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強迫性障害の方が無理なく働くための仕事選びと支援ガイド

2025.11.07 精神科訪問看護とは

強迫性障害を抱えながら働いていると、「確認が止まらない」「集中できない」「周りに理解されない」といった悩みを抱える方は少なくありません。仕事を続けたい気持ちがあっても、症状による不安やストレスが積み重なると、心身に大きな負担となります。

本記事では、強迫性障害の症状と仕事への影響、向いている職種、働き方の工夫、そして利用できる支援制度までを詳しく解説します。自分らしく安心して働くためのヒントを、一緒に見つけていきましょう。

強迫性障害とは?症状と仕事への影響

強迫性障害は「自分でもおかしいと分かっているのに、ある行為や考えを繰り返してしまう」精神疾患です。仕事の現場では集中力の低下や疲労の蓄積が起きやすく、適切なサポートなしでは長く働くことが難しくなる場合もあります。ここでは、まず症状の特徴と仕事への影響を整理して理解を深めましょう。

強迫性障害の主な症状

代表的な症状は「強迫観念」と「強迫行為」です。強迫観念は「ドアを閉め忘れたかもしれない」「汚れているのではないか」といった過剰な不安が頭から離れない状態を指します。一方の強迫行為は、その不安を打ち消そうと確認を何度も繰り返したり、手を洗い続けたりする行動です。これらが日常生活だけでなく、仕事の遂行にも影響を及ぼします。

関連記事:強迫性障害の5つの初期症状とは?うつ病との関連や効果的な対処法、訪問看護の役割

仕事に現れる困りごと

業務中に確認行為を繰り返すことで、作業が進まなかったり、周囲から誤解を受けることがあります。また、集中力が途切れやすく、納期に追われる職場では強いストレスを感じやすくなります。特に完璧主義的な傾向がある方は「失敗してはいけない」という思考に縛られ、自己否定感を抱えやすくなるのです。

周囲の理解が得にくい理由

強迫性障害は外見では分かりづらいため、周囲から「神経質」「真面目すぎる」と捉えられることがあります。これにより、職場で孤立感を抱き、さらに症状が悪化することもあります。正しい理解と支援がなければ、本人だけでなく職場全体にも負担が生じます。そのため、まずは「病気」であることを知ってもらうことが第一歩です。

強迫性障害の方が仕事で直面しやすい課題

強迫性障害を抱える方は、働く中で特有の課題に直面します。ここでは、症状が仕事にどう影響するかをより具体的に見ていきましょう。

集中力の低下と作業効率の問題

強迫行為に時間を取られると、集中力が途切れやすくなります。書類の確認を繰り返す、設備を何度も点検するなど、一見「丁寧な仕事」に見えても生産性が下がり、本人の疲労感が強くなります。効率を上げるためには「やり直しの基準」を決め、客観的なルールで自分を管理する工夫が必要です。

人間関係・職場コミュニケーションのストレス

「相手に嫌われたのではないか」「ミスをして怒られるのではないか」といった不安が強く、職場の人間関係に過敏になることがあります。強迫性障害の方は他者評価に敏感で、自分を責めやすい傾向があります。その結果、会話を避けたり、孤立したりすることもあります。

急な変化やプレッシャーへの不安反応

予期せぬ業務変更やトラブル対応など、柔軟さを求められる場面では不安が増大しやすいです。ルーティンが崩れることで強迫症状が悪化する場合もあります。安定したスケジュールと予測可能な環境を整えることが、働き続けるための大切なポイントです。

強迫性障害と仕事を両立するための工夫

働きながら症状をコントロールすることは十分に可能です。重要なのは、治療を継続しつつ、自分に合った働き方を見つけることです。

治療を継続しながら働くためのポイント

強迫性障害は医師の指導のもとでの治療が効果的です。薬物療法や認知行動療法を継続することで、症状のコントロールが可能になります。職場には無理のない範囲で「通院配慮」を相談するとよいでしょう。自己判断で薬をやめると再発のリスクが高まります。

ストレスを溜めない職場環境づくり

デスク周りを整理する、休憩時間を意識的にとるなど、環境の整え方も大切です。また、仕事量の調整やリモートワークの導入など、柔軟な勤務体系を活用することで心身の負担を軽減できます。

職場への相談と合理的配慮の活用

企業には「合理的配慮」を行う義務があります。例えば「確認作業に時間を設ける」「突発的な業務変更を避ける」など、具体的な配慮を依頼できます。就労支援機関に相談することで、企業側との調整もスムーズになります。自分一人で抱え込まず、専門家と連携して働き方を整えることが大切です。

強迫性障害の方に向いている仕事の特徴

強迫性障害の方が働きやすい仕事には、共通する特徴があります。焦らず、症状に合った環境を選びましょう。

マイペースで進められる仕事

自分のペースを保てる業務は、精神的な負担を軽減します。データ入力、ライティング、在宅での事務業務などは、確認作業のリズムを保ちやすく、過度なプレッシャーを感じにくい職種です。

人との関わりが少ない仕事

接客業や営業職など対人ストレスの高い職場は負担になりやすい一方で、製造業や清掃、在宅ワークなど、人と関わる時間が少ない仕事は安心感を得やすい傾向にあります。自分のペースを尊重できる職場を選ぶことが重要です。

在宅勤務や柔軟な勤務形態が選べる仕事

テレワークの普及により、自宅で働く選択肢も広がっています。周囲の視線や環境ストレスを減らせるため、集中しやすくなります。勤務時間や休憩を自分で調整できる点も大きなメリットです。「働きやすさ」は職種よりも環境づくりによって大きく変わります。

強迫性障害の方が仕事を続けるための習慣

強迫性障害を抱えながら働くためには、日常の中での小さな積み重ねが大切です。無理をせず、自分のペースを保ちながら生活リズムを整えることが、仕事の安定につながります。

生活リズムの安定とセルフケア

十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動は、心の安定に欠かせません。特に睡眠不足は強迫観念を強める要因となるため、就寝時間を一定に保つことが重要です。朝のルーティンを作るなど、1日のリズムを整える工夫も効果的です。リラックスできる時間を意識的に確保することも忘れないようにしましょう。

無理をしないスケジュール管理

強迫性障害の方は、完璧主義的な傾向から予定を詰め込みすぎる傾向があります。1日のタスクを3〜4個に絞り、「やり切れなかったこと」を責めないよう意識することが大切です。余裕を持ったスケジュールを組むことで、焦りや不安を減らし、安定したパフォーマンスを保てます。

治療・服薬を継続しながら小さな成功体験を重ねる

治療を継続する中で、症状の波は誰にでもあります。大切なのは「できたこと」に目を向けることです。完璧を求めず、昨日より少し前進できた自分を認めることが、回復へのエネルギーになります。焦らず一歩ずつ積み重ねることが、長く働くための鍵です。

関連記事:強迫性障害に効果的な薬や漢方薬とは?症状や薬物療法の注意点も解説

強迫性障害で休職や退職を考えるときの判断基準

無理に働き続けるよりも、休職を選ぶことが正しい判断となる場合もあります。適切なタイミングで立ち止まり、体調を整えることが、結果的にキャリアを守ることにつながります。

医師と相談して決める休職のタイミング

休職の判断は、医師としっかり相談したうえで行うことが重要です。強迫症状が悪化し、日常生活にも支障をきたす場合は、一時的に休むことで回復を促すことができます。職場に対しても、診断書をもとに正当な手続きを取ることで、円滑に休職が進められます。

休職中に受けられる支援制度

休職期間中は、経済的な支援を受けることができます。代表的なものとして「傷病手当金」や「休業補償給付」があり、一定期間の収入を補うことができます。生活不安を減らすことが、回復の大きな助けとなります。

再就職・復職へのステップ

体調が安定してきたら、医師と相談しながら少しずつ社会復帰を目指しましょう。リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)を活用することで、復職前に「働くリズム」を取り戻す練習ができます。焦らず段階的に進めることが、再発防止と長期的な安定につながります。

強迫性障害の方が利用できる支援サービス

日本には、強迫性障害を含む精神疾患の方が安心して働けるよう支援する制度や機関が整っています。これらをうまく活用することで、仕事と治療を両立しやすくなります。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所では、仕事に必要なスキルや生活リズムを整えるサポートを受けられます。職場体験や面接練習などを通じて、自信を持って社会に再び踏み出す準備ができます。大阪市や寝屋川市などにも、精神疾患に特化した事業所が複数あります。

障害者就業・生活支援センター

働くことと生活の両立を支援するための地域拠点です。専門の相談員が就労・生活両面の課題を整理し、企業との連携を支援します。職場での人間関係や通勤の悩みも相談できるため、継続的なフォローアップが可能です。

ハローワーク・転職エージェント

ハローワークの障害者専門窓口では、障害に理解のある企業の求人を紹介しています。また、民間の転職エージェントでも、障害者雇用に特化したサポートを行っているところがあります。就労形態(オープン・クローズ就労)の選択も、専門家のアドバイスを受けながら決めると安心です。

自立支援医療制度・障害者手帳の活用

通院や治療費の負担を軽減する「自立支援医療制度」や、「精神障害者保健福祉手帳」を取得することで、経済的支援や就労支援を受けやすくなります。自治体によって手続きが異なるため、主治医や相談支援員に確認するとよいでしょう。支援制度を知り、上手に使うことが、自立への第一歩です。

自分らしく働くために|社会とのつながりを保つ大切さ

強迫性障害を抱える方が仕事を続けるうえで大切なのは、孤立しないことです。社会とのつながりを保ち、支援を受けながら働くことで、心の安定を保ちやすくなります。

孤立しないためのサポート体制

同じような悩みを持つ人とつながることで、「自分だけではない」と感じられます。支援機関やグループミーティングに参加するのも効果的です。自分の気持ちを言葉にすることで、ストレスが軽減され、前向きな気持ちを取り戻すことができます。

家族や専門家との連携

家族の理解と協力も欠かせません。症状について共有し、困ったときに相談できる関係を築くことが大切です。また、主治医やカウンセラーなど、専門家と定期的に面談を行うことで、症状の変化を早期にキャッチできます。

地域の医療・福祉サービスとのつながり

大阪府内には、精神疾患に特化した訪問看護サービスや地域支援センターが多く存在します。定期的な訪問を受けることで、服薬や生活リズムをサポートしてもらえるため、安定した就労継続につながります。一人で抱えず、地域の支援を頼ることが「自立のための力」になります。

まとめ

強迫性障害を抱えながら働くことは、決して不可能ではありません。
症状を理解し、治療を継続しながら、自分に合った仕事や働き方を見つけることで、安心してキャリアを築くことができます。職場とのコミュニケーションや支援制度の活用も、長く働くための重要なポイントです。

強迫性障害に悩む方は、「できない自分」ではなく、「できることを少しずつ広げていく自分」を大切にしてください。焦らず、少しずつ生活を整えながら、信頼できるサポートとつながることが安定への道です。

訪問看護ステーションくるみ」では、大阪市・寝屋川市・守口市・門真市・大東市・枚方市を中心に、精神科に特化した訪問看護を行っています。医師や地域の福祉施設、行政と連携し、利用者さまとご家族を全力で支援しています。

症状の観察や服薬の管理、生活リズムのアドバイス、関係機関との連携などを通じて、仕事と治療の両立をサポートします。ぜひ、ご相談ください。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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