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【社長エッセイ】Vol.69 依存ってそんなに悪いこと?

くるみの社長エッセイ精神科訪問看護とは誠子さんシリーズ

大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第69弾!

 

新年あけましておめでとうございます。

本年も、訪問看護ステーションくるみをよろしくお願いいたします。

今年も年越しの瞬間は、もう10年以上通っている堺の櫻井神社へ初詣に行ってきました。

昨年のお礼と、今年のお願いをしっかりと。

住所もきちんと伝えて、「私はここにいますよ」とアピールも忘れずにしてきました。

さて、新年一発目のテーマを何にしようかと考え、今回は「依存」についてお話ししようと思います。

 

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

◆「依存しないように」は、本当に正解?

精神科の訪問看護に携わっていると、「依存させないようにしましょう」という言葉をよく耳にします。

その言葉を聞くと私は「依存」という言葉があまりいい意味で使われていないような印象を受けてしまいます。

確かに、依存が強くなりすぎることで、その人が本来できることまで奪ってしまう場合もあります。
それは事実です。

でも、私はいつもこう考えます。

「依存って、そんなに悪いことなの?」と。

 

◆人はみんな、何かに頼って生きている

人は誰でも、何かに頼りながら生きていると私は思っています。

体調を崩せば医師に頼る。

不安になれば、家族や友人に話を聞いてもらう。

それを「依存だ」と責められることは、ほとんどありません。

ちなみに私だって、他人から見ればMr.Childrenの音楽や存在、そしてトマトに依存していると思われているかもしれません(笑)。

でも「熱狂的なファンですね」とは言われても、「それは依存だからおかしい」とは言われません。

それっておかしいなぁと思うのです。

 

◆しんどいときだけ「自立」を求められる不思議

精神的にしんどいときだけ、「依存はよくない」「もっと自立を」と言われる。

それは、少し酷ではないかな、と思っています。

私たちが関わっている利用者さんの多くは、これまでの人生の中で、「しんどくても一人で頑張らなければならなかった」「頼りたくても頼れなかった」そんな経験をしてこられた方たちが多いです。

「しんどい」「助けて」と言ったら怒られるかもしれない。

「甘えている」「もっと頑張りなさい」と言われるかもしれない。

そう思って、不安を抱えたまま日常生活を送ってこられた方が本当に多いのです。

 

◆やっと頼れたのに、「依存」で切り捨てないでほしい

甘えたくても、甘えられなかった人たち。

そんな方たちが、ようやく誰かを頼れた。

何度も相談したり、連絡を取ったりすることを、一言で「依存」と切り捨ててしまうのは、私は違うと思っています。

大切なのは、「依存しているかどうか」ではなく、「依存先を増やせるかどうか」です。

 

◆安心できる土台が、回復を支える

最初は、強く頼ってもいい。

不安だらけの生活の中で、「ここなら大丈夫」と思える場所を持つこと。

それが何より大切だと思っています。

安心できる土台がないまま、自立だけを求めてしまうと、再発や再入院につながってしまうことも少なくありません。

関係性を築きながら、少しずつ「安心できる場所」を増やしていく。

それでいいのです。

こころの安定には、安心できる居場所づくりが欠かせません。

 

◆訪問看護ができること

訪問看護では、そのお手伝いができます。

人との関係がうまくいかなければ、何が要因なのかを一緒に考え、安心して話せる場所をつくります。

「看護師」という専門職に、どうか頼ってください。

専門的な知識と技術を使いながら、安心できる空間を一緒につくっていきます。

一時的に訪問回数が増えることもあります。

でも最終的には、看護師以外にも安心して話せる相手が増え、自然と訪問回数が減っていくことが多いです。

ですが、訪問回数が減ることだけがゴールではありません。

私たちに連絡しなくても、自分なりに考え、選択できるようになること。

それが何より大切だと考えています。

結果として、それが起きればいいのです。

 

◆社長として、スタッフに伝えていること

社長として、私はスタッフにこう伝えています。

「看護師に依存してもらうこと自体は問題ではない」

「私たちが距離感を持って関われるから大丈夫」

依存は、悪ではありません。

依存は、回復の途中にある自然な姿のひとつです。

 

人生には、いろいろなことがあります。


誰もが、自分の性格や障害、疾患など、何かしらの生きづらさを抱えながら生きています。

その中で、「安心して頼ることができた」という達成感を、ぜひ感じてほしいと思っています。

私たちが「依存は悪いものだ」と思っていると、その価値観が態度や言葉に出てしまうことがあります。

だからこそ、私はこう考えています。

依存って、悪いことじゃない。うまく頼るための、最初の一歩だ。

そう考えながら、私たちは今日も精神科の訪問看護を続けています。

さて、次は何を書こうかな。

この記事を書いた人

中野誠子

株式会社Make Care 代表取締役社長

中野 誠子

看護師 / (元)重症心身障害児者認定看護師

精神科病棟勤務・看護学校教員として経験を積み、「こころに寄り添う看護」を志す。石森・濱𦚰とともに株式会社Make Careを創業。現在は訪問看護ステーションくるみの代表として現場に立ちつつ、メディアにも積極的に登場し、地域精神医療の啓蒙とアップデートに挑む。

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