引きこもりは、社会参加を避け、長期間にわたり家庭にとどまる状態を指します。
さまざまな心理的・社会的要因が関係しており、人間関係のトラブルや職場・学校への不適応、精神疾患などがきっかけとなる場合があります。改善には、専門的な支援や家族の理解が不可欠です。
この記事では、引きこもりの原因やきっかけ、治療法、家族の関わり方について解説します。
引きこもりのきっかけや原因
まずは、引きこもりのきっかけや原因を見てみましょう。
きっかけとしては、以下のものが挙げられます。
・人間関係がうまくいかなかった
・職場や学校などになじめなかった
・就職活動や受験に失敗した
・介護や看護をすることになった
・退職した
一方で、原因としては以下のものが挙げられます。
・精神疾患:統合失調症、うつ病、不安障害、適応障害、パーソナリティ障害など
・発達障害:広汎性発達障害(PDD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)など
・対人関係への苦手意識
・失敗経験による自信喪失:受験や就職活動、仕事などでの失敗や挫折
・ゲーム、SNS、スマホ依存
引きこもりの原因は1つとは限らず、いくつかの要因が重なっているケースもあります。
さらに、性格的に人と接するのが苦手で、学校や社会生活になじめないと感じている方も引きこもりにつながりやすいといえるでしょう。
参照:厚生労働省/ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン
引きこもりに対する3つの治療法
では実際に、引きこもりの方にはどのような介入が効果的なのでしょうか?
ここでは、引きこもりに対する介入や治療法を解説します。
心理療法(カウンセリング)
1つ目の治療法は、心理療法(カウンセリング)です。
本人と医師またはカウンセラーが会話し、状況の把握や改善策を検討します。
例としては、社会生活技能訓練(SST)が取り入れられます。デイケアや支援団体、作業所で仲間とともに活動し、家族以外の人と関わることが目的です。
コミュニケーション能力を高めたり感情のコントロール方法を学んだりすることで、社会への抵抗が減り、徐々に社会参加への自信を取り戻していけるでしょう。
生活習慣の改善
2つ目の治療法は、生活習慣の改善です。
睡眠・食事・運動といった生活習慣の改善は、引きこもりの改善において重要です。
具体的な改善方法としては、以下の内容が挙げられます。
・睡眠:朝に日光を浴びる、夜更かしせずに寝る
・食事:1日3食規則正しく食べることが望ましいが、まずは朝食をとる
・運動:ウォーキングなど軽い運動をする
人の目が気になって外での運動が難しい場合は、自宅でできる運動やストレッチを取り入れるのもよいでしょう。
薬物療法
3つ目の治療法は薬物療法です。
引きこもりは 、精神疾患や大きなストレスなどが背景に隠れている場合があります。
不眠や抑うつ気分、大きな不安などの症状が見られる場合には、症状に応じて適切な薬が処方されるケースも。
ただし、薬物療法は引きこもりそのものを改善するための方法ではありません。
つらい症状が続いているときには、精神科などの医療機関を受診してみましょう。
引きこもりに対して家族にできることは?
引きこもりの方が家族にいるケースもあるでしょう。
ここでは、引きこもりの方に対する家族の関わり方を紹介します。
まずは、本人のつらさを認め、悩みや問題に焦点を当てることが大切です。
中には、引きこもりたくて引きこもっているわけではなく、どうしても外に出られないといった状態に陥っているケースもあります。
社会参加できていない状況への焦りや後ろめたさなどを本人が自覚し、苦しんでいるケースも考えられます。
その気持ちに寄り添った上で、温かい言葉や安心できる声かけを意識しましょう。
そうすることで本人も、自分の考えや気持ちを家族に話しやすくなります。
外出や通院が難しい方は、精神科訪問看護の利用が有効です。
精神科訪問看護でのサポート内容としては、以下が挙げられます。
・精神疾患や発達障害の治療開始、継続
・日常生活リズムを整えるための支援
・社会復帰のためのコミュニケーションの取り方や考え方のトレーニング
・家族への助言
どこに相談すればよいかわからない方は、最初の相談窓口として「ひきこもり支援センター」の活用もよいでしょう。
関連記事:精神科の訪問看護を受けるには?対象者と利用の流れを解説!
引きこもりで悩んでいる方は、精神科訪問看護の利用を検討しよう
引きこもりは、精神疾患や対人関係の問題などがきっかけとなる場合があります。
適切な治療や介入を受けることが、問題解決の鍵となるでしょう。
精神科訪問看護では、自宅で専門家による治療やサポートを受けられます。
引きこもりで悩んでおり、精神科訪問看護の利用を検討されている方は、ぜひ『訪問看護ステーションくるみ』にご相談ください。