知的障害者と関わるには、コミュニケーション方法に工夫が必要なケースもあります。どのように意思疎通を図るかによって、関係性の構築に影響してくるでしょう。看護師の中には知的障害を持つ方との関わりに悩んだ経験のある方もいるのではないでしょうか。
今回は、知的障害者とのコミュニケーション方法について解説します。
大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象
“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」
平日・土曜・祝日 9:00〜18:00
【日曜・お盆・年末年始休み】
※訪問は20時まで
対応させていただいております。
知的障害者とは
知的障害者とは、知的機能や適応行動に制限があるため、日常生活や社会生活に困難を抱える人を指します。学習や判断に時間がかかることが多く、支援や理解が欠かせません。ここでは、知的障害の定義や発達障害との違いを明確にし、正しい理解を深めていきます。
知的障害の定義
知的障害は、知能指数(IQ)がおおむね70以下で、さらに言語・社会性・生活能力といった適応行動に制限がある状態を指します。生まれつきの要因や病気、周産期のトラブルなど複数の原因が関与することがあります。診断においては医学的評価に加え、教育や心理的支援の観点から総合的に判断されるのが特徴です。
発達障害との違い
知的障害と混同されやすいのが発達障害です。発達障害は自閉スペクトラム症やADHDなど、脳の発達特性により社会性や行動に困難を抱える状態を指します。一方、知的障害は知能や適応行動の全般に制約が見られる点が異なります。ただし両者は併発するケースもあり、専門的な評価を受けて適切に支援方針を立てることが大切です。
知的障害の特徴
知的障害のある方には、いくつかの共通した特徴が見られます。ここでは主な特性を取り上げ、日常生活や人間関係にどう影響するかを解説します。
自分の気持ちをうまく伝えられない
知的障害を持つ人は、自分の思いや感情を言葉で伝えることが苦手な場合があります。そのため、怒りや不安をうまく表現できず、泣いたり大きな声を出したりする行動に表れることもあります。
相手に理解してもらえない経験が続くと、さらに自己表現を避ける傾向が強まることもあります。支援者や家族は、表情や動作に注意を払い、言葉以外のサインを汲み取る姿勢が大切です。また、絵やカードを使った代替的なコミュニケーション手段を取り入れることが有効です。
状況に応じた行動ができない
状況に合わせて行動する力が十分に育たないため、公共の場でのルールを守れないことがあります。例えば列に並ぶのが苦手だったり、静かにしなければならない場所で声を出してしまったりするケースです。
これは意図的な違反ではなく、社会的ルールを理解する力が弱いために起こる行動です。支援者は具体的に「ここでは静かに座る」「次は自分の番」と明確に伝えることで、適切な行動を学ぶ手助けができます。繰り返しの練習や安心できる環境づくりも重要です。
音に過敏
知的障害を持つ人の中には、音に敏感で強いストレスを感じる人がいます。掃除機や電車の音、突然のアナウンスなどが不安を引き起こし、耳をふさいだりパニックになったりすることがあります。
この過敏さは脳の感覚処理の特徴によるもので、本人の意思とは関係がありません。支援する際は、静かな環境を選んだりイヤーマフや耳栓を利用したりする工夫が有効です。周囲が配慮することで、不安や混乱を防ぎ、安心して過ごせる環境を整えることができます。
複雑な文章の理解ができない
長い説明や難しい文章を理解することが難しい場合があります。例えば「明日、学校が終わった後に図書館に寄ってから帰ってください」といった複数の指示が含まれる文章では、途中で理解が追いつかなくなることがあります。
そのため、できるだけ短く簡潔に話すことが求められます。「明日は学校の後、図書館に行きます。その後帰ります」と分けて説明すると理解しやすくなります。絵や写真を使った補助も有効で、記憶の定着にも役立ちます。
計算が苦手
知的障害の特性として、数字や計算に苦手意識を持つ人が多くいます。簡単な足し算や引き算ができても、複雑な計算や概念的な数学になると理解が難しい場合があります。買い物でお釣りを計算する、時間を把握するなどの日常生活にも影響が出やすい分野です。
支援者は、計算をサポートするアプリや具体的な物を使って学習を補助すると良いでしょう。また、生活に直結する形で学ぶと実践的で理解しやすくなります。焦らず一歩ずつ支える姿勢が大切です。
知的障害者とうまくコミュニケーションを取る5つの方法
この章では、知的障害者とうまくコミュニケーションを取る方法をご紹介します。5つのポイントを押さえて、その人に合った関わり方を見つけましょう。
1.「ゆっくり」と話す
知的障害者は、言葉を理解するのが苦手な方もいるので、「ゆっくり」「ていねい」を意識して話しましょう。
また、急にうしろから話しかけたり、肩をたたいたりすると驚いてしまうかもしれません。話すときには、正面から本人の目を見るようにしましょう。本人が、こちらの話を理解できていない場合には、焦らず繰り返し伝えることが大切です。
2.内容をわかりやすく話す
複雑な内容や多くの情報を、一度に伝えてしまうと混乱してしまいます。ひとつずつ、順番に話しましょう。さらに、「あれ」「これ」などの指示語は伝わりにくいため、具体的かつわかりやすさを意識して話すことがポイントです。難しい言葉や理解できない言葉は、本人がわかる言葉に置き換えて伝えるとよいでしょう。
3.本人に話しかける
本人に伝えたい話がある場合は、家族に話しかけるのではなく、本人に向かって話をしましょう。知的障害者は、家族などの支援者と一緒にいるケースが多くなります。つい家族に話しかけてしまいますが、直接本人に向けて話すことが大切です。
また、本人が話しやすいと感じる雰囲気作りも大切です。たとえ言葉が発されなくても、本人の表情や様子から、意思や思いを理解できることもあります。
4.複数の方法で伝える
言葉を理解するのが苦手な方には、メモを渡したり、絵を描いたりして伝えるのも方法のひとつです。ジェスチャーなどを使うのもよいでしょう。
まずは本人が、何なら理解できるのかを把握することが重要です。わかりやすく要件を伝えるには、本人に合わせたコミュニケーション方法を見つける必要があります。
逆に本人からの意思を確認する際も、言葉がうまく話せない方には、絵や写真を使うのが効果的です。
5.年齢に応じた対応を取る
知的障害の発症は発達期(およそ18歳未満)なので、大人になってからも、家族から小さい頃と同じ扱い(接し方)を受けている方もいます。
自分たちが関わるときには、年齢に応じた対応で接しましょう。
東京都では以下のような情報提供をしているので参考にしてみてください。
参考:https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/tokyoheart/jouhou/chiteki.html
また、コミュニケーションを支援するツール等の活用も有効益でしょう。
参考:https://www.my-kokoro.jp/communication-board/
知的障害者とコミュニケーションを取るポイント
より良い関係を築くには、相手の特性に理解を深め、環境を整えることが欠かせません。
知的障害の特性を理解する
特性を正しく理解することが円滑なコミュニケーションの第一歩です。本人の得意・不得意を把握し、苦手を無理に強要しないことが重要です。強みに焦点を当てて支援を進めると、本人の自信を引き出すことにつながります。
環境を整える
安心して会話できる静かな環境は欠かせません。騒音や人の出入りが多い場所では集中しにくいため、静かで落ち着いた空間を確保することが大切です。支援者自身も穏やかな態度を保ち、リラックスできる雰囲気をつくることが求められます。
知的障害者とのコミュニケーション方法をサポートしてほしい方はくるみへ
知的障害者は、言葉を理解したり、自分の意思を伝えたりすることが苦手なケースが多いとされています。そのような方とうまく意思疎通を図るには、個別性を考慮して、コミュニケーション方法を工夫することが大切です。
知的障害者のなかには、日常生活や社会活動に支障をきたし、精神科訪問看護を利用している方もいます。
『訪問看護ステーションくるみ』は大阪市、大阪府内の精神科領域に特化した訪問看護ステーションです。
コミュニケーションでお悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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