統合失調症の治療を受けている方の中には、いつか薬をやめたいと考えている方もいるでしょう。
断薬は再発のリスクを高める場合があるため、注意点や服薬の重要性を理解しておくのが重要です。
この記事では、統合失調症における断薬が成功しない理由や、服薬における注意点を解説します。
統合失調症の断薬は成功しない?
統合失調症における断薬は成功しない可能性があるため、おすすめできません。
長期間の服薬治療で症状や精神状態が安定したために「断薬しても大丈夫なのでは?」と考える方もいます。
しかし、断薬した結果、安定していた症状や状態が再び悪化する可能性もあるため、安易に断薬を試みるのはリスクが高いです。
いきなり断薬するのではなく主治医に相談した上で減薬にとどめ、急激な症状の悪化や再入院を防ぐ方が良いでしょう。
また、服用する薬が身体に合っていないと考え、断薬を試みる方もいます。
治療薬には種類が複数あるため、医師と相談し、体質に合う薬に変更ができる可能性があります。
さまざまな考えや事情があり断薬を検討するかもしれませんが、断薬はせず服薬を続けましょう。
統合失調症の断薬が成功しないとされる理由
統合失調症の方が減薬や断薬をしても成功しないと言われる理由を、詳しく解説します。
症状が悪化する可能性があるから
統合失調症の治療薬の服用を中止すると、幻覚や妄想などの症状が著しく悪化する場合があります。
抗不安薬や抗精神病薬、睡眠薬などの服用を中止すると、それらの効果で抑えられていた症状が再び現れる場合があるためです。
過去の研究において、症状が安定した患者さまの服薬を中止したところ、症状の悪化や再入院になる確率が高かったと示されていることからも、断薬によって症状の悪化を招く可能性は高いと言えます。
参照:日本神経精神薬理学会/統合失調症薬物治療ガイドライン
離脱症状が出現する可能性があるから
治療薬の服用を急激に中止すると「離脱症状」が生じる場合があります。
離脱症状とは、抗不安薬や抗精神病薬、睡眠薬など、長期的に使用していた薬の服用量が変化したために生じる副作用の一種です。
具体的には以下の症状が見られる場合があります。
・頭痛
・発汗
・吐き気
・めまい
・ひどい眠気
・全身の倦怠感
もともとの症状が再発したうえに、離脱症状まで現れてしまうと、身の回りの生活も送れなくなってしまう場合があるため、医師の判断の上で様子を見ながら減薬するのがポイントです。
関連記事:精神薬を勝手にやめると「離脱症状」がみられる?減薬について解説!訪問看護での服薬管理とは
統合失調症の断薬や減薬における注意点
統合失調症服薬量を変更する場合の注意点を解説します。
自己判断で断薬しない
統合失調症では、患者さま自身で薬の量を変更しないよう気を付けましょう。
自己判断で断薬や減薬をしてしまうと、もともとの症状以上に悪化したり、急激な変化に身体がついていけなくなったりする場合があります。
相談もなく断薬や減薬を行うと、何かあった場合に医師の対処が遅れるケースもあるため、事前に担当医と相談したうえで服薬量を調整してください。
徐々に服用量を減らしていく
減薬を試みる場合、医師と協力して慎重に実施するのが大切です。
急激に服薬の量を減らすと再発して入院が必要になったり、強い副作用が出現しコントロールできなくなったりする場合があります。
担当の精神科医と相談し、ゆるやかに服用量を減らしましょう。
統合失調症の服薬に悩んだときの相談先
治療薬の服用について悩んだときは、まず担当の精神科医に相談しましょう。
減薬のペースや服薬内容の変更について担当医と相談すると、悪化や再発のリスクを抑えながら減薬を進められるでしょう。
また、日頃の服薬が管理できず日常生活に支障が出ている場合は、専門家のサポートを受けるのも手段の1つです。
保健所や精神保健福祉センターに相談する、PMDAくすり相談を利用する、精神科訪問看護を利用するなどして、服薬に対するアドバイスやサポートを受けましょう。
さらに、精神科訪問看護を利用すると、自宅で個別に服薬管理を受けられます。
外出が難しく精神科に相談に行けない方や、自分だけでは服薬を管理できない方は、精神科訪問看護の利用も検討してみてください。
参照:こころの情報サイト/相談しあう・支えあう
参照:厚生労働省/政府広報オンライン
統合失調症における自己判断での断薬や減薬は控えよう
統合失調症の方が断薬や減薬を行うと、症状の再発や悪化が生じる場合があります。
状態が安定しているとしても、服薬を中止してしまうのはリスクが高いため、希望する場合は医師に相談しましょう。
また、服薬に関する悩みがある場合、精神科訪問看護を利用するのも手段の1つです。
『訪問看護ステーションくるみ』では、統合失調症の方に対し、症状や生活スタイルに合わせたケアや服薬管理などを提供しています。
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