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双極性障害の末期症状とは?進行の兆候と回避策

2025.10.03 精神科訪問看護とは

双極 性 障害 末期 症状

双極性障害は気分の波が大きく、生活や人間関係に深刻な影響を及ぼす病気です。「末期症状」という表現は医学的な用語ではありませんが、重症化や長期化を指す場合があります。本記事では、末期とされやすい症状やリスク要因、治療やサポート方法を解説し、放置による悪化を防ぐための視点をお伝えします。

双極性障害の基礎理解

双極性障害を「末期」で検索する人は、今の症状がどこまで悪化するのか不安を抱いています。まず病気の特徴を整理することで、不安を和らげ、今後の生活に向けた行動の指針を得ることができます。

躁とうつの波の特徴

双極性障害は躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。躁では睡眠時間が減り、気分が高揚し、浪費や対人トラブルが起きやすくなります。一方、うつでは意欲が低下し、強い自己否定や希死念慮が表れることがあります。この波の大きさや頻度は人によって異なり、ストレスや生活リズムの乱れで強まることもあります。症状の変化を記録することで、早期の対応が可能になります。

タイプ1とタイプ2の違い

双極性障害は大きく1型と2型に分かれます。1型は激しい躁病エピソードが特徴で、社会生活への影響が大きい傾向があります。2型は軽躁とうつを繰り返し、抑うつ期が長く続きやすいのが特徴です。いずれも適切な治療が必要であり、どちらが軽いというわけではありません。正確な診断と治療計画によって、再発を防ぎ生活を安定させることが可能になります。

経過と再発のしやすさ

双極性障害は再発率の高い病気で、放置や治療の中断によって悪化することが知られています。躁うつの波が繰り返されるうちに発作の間隔が短くなり、生活の立て直しが難しくなる場合もあります。しかし、継続的に治療を受けることで波を小さくし、安定した期間を延ばすことができます。再発は失敗ではなく、治療や生活習慣を見直すサインと捉えることが大切です。

医療現場で語られる「末期」の実態

「末期症状」という表現は誤解を招きやすいですが、実際には重症化や長期化によって生活が大きく制限される状態を指すことが多いです。適切な理解を持つことで、不必要な恐怖を避け、早めの支援につなげられます。

医学的な末期というより重症長期化の状態

双極性障害の「末期」は、がんのように死期を意味するものではありません。むしろ、症状が長期にわたり安定せず、生活機能が著しく低下した状態を指す場合が多いです。本人が病気を管理できず、社会生活や人間関係に大きな影響を及ぼしている段階をイメージすると理解しやすいでしょう。

放置で生じる機能低下や生活破綻

治療を受けずに放置すると、躁状態での金銭トラブルや人間関係の崩壊、うつ状態での生活意欲の喪失などが積み重なります。その結果、失業や孤立につながり、再起が難しくなることもあります。早期の段階で治療を受け、生活習慣を整えることが、悪化を防ぐために欠かせません。

周辺症状の強まりと安全面のリスク

症状が進むと、判断力や集中力が低下し、事故や自傷行為のリスクが高まります。躁とうつが混ざる混合状態では特に衝動性が強く、危険な行動を取る場合があります。この段階では専門的な治療と安全確保が必要であり、家族や周囲の人が早めに異変に気づき、受診を促すことが大切です。

関連記事:双極性障害の末路とは?リスクと回避する具体策を詳しく解説

双極性障害の末期症状とされやすい兆候

双極性障害の末期症状とされやすい兆候

双極性障害の「末期症状」と呼ばれる状態は、重症化のサインである場合が多いです。進行を早める前に特徴を理解しておくことで、早期に対応することができます。

感情の急速スイッチと混合状態

躁とうつが短期間で入れ替わり、落ち着いた時間がほとんどない状態を混合状態と呼びます。このとき、気分の高まりと絶望感が同時に表れ、本人も周囲も非常に混乱します。衝動性が強まり、自傷や自殺のリスクが上がるため、専門機関への早急な相談が不可欠です。

判断力低下と逸脱行動

重症化すると判断力が大きく落ち、普段なら避けるような浪費や無謀な行動に走ることがあります。たとえば高額な買い物や衝動的な契約などです。こうした行為は人間関係や生活基盤を壊す原因になります。予防には金銭やSNSの利用制限など具体的なルールづくりが重要です。

抑うつの重さと自死リスクの上昇

抑うつ状態が続くと自己否定感が強まり、「死にたい」という考えが頭から離れなくなることがあります。具体的な計画や準備が見られる場合は緊急のサインです。こうした状況では一人で抱え込むことは危険であり、ためらわずに救急や専門機関へつなぐことが大切です。

認知機能の低下や記憶の抜け落ち

長期間にわたり症状が続くと、集中力や記憶力が低下し、仕事や学業に支障をきたします。日常生活の中で約束を忘れたり、同じミスを繰り返すこともあります。これは本人の怠けではなく症状の一部であり、周囲が理解し、補助的な工夫を取り入れる必要があります。

対人関係と就労の喪失

躁うつの波が繰り返されることで、周囲の信頼が揺らぎ、人間関係が破綻することがあります。欠勤やトラブルが続けば、職場での居場所を失うこともあります。こうした状況は本人に大きなストレスを与え、さらに症状を悪化させます。支援者の協力で環境調整を進めることが欠かせません。

合併しやすい問題

双極性障害が悪化すると、精神症状だけでなく、依存症や身体疾患などの合併症も現れやすくなります。これらが絡むことで治療が複雑になり、生活への影響も大きくなります。

物質使用や過量飲酒

睡眠不足や気分の落ち込みをまぎらわせるためにアルコールや薬物へ依存するケースがあります。短期的には楽になったように感じても、症状を悪化させ再発リスクを高めます。断酒や依存症治療の支援を組み合わせることが必要です。

睡眠障害と昼夜逆転

躁状態や不安が強いと不眠が続き、昼夜逆転の生活に陥ることがあります。睡眠の乱れは症状をさらに悪化させる悪循環を生みます。光療法や生活リズムの調整が再発予防に役立ちます。家族が起床や就寝の習慣を一緒に整えることも効果的です。

関連記事:昼夜逆転を治す方法と原因解説|生活リズム改善の実践法

身体疾患リスク(代謝・循環器)

薬の副作用や生活の乱れにより、糖尿病や高血圧など生活習慣病を発症するリスクが高まります。心疾患や脳卒中など重篤な合併症につながる場合もあるため、定期的な健康診断と体調管理が欠かせません。精神科と内科の連携が重要です。

不安症やパーソナリティ特性の影響

双極性障害の方は不安障害や強い対人不安を併発することも多く、症状が悪化しやすくなります。こうした特性は人格の欠陥ではなく病気の一部として理解することが大切です。心理療法や環境調整を併用することで負担を軽減できます。

末期に至りやすい要因

双極性障害は必ずしも「末期」に至るものではありませんが、治療を中断したり、環境要因が重なることで症状が悪化しやすくなります。リスク要因を理解し、予防に活かすことが大切です。

治療中断と自己判断の減薬

治療を自己判断でやめてしまうことは、最も危険な悪化要因です。薬の副作用や「治ったから大丈夫」という思い込みから服薬を中断すると、急速に再発することがあります。

躁とうつの波は一度拡大すると生活に深刻な影響を及ぼし、回復まで長い時間を要します。服薬管理は自己流ではなく、必ず医師の指示に従い、困った点は正直に伝えて調整を依頼することが再発予防の基本です。

強いストレスやライフイベント

転居や転職、結婚や出産、親しい人との別れなど、生活環境の大きな変化は双極性障害を悪化させやすい要因です。とくに強いストレスがかかると、症状が急激に揺れ動くケースがあります。

完全にストレスを避けることは難しくても、事前に支援者へ共有したり、役割や負担を分散させることで影響を軽減できます。ライフイベントに備えて計画的に準備をすることが、安定を守る重要なポイントです。

支援希薄と孤立

支援の手が届かない孤立状態は、双極性障害の悪化リスクを大きく高めます。相談相手がいないと症状の変化を見逃しやすく、危険な行動に至ることも少なくありません。孤立は本人だけでなく家族にも負担となり、悪循環を招きます。

早い段階で地域の医療や福祉サービス、訪問看護など外部資源とつながることが重要です。支援ネットワークを持つことで、安全確保と生活の安定に直結します。

ここから回復に向かう治療と支援

ここから回復に向かう治療と支援

重症化した状態でも、治療と支援を組み合わせることで回復の可能性は十分にあります。医療の力と生活支援を活用し、安定した暮らしを目指すことができます。

薬物療法の軸(気分安定薬と抗精神病薬)

気分安定薬や抗精神病薬は、双極性障害の症状コントロールにおいて中心的な役割を果たします。気分安定薬は躁やうつの振れ幅を抑え、抗精神病薬は躁や混合状態を鎮めます。副作用が気になる場合も、医師に伝えることで薬の種類や量を調整可能です。

大切なのは中断せず継続することです。薬は安定した生活を支える「土台」となるため、正しい服薬習慣を保つことが再発防止につながります。

心理社会的療法と家族支援

心理療法や家族教育は、薬物療法と並ぶ重要な柱です。認知行動療法や対人リズム療法では、感情の波を観察し、早めに対処できるスキルを身につけます。家族教育では、病気を正しく理解し「責めずに支える姿勢」を学ぶことができます。

周囲の支えは本人の安心につながり、治療の効果を高める役割を果たします。家族と本人が一緒に病気と向き合うことが、再発を防ぐ大きな力になります。

入院・訪問看護・就労支援の活用

症状が重く危険がある場合は入院治療で安全を確保します。その後、訪問看護を利用すれば、自宅での服薬管理や生活支援を受けながら回復を進めることができます。

また、就労支援サービスを組み合わせることで、社会復帰を無理なく目指せます。医療・看護・福祉が連携することで、生活全体の安定が図れます。環境の整備が整うほど、本人の安心感も高まります。

再発予防計画と早期対応

再発を防ぐには、気分や睡眠の変化を日常的に記録し、医師や家族と共有することが効果的です。小さな異変を見逃さず、早い段階で対策を取ることで悪化を防げます。

再発予防計画には「兆候のリスト」「対応方法」「連絡先」をまとめ、家族と共有しておくことが重要です。症状の悪化は突然ではなく、前触れがあることが多いため、計画を持つことで安心して暮らすことができます。

セルフマネジメントでできること

セルフマネジメントでできること

セルフマネジメントは「自分だけで解決する」という意味ではなく、病気を理解し、生活を安定させる工夫を続けることです。小さな習慣の積み重ねが、再発予防に直結します。

睡眠覚醒の安定

双極性障害では睡眠リズムの乱れが症状を悪化させやすいため、安定した睡眠覚醒サイクルを守ることが大切です。毎日同じ時間に寝起きする、朝日を浴びる、就寝前のスマホ使用を控えるなど、生活リズムを一定に保つ工夫が有効です。昼夜逆転を避けることで、躁もうつも出にくくなります。

服薬アドヒアランスと副作用記録

薬を継続して正しく服用することは再発を防ぐ最大のポイントです。副作用がある場合も、自己判断で中断せず、医師に詳細を伝えることで調整が可能になります。服薬カレンダーやアプリを使い、飲み忘れを防ぐ工夫を取り入れましょう。副作用を日記に残せば診察時の情報共有にも役立ちます。

気分記録とトリガー管理

毎日の気分、睡眠時間、行動内容を簡単に記録するだけでも、自分の波の傾向を把握できます。特定の出来事や季節、ストレスが再発の引き金になる場合もあるため、記録をもとに回避策を考えることが重要です。こうした習慣は主治医との相談にも役立ち、早期の対応につながります。

金銭とSNSのルールづくり

躁状態では浪費や不用意なSNS投稿によるトラブルが増えます。そのため、カードの利用上限を設ける、SNSの深夜使用を避けるなど、あらかじめルールを作ることが重要です。家族や支援者と合意形成しておくと、本人の自由を守りながら安全も確保できます。行動の枠を定めることが安心材料になります。

危機時の連絡先リスト

症状が悪化したときに迅速に対応できるよう、主治医、家族、地域支援機関の連絡先をリスト化しておくことが必要です。スマートフォンや手帳に常備し、危機時には迷わずアクセスできる体制を作りましょう。事前に「どの状況で誰に連絡するか」を決めておくことで、不安を減らし安全を守れます。

家族・周囲ができるサポート

家族や周囲の理解と支援は、本人の回復を大きく後押しします。責めるのではなく、病気を共有し、支える姿勢が求められます。

否定せず観察記録と共有

本人の感情や行動を否定せず、客観的に観察して記録することが重要です。睡眠時間や食欲、気分の変化などをメモに残し、受診時に医師へ伝えることで診断の精度が上がります。共感的な言葉を添えると、本人も安心して治療を続けやすくなります。

危機サインと安全確保

自殺念慮や浪費の急増、不眠が続くなどは危険なサインです。家族だけで対応せず、すぐに専門機関へ連絡することが大切です。危険物の管理や深夜の外出制限など、環境面での安全確保も欠かせません。緊急時にはためらわず医療につなぐ行動力が求められます。

ケアチームとの連携

主治医、訪問看護、相談支援員など複数の専門家と家族が一体となって関わることで、安定したサポートが可能になります。役割分担を明確にし、情報を定期的に共有することで、支援が途切れず本人の安心感も高まります。家族が一人で抱え込まない仕組みを持つことが重要です。

受診・相談の目安

症状が悪化しても「まだ大丈夫」と思い込み、受診を先延ばしにすることは危険です。適切なタイミングで医療につなげることで重症化を防ぐことができます。

すぐに医療と連絡すべきサイン

自殺を考えている、眠れない日が続いている、現実感が薄れ判断力が落ちているなどは、すぐに医療機関につなげる必要があります。危険な行動が見られたら、救急や訪問看護に迷わず相談することが命を守る行動です。

受診準備と伝えるべき情報

受診時には、症状の経過や睡眠時間、服薬状況、最近の出来事などを簡単にまとめて伝えると診察がスムーズになります。本人が話せないときは家族が補足することで、診断と治療方針が的確になります。準備は診療の質を高める鍵です。

診断後の道筋

診断後は短期的に安全を確保し、中期的に生活習慣の改善を行い、長期的には再発予防計画を立てていきます。焦らず段階的に取り組むことで、安定が持続します。本人・家族・医療者が同じ目標を持つことが回復を支える力になります。

まとめ

双極性障害の「末期症状」は、放置による重症化を指すことが多く、適切な治療と支援で回復は十分に可能です。再発を防ぐには早期の受診と生活習慣の安定、家族や支援者との連携が不可欠です。一人で抱え込まず、安心して相談できる環境を整えることが大切です。大阪エリアで支援先を探している方は、「訪問看護ステーションくるみ」にぜひご相談ください。

この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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