クルミのアトリエ クルミのアトリエ TOPへもどる
  1. トップページ
  2. コラム
  3. 過眠症は何科 ...

過眠症は何科を受診?原因・症状・治療法を専門医が解説

精神科訪問看護とは

日中、十分に睡眠をとっているはずなのに強い眠気に襲われたり、仕事中や授業中にどうしても眠くなってしまったりする状態が続いていませんか。そのような症状がある場合、過眠症という睡眠障害が関係している可能性があります。

過眠症は、単なる寝不足とは異なり、日常生活や仕事、学業に大きな支障をきたすこともある疾患です。一方で、何科を受診すればよいのかわからない、怠けていると思われそうで相談しづらいと感じ、症状を放置してしまうケースも少なくありません。

本記事では、過眠症の原因や症状を整理したうえで、受診すべき診療科や治療法について、専門医の解説を交えながらわかりやすく解説します。強い眠気に悩む方が、自身の状態を正しく理解し、快適な毎日を取り戻すための第一歩としてお役立てください。

関連記事:仕事中だけ眠くなるのはナルコレプシー?原因と対策を徹底解説

過眠症の原因

過眠症は、単なる寝不足ではありません。ここでは、過眠症を引き起こす主な原因について詳しく解説します。

関連記事:寝てしまう病気とは?原因・症状と対策を解説

脳の機能異常

過眠症の主要な原因の一つが、脳の機能以上です。特に、睡眠と覚醒を制御する神経伝達物質のバランスが崩れると発症しやすくなります。

代表的な例が、覚醒状態を維持する働きを持つ神経伝達物質「オレキシン」の欠乏です。ナルコレプシーの多くは、オレキシンを産生する視床下部の神経細胞が自己免疫の異常によって破壊されることで発症すると考えられています。オレキシンが不足すると、日中の強い眠気や情動脱力発作(感情の動きに伴って体の力が抜ける症状)が引き起こされます。

また、オレキシン以外にも、脳内の他の神経伝達物質や、睡眠・覚醒を司る視床下部などの脳部位の機能不全が過眠症につながる要素です。

睡眠障害

他の睡眠障害が原因で、二次的に過眠症の症状が現れるケースも少なくありません。これらの睡眠障害は、睡眠の質を著しく低下させ、結果として日中の強い眠気につながります。

例えば、「睡眠時無呼吸症候群」は、睡眠中に呼吸が一時的に止まることを繰り返す病気です。これにより、体が酸素不足になり、深い睡眠が妨げられるため、夜間の睡眠時間が十分であっても日中に強い眠気に襲われます。

「むずむず脚症候群」も同様に、下肢の不快な感覚により睡眠が中断され、睡眠の質が低下し、日中の過眠につながる可能性があります。

精神疾患

精神疾患も過眠症の症状を引き起こす要素の一つです。例えば、うつ病や双極性障害(躁うつ病)などの気分障害では、睡眠パターンに大きな影響が出ることが知られています。

うつ病といえば、不眠症をイメージする方も多いでしょう。しかし、過眠症を発症するケースも少なくありません。この原因として、気分の落ち込みや意欲の低下による、日中の活動量の減少が挙げられます。その結果、夜間の睡眠の質が悪くなる流れです。双極性障害のうつ状態でも同様に過眠が見られることがあります。

過眠症は何科を受診すれば良い?

日中の強い眠気に悩まされているとき、まず「何科を受診すれば良いのだろう」と迷う方は少なくありません。過眠症の原因や症状は多岐にわたるため、適切な医療機関を選ぶことが早期解決への第一歩となります。ここでは、過眠症の主な受診先とその特徴について詳しく解説します。

精神科

精神科は、うつ病や統合失調症などの精神疾患を専門とする診療科で、過眠症の背景に精神的な要因が疑われる場合に重要な役割を担います。特に、気分の落ち込みや意欲低下、不安症状などを伴う過眠がみられる場合は、精神科での評価が適しています。

診察では、患者の精神状態を総合的に確認するケースが一般的です。過眠の原因が精神疾患によるものか、他の睡眠障害と併存しているかを慎重に判断します。治療では、症状に応じて抗うつ薬や精神安定剤などを用いた薬物療法が行われることもあり、精神面と睡眠の両面からアプローチする点が特徴です。

心療内科

心療内科は、ストレスや心理的な要因が原因で身体症状が現れる「心身症」を専門とする診療科です。過眠症の場合、ストレスや過労、自律神経の乱れなどが原因で眠気が強くなっているケースで、心療内科を受診するとよいでしょう。

診療では、身体的な側面だけでなく、精神的な側面からもアプローチし、患者さんの心と体のバランスを整えることを目指します。カウンセリングや生活指導、必要に応じて薬物療法を組み合わせて、過眠症の改善をサポートする点も特徴です。

睡眠外来

睡眠外来(睡眠クリニック)は、睡眠障害全般を専門とする医療機関であり、過眠症の診断と治療において最も専門的なアプローチが期待できる場所です。ナルコレプシーや特発性過眠症といった稀な過眠症の診断には、専門的な検査が不可欠であり、睡眠外来にはそのための設備が整っています。

具体的な検査は、夜間の睡眠の状態を詳細に記録する「睡眠ポリグラフ検査(PSG)」や、日中の眠気の程度を客観的に評価する「反復睡眠潜時検査(MSLT)」などです。これらの検査結果に基づき、ナルコレプシーや特発性過眠症に対する専門的な薬物療法(覚醒促進薬など)や、生活習慣の改善指導が行われます。原因がはっきりしない強い眠気で悩んでいる場合は、まず睡眠外来を受診してみましょう。

受診する際のポイント

過眠症の症状で医療機関を受診する際は、事前に情報を整理しておくと、診察がスムーズに進み、より適切な診断や治療につながります。

眠気がいつ頃から始まったのか、どのような場面で強く出るのか、日中の居眠りの頻度や時間、夜間の睡眠時間などを具体的に把握しておきましょう。あわせて、現在治療中の病気や過去の病歴、服用している薬やサプリメントがあれば、漏れなく医師に伝える必要があります。

生活習慣についても、就寝・起床時刻、カフェインやアルコールの摂取状況、運動習慣、ストレスの有無などが診断の手がかりになる要素の一つです。医療機関を選ぶ際は、睡眠外来など過眠症の診療実績や検査内容を事前に確認しましょう。

過眠症の具体的な診断と治療

過眠症の症状に悩む方が適切な治療を受けるためには、正確な診断が不可欠です。ここでは、過眠症の診断プロセスと、具体的な治療方法について解説します。

診断方法

過眠症の診断は、患者さんの訴えと客観的な検査結果を総合的に判断して行われます。

まず医師の詳細な問診により、日中の眠気の程度や発症時期、日常生活への影響、睡眠習慣、既往歴などが丁寧に確認されます。この段階で、エプワース眠気尺度などの自己評価ツールが用いられることも少なくありません。主観的な眠気の強さを把握するための有効な手段の一つです。

続いて、問診の内容を踏まえ、必要に応じて客観的な睡眠検査が行われます。代表的な手法がが睡眠ポリグラフ検査です。医療機関に一泊入院し、脳波や眼球運動、筋電図、心電図、呼吸状態などを測定します。これにより夜間の睡眠の質を評価できるほか、睡眠時無呼吸症候群など他の睡眠障害の有無を確認することが可能です。

さらに、睡眠ポリグラフ検査の翌日に反復睡眠潜時検査を行うケースもあり、日中の眠気の客観的な重症度や、ナルコレプシーなど特定の過眠症の診断に役立てられます。

治療方法

過眠症の治療は、主に薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせて行うケースが一般的です。

薬物療法では、過眠症の種類や重症度に応じて、日中の覚醒を保つための薬剤が処方されます。中枢神経に作用して眠気を軽減する覚醒維持薬が用いられることが多く、医師の指示に従った服用が欠かせません。

また、ナルコレプシーに伴う情動脱力発作や夜間の睡眠の質を改善する目的で、抗うつ薬を用いることもあります。

あわせて、生活習慣の見直しも重要な治療の一つです。毎日決まった時間に就寝・起床し、体内時計を整えることが基本となります。日中の眠気対策として短時間の昼寝が有効な場合もありますが、長時間の昼寝は避けたほうがよいでしょう。

さらに、カフェインやアルコールの摂取を控え、睡眠環境を整えることも症状改善につながります。これらの治療は、医師と相談しながら個々の状態に合わせて進めていきます。

日常生活でできる過眠症対策

過眠症は、日々の生活習慣を見直すことで症状の緩和や生活の質の向上につながる場合があります。ここでは、日常生活で実践できる具体的な対策をいくつかご紹介します。

規則正しい生活習慣

過眠症の症状を和らげるためには、身体のリズムを整える規則正しい生活習慣が欠かせません。

まずは、毎日できるだけ同じ時間に起床・就寝することを意識し、休日も平日と大きく生活リズムを変えないよう心がけましょう。寝だめを避けると体内時計が安定し、日中の眠気の軽減につながります。

加えて、睡眠環境の調整も不可欠です。寝室は温度や湿度を適切に保ち、光や音を遮断した静かで暗い環境が睡眠に適しています。

また、カフェインやアルコールは一時的に眠気を抑えるものの、睡眠の質を低下させる要素の一つです。特に夕方以降の摂取は控えたほうがよいでしょう。

さらに、就寝前にスマートフォンやパソコンを使用すると、ブルーライトの影響で睡眠を促すホルモンの分泌が妨げられる可能性があります。質の高い睡眠を得るためにも、就寝の1〜2時間前からは使用を控え、心身を休ませる時間の確保を心がけましょう。

効果的な昼寝の取り方

日中の強い眠気に対しては、昼寝も効果的です。ただし、長すぎる昼寝は夜間の睡眠を妨げる可能性があるたため注意しましょう。

一般的には、15〜20分程度の短い昼寝(パワーナップ)が推奨されます。この程度の時間であれば、深い睡眠に入る前に目覚めやすく、その後の覚醒度を高める効果が期待できます。昼寝のタイミングは、午後の早い時間帯(例えば、昼食後すぐなど)が理想的です。

ストレス管理とリラクゼーション

ストレスは過眠症の症状を悪化させる要因の一つであり、心身のバランス維持が睡眠の質の改善につながります。日常的に強い緊張や不安を抱えていると、睡眠のリズムが乱れ、日中の眠気が増すケースも少なくありません。

そのため、意識的にリラックスする時間を確保することが大切です。例えば、就寝前や休憩時間に深呼吸や瞑想を取り入れると、心身が落ち着き、入眠しやすくなる効果が期待できます。

また、軽い運動もストレス解消に役立つ取り組みです。ただし、就寝直前の激しい運動は交感神経を刺激し、かえって眠りを妨げる可能性があります。さらに、音楽鑑賞や読書、入浴など、自分が心地よいと感じる活動を日常に取り入れるのもおすすめです。

周囲の理解とサポート

過眠症は、周囲から怠けている、やる気がないと誤解されやすい疾患です。そのため、家族や友人、職場の同僚や上司に病状を伝え、理解と協力を得る姿勢が欠かせません。

伝える際は、過眠症という病気によって日中に強い眠気が生じる場合がある点や、体調管理のために休憩をこまめに取る必要がある点を具体的に説明すると、状況が伝わりやすくなります。そのうえで、休憩時間の確保や業務量の調整など、必要な配慮について相談する方法も有効といえるでしょう。

実際に、周囲の理解が得られたことで精神的な負担が軽くなったと感じる当事者は少なくありません。一人で抱え込まず、信頼できる人に助けを求める姿勢が、症状と向き合うための大切な一歩になります。

まとめ

日中の強い眠気は、単なる寝不足と片付けられない「過眠症」という病気の可能性があります。この記事では、過眠症の主な症状、ナルコレプシーや特発性過眠症といった種類、脳の機能異常や睡眠障害、精神疾患といった原因、そして精神科、心療内科、睡眠外来といった受診先について詳しく解説してきました。

過眠症は適切な診断と治療によって症状を改善し、日常生活の質を取り戻せる病気です。一人で抱え込まず、日中の眠気で悩んでいる場合は、ぜひ専門医のいる医療機関を受診してください。早期の相談が、快適な毎日への第一歩となります。

この記事を監修した人

石飛美春

株式会社Make Care Webクリエイター

石飛 美春

看護師 / Webクリエイター

看護師として臨床を経験後、一度Web業界に転身。ものづくりの楽しさを知る一方で、やはり人と関わる現場に戻りたいという想いから、訪問看護ステーションくるみに入職。現在は訪問業務とあわせて、Web制作の経験を活かし、HPやSNSの更新を担当している。

訪問看護師募集中