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働くのが怖いのは適応障害?原因と対処法を徹底解説

2025.08.27 精神科訪問看護とは

働くのが怖い 適応障害

仕事に行くのが怖い、職場に向かうのがつらいと感じるとき、その背景には適応障害が関係していることがあります。適応障害は環境の変化やストレスが引き金となり、心身に大きな影響を与えるものです。

本記事では「働くのが怖い」と感じる原因を整理し、適応障害の症状や具体的な対処法について解説します。ひとりで抱え込まず、支援を得ながら回復を目指すためのヒントをお伝えします。

働くのが怖いと感じるのは適応障害かもしれない

働くのが怖いと感じるのは適応障害かもしれない

職場に行くのが怖いと感じる場合、精神的な背景として適応障害の可能性があります。ここでは、適応障害の基本的な特徴や発症しやすい傾向について説明します。

適応障害の特徴とは

適応障害は、ストレス因子が存在する限り症状が続きやすいという特徴を持っています。例えば部署異動、昇進、転勤など、ポジティブに見える出来事も強いストレスとなり発症につながることがあります。

抑うつ気分や不安のほか、集中力低下やミスの増加も見られるため、仕事の成果に影響が及ぶことが多いです。症状はストレス源が取り除かれると改善に向かう場合もありますが、放置すると慢性化や他の精神疾患に移行することもあります。

働くのが怖いと結びつきやすい理由

適応障害の症状は、仕事という具体的な場面で強く現れる傾向があります。業務上の失敗や人間関係のトラブルを経験すると、「また同じことが起こるのでは」と予期不安を抱きます。

その結果、職場全体が恐怖の対象になり、出勤を考えるだけで体調が悪化する人もいます。さらに、責任感の強さが裏目に出て「休んではいけない」「迷惑をかけてしまう」と自分を追い込み、恐怖心が悪化することも珍しくありません。

適応障害になりやすい人の傾向

誰にでも起こり得る適応障害ですが、性格や考え方の傾向によってリスクが高まる場合があります。真面目で几帳面な人、完璧主義で妥協が苦手な人は、周囲からの期待や自分自身の理想に押しつぶされやすい傾向があります。

また、人間関係の摩擦を避けたいと考える人もストレスを抱え込みやすく、環境の変化に適応できず症状が出やすいといわれています。自分の性格傾向を知ることは、予防や早期対応につながります。

適応障害の背景にある要因

適応障害で働くのが怖いと感じる背景には、環境・心理・社会の3つの側面があります。症状だけでなく、なぜ恐怖心が生まれるのかを整理して理解することが大切です。

職場環境が引き起こす要因

適応障害における「働くのが怖い」という感情は、職場環境の影響を強く受けます。長時間労働や終わりの見えない業務量、人間関係の摩擦は強いストレスとなり、不安や恐怖を増幅させます。

特に異動や配置転換など、短期間で大きな環境の変化が起こると、適応が難しくなりやすいです。新しい業務内容や人間関係への不安が重なると「明日も仕事に行かなければならない」という事実自体が苦痛となり、出勤そのものが大きなプレッシャーに変わってしまいます。

本人の心理的な要因

適応障害を発症しやすい人には心理的な特徴があるといわれています。真面目で几帳面、責任感が強いといった性格は、普段は大きな強みですが、過度に発揮されると「失敗してはいけない」という思考につながり、心を追い詰めてしまいます。小さな失敗や注意を過大に受け止めてしまい、次第に仕事そのものを恐れるようになります。

さらに「周囲の期待を裏切りたくない」という気持ちが強すぎると、自己評価と現実の差に苦しみ、強い自己否定感が芽生えます。このような心理的傾向は、働くことへの恐怖感を慢性的に抱えやすくする要因です。

社会や周囲の期待による要因

働くことの背景には、社会的な要因や周囲からの期待も大きく影響しています。「生活のために辞められない」「家族を養わなければならない」というプレッシャーは、心に重くのしかかります。さらに上司や同僚からの評価を気にしすぎたり、将来への不安が強まったりすると、働くことが恐怖に変わります。

経済的な不安や社会的な役割への責任感は、多くの人にとって逃れられない現実です。これらが重なったとき、適応障害の症状はさらに悪化し、職場に向かうことそのものが耐えられない状態に陥るのです。

適応障害と他の疾患の違いを知ることも大切

適応障害と他の疾患の違いを知ることも大切

「働くのが怖い」という感情は、必ずしも適応障害だけに見られるものではありません。うつ病やパニック障害など、他の精神疾患でも同じような症状が現れます。違いを理解し、自己判断せずに専門医に相談することが重要です。

適応障害とうつ病の違い

適応障害とうつ病は混同されやすいですが、両者には大きな違いがあります。適応障害は特定のストレス要因が明確で、その影響を受けて症状が現れます。一方、うつ病は明確な原因がなくても症状が続き、ストレス要因がなくなっても改善しにくい特徴があります。

また、うつ病は長期的に気分の落ち込みが続きやすく、生活全般に影響が広がります。適応障害は環境が変わると改善するケースがあるため、診断と治療の方向性も異なります。この違いを理解することで、早期の対応が可能になります。

パニック障害との違い

パニック障害では、突然の動悸や呼吸困難などの発作が特徴的です。仕事中に症状が出ることもあり、「また発作が起きるのではないか」という予期不安が強まります。適応障害との違いは、症状のきっかけにあります。

適応障害は特定の環境や状況がストレス源となるのに対し、パニック障害は突発的に身体症状が起こり、それが繰り返されることで恐怖感が形成されます。症状が似ていてもメカニズムが異なるため、治療方法も異なります。

適応障害で働くのが怖いと感じる主な症状

適応障害は心の症状だけでなく身体の不調として現れることもあります。ここでは精神面・身体面の症状を整理し、日常生活への影響を確認します。

精神的な症状と「働くのが怖い」と結びつく理由

精神的な症状には、不安感、気分の落ち込み、集中力低下などがあります。職場でミスをした経験が強い恐怖として残り、「また同じことをしてしまうのでは」という不安が繰り返し生じます。

上司や同僚の反応を過度に気にしてしまい、周囲の視線そのものがストレスになるケースもあります。その結果、会社に行くこと自体が大きな負担となり、休職や退職を考えるまで追い込まれる人も少なくありません。

身体的な症状と働くことへの恐怖感

身体的な症状として多く報告されるのが、頭痛、動悸、胃痛、めまい、倦怠感などです。出勤前に症状が強く出るケースもあり、まるで体が「仕事に行くのを拒否している」かのように感じる人もいます。

睡眠障害が続けば日中の集中力はさらに低下し、悪循環に陥ります。こうした身体症状は「怠けている」と誤解されがちですが、実際には心身が限界を訴えているサインです。適切に対応しなければ症状は長期化する恐れがあります。

「働くのが怖い」と思ったときの具体的な対処法

働くことに強い恐怖を感じるときは、我慢せずに早めの対処が必要です。症状を軽視すると悪化し、うつ病などに進展する可能性もあります。ここでは、医療機関の受診から生活習慣の見直しまで、多様な対処法を紹介します。

医療機関・専門家への相談

強い不安や恐怖が続き、日常生活や仕事に支障をきたす場合は、医療機関を受診することが重要です。心療内科や精神科では、医師の診断をもとに薬物療法やカウンセリングが行われます。適応障害は「気の持ちよう」ではなく、治療対象となる疾患であるため、専門的なサポートを受けることが回復への近道です。

心理士やカウンセラーとの面談では、悩みを言語化し客観的に整理できます。第三者の視点を通じて「今の自分がどういう状態なのか」を知ることは、自己理解を深め、安心感を得ることにつながります。症状が軽いうちから相談することで、長期化を防ぐことも可能です。

関連記事:適応障害の治し方を徹底解説|回復への道筋

職場での環境調整や制度の利用

働く上でのストレス要因を減らすには、職場環境の調整が有効です。日本の労働安全衛生法に基づき、多くの職場にはストレスチェック制度や産業医との面談が導入されています。これらを活用すれば、業務量の調整や部署異動、時短勤務など柔軟な対応を受けられる可能性があります。

特に、適応障害は環境要因の影響が大きいため、環境改善が直接的な回復につながることも少なくありません。上司や人事に相談する際は「体調に影響が出ている」と事実を伝えることが大切です。相談は勇気が要りますが、職場には従業員を守る責任があるため、適切に活用することで無理のない働き方を取り戻せます。

ストレスケアと生活習慣の工夫

医療や職場での支援と並行して、日常生活の中でできる工夫も大切です。例えば、軽い有酸素運動や散歩は気分転換になり、自律神経を整える効果があります。

また、十分な睡眠を確保し、栄養バランスの取れた食事を意識することも、心身の回復に大きく影響します。趣味やリラクゼーション法を取り入れるのも有効で、アロマや音楽、読書など自分が安心できる時間を持つことは、ストレスを和らげる助けになります。

さらに、マインドフルネスや深呼吸を習慣にすると、不安が高まった際に気持ちを落ち着けやすくなります。こうした日常の工夫は即効性はありませんが、継続することで「働くのが怖い」という気持ちを和らげ、再発防止にも役立ちます。

休職や転職を含めた選択肢

症状が強く出て、仕事を続けることが困難な場合は、休職を検討することも必要です。適応障害は環境から離れることで改善しやすいため、一定期間休養に専念することが回復を促進します。休職は後ろ向きな選択ではなく、心身を守るための重要な手段です。また、どうしても環境が合わず改善が難しい場合は、転職も視野に入れるべきです。

働く環境を変えることで新しいスタートを切り、自分に合った職場を見つけられる可能性があります。「逃げることは悪いことではない」と認識することが、回復の第一歩です。自分の健康を守ることを最優先に考え、柔軟に選択肢を広げることが大切です。

適応障害で働くことが怖いときに検討できる支援

適応障害で働くことが怖いときに検討できる支援

社会には適応障害に向き合うためのサポート体制があります。ここでは、制度や外部支援の活用方法を紹介します。

産業医や社内相談窓口の活用

大きな企業には産業医が配置されており、従業員の健康状態を守る役割を担っています。体調や精神面の不調を産業医に相談すると、勤務時間の調整や業務の軽減など、現実的な解決策を提案してもらえることがあります。

職場環境に直接関わる立場の人に相談することで、迅速な対応につながるケースも少なくありません。「迷惑をかけたくない」という気持ちから相談をためらう人もいますが、制度は従業員を守るために存在するものです。勇気を出して利用することが、回復の第一歩となります。

就労移行支援や生活支援サービス

適応障害で長期間仕事から離れてしまった場合、再び社会に戻るまでに不安を感じる人も多いです。そうしたときに役立つのが就労移行支援事業所です。ここでは、専門スタッフが生活リズムの安定から職業訓練まで幅広くサポートしてくれるため、段階的に働く準備が整えられます。

さらに、障害者就業・生活支援センターでは、就職活動のサポートや生活面の相談も受けられます。自分一人で復職や転職を考えるのは大きな負担ですが、専門的なサービスを利用することで安心して次のステップへ進めます。公的な支援を上手に活用することで、再就職の成功率も高まり、無理のない働き方を見つけやすくなります。

家族や地域の支援機関とのつながり

家族の理解や支えは、適応障害の回復に欠かせない大きな力です。「無理に頑張れ」と励ますのではなく、気持ちをそのまま受け止めてもらえるだけで安心感が得られます。また、地域の福祉機関や自治体の相談窓口も積極的に利用する価値があります。生活支援や医療との連携を通じて、心身の負担を減らすサポートが期待できます。

地域の相談員やケースワーカーとつながることで、本人だけでなく家族の不安も軽減されます。一人で問題を抱え込むと孤立感が強まりやすいですが、周囲の人や地域資源を活用することで「自分は支えられている」と実感でき、働くことへの恐怖心を和らげることができます。

関連記事:適応障害の人にかけるとよい言葉とは?訪問看護の利用も選択肢のひとつ

まとめ

働くのが怖いという気持ちは、適応障害が関係している場合があります。精神的・身体的な症状が強いときは医療機関への相談が有効です。職場の制度や外部の支援機関を活用することで、回復への道が開けます。

適応障害で悩んでいる方も訪問看護を利用するのは一つの手です。相談をすることが大切なので、ぜひ「訪問看護ステーションくるみ」へご相談ください。

この記事を監修した人

石飛美春

株式会社Make Care Webクリエイター

石飛 美春

看護師 / Webクリエイター

看護師として臨床を経験後、一度Web業界に転身。ものづくりの楽しさを知る一方で、やはり人と関わる現場に戻りたいという想いから、訪問看護ステーションくるみに入職。現在は訪問業務とあわせて、Web制作の経験を活かし、HPやSNSの更新を担当している。

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