大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第71弾!
1月がびっくりするほど早く終わりました。
2月といえば、梅の季節ですね。
初めて大阪城公園の梅林を訪れたとき、
その美しさに思わず息をのみました。
年齢を重ねたからこそ分かる美しさや
楽しみ方があるのだと感じます。
今年も見に行けたらいいな、と思っています。
大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象
“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」
平日・土曜・祝日 9:00〜18:00
【日曜・お盆・年末年始休み】
※訪問は20時まで
対応させていただいております。
◆「今、困っていることは何ですか?」という問い
看護師の皆さん、利用者さんや患者さんに
「今、困っていることは何ですか?」と尋ねることはありませんか?
支援の入り口として、とても自然で大切な質問です。
けれど実は、
この質問にいちばん困ってしまう人がいます。
それは、精神に障害を抱える方々です。
「なぜ?」と思われるかもしれません。
困っていないからではありません。
むしろ逆です。
困っていることが多すぎて、うまく言葉にできない状態なのです。
◆頭の中で起きていること
「困っていることはありませんか?」と聞かれたとき、
利用者さんの頭の中では、
こんなことが同時に起きています。
考えがまとまらない
何をどうすればいいのかわからない
物事を悪い方向にしか考えられない
決断がとても重たい
「迷惑をかけている」という思いが強い
どうせ言っても分かってもらえないのではないか、という不安
こうした思考が、ぐるぐると巡っています。
気持ちの面でも、
理由のない不安や緊張
「自分はダメだ」という思い
何もしていないのに疲れている
そんな自分が嫌になる
誰にも会いたくない、でも一人もつらい
そんな矛盾の中にいます。
◆「やりたくても、やれない」
どうしたらいいのかわからなくなり、
時には自暴自棄になることもあります。
そして、それは行動にも表れます。
連絡を返せない
約束を守りたくないわけではないのに守れない
家事や身だしなみにまで気が向かない
考えすぎて眠れない
食べられない、あるいは食べすぎてしまう
これは、やる気がないからではありません。
脳がうまく働かない状態なのです。
「やりたくてもやれない」
常に自分の中の劣等感と闘っている状態だと、私は感じています。
◆本人がいちばん困っていること
そして、本人がいちばん困っていること。
それは、
「どう説明したら分かってもらえるのか分からない」
ということです。
だから、「どうしたらいい?」と聞かれても答えられない。
「頑張って」と言われると
「私はまだ頑張れていないんだ」とさらに自分を追い込んでしまう。
誰よりも「普通に戻りたい」と思っているのに、
戻り方がわからないのです。
◆私たちが大切にしていること
私たち精神科訪問看護は、まさにこの部分に関わっています。
困りごとを一緒に言葉にしていく。
そのために、こんなことを大切にしています。
安心できる環境をつくること
伝えてもらうことを急がないこと
内容を具体的にしていくこと
選択肢を減らすこと
無理に判断をさせないこと
できていないことより、今できていることを見ること
返事を急がせないこと
大切なのは
その人の「今の状態」を理解しようとする姿勢です。
精神状態が良くない人は
サボっているわけでも、
甘えているわけでもありません。
本当は、誰よりも「普通に生きたい」と願っています。
もしあなたが、
「答えられない沈黙にも意味がある」と思える人なら。
「困っていると言えない人」に寄り添いたいと思える人なら。
きっと、私たちと同じ志を持っているのだと思います。
「困っていることは?」と聞かれて困ってしまう人がいる。
その事実を知り、関わり方を工夫しようとする看護師でありたい。
そんな仲間と、一緒に働けたらうれしいです。
さて、次は何を書こうかな。