方は、読み書きや計算といった特定の分野に困難がありますが、他の能力は十分に発揮できます。苦手分野をカバーする工夫をすれば、適職で活躍できる可能性が高いです。

例えば、文章作成が苦手でも、会話力や企画力に優れる場合には営業や接客の仕事で力を発揮できます。発達障害グレーゾーンの中でも、LD傾向の方は「苦手を避け、得意を活かす」仕事選びが重要であり、その工夫次第で働きやすさは大きく変わります。

関連記事:仕事のミスや対人関係に悩む方へ:3つの大人の発達障害(ASD・ADHD・LD)セルフチェックリスト

グレーゾーンの方が仕事で感じやすい困難

グレーゾーンの方が仕事で感じやすい困難

発達障害グレーゾーンの方は、特性に応じて職場で直面する課題が異なります。人間関係や作業内容、集中力の面で困難を感じやすいため、適職選びや働き方の工夫が求められます。

人間関係での難しさ

発達障害グレーゾーンの方は、暗黙のルールやあいまいな会話を理解しにくく、職場で誤解が生じやすいです。そのため、人間関係のトラブルや孤立感を抱えることがあります。また、雑談や社交的な場面が負担となり、必要以上に疲労を感じやすいことも特徴です。

しかし、個別作業や少人数の職場など、対人関係の負担が少ない環境を選ぶことで働きやすさは改善されます。適職を選ぶ際には、職場の人間関係の特徴を考慮することが大切です。

業務内容や作業手順でのつまずき

マルチタスクや急な変更への対応が苦手なため、業務手順が複雑だとつまずきやすくなります。その結果、納期の遅れや作業の抜け漏れが起きやすい傾向があります。一方で、同じ作業を繰り返すルーティンワークや一つの作業に集中できる仕事では力を発揮できます。

発達障害グレーゾーンの方が適職を見つける際には、仕事内容が明確で変更が少ないかどうかが重要な判断基準となります。この点を理解すれば、自分に合った仕事を見極めやすくなります。

集中力や記憶に関する問題

発達障害グレーゾーンの方は、集中力の持続が難しかったり、指示を忘れやすいなどの特徴があります。そのため、業務を進める際に確認不足や抜け漏れが起こりやすく、評価に影響することもあります。

しかし、メモやチェックリストを活用し、仕事の流れを視覚化する工夫をすれば改善が可能です。自分の集中力が続きやすい環境や、忘れにくい工夫を取り入れることで、苦手を補いながら適職に取り組むことができるのです。

発達障害グレーゾーンの方に向いてる適職

発達障害グレーゾーンの方に向いてる適職

発達障害グレーゾーンの方は、特性ごとに得意分野が異なります。向いている適職を知ることで、働きやすさと自己肯定感を高めることにつながります。

ASDに向いてる仕事

ASDの傾向を持つ方は、細部へのこだわりや集中力を活かせる仕事に向いています。例えば、データ入力やプログラミング、研究開発、品質管理など、ルールや手順が明確で変化が少ない職種は適職となりやすいです。

対人関係の負担が少なく、自分のペースで作業できる環境を選ぶことが重要です。曖昧な状況や急な変更に弱い傾向があるため、仕事内容が明確で安定した職場を選ぶことで力を最大限に発揮できます。

ADHDに向いてる仕事

ADHDの傾向を持つ方は、行動力や発想力を活かせる職種に適性があります。例えば営業、接客、クリエイティブ職など、動きがあり変化が多い仕事はエネルギーを発揮しやすいです。不注意や衝動性による失敗は起こりやすいですが、工夫次第で補えます。

特にチームでの動きが活発な環境や、成果が数値化される仕事では達成感を得やすいです。自分に合う仕組みを取り入れながら、動きを活かせる職場で働くことが適職選びのポイントとなります。

不注意傾向が強い場合に合う仕事

不注意傾向が強い方は、確認作業を伴いにくい単純作業や、目に見える成果が分かりやすい仕事に適しています。例えば、物流や軽作業、調理補助などは適職になりやすいです。細かい手順が多い仕事はつまずきやすいため、マニュアル化されていて確認しやすい業務が安心です。

多動・衝動性が強い場合に合う仕事

多動や衝動性が強い方は、常に動きのある環境や、人と関わる場面が多い仕事に適しています。営業やイベントスタッフ、販売職などはエネルギーを強みに変えやすいです。動きながら成果を出す仕事は、特性を活かせる場となります。

LDに向いてる仕事

LDの傾向を持つ方は、読む・書く・計算といった特定分野の困難さを避ければ、得意分野で大きな力を発揮できます。例えば、手先の器用さを活かした製造業やデザイン、コミュニケーション能力を活かした接客や販売などが適職です。

パソコンや補助ツールを活用すれば、苦手を補いながら働けます。苦手分野を避け、得意を伸ばす仕事を選ぶことが、発達障害グレーゾーンにおける適職選びの基本です。

適職を見つけるための工夫と対策

発達障害グレーゾーンの方が自分に合う仕事を見つけるには、特性を理解し、働き方の工夫を取り入れることが必要です。以下の視点が有効です。

自分の強みと弱みを整理する

まずは自己理解が出発点です。得意なことと苦手なことを紙に書き出すだけでも、自分の特性が整理されます。強みを活かす仕事を選び、弱みを工夫で補えるようにすれば、働きやすさは大きく変わります。発達障害グレーゾーンは一人ひとり特性が異なるため、自己分析を通じて適職の方向性を見つけることが重要です。

業務に役立つ工夫を取り入れる

仕事の困りごとは工夫で軽減できます。例えば、メモやタイマーを使った時間管理、タスクを細分化する方法などがあります。自分に合ったやり方を見つけることで、失敗を減らし、自信を持って働けます。発達障害グレーゾーンであっても、環境やツールを工夫することで働きやすさを高められます。

合理的配慮を職場に求める

診断がなくても、働きやすさを実現するために職場へ配慮を求めることは可能です。例えば「指示を紙に書いてほしい」「静かな環境で作業したい」など具体的に伝えると理解を得やすいです。合理的配慮を得ることで負担が軽減され、長く働き続けられる可能性が高まります。

発達障害グレーゾーンの方が活用できる支援機関

発達障害グレーゾーンの方が活用できる支援機関

発達障害グレーゾーンの方は、一人で就職活動や職場の悩みを抱え込むと大きな負担となります。そこで役立つのが、専門の支援機関です。就労準備やキャリア相談を通じて、適職探しを後押ししてくれます。

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害やグレーゾーンの方が安心して相談できる公的機関です。心理士や就労支援員などの専門スタッフが在籍しており、特性に応じた働き方の提案や生活面でのアドバイスを受けられます。

診断がなくても相談が可能な場合があり、職場での困難をどう乗り越えるかを一緒に考えてくれます。適職を見つけるための情報提供や、地域の支援機関とのつなぎ役としても重要な役割を果たしてくれる場です。

地域若者サポートステーション

地域若者サポートステーションは、15歳から49歳を対象に、キャリア相談や職場体験の機会を提供しています。発達障害グレーゾーンの方でも利用でき、履歴書作成や面接練習などの具体的なサポートが受けられるのが特徴です。

また、社会人としての基礎スキルやコミュニケーション力を養うプログラムもあり、就労に向けて段階的に準備を進められます。就職活動に不安を抱える方にとって、安心できる伴走者となる存在です。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、障害者総合支援法に基づいて運営されている福祉サービスです。職場で必要なスキルを学べるプログラムや、実際の企業での実習を通じて働く経験を積むことができます。

発達障害グレーゾーンの方でも相談可能で、特性を踏まえた個別支援計画を立ててもらえる点がメリットです。就職後も職場定着の支援を行っており、長く働き続けるためのサポートが受けられます。安心してステップアップできる環境です。

関連記事:就労移行支援事業所とは?サービス概要や訪問看護との連携をわかりやすく解説

ハローワーク

ハローワークは国が運営する職業紹介機関であり、発達障害グレーゾーンの方も利用できます。無料で求人情報を得られるだけでなく、専門の相談員によるキャリア相談を受けられる場合もあります。

また、職業訓練制度を活用すれば、新しいスキルを身につけて就職の幅を広げることが可能です。グレーゾーンの方にとっては、自分に合った仕事を探すための入り口として利用しやすく、まず相談先として検討すべき機関です。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、就職活動から就労定着まで幅広くサポートしてくれる地域密着型の機関です。発達障害グレーゾーンの方でも利用でき、仕事と生活の両面を支援してくれるのが特徴です。

職場での困りごとがあれば相談でき、必要に応じて職場訪問や企業との調整も行ってくれます。生活習慣の改善や対人関係の課題についても支援してもらえるため、安心して働き続ける基盤を作ることができます。

まとめ

発達障害グレーゾーンの方は、診断がなくても特性によって仕事で困難を感じやすい一方、適職を選ぶことで強みを発揮できます。本記事ではASD・ADHD・LDの傾向ごとの向いている仕事や働きやすさの工夫、支援機関の活用法を解説しました。

悩みを一人で抱え込むのではなく、専門機関や訪問看護を利用することも有効です。精神科に特化した「訪問看護ステーションくるみ」では、就労や生活の相談も可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を監修した人

石飛美春

株式会社Make Care Webクリエイター

石飛 美春

看護師 / Webクリエイター

看護師として臨床を経験後、一度Web業界に転身。ものづくりの楽しさを知る一方で、やはり人と関わる現場に戻りたいという想いから、訪問看護ステーションくるみに入職。現在は訪問業務とあわせて、Web制作の経験を活かし、HPやSNSの更新を担当している。

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