大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第14弾!
寒くなりましたね。
冬が大好きなので嬉しい中野です。
冬が大好きすぎて、以前北海道に行った際
雪で子どものように遊び友人に笑われたことを思い出しました。
さて今回は
私が重症心身障害児者の認定看護師になった理由と
その制度について話をしていきます。
この認定看護師制度は
現在重症心身障害福祉協会認定看護師と名前が変わっています。
私は2期生として認定を受けました。
この認定看護師制度は更新制であり、私は更新しませんでした。
その理由はまた次に詳しく話をしていきたいと思っています。
重症心身障害児者認定看護師の求められている役割については
制度規則によると、
①重症心身障害児及び家族に対し熟練した看護技術及び知識を用いて専門性・個別制の高い看護を実践する
②看護実践を通して、看護・療育スタッフに対し教育的支援を行う
③重症心身障害児者を取り巻く今日的課題に積極的に取り組む
とあります。
私が認定看護師を取ろうと思ったきっかけは上司からの勧めでした。
上司から「次受けてみない?」と言われて、初めは断りました。
「また考えてて!」と言われれ、しばらく考えることにしました。
私のイメージする認定看護師や専門看護師は
看護部所属であり教育に従事しているものの
あまり患者さんと関わる機会がない印象でした。
そのため私は「患者さんの看護がしたいのにそんな資格を取ったらできなくなるから嫌だ」と考えていました。
昔から私は先入観が考え方に大きく影響する傾向があり、
無理と思っていたら無理としか考えることができない性格でした。
今もその考えに苦しめられることもありますが少しずつ治ってきました。
また言われたらもう無理って言おう、そう思って仕事をしていました。
そんな私に天気が訪れます。
私ががすごく尊敬している先輩が1期生として
認定看護師をとっていたため話を聞く機会がありました。
「なんで取らないの?」
そう聞かれたときに私は自分の思いをつらつらと話しました。
それを先輩は黙って聞いてくださって
「わかった、それは中野ちゃんの思いね。
で、看護について困ってないの? もっとこうしたいってないの?」
と聞かれました。
その時ハッとなりました。
「私誰のために看護してるんだろう? 看護できてるんかな?」
と考え、恥ずかしくなりました。
毎日のケアの際にできないことがあります。
障がいがあるからできないと決めつけていたのは自分だったことに気づきました。
そしてそんな自分に恥ずかしくなりました。
障がいを作っているのは自分だったことにも気づきました。
看護師になって10年経過しようとしていたときで、
自分ができていると思っていただけで、
誰のための看護なのか、自分がなんのために看護師になったのかを忘れかけていました。
もしかしたらそのときの自分は、看護ではなく業務をしていたのかもしれません。
それじゃいけない、そう思い認定看護師を取得しようと思いました。
30代後半で専門知識をすごい量学習しました。
業務の間をぬいながら滋賀まで行き研修を受けました。
学習はつらかったけど新しく知ることは楽しかったし、
同じ認定看護師を目指す仲間ができたのも大きかったです。
毎日の苦悩を語り考えながら切磋琢磨できたことは大きな宝です。
そして研修とNICU、施設実習を経て認定看護師を取得できました。
嬉しかったです。
認定看護師をとってみる視点が変わりました。
自分の看護の意味づけができていたため、
意図的に行動することがどういう意味を持つかもわかり
考えることがより楽しくなってきました。
そして今までの新人教育や学生指導は
指導になっていなかった部分があるのではないかと思うようになってきました。
そしてもう一度自分の看護と向き合い考える機会も増えました。
私たち看護師は毎日の業務に追われ、
一つひとつの自分の行動を振り返る機会を
自分で作らなければ振り返れない場合が多いです。
「忙しい」この言葉で片付けてしまいがちです。
でもこの言葉は私はあまり使いたくありません。
この漢字は心を亡くすと書きます。
使うたびに心がなくなっていくような気がして嫌なのです。
どうしても自分に言い訳をして振り返らなかった自分に喝を入れながら
振り返るようにし、関わりを行ったところ
患者さんやご家族、スタッフの反応も変わってきました。
認定看護師になり活動をすることは
患者さんへの看護の質に影響することはもちろん
看護の質が良くなったと思います。
そして、「看護とは」を考え続けるいいきっかけになりました。
また人間「中野誠子」と向き合い、考えて行動できるようにもなってきました。
この頃から看護師・中野誠子だけでなく人間・中野誠子として
物事を考えることが大事であり看護に影響すると考えられるようになりました。
自分と向き合い、悔しくて泣き、考え続けたこの認定看護師として活動できた期間は
人生の宝物だと思っています。
これを書きながら、私と関わってくださった皆さんの顔が思い浮かびます。
みなさんとの関わりが私が今看護師を続けられる活力になっています。
看護師として、考え続けながら学んだことを大切にし、
更新はしなかったけど認定看護師であった自分を誇りに思いながら
今後も仕事を続けていきたいと思っています。
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