【専務エッセイ】Vol.29 頑張れっていう⾔葉 〜⾒えないこころをどう⾒よう〜
大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、濱脇直行が綴る『専務エッセイ』第29弾!
梅⾬時期に⼊り、各地で⼤⾬が降りつづいている今⽇この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか?
この時期の熱中症って実は多いので、部屋の温度管理や塩分摂取・⽔分摂取など注意が必要です。
熱中症にかからないでくださいね!
予防はできますから。
そんなことを思いながら、毎⽇2.5Lくらいの⽔分をとっている代表の濱脇です。
新しいコラムの⼤きいテーマがまだできていないので、今回もちょっとしたお話をしていこうと思います。
精神訪問看護では、対象者の「こころの状態」を把握し、できるだけ⾃分で解決に向かえるようにサポートする役割があります。
そんな「こころの状態」を把握するときに、感情を相⼿にすることになります。
でも、感情って⽬に⾒えないですよね?
では、そんな⽬に⾒えない感情をどう扱っていくのかを私なりの視点でお話ししていければと思います。
私は、よく社交的な根暗だと⾃分でも⾔っているんです。
こんな仕事をしていますが、実は対⼈関係には苦⼿意識があったりします。
私のように、対⼈関係に悩みを抱えている⼈ってきっと世の中めちゃくちゃいるんだろうなって思うんですよね。
例えば、そんな⼈に対して『きっとできるから頑張れ!』なんて安易な、昔のスポーツ漫画みたいな⾔葉をかけたら、かけられた側の⼈はどうでしょう?
きっと、その⼈には響きにくいでしょうね。
この頑張れって⾔葉、便利ですよ?
けれど、相手がこんなふうに思っていたらどうでしょう。
『もう頑張ってるのに、まだ頑張れっていうの?』
こんなふうに思ったことがある⽅もたくさんおられるのではないですかね?
だからね、私は、安易に頑張れって⾔葉はかけるべきではないと思うんです。
だって、すでにもうめちゃくちゃ頑張ってるとしたら……。
しかし、この頑張り、⼈によって⽅法を間違えていることがあります。
その頑張っている⽅法は、⼈によって全然、質や⽅法などに差があります。
当たり前です。
こんなにたくさんの人間がいるんですから。
結局、「頑張ってるのにな……」と思っている、その頑張れって声をかけられた対象者が、どんなふうに頑張り、どんなふうに⾃分を知り、前に進んでいるかなんて、理解せずに『頑張れ』って⾔葉をかけられるから、なんか腹が⽴ったり、まだこれ以上頑張らないといけないんだって負の感情を⽣んだりするのではないかと。
だから、その対象者の「⾒えないこころの中をどう⾒えるようにするか」なんだと思うんです。
⾃分でその作業をすることに恐怖を覚えたり、そもそも⽅法がわからなかったり、諦めていたり、わかっているのに向き合おうとしなかったりとさまざまです。
精神訪問看護は、その対象者の⽇常にお邪魔させていただき、その⼈がどのようにうまく感情をコントロールしたり、⾃分のことを知ったり、周りとうまく⽴ち回ったりして、できなかったことを少しでもできるようになるために、こころの持っていき⽅をいかにお⼿伝いできるかなんだと思うんです。
ここで大切なポイントは「お⼿伝い」ということです。
最終、⾃分でうまく⽴ち回れないと意味がないと思うんですね。
その⼈がいなければ物事を決められない、その⼈がいなければ⽣活できない、その⼈がいなければ考えることができない……という状態では、『その⼈』がいなくなったときに⾃分では何もできないということになりますよね。
もちろん、さまざまな環境因⼦などもありますから、仕⽅なくそのような状態になってしまう⽅もいらっしゃるとは思います。
それを否定するつもりは⽑頭ありません。
しかし、ある程度⾃分でできる能⼒がありながらも、そのようにしか過ごすことができていない⽅々の最終的な形としては、やはり避けなければならないと思うんです。
だから、しっかりといろいろなコミュニケーションなどを通して、こころの扉を⾃分で開けてもらえるような関わりが必要なんだと思います。
これはあくまでも私視点の考え⽅であり、万⼈に当てはまる考え⽅ではないということだけはご理解ください。
精神分野において解決技法といわれるものがいくつかあります。
そんな技術なども駆使しながら、⼼配ごとや悩みごと、困りごとを⼀緒に解決できるようにサポートしていく役割なんだと思って、毎⽇働いています。
精神的にしんどい、⼼配ごとや悩みごとがうまく解決できない、⾃分の中でうまく処理できない、⽇常⽣活に⽀障が出てきている、⼈とうまく関われない、家族とうまく関われない、⼦どもとうまく関われない、親とうまく関われない、仕事で悩みがある、⼈間関係がうまくいかない、⾃分を⾒つめるのが怖い……などなど、もう書ききれないくらい困っている⽅々が世の中には溢れています。
そんな⼈たちの⼀筋の光でありたいし、光がさすほうの扉を⼀緒に開けて、喜びを分かち合いたいです。
今⽇もそんなことを思いながらお仕事します。
ではまた。
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