摂食障害かもしれないと思いながら具体的な治療を想像できず、病院を受診していない方もいるでしょう。摂食障害は自分では気づきにくい病気であることから、家族や周囲の人がいつもと異なる様子を感じるケースも少なくありません。
この記事では、摂食障害の治療について解説します。
摂食障害の症状や知っておきたいサインなども紹介しますので、治療法を知りたい方はもちろん、家族が摂食障害かもしれないと不安な方も、ぜひ最後までお読みください。
摂食障害の早期治療にはサインを見逃さないことが大切
摂食障害は、食事に関する行動を軸として、心と体にさまざまな問題が現れる病気です。
治療を受けたことがない、もしくは中断してしまっている人は約4割いるといわれています。
摂食障害の症状やサインを知ることで、早期発見、治療につながります。ここでは、いくつかの側面に分けて摂食障害におけるサインの一例を説明します。
食事に関するサイン
まずは食事です。摂食障害の方には以下の特徴が見られます。
・食事量が減少する
・カロリーを過度に気にする
・食べ物を噛むが飲み込まず、吐き出す
・1人での食事を好む
・食べ過ぎたあとは絶食する
・食べ始めたら止まらない
・食べ物を自分の部屋に隠す
食べることへの歪んだ認識が見られるケースが多いとされています。
心に関するサイン
次は、心に関するサイン(精神的な症状)です。
・常にイライラしている
・不安感が強い
・気持ちの浮き沈みが激しい
・やる気がなくなる
・引きこもりがちになる
精神的な症状が強くなると日常生活に支障をきたし、人によっては社会生活から離れてしまう方もいます。
体重・体型に関するサイン
体重や体型に関して、以下のサインが見られるのも摂食障害の特徴です。
・体重の増加をおそれている
・著しい体重の減少が見られる
・1日何回も体重をはかる
・自分の体重や体型に不満がある
太っていないにも関わらず、見た目や体重が気になり食事を制限してしまう方もいます。
体に関するサイン
摂食障害の症状は、体にも大きな影響を与える可能性があります。
・生理不順になる
・疲れやすくなる
・胃もたれなどの消化器症状が見られる
・指や手の甲に吐きだこができる
・自己誘発性嘔吐による食道炎や、歯のトラブルが見られる
栄養失調やストレスは、上記のような症状が見られる原因となります。中には、吐きだこや食道炎など、食べたものを無理に吐く行為が原因となる症状も。
早期発見と治療のためには、摂食障害のサインを見逃さないことが重要です。当てはまるサインや症状が見られるときは、医療機関の受診を検討しましょう。
摂食障害の治療には「心」と「体」のケアが必要
ここでは、摂食障害に対する治療や必要なケアについて解説します。
具体的には、心と体の両面からのアプローチが大切です。
心理療法
治療法の1つとして心理療法があります。具体的には、認知行動療法や対人関係療法、家族療法などです。
心理療法では、本人の食事に対する意識や認識を変え、今抱えている問題やストレスに対して介入します。
本人に病識がない場合、摂食障害である点や健康への影響を理解するようサポートする必要があるでしょう。
ほかにも本人だけでなく、家族へのケアを進めるケースもあります。
中には「摂食障害になった原因が自分たちにあるのでは?」と考えてしまうご家族もいるかもしれません。
原因を一緒に考え、問題を1つひとつ解決していくことが大切です。
栄養療法
摂食障害の患者さまは、食事を摂らないことで低栄養状態に陥っているケースも予測されます。標準体重の55%を下回る場合は重症と考えられ、入院による栄養療法を開始しなければなりません。
通院しながら自宅で治療する場合は、1〜2週間で最大0.5kgの体重増加が目安です。場合によっては栄養補助食品を使うケースもあるので、主治医に相談してみましょう。
薬物療法
薬物療法は、摂食障害に精神的症状を伴っているときに、状況に応じて選択されるケースがあります。たとえば、気分の落ち込みや抑うつ状態の場合には、抗うつ剤や抗精神病薬が選ばれます。
患者さまによっては、現状を病気と捉えていない可能性も考えられることから、薬の服用を嫌がるかもしれません。
服薬管理にお困りの方は、訪問看護の利用も選択肢の1つです。訪問看護師によるサポートを受けながら、効果的に薬物療法を進められるでしょう。
摂食障害の治療は専門家へ相談しよう
摂食障害の治療法は、状況によって決められます。
中には入院するケースもありますが、通院での治療も可能です。
自宅で治療を進める場合には、訪問看護の利用も検討してみましょう。
訪問看護では、自宅で必要な看護ケアやサポートが受けられます。
不安を感じたときの相談はもちろん、生活リズムの調整、家族へのアドバイスなど、受けられる支援は多岐に渡ります。
利用を検討している方は、ぜひ『訪問看護ステーションくるみ』へお気軽にお問い合わせください。