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いつも時間ギリギリは病気?原因と改善法を解説

2025.10.08 精神科訪問看護とは

「どうしても時間ギリギリになってしまう」「遅刻を繰り返してしまう」と悩んでいませんか?単なる性格や習慣と思われがちですが、実はADHD(注意欠如・多動症)などの発達特性や、うつ病・不安障害といった精神的な病気が背景にある場合もあります。こうした状態が続くと、職場や人間関係での信頼を失ったり、自己肯定感が下がってしまうなど二次的な問題も引き起こしかねません。

本記事では、「いつも時間ギリギリになってしまう」原因と考えられる病気や心理的要因、そして改善策や医療機関でのサポートについて詳しく解説します。

いつも時間ギリギリになるのは病気?

「遅刻癖」と病気の違い

「いつも時間にギリギリ」「遅刻を繰り返してしまう」といった悩みは、多くの人に共通する問題です。単なる性格や生活習慣の乱れであるケースも多いのですが、慢性的に改善できない場合や、本人が強いストレスを抱えている場合は、背景に病気が隠れていることもあります。

例えば、発達障害のひとつであるADHDは、時間感覚が不正確でスケジュール管理が苦手な特徴があります。また、うつ病や不安障害では集中力や判断力が低下し、予定に間に合えないことも増えるのです。「性格だから」と片付けてしまう前に、病気の可能性があるかどうかを確認することが大切です。

ADHDや発達特性との関係

ADHD(注意欠如・多動症)の人は、時間を把握する力に特徴があります。「30分かかる作業を10分でできる」と誤って見積もったり、逆に「まだ大丈夫」と余裕を感じてしまい、気づけば出発時間を過ぎているといったことが起こりやすいのです。こうした特性は本人の努力不足ではなく、脳の機能に関係しています。そのため「いつも時間ギリギリ」という悩みが強く出ている場合、ADHDの可能性を考える必要があります。

単なる性格や習慣の可能性もある

もちろん、すべての「時間ギリギリ」が病気に直結するわけではありません。例えば「のんびり屋で時間にルーズな性格」「準備を先延ばしにしてしまう生活習慣」など、病気ではなく性格や習慣の問題というケースもあります。重要なのは、それが日常生活や仕事にどの程度の影響を与えているかです。たとえ病気でなくても、遅刻を繰り返すことで信頼を失ったり、自己嫌悪に陥ることは少なくありません。

ADHDと時間感覚の関係

ADHDとは?基本的な特徴

ADHD(注意欠如・多動症)は、発達障害のひとつであり、不注意、多動性、衝動性といった特徴を持つ状態です。大人になってから診断されるケースも多く、特に「時間の使い方がうまくいかない」「仕事や生活で遅れがち」という悩みにつながりやすい点が特徴です。子どもの頃から宿題を後回しにしたり、約束に遅れることが多い場合、大人になってもその傾向が残ることがあります。

時間の見積もりが苦手な理由

ADHDの人は、いわゆる「時間感覚のズレ」があります。例えば、実際には1時間かかる作業を「20分でできる」と思い込んで取りかかることが多く、結果的に予定が大幅にずれてしまうのです。また「今やっていることに過集中してしまう」ため、時間を忘れて気づけば大幅に遅刻していることもあります。これは脳の実行機能に関連しており、本人の意志や努力では解決しにくい問題です。

遅刻やギリギリ行動に見られる具体例

ADHDの人によく見られる行動として、出発時間になってから準備を始める、ギリギリまでスマホやテレビを見てしまう、タスクの優先順位を誤って重要な予定を忘れる、などがあります。こうした行動は周囲から「だらしない」と誤解されやすいのですが、本人にとっては深刻な悩みです。「自分でも直したいのに直せない」という状況に陥ると、強い自己否定感やストレスを抱え、二次的なメンタル不調につながるリスクがあります。

いつも時間ギリギリになる人の心理的背景

不安やストレスとの関連

「時間ギリギリ」には心理的な要因も関係しています。例えば強い不安やストレスを抱えている人は、出発や行動を開始するまでにエネルギーがかかりすぎて、つい遅れてしまうことがあります。また、「遅刻してはいけない」と思うあまり逆に動けなくなるケースもあります。このように心理的背景が影響している場合、単なる時間管理の問題として片付けるのは難しいでしょう。

完璧主義が引き起こす先延ばし

意外に多いのが「完璧主義」による時間ギリギリ行動です。「もっと準備を整えなければ」と思って行動開始を遅らせたり、「やるからには完璧に」と考えるあまり着手を先延ばしにしてしまうのです。その結果、期限直前に慌てて行動し、遅刻やミスにつながることがあります。これは性格的な要素と心理的な要素が絡み合って生じる傾向です。

睡眠リズムの乱れや生活習慣

睡眠不足や不規則な生活も、時間に間に合わない大きな要因です。特に夜型生活が定着してしまうと、朝起きるのが遅くなり、常に出発時間に追われることになります。また、生活リズムが乱れると集中力も低下し、予定を忘れやすくなるのです。こうした場合は病気というよりも、生活習慣の見直しが第一歩になります。

時間ギリギリ行動がもたらす影響

遅刻やギリギリ行動は一見すると小さな問題のように思われがちですが、実際には仕事や人間関係、さらには心の健康にまで深刻な影響を及ぼす可能性があります。

職場での信頼や評価の低下

仕事の場面では「時間を守ること」が基本的な信頼の前提となります。そのため、遅刻を繰り返したり締め切りに間に合わない状況が続くと、どれだけ能力や成果を持っていても「時間にルーズで任せられない人」というレッテルを貼られてしまいます。これにより評価や昇進の機会を失ったり、重要な仕事を任されにくくなるなど、キャリア形成に長期的な悪影響を与えることも少なくありません。

人間関係の悪化と孤立感

プライベートでも、友人や家族との約束に遅れることが習慣化すると、「大切にされていない」と受け取られてしまうことがあります。本人としては病気や特性の影響でコントロールが難しいにもかかわらず、周囲からは単なる怠慢や無責任と誤解されやすいのが特徴です。このすれ違いが繰り返されると、人間関係にひびが入り、孤立感や疎外感を強めてしまいます。

自己肯定感の低下と二次的なうつ症状

さらに問題なのは、こうした状況が続くことで本人の心に与える影響です。「また遅れてしまった」「自分はダメだ」と自責の念を抱え続けると、自己肯定感が下がり、自信を失ってしまいます。特にADHDの人はもともと失敗体験を重ねやすく、自己評価が低くなりやすい傾向があります。その結果、抑うつ状態に陥ったり、不安症状を併発することも珍しくありません。早い段階での気づきと対策が、二次的なメンタル不調を防ぐうえで重要です。

時間管理の改善方法

タイマーやアラームを活用する

時間感覚にズレがある人にとって、客観的なツールを取り入れることは非常に有効です。スマホや腕時計のアラームを「出発30分前」「出発10分前」「本当に出る時間」と段階的に設定すると、頭の中だけで管理するより行動に移しやすくなります。また、作業時間を可視化できるタイムログアプリやキッチンタイマーを活用するのもおすすめです。「まだ大丈夫」と油断してしまうクセを補い、時間を意識するきっかけになります。

タスクを小分けにして管理する

大きな作業は「取りかかるのが面倒」と感じやすく、先延ばしにつながります。そのため「メールを1通返す」「資料を1ページ確認する」といった小さな単位に分けることが効果的です。さらにチェックリスト化して「できた」という達成感を積み重ねると、モチベーションが上がり行動が持続しやすくなります。仕事だけでなく、家事や身支度にも応用できるため、生活全体の時間管理力を高める手助けになります。

出発準備を前倒しで済ませる習慣

ギリギリ行動を防ぐには「準備の前倒し」が鉄則です。例えば服や持ち物を前日の夜に用意しておくことで、朝のバタつきを大幅に減らせます。さらに「出発予定時刻の30分前には玄関に立つ」とルールを決めることで、予想外のトラブル(忘れ物や交通機関の遅延)が起きても余裕を持って対応できます。

睡眠・生活リズムを整える

遅刻や時間ギリギリ行動の大きな原因は、睡眠不足や生活リズムの乱れです。寝不足のままでは朝の行動が遅れ、日中も集中力が落ちて予定がずれやすくなります。まずは「同じ時間に寝て、同じ時間に起きる」ことを習慣化するのが改善の第一歩です。さらに朝日を浴びたり、軽い運動を取り入れると体内時計がリセットされ、自然と時間通りに動けるようになります。

それでも改善しない場合は病気の可能性も

ADHDによる影響

時間管理がうまくいかない背景には、ADHD(注意欠如・多動症)が関係していることがあります。ADHDが強い場合、どれだけ工夫をしても「気づけば時間が過ぎている」「優先順位を誤ってしまう」といった問題が繰り返されやすく、セルフケアだけでの改善は難しいのが現実です。

ADHDの人は時間の見積もりや集中力のコントロールに困難を抱えやすいため、本人の努力不足ではなく脳の特性が影響していると理解することが重要です。この場合、医療機関での診断や治療によって初めて大きな改善が見込まれるケースも多くあります。

うつ病・不安障害との関連

時間管理ができないのは、単にルーズだからではなく、うつ病や不安障害といった精神的な病気が背景にある場合もあります。うつ病では気分の落ち込みや意欲の低下が強く、身支度や行動の開始そのものが遅れてしまいます。

一方、不安障害では「遅刻してはいけない」と過度に意識するあまり、準備に時間がかかりすぎて逆に遅刻してしまうケースも見られます。これらの症状は本人の意志だけではコントロールが難しく、長引くほど生活や仕事への支障が大きくなります。そのため、精神的な不調を感じるときは早めに専門家へ相談することが大切です。

医療機関で相談する目安

「毎日のように時間ギリギリで行動してしまう」「遅刻や締め切り遅れが続いて仕事や生活に影響している」「改善策を試しても効果がない」などの状況に心当たりがある場合は、心療内科や精神科への相談が望ましいです。

また、強い自己否定感や不安を抱えているときも受診の目安になります。医師の診断を受けることで、ADHDやうつ病などの有無が明確になり、必要に応じて薬物療法やカウンセリングなどの適切な治療が受けられます。早期に専門機関を受診することは、悪化を防ぎ、改善への第一歩となります。

医療機関や支援機関で受けられる治療とサポート

時間ギリギリの行動が続き、日常生活や仕事に大きな影響を与えている場合には、医療機関や支援機関でのサポートを受けることが改善への近道になります。

薬物療法(ADHD治療薬など)

 ADHDと診断された場合、医師の判断で薬物療法が行われることがあります。代表的な薬には、中枢神経を刺激して注意力を高めるものや、脳内の神経伝達物質の働きを整えるものがあります。これにより、集中力や計画性、時間感覚の改善が期待できます。ただし薬はあくまで補助的なものであり、生活習慣の見直しや心理的支援と併用することが重要です。副作用の可能性もあるため、必ず医師の指示に従いながら適切に使用する必要があります。

認知行動療法・カウンセリング

薬に加えて、心理療法によるサポートも有効です。認知行動療法では「なぜ時間に遅れてしまうのか」という思考や行動のクセを整理し、改善する方法を一緒に学んでいきます

例えば「不安で準備を始められない」という状態を修正し、行動につなげやすい習慣を作ることができます。また、カウンセリングでは自己肯定感を回復させ、失敗を繰り返しても前向きに取り組める心の基盤を育てることができます。

発達障害者支援センターなどの活用

医療機関以外にも、地域には発達障害者支援センターや地域障害者職業センター、就労支援事業所など、多様な支援の場があります。ここでは、仕事に必要なスケジュール管理の方法を一緒に考えたり、職場との調整を支援してくれるケースがあります。さらに、家族向けの相談窓口や教育プログラムを実施しているところもあり、本人だけでなく周囲の理解を深める手助けになります。

専門家や支援機関のサポート

心療内科や精神科での診断・治療を受けることは、安心につながる第一歩です。必要に応じて訪問看護や就労支援サービスを活用すれば、生活全般のサポートを受けることができ、無理なく改善を目指せます。こうした専門家や支援機関を組み合わせることで、時間管理の困難を抱える人がより安心して社会生活を送ることが可能になります。

まとめ

「いつも時間ギリギリになってしまう」という悩みは、単なる性格や習慣による場合もあれば、ADHDやうつ病など病気のサインであることもあります。自己判断だけで抱え込まず、改善が難しいと感じたら医療機関へ相談することが重要です。時間管理の工夫や生活リズムの見直しに加え、支援機関や専門家のサポートを取り入れることで、無理なく改善につなげられます。

日常生活のサポートに関してもご相談があれば、「訪問看護ステーションくるみ」へご相談ください。

この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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