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【社長エッセイ】Vol.73 優しさの届く先

くるみの社長エッセイ精神科訪問看護とは誠子さんシリーズ

大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第73弾!

 

4月になりました。

今年は京都で桜を見る機会があり、
お寺の空気感と春の風を感じながら深呼吸ができて、
とても幸せな時間でした。

久しぶりに立ち止まって花を見ることができました。

次は紅葉を見に行きたいなと思っています。

さて今回は、
皆さんに少し考えてほしいことがあり、
この文章を書いています。

 

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

同じ環境でも、疲れていく人とそうでない人

現場に立っていると、ふと気づくことがあります。

同じように働いているはずなのに、
なぜか疲れていく人と、そうでない人がいる。

その差は、能力や経験だけでは説明がつきません。
むしろ、人に向き合う姿勢の違いの中に、静かに現れているように感じます。

人はよく、
「与える人」「分け合う人」「奪う人」に
分けられるといいます。

けれど現実は、それほど単純ではありません。

誰かにとっての「与える人」が、
別の誰かにとっては「奪っている人」になっていることもあります。

また、自覚のないまま、誰かの時間や気力、善意に支えられていることもあります。

だからこそこの問題は見えにくく、
気づいたときには、一部の人だけが静かに疲れていきます。

「困っている」
「余裕がない」
「自分ばかり損をしている気がする」

こうした言葉は、時に本音であり、時に無意識の依存でもあります。

その境界線は曖昧で
はっきりと線を引くことはできません。

けれど一つ言えるのは、
その言葉や態度が誰かを疲れさせているのであれば
それは見過ごしてはいけない影響であるということです。

 

優しさとは何か

ここで一つ、立ち止まって考えたい問いがあります。
「優しさ」とはなんなのでしょうか。

相手のために引き受けること。
相手を思って我慢すること。

そう考えることもできるかもしれません。

けれど、その優しさが誰かの負担の上に成り立っているとしたら。
あるいは、誰かの自立する力を奪ってしまっているとしたら。

それでも、それは優しさと呼べるのでしょうか。

組織にとって本当に大切なのは
能力の高さだけではありません。

その人が周囲にどのような影響を与えているのか。
安心を広げているのか、それとも気づかないうちに消耗を広げているのか。

その違いは数字には表れにくいですが、確実に組織の質を変えていきます。

一方で、与える側の人にも問いが残ります。

その優しさは、本当に誰かを支えるものになっているのか。
それとも、誰かの依存を支えてしまっているのか。

引き受け続けることは
一見すると献身のように見えます。

けれどそれが続くと
支え合いはバランスを失い、
やがて一方向の関係へと変わっていきます。

優しさは尊いものです。

しかし、境界線を持たない優しさは、
やがて誰かを守る力を失ってしまいます。

それは冷たさではなく
持続させるための強さの問題だと思います。

 

立場が上であるほど、言葉は慎重に

そしてもう一つ。

この構造の外に立てる人は、誰一人いません。
上に立つ者もまた、影響を与える側の人間です。

社長だから、上司だからといって、
何を言ってもいいわけではありません。

むしろその逆で、
立場が上であるほど、言葉はより慎重でなければならない。
正しさを持つことと、それをどう使うかは、まったく別の問題です。

組織とは、誰かの正しさを証明する場所ではなく、
それぞれが自分の影響に責任を持ちながら、関係を積み重ねていく場所です。

優しさも、強さも、どちらか一方では足りません。

その両方を持ちながら、どこで引き受け、どこで手放すのか。

その選択の積み重ねが、組織の空気をつくっていくのだと思います。

 

自分はどんな人でしょうか。

組織にどのような影響を与えているのか、
少し立ち止まって考えてみてください。

そして
自分に問いかけながら振り返ってみてほしいと思います。

さあ、次は何を書こうかな。

この記事を書いた人

中野誠子

株式会社Make Care 代表取締役社長

中野 誠子

看護師 / (元)重症心身障害児者認定看護師

精神科病棟勤務・看護学校教員として経験を積み、「こころに寄り添う看護」を志す。石森・濱𦚰とともに株式会社Make Careを創業。現在は訪問看護ステーションくるみの代表として現場に立ちつつ、メディアにも積極的に登場し、地域精神医療の啓蒙とアップデートに挑む。

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