自立支援医療(精神通院医療)の更新手続きに必要なもの – 現場のプロが教える「失敗しない」進め方 –
精神科訪問看護とは自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患の通院負担を原則1割に軽減する、非常に重要な制度です。
しかし、この制度には「1年ごとの更新」という高いハードルがあります。
「うっかり忘れて自費(3割負担)になった」
「窓口で書類が足りないと言われて出直した」
私たち精神科訪問看護の現場では、毎年このような「手続きの悲劇」を目の当たりにします。
この記事では、日々利用者さんの更新をサポートしている専門職の立場から、2026年現在の最新情報に基づいた「更新の正解」を徹底解説します。
1. 【結論】更新手続きに「絶対」必要なものリスト
まず、市区町村の窓口へ行く前に、以下の5点を用意しましょう。
| 項目 | 具体的な内容と注意点 |
| ① 受給者証(原本) | 現在使用しているものです。必ず持参してください。 |
| ② 支給認定申請書 | 窓口に設置されています。自治体HPから印刷も可能です。 |
| ③ 健康保険証 | 保険が変わった場合は特に重要。マイナンバー連携済みの場合は④のみでOK。 |
| ④ マイナンバー書類 | マイナンバーカード1枚でOK。なければ通知カード+身分証。 |
| ⑤ 医師の診断書 | ※毎年ではありません。 後述の判定基準を確認してください。 |
現場の知恵:印鑑と管理票について
最近は署名で済む自治体が増えていますが、念のため印鑑(朱肉を使うタイプ)を持参すると安心です。
また、「自己負担上限額管理票」も、念の為、一緒に持っておきましょう。
※ 自治体によって対応が違うので、注意が必要です。
2. 【最重要】今年の更新、診断書は「いる? いらない?」
更新手続きで最も読者を悩ませるのが「診断書の要否」です。
結論から言うと、原則として「2年に1回」提出が必要です。
診断書が「不要」なケース
・前回の更新時に診断書を提出している
・病状や治療内容、通院先に大きな変更がない
・受給者証の備考欄に「次回、診断書不要」等の記載がある
診断書が「必要」なケース
・前回の更新が「診断書なし(書類のみ)」だった
・精神科の主治医(医療機関)を変更する場合
・疾患名や治療方針が大幅に変わる場合
「自分がどっちか分からない!」という方へ
一番確実なのは、受給者証を持って病院の受付か、私たち訪問看護スタッフに「今年は診断書いりますか?」と聞くことです。
自治体から届く「更新のお知らせ」の封筒の中身に、要否が明記されていることも多いので、封筒は捨てずに保管してください。
3. 手続きがスムーズにいく「理想のスケジュール」
役所の窓口は混み合いますし、診断書の発行にも時間がかかります。「期限ギリギリ」はトラブルの元。以下の3ステップで進めましょう。
① 期限の3か月前:診断書の依頼
有効期限の3か月前から申請可能です。主治医に診断書を依頼しましょう。
作成には2週間〜1か月かかる場合があるため、早めの依頼が肝心です。
② 期限の1か月前:窓口または郵送で申請
書類が揃ったら、市区町村の障害福祉窓口へ。
最近では、対面だけでなく「郵送申請」や、マイナンバーカードを使った「オンライン申請(スマート申請)」を導入する自治体が増えています。
外出が負担な方は、自治体HPを確認するか、電話で「郵送で送ってもいいですか?」と聞いてみるのがおすすめです。
③ 申請後:受領印のある「控え」を保管
新しい受給者証が届くまでには約1〜2か月かかります。
その間は、窓口で受け取った(または郵送した書類のコピー)「申請書の控え」が受給者証の代わりになります。
病院や薬局で見せる必要があるので、大切に保管してください。
4. 生活保護受給者や「重度かつ継続」の方の注意点
訪問看護の現場では、以下のような個別ケースについてもよく相談を受けます。
生活保護を受給されている方
自治体によりますが、生活保護の方は自己負担が0円のため、更新時に診断書が不要になる特例があるケースや、ケースワーカー経由で手続きを行う場合があります。
「重度かつ継続」に該当する方
統合失調症やうつ病などで長期間の治療が必要な方は、所得制限の緩和などがあるため、更新時も引き続き該当するか主治医への確認が必要です。
現場でよくある「落とし穴」と対処法
ケースA:期限を切らしてしまった!
「気づいたら期限が昨日だった……」という場合、遡及適用(さかのぼり)は原則認められません。
その日から全額自己負担、あるいは3割負担になります。
失効に気づいたら、1分1秒でも早く窓口へ相談してください。「入院していた」などの正当な理由があれば、救済措置が取られる可能性がわずかにあります。
ケースB:上限額管理票が「新しい証」より先に埋まった
新しい受給者証が届くのを待っている間に、古い管理票の枠がいっぱいになることがあります。
この場合は、窓口で新しい管理票を早めにもらうか、手書きの予備枠で対応してくれる医療機関もあります。
特に問題はないので心配しないでください。
まとめ|「忘れない」ための自分なりの工夫を
自立支援医療の更新は、1年に1度の面倒な作業かもしれません。しかし、これがあることで安心して治療を継続できるのも事実です。
・カレンダーに「更新3か月前」と大きく書く
・スマホのリマインダー機能を使う
・訪問看護スタッフに「更新時期になったら教えて」と頼んでおく
制度は「正しく使われてこそ」意味があります。もし一人で抱え込んでしまい、手続きが止まっているなら、私たち支援者に声をかけてください。
私たちにできること
精神科訪問看護ステーション「くるみ」では、利用者さまが制度を途切れることなく利用できるよう、書類の確認やスケジュールの声かけを徹底しています。
「更新の時期だけど、何から手をつけたらいいか分からない」
「役所まで行くのがしんどい」
そんな時は、一緒に一つずつ解決していきましょう。私たちは、あなたの「自分らしい暮らし」を守るパートナーです。



