不眠症の治し方|原因と症状、今日からできる改善策を徹底解説
精神科訪問看護とは
「夜布団に入っても眠れない」「途中で目が覚めてしまい眠りが浅い」など、不眠の悩みを抱えている方は少なくありません。つらい状態が続くと、日中の集中力低下や体調不良につながり、心の余裕も失われてしまいます。
この記事では、不眠症の主な原因や症状を分かりやすく整理し、今日から取り入れられる具体的な改善方法をご紹介します。ぐっすり眠れる心地よさを取り戻し、毎日をより快適に過ごすためのきっかけにしてみてください。
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不眠症の原因

不眠症は、単一の原因で引き起こされることは少なく、複数の要因が複雑に絡み合って発症するケースがほとんどです。ここでは、不眠症を引き起こす主な原因を具体的に見ていきましょう。自身の状況と照らし合わせながら、心当たりのある原因がないか確認してみてください。
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精神的な原因
ストレスや不安は、不眠症の一般的な原因の一つです。仕事や人間関係の悩み、将来への不安などが続くと、脳が興奮状態になり、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。
また、うつ病や適応障害といった精神疾患も不眠症を併発することが多く、気分の落ち込みや意欲の低下とともに、深刻な睡眠障害を引き起こす恐れも少なくありません。心に抱える負担が不眠につながっていると感じる場合は、その根本原因への対処が大切です。
環境的な原因
睡眠の質は、寝室の環境に大きく影響を受けます。例えば、室温や湿度が適切でない(暑すぎる・寒すぎる・乾燥しているなど)状態では、体がリラックスできず、入眠しにくくなります。
また、外の車の音や生活音、街灯の光、スマートフォンやテレビのブルーライトなど、過剰な音や光の刺激は脳を覚醒させ、眠りを浅くする要因のひとつです。
さらに、枕やマットレスが体に合っていない、寝室が散らかっていて落ち着かないといった物理的な不快感も、無意識のうちに睡眠を妨げてしまいます。快適な睡眠環境づくりは、質の高い眠りを得るための大切なポイントです。
生活習慣による原因
日々の生活習慣も、不眠症に深く関わっています。以下のような習慣は、睡眠の質を著しく低下させる可能性があります。
- 不規則な睡眠時間:毎日決まった時間に寝起きしないと、体内時計が乱れ、自然な眠りに入りにくくなります。
- カフェイン・アルコール・ニコチンの摂取:カフェインは覚醒作用があり、寝る前に摂取すると眠りを妨げます。アルコールは一時的に眠気を誘いますが、睡眠の後半で覚醒作用に転じ、中途覚醒の原因となります。ニコチンも覚醒作用があるため、就寝前の喫煙は避けるべきです。
- 運動不足:適度な運動は質の良い睡眠を促しますが、運動不足は身体的な疲労感が少なく、寝つきを悪くすることがあります。
- 寝る前の食事:就寝直前の食事は消化活動のために胃腸が働き、体が休まらないため、睡眠の質が低下します。
身体的な原因
痛みやかゆみなど、身体的な不快感が原因で眠れないケースも少なくありません。腰痛や肩こり、アトピー性皮膚炎によるかゆみなどは、寝姿勢や寝返りを制限し、快適な睡眠を妨げます。
また、睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に呼吸が一時的に止まる)やむずむず脚症候群(就寝時に脚に不快な感覚が生じる)といった特定の睡眠障害、甲状腺機能亢進症などの病気も不眠の原因となります。服用している薬の副作用や、女性の場合は更年期障害によるホルモンバランスの変化が不眠を引き起こすことあるでしょう。
不眠症の診断と治し方

不眠症の症状が重く、日常生活に支障をきたしている場合や、自力での改善が難しいと感じる場合は、専門の医療機関を受診することが大切です。適切な診断と治療によって、不眠症は改善に向かいやすくなります。ここでは、病院で行われる検査や代表的な治療法について見ていきましょう。
病院での検査
医療機関を受診した際には、まず医師による問診が行われます。現在の睡眠状況、生活習慣、服薬歴や既往歴などについて詳しく質問されるため、事前にメモしておくとスムーズです。場合によっては、数週間分の睡眠記録(睡眠日誌)の提出を求められることもあります。
さらに、不眠の背景に身体的な病気が隠れていないか確認する目的で、身体検査や血液検査が行われるケースがあります。より詳細な評価が必要な場合には、睡眠ポリグラフ検査(PSG)やアクチグラフィといった専門的な検査が実施されます。
睡眠ポリグラフ検査は、脳波や眼球運動、筋電図、呼吸、心電図などを同時に計測し、睡眠中の身体の状態を総合的に評価する検査です。一方、アクチグラフィでは腕時計型の装置を装着して活動量を記録し、睡眠と覚醒のリズムを客観的に把握します。
薬物療法
不眠症の薬物療法では、睡眠導入剤が用いられるケースが一般的です。これらの薬剤は、脳の活動を一時的に鎮静させ、入眠を促したり、睡眠を維持したりする効果があります。睡眠導入剤には、作用時間や効果の強さによって様々な種類があり、個々の症状や体質に合わせて医師が処方します。
薬物療法は即効性があり、つらい不眠症状を一時的に和らげるのに有効ですが、依存性や副作用のリスクも伴うため注意が必要です。服用時は、医師の指示に従い、用法・用量を守って正しく使用しましょう。自己判断での使用や中止は、かえって症状を悪化させる可能性があるため、絶対に避けてください。
認知行動療法
認知行動療法(CBT-I)は、不眠症に対する非薬物療法として世界的に高く評価されている治療法です。眠れない原因となる思考や行動のクセを見直し、より良い睡眠習慣へと導くことが目的です。
代表的な治療には、寝室と睡眠の結びつきを強化する「刺激制御法」、一時的に睡眠時間を制限して睡眠効率を高める「睡眠制限法」などがあります。また、「認知再構成法」では、眠れないことへの不安や否定的な考え方を現実的で前向きな思考へと変えていきます。
さらに、睡眠衛生の指導やリラクゼーション法などを組み合わせて行うケースが一般的です。数週間〜数ヶ月の継続で薬物療法と同等、またはそれ以上の長期的な改善効果が期待できます。
自力でできる不眠症の治し方
不眠症の改善には、日々の生活習慣を見直し、睡眠環境を整えることが大切です。ここでは、今日から実践できる具体的な改善策を多岐にわたってご紹介します。
生活習慣の見直し
質の良い睡眠を得るためには、日中の過ごし方や日常の習慣が大きく影響します。まず、食事のタイミングと内容に気を配りましょう。就寝直前の食事は胃腸に負担をかけ、体温の上昇によって寝つきを悪くします。
夕食は就寝の3時間前までに済ませ、消化の良いものを選ぶことが理想です。また、カフェインやアルコール、ニコチンには覚醒作用があります。特にカフェインは効果が長時間続く成分であり、寝る数時間前からは控えたほうがよいでしょう。アルコールは一時的に寝つきを良くするように感じられますが、睡眠の質を低下させ、中途覚醒の原因になります。
さらに、日中に適度な運動を取り入れると、心身の疲労が自然な眠気を促します。ただし、就寝直前の激しい運動は体を興奮させ、かえって眠りを妨げるため、夕方までの時間帯に行うのが望ましいでしょう。
入浴も効果的な習慣のひとつです。就寝1〜2時間前に38〜40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かると体温が一度上がり、その後に下がるタイミングで自然な眠気が訪れます。シャワーで済ませず、湯船に浸かることを意識してみてください。
睡眠環境の整備
快適な睡眠を得るためには、寝室の環境整備も欠かせません。まず、室温と湿度に気を配りましょう。一般的に、質の良い睡眠に適した室温は20〜22℃、湿度は50〜60%とされています。季節によってエアコンや暖房、加湿器などを上手に利用し、一年を通して心地よい環境を保つことが大切です。
照明も睡眠に大きく影響します。就寝前の強い光は睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げるため、暖色系の間接照明など柔らかい光に切り替えてリラックスできる状態をつくるとよいでしょう。外からの光が気になる場合は、遮光カーテンが役立ちます。
また、寝室の音環境も工夫したいポイントです。静かな空間が理想ですが、完全な無音がかえって落ち着かない場合もあります。交通音や生活音が気になるときは、扇風機の音などのホワイトノイズを利用したり、耳栓を使ったりすると快適さが増します。
さらに、枕やマットレスなどの寝具選びも睡眠の質を左右する要素の一つです。体型や寝姿勢に合った寝具を選ぶことで、首や背骨への負担を減らし、深い眠りに入りやすくなります。自分に合うかどうか、実際に試して選ぶと良いでしょう。
体内時計を整える
人間の体には約24時間周期の体内時計が備わっており、これが睡眠と覚醒のリズムを司っています。自然な眠りには、この体内時計を規則正しく保つことが欠かせません。
朝、決まった時間に太陽の光を浴びると、体内時計がリセットされ、約15時間後に眠気を誘うメラトニンが分泌され始めます。また、就寝・起床時間も、毎日ほぼ一定に保つとよいでしょう。たとえ寝不足であっても、週末の寝だめは体内時計を乱し、かえって睡眠の質を低下させる原因となるため避けたほうが無難です。
体内時計が正常に機能するように規則正しい生活リズムを心がけて、体自然な入眠を促しましょう。
リラックス法
スムーズな入眠には、就寝前のリラックスできる時間が大切です。寝る前には、深呼吸を取り入れてみましょう。ゆっくりとした呼吸は副交感神経を優位にし、心拍数や血圧を落ち着かせます。特に、4秒かけて鼻から吸い、7秒息を止め、8秒かけて口から吐き出す「4-7-8呼吸法」はリラックス効果が高いとされる方法です。
また、短時間の瞑想もおすすめです。静かな場所で座り、呼吸だけに意識を向けると、日中のストレスや頭の中の雑念から解放され、心が穏やかになります。さらに、睡眠に良いとされるツボを軽く押すことも、体の緊張をほぐす助けになるでしょう。代表的なツボとして、かかとの中央にある「失眠(しつみん)」や、手首の内側に位置する「内関(ないかん)」が知られています。
アロマテラピーを取り入れるのも良い方法です。ラベンダーやカモミールなど、リラックス作用のある香りを寝室に広げたり、入浴時に加えたりすると、心身が自然と落ち着き、眠りへと入りやすくなります。
睡眠日誌の活用
不眠症の改善には、自分の睡眠パターンの客観的な把握が役立ちます。そのために効果的な方法が「睡眠日誌」です。睡眠日誌には、就寝時刻、起床時刻、入眠までの時間、夜中に目が覚めた回数と時間、睡眠の質(ぐっすり眠れたかなど)、日中の活動内容、気分などを記録します。記録の継続により、自分の睡眠に影響を与えている習慣や要因、そして改善策の効果を視覚的に把握しやすくなる点がメリットです。医師に相談する際にも、具体的なデータとして提示できるため、より的確なアドバイスを得る手助けにもなるでしょう。
不眠症に関する専門家のアドバイス
自力での不眠症改善策を試しても効果が見られない場合や、症状が長期化・悪化している場合は、専門家のアドバイスを求めることが大切です。専門医の診察により、不眠症の根本原因を正確に特定し、あなたの状態に合った最適な治療法を提案してもらえます。自己判断だけでは気づけない原因にアプローチできるため、より早い改善が期待できるでしょう。
専門医に相談するタイミングとメリット
「不眠症くらいで病院に行くのは大げさかな?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、不眠症は放置すると心身の健康に悪影響を及ぼすため、早めの相談が大切です。
専門医に相談すべき主なタイミング
専門医に相談するタイミングがわからない場合は、以下を参考にしてみてください。
- 2週間以上、週に3回以上不眠の症状が続き、日常生活に支障が出ている
- 自力での改善策を試しても効果が見られない
- 日中の眠気や倦怠感がひどく、仕事や学業に集中できない
- 気分の落ち込みやイライラなど、精神的な不調を感じる
- いびきや足のむずむず感など、睡眠中に気になる症状がある
専門医に相談するメリット
睡眠専門医や精神科医は、症状や生活習慣を丁寧に聞き取り、必要に応じて検査を実施し、不眠症の種類や原因を正確に診断します。自己判断では気づきにくい要因を明らかにできる点が大きなメリットです。
さらに、薬物療法だけでなく、認知行動療法(CBT-I)や生活習慣の見直しといった、個々の状態に合わせた最適な治療方法を提案してもらえるため、改善への道筋が明確になります。
不眠は一人で抱え込みやすい悩みです。専門家と向き合い、精神的な負担を軽減しながら、前向きに治療へ取り組むことが大切です。
近年はオンラインによるカウンセリングや診療に対応する医療機関も増えており、より気軽に専門家のサポートを受けられる環境が整いつつあります。
不眠症の治し方に関する注意点

不眠症の改善は、正しい知識と方法で行うことが大切です。誤った自己判断は、かえって症状を悪化させたり、新たな問題を引き起こしたりする可能性があります。ここでは、特に注意すべき点を解説します。
自己判断での薬の使用の危険性
不眠が続くと、手軽に手に入る市販の睡眠改善薬や、人から譲り受けた睡眠薬に頼りたくなるかもしれません。しかし、これらを自己判断で使用することは非常に危険です。市販薬であっても、眠気を誘う成分によって日中の集中力低下やふらつきといった副作用が出ることがあります。
また、本来の不眠の原因が特定されないまま薬に頼り続けると、薬への依存が生じたり、症状が慢性化したりするリスクが高まります。自己判断での薬の使用は避け、必ず医師の診断と指示に従いましょう。
専門家への相談をためらわないこと
不眠症は、一人で抱え込まずに専門家に相談することが非常に大切です。「これくらいで病院に行くのは…」とためらう必要はありません。睡眠専門医や精神科医、心療内科医は、あなたの症状や背景を詳しく聞き取り、適切な診断と治療法を提案してくれます。
また、薬物療法だけでなく、生活習慣の改善指導や認知行動療法など、様々なアプローチで不眠症の改善をサポートが受けられる点もメリットです。安心して質の良い睡眠を取り戻すために、困ったときは迷わず専門家の力を借りましょう。
まとめ
本記事では、不眠症の原因や種類、今日から始められる改善策について解説しました。不眠は一時的な問題ではなく、心身の健康にも影響するため、早めの対策が欠かせません。まずは、ストレスや生活習慣、睡眠環境など自分の状態を見つめ直し、食事や運動、入浴習慣の調整、寝室の温度・照明・音の管理、リラックス法の実践など、多方面から改善に取り組んでみましょう。
焦らず少しずつ続けることが大切です。睡眠日誌で自分の睡眠リズムを把握するのも有効ですし、改善が難しい場合は専門医へ相談する選択肢もあります。質の高い睡眠を取り戻し、健康的で充実した毎日につなげていきましょう。