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ゲーム障害とは?原因やセルフチェックと対策

精神科訪問看護とは

ゲームをやめたいと思っているのにやめられない、気づくと長時間ゲームに没頭してしまうと悩む方は少なくありません。万が一、心当たりがある場合は、ゲーム障害の可能性も考えられます。

本記事では、ゲーム障害の主な症状や診断基準、セルフチェックの方法などを解説します。ゲーム障害を正しく知ることは、生活のバランスを取り戻すための大切な一歩です。無理に一人で抱え込まず、前向きに向き合うきっかけとして、ぜひ参考にしてください。

ゲーム障害の原因

ゲーム障害は、特定の要素を原因と断定できるものではなく、いくつもの要因が重なり合って生じます。ここでは、主な原因を3つの視点から解説します。

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脳科学的要因

ゲーム障害の背景には、ゲームが脳に与える影響が深く関係しています。特に大きな役割を果たすのが、快感や意欲を生み出す「報酬系」と呼ばれる脳の仕組みです。 

ゲーム内で目標を達成したり、敵を倒したり、アイテムを獲得したりすると、脳内ではドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。ドーパミンは達成感や高揚感を生み出し、人に「もう一度同じ体験をしたい」と感じさせる働きを持つ物質です。そのため、ゲームによる刺激が繰り返されるほど、ゲームを続けたいという欲求が強くなっていきます。

 また、ゲーム障害の状態では、判断力や感情のコントロールを担う前頭前野の機能が低下することもあります。やめようと思っても衝動を抑えにくくなり、ゲーム以外の活動に興味を持てなくなるケースも少なくありません。こうした変化が積み重なることで、ゲームへの依存がさらに深まる悪循環が生じやすくなります。

心理的要因

ゲーム障害には、個人の心理状態が大きく影響します。現実世界で強いストレスや不安、孤独感を抱えている場合、それらから距離を置く手段としてゲームに没頭してしまうケースも少なくありません。

ゲーム内では短時間で達成感を得られるほか、他者から評価や承認を受ける場面も多くあります。そのため、自己肯定感が低い人や、現実で満足感を得にくい人にとって、ゲームが心の支えになるケースも見られます。

また、人間関係に悩みを抱えている場合、ゲーム内のコミュニティに居場所を見いだし、つながりを強く求めるようになる事例も多いでしょう。こうした一時的な安心感や喜びが、現実の問題から目を背ける要因となり、結果としてゲームへの依存を強めてしまいます。

環境的要因

個人の外部環境も、ゲーム障害の発生や悪化につながります。家庭環境においては、親子関係の希薄さ、親が過度にゲームを利用している、あるいは子供のゲーム利用に対するルールが不明確であるといった状況がリスクを高める要素の一つです。

また、学校や職場での人間関係のトラブル、いじめ、学業や仕事での挫折感なども、現実逃避としてゲームにのめり込むきっかけとなる可能性があります。

さらに、スマートフォンや高速インターネットの普及により、ゲームへのアクセスが容易になったことも、現代におけるゲーム障害増加の大きな要因です。社会的な孤立感や、他に楽しめる趣味がないといった状況も、ゲームへの依存を深める一因となり得ます。

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ゲーム障害のリスクと進行

ゲーム障害は、誰にでも起こり得る問題です。ここでは、ゲーム障害に陥りやすい人の特徴や、どのような過程を経て依存状態が深まっていくのかを解説します。

リスク因子

ゲーム障害に陥りやすい人には、特定の個人特性や環境要因が見られます。これらのリスク因子を理解することで、自身や周囲の状況を評価し、早期の対策を検討するうえで役立ちます。主なリスク因子は以下のとおりです。

  • 精神疾患の併発: うつ病、不安症、ADHD(注意欠如・多動症)、自閉スペクトラム症など、他の精神疾患を抱えている人は、ゲームを現実からの逃避やストレス解消の手段として過度に利用しやすくなります。
  • 衝動性の高さ: 自分の行動をコントロールすることが苦手で、すぐに欲求を満たそうとする衝動性の高い人は、ゲームの誘惑に抗しにくい傾向があります。
  • 完璧主義・達成欲求の高さ: ゲーム内で高い目標を設定し、それを達成することに異常なほどの満足感や義務感を感じる人は、際限なくゲームを続けてしまうことがあります。
  • 社会的スキルの不足: 現実世界での人間関係構築が苦手な場合、ゲーム内のコミュニティに居場所を求め、そちらに没頭する傾向が見られます。
  • 家庭内の問題: 親子関係の不和、家族からの孤立、過度な干渉や無関心といった家庭環境は、子供がゲームに逃避する一因となることがあります。
  • ストレスや孤独感: 日常生活で強いストレスを感じていたり、孤独感を抱えていたりする人は、ゲームを一時的な現実逃避の手段として利用しやすくなります。

依存への進行過程

ゲーム障害は、ある日突然起こるものではありません。多くの場合、趣味としてのゲーム利用から始まり、徐々に問題のある状態へ進行していきます。この流れを理解すると、早い段階で変化に気づきやすくなります。

はじめは、多くの人が娯楽としてゲームを楽しみます。しかし、ストレスの解消や現実から目をそらす手段としてプレイ時間が増えていくと、「問題のあるゲーム利用」の段階に移ります。この段階では、ゲームを優先するあまり、他の活動がおろそかになったり、睡眠不足が続いたりしがちです。それでも、自分で調整できていると感じる人は少なくありません。

さらに状態が進むと、ゲームを中断しようとしてもやめられず、ゲーム以外への関心が薄れていきます。こうした状況が続くと、ゲームが生活の中心となり、学業や仕事、人間関係に深刻な影響を及ぼす依存状態へと発展するケースが一般的です。

ゲーム障害の治療法

ゲーム障害は適切な治療によって改善が期待できる病気です。ここでは、ゲーム障害に対する主な治療法として、認知行動療法、薬物療法、家族療法について具体的に解説します。

認知行動療法

認知行動療法(CBT)は、ゲーム障害の治療において中心的な役割を担う心理療法です。ゲームに対する考え方や行動の癖に目を向け、依存へとつながる流れを少しずつ修正していきます。

治療では、ゲームを始めるきっかけやプレイ中の思考、終了後の感情を記録し、依存を強めやすいパターンを整理する方法が一般的です。あわせて、ゲーム以外で気分転換できる行動や趣味を取り入れ、ストレスへの対処力を高めます。使用時間を段階的に見直し、小さな成功体験を積み重ねながら、自信の回復を目指す点も特徴です。

薬物療法

ゲーム障害自体に特効薬は存在しません。しかし、ゲーム障害に併発しやすい他の精神疾患の症状を緩和するために薬物療法が用いられることがあります。例えば、うつ病、不安症、ADHD(注意欠陥・多動性障害)などがゲーム障害と同時に診断されるケースは少なくありません。

これらの精神疾患の症状が重い場合、抗うつ薬、抗不安薬、ADHD治療薬などの服用により、ゲームに過度に没頭してしまう根本的な要因の一つを軽減できる可能性があります。

薬物療法は、あくまで併発症の治療や症状の緩和が目的です。そのため、ゲームへの渇望を直接抑えるものではない点を理解しておく必要があります。なお、薬物療法は、認知行動療法などの心理療法との併用で、より効果的な治療効果が期待できます。

家族療法

ゲーム障害は、本人だけの問題にとどまらず、家族全体へ大きな影響を及ぼします。そのため、家族が適切な関わり方を学び、健全なコミュニケーションを築くための家族療法も重要な治療法です。

家族療法では、ゲーム障害への理解を深めたうえで、患者さんへの声かけや対応の仕方を確認します。過度な批判や干渉は逆効果になりやすいため、共感を意識した接し方や、ゲーム以外の活動へ自然に目を向けさせる工夫を検討します。

また、家族自身が抱えるストレスや負担への配慮も欠かせません。家族全員が協力し、互いを支え合いながら関係性を整えていく姿勢が、患者さんの回復を後押しします。

相談窓口と専門機関

ゲーム障害の治療は専門的な知識と経験が必要です。一人で悩まず、適切な相談窓口や専門機関を利用することが回復への第一歩となります。

主な相談先としては、以下の機関が挙げられます。

  • 精神科・心療内科: 精神科医や臨床心理士が、ゲーム障害の診断と治療を行います。薬物療法や認知行動療法など、個々の状態に合わせた専門的な治療を提供します。
  • 依存症専門クリニック: ゲーム依存症に特化した専門的な治療プログラムを提供している医療機関です。集団療法やリハビリテーションプログラムが充実している場合があります。
  • 保健所・精神保健福祉センター: 地域住民の心の健康に関する相談を受け付けています。専門のスタッフが、適切な医療機関や支援団体を紹介してくれます。
  • 各都道府県の依存症専門相談センター: 厚生労働省が設置を推進している、依存症に関する専門相談窓口です。電話や面談で、匿名での相談も可能です。

これらの機関では、ゲーム障害に関する専門的なアドバイスやサポートを受けることができます。受診や相談に抵抗があるかもしれませんが、まずは気軽に電話相談から始めてみるとよいでしょう。

ゲーム障害のセルフチェック

ここまでゲーム障害の定義や症状について解説してきましたが、ご自身のゲーム利用状況がゲーム障害に当てはまるのか、不安に感じている方もいるかもしれません。続いては、ご自身でゲーム障害の可能性を評価できるチェックリストと、もしゲーム障害の可能性が疑われる場合の次のステップについて解説します。

自己診断チェックリスト

ゲーム障害の診断には専門家による評価が欠かせませんが、以下のチェックリストは、ご自身のゲーム利用状況を客観的に振り返るための目安として活用できます。ICD-11(国際疾病分類第11版)の診断基準を参考に作成していますので、過去12か月間の状態を思い返しながら確認してください。

各質問に対して「はい」「いいえ」で答えてみましょう。

  • ゲームをする時間や頻度をコントロールできないと感じますか?
  • 日常生活の他の活動(仕事、学業、趣味、睡眠など)よりもゲームを優先することがよくありますか?
  • ゲームによって問題が起きているにもかかわらず、ゲームを続けていますか、あるいはエスカレートしていますか?
  • ゲームをやめたり、減らしたりしようとしても、失敗に終わることが多いですか?
  • ゲームができないと、イライラしたり、不安になったり、落ち込んだりしますか?
  • ゲームのことで、家族や友人、同僚と口論になることがありますか?
  • ゲームのために、重要な人間関係、仕事、学業、キャリアの機会を失ったことがありますか?
  • ゲームをしている時間を隠したり、嘘をついたりしたことがありますか?
  • ストレスを感じた時に、現実逃避のためにゲームに没頭することがよくありますか?

「はい」が3つ以上当てはまる場合、ゲーム障害の可能性が考えられます。あくまで自己チェックではありますが、次の行動を考えるきっかけとして役立ててください。

セルフチェックの結果から不安を感じた場合は、ひとりで抱え込まず、早めに相談につなげる姿勢が大切です。心療内科や精神科、依存症専門クリニック、保健所、精神保健福祉センターなどでは、状況に応じた助言や支援を受けられます。専門家への相談は特別な行動ではなく、健康な生活を取り戻すための前向きな一歩です。

子供のゲーム障害について

子供のゲーム利用は、現代社会において多くの親御さんが直面する課題の一つです。大人のゲーム障害とは異なり、子供の場合は脳の発達段階や感受性が未熟であるため、より慎重な対応が求められます。ここでは、子供のゲーム利用における注意点と、親ができる具体的なサポート方法について解説します。

子供のゲーム利用における注意点

子どもの過度なゲーム利用は、心身の成長にさまざまな影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。とくに子どもの脳は発達途上にあり、自己コントロール能力も十分に育っていないため、大人より依存に陥りやすい傾向があります。

具体的な影響として、学業成績の低下や睡眠不足による体調不良、視力低下や肩こりなどの身体的な健康問題が挙げられます。また精神面では、イライラしやすくなる、集中力が続かなくなるといった変化が見られるケースも少なくありません。

さらに社会性の発達にも影響が及び、現実世界での友人関係が希薄になったり、コミュニケーション力の低下につながったりするおそれがあります。子どもの発達段階を踏まえ、適切な距離感でゲームと向き合える環境づくりが大切です。

親ができること

子どもがゲーム障害に陥らないためには、親が主体的に関わり、健全なゲーム利用を後押しする姿勢が欠かせません。一方的にゲームを禁止するのではなく、子どもとの対話を大切にし、納得感のあるルールづくりを一緒に進める姿勢が求められます。

家庭では、ゲームをする時間帯や上限時間、遊ぶ場所などを子どもと話し合い、無理のない範囲で決めていくとよいでしょう。また、スポーツや外遊び、読書など、ゲーム以外の楽しみを提案し、興味や関心の幅を広げる工夫も重要です。日頃から子どもの話に耳を傾け、なぜゲームに惹かれているのかを理解しようとする姿勢が、信頼関係の土台になります。

あわせて、ペアレンタルコントロール機能を活用し、利用状況を見守る方法も効果的です。親自身が健康的な生活習慣を心がける姿を見せる点も、子どもにとって大切な指針となります。

ゲームとの適切な付き合い方

ゲーム障害の診断や治療に至らないまでも、ゲームとの健全な関係を築きたいと考える方は多いでしょう。ここでは、日常生活で実践できる具体的な方法を提案します。

ゲーム時間とルールの設定

ゲームと健全な関係を築くためには、まず自分自身でゲーム時間の上限を定め、守りやすいルールを作る姿勢が重要です。漠然と減らそうと意識するだけでは続きにくいため、具体的な数値や条件を設定すると行動に移しやすくなります。

たとえば、平日は1日1時間まで、休日は2時間までといった時間の目安を決めたり、食事中はプレイしない、就寝1時間前には終了するといった生活リズムに沿ったルールを設けたりする方法がおすすめです。

家族がいる場合は、話し合いながらルールを共有すると、互いに協力しやすくなります。アラームで終了時間を知らせる、リビングなど人の目が届く場所でプレイするなどの工夫も、過度な没入を防ぐうえで効果的です。

健康的な生活習慣

ゲームへの依存を和らげるには、ゲーム以外の生活習慣を整える視点が欠かせません。十分な睡眠を確保し、栄養バランスを意識した食事を続けるだけでも、心身の安定につながります。加えて、ウォーキングや軽い筋トレなど、無理のない運動を取り入れると、ストレスの発散や気分転換にも役立ちます。

また、ゲーム以外に楽しめる趣味を見つけたり、家族や友人との交流を意識的に増やしたりする工夫も大切です。生活全体の充実度が高まることで、ゲームに費やす時間は自然と減っていきます。

ゲームとの向き合い方に不安を感じ始めた場合は、ひとりで抱え込まず、信頼できる人や専門家に相談しましょう。身近な人に気持ちを打ち明けるだけでも、心の負担が軽くなる場合があります。

さらに専門的な支援を求める際には、心療内科や精神科、精神保健福祉センターなどの相談窓口を検討するとよいでしょう。

まとめ:ゲーム障害から抜け出すために

本記事では、ゲーム障害の概要や症状、原因、治療や対処の考え方を解説しました。ゲームをやめたいのにやめられないと感じる状態は、決して特別なものではなく、適切な支援によって改善を目指せます。

まずは自分の状況を正しく理解し、必要に応じて専門家や相談窓口を頼る姿勢が大切です。セルフチェックを活用し、ゲームとの距離を見直す行動が回復のステップとなります。

また、保護者の立場でも、正しい知識と関わり方によって子どもの健全なゲーム利用を支えられます。ゲームと上手に向き合い、心身のバランスを保ちながら、より充実した日常を目指しましょう。

この記事を監修した人

石飛美春

株式会社Make Care Webクリエイター

石飛 美春

看護師 / Webクリエイター

看護師として臨床を経験後、一度Web業界に転身。ものづくりの楽しさを知る一方で、やはり人と関わる現場に戻りたいという想いから、訪問看護ステーションくるみに入職。現在は訪問業務とあわせて、Web制作の経験を活かし、HPやSNSの更新を担当している。

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