就労移行支援事業所は、医療の現場で連携することのある機関の一つで、特に精神科の訪問看護で関わる機会が多い機関の1つです。
この記事では、就労移行支援事業所に関する基礎知識や、就労継続支援との違いについて解説します。さらに、就労移行支援事業所を利用するメリットや訪問医療との関わりについてもまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。
就労移行支援事業所とは?
就労移行支援事業所とは、障がいのある方が一般企業で働くために、就労に必要な知識や能力を習得するための場所です。就労支援は、障害者総合支援法に基づき実施されています。
就労移行支援事業所は、令和3年時点で全国に3,353か所あり、事業所によって就労支援の取り組み内容が多少異なります。
参照:厚生労働省「2 障害福祉サービス等事業所・障害児通所支援等事業所の状況」
サービス内容
就労移行支援事業所は、通所型のサービスです。利用者さまの状況や希望に合わせて作成する個別支援計画に沿って、日常生活や就職活動の支援を行っています。
事業所には、以下のスタッフが配置されています。
・施設管理者
・サービス管理責任者
・職業指導員
・生活支援員
・就労支援員
法律によって人員配置が定められており、利用者さまを多方面からサポートする体制が整えられているのです。
また、就労移行支援には利用期間が決められており、利用者さまごとに原則標準期間(24ヶ月)以内で期間が設定されます。
一方利用料金は、世帯の所得に応じて負担上限が決められています。利用料金は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの自治体に問い合わせてみてください。
利用対象者
就労移行支援を利用できるのは、次の方々です。
・65歳未満の身体障がい・知的障がい・精神障がい・発達障がい・難病のある方
・一般企業へ就職したいと考えている方
就労移行支援は障害者手帳の有無に関わらず、医師や自治体の判断などにより就職に困難が認められる場合も利用できます。
就労移行支援事業を活用するメリットは、一般企業就職に向けて職務スキルや労働習慣、コミュニケーションスキルが身につけられることです。ほかにも、日常生活習慣や健康管理といった働き続けるために必要な自己管理の力を、専門職のサポートを受けながら養えます。
利用方法
就労移行支援事業所の探し方は、次の3通りあります。
・住んでいる市区町村で相談する
・専門機関で相談する
・インターネットで調べる
市区町村に相談する場合は、役所の障害福祉課などが窓口となっています。
役所のほかにも、通院先の主治医やケースワーカ、障害者就業・生活支援センター、ハローワークのような専門機関に相談するのもおすすめです。
事業所によって就労支援の取り組みが異なるため、いくつか施設を見学して自分にあったところを見つけましょう。
訪問看護と就労移行支援事業所の連携
就労移行支援事業では、訪問看護師が介入することにより「医療連携体制加算」の対象となります。そのため、精神科の訪問看護師が関わる機会は多いでしょう。
訪問看護により、体調管理や服薬管理などの生活面からサポートすることで、就労移行支援事業所へ安定して通え、スムーズな仕事探しや社会復帰につながります。
就労移行支援事業所は、利用者さまの障がいの程度や特性に合わせたサポート、医療者は利用者さまの健康や安全面でのサポートが可能です。そのため、就労支援では多職種であらゆる情報を共有し、多方面から利用者さまのサポートを行う体制が整えられています。
関連記事:精神科特化訪問看護ステーションが関わる連携機関と必要性を解説
就労移行支援事業と就労継続支援事業の違い
就労系障害福祉サービスには就労移行支援事業、就労継続支援事業、就労定着支援事業の3つのサービスがあります。
就労継続支援事業は利用期間の制限がないのが特徴であり、現時点で一般企業への就職が難しい方が対象です。雇用契約の有無や年齢・体力によって、A型・B型を選択します。
就労定着支援事業は就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練の利用を経て、一般就労へ移行した障がいのある方をサポートするサービスです。就労して6ヶ月以上経過した方が対象で、利用期間は最長3年間です。障がいのある方の一般企業就職後の悩みやトラブルに対して、就労定着支援員が相談や助言、企業との連絡調整などをサポートしています。
参照:厚生労働省「障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス」
就労移行支援事業所と訪問看護が連携する機会は多い
就労移行支援事業所は、障がいのある方が一般企業などへの就職を目指すために受けられるサービスです。利用者さまの日常生活や社会生活の自立のために、訪問看護や地域の医療機関などが連携し、多方面からサポートしています。
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